EC-CUBEの保守・運用費用は、サイトの規模、運用体制、対応範囲によって、月数千円から月額50万円以上まで変わります。
小規模なサイトでは固定費が月数千円〜数万円に収まることが多い一方、大規模なサイトでは月額50万円以上になることも珍しくありません。
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EC-CUBEの保守・運用費用の全体像
EC-CUBEの保守・運用費用は、社内で運用するか外部に委託するかによって大きく変わります。社内にエンジニアを抱える場合は、サーバー代やドメイン代といった実費が中心です。
一方で、脆弱性対応やバージョンアップの作業は、社内の人件費として見積もる必要があります。外部に委託すると、サーバー監視や不具合対応、セキュリティ保守を任せられます。
中規模〜大規模のサイトでは、月額10万〜50万円程度の保守費用が一般的です。ただし、保守費用がこの金額を超えることもあります。
EC-CUBEはライセンス費用が無料でも、運用費用まで安いとは限りません。オープンソースでは、セキュリティとバージョンアップの責任を利用者が負うためです。
SaaSとは異なり、月額料金にすべての対応が含まれるわけではありません。自社対応でも外部委託でも、相応のコストと手間がかかります。この前提を外すと、保守費用を予想外の出費と感じやすくなります。
ランニングコストには、毎月ほぼ一定で発生するものがあります。サーバー代、決済手数料、日常の保守改修費がその代表です。
一方で、数年に一度まとまって発生する費用もあります。メジャーバージョンアップや大規模なセキュリティ対応が、これに当たります。
メジャーアップデートは、実質的なリニューアルに近い規模になることがあります。そのため、毎月の保守費とは別に予算を組んでおかないと、対応費用を出せない場合があります。また、古いバージョンを放置すると、セキュリティリスクを抱え込むことになります。
規模別の月額相場
月額相場は、サイトの規模と、外部委託する範囲によって変わります。
- 小規模サイト:デフォルトテーマを中心に、自社で運用する構成
- 中規模サイト:オリジナルデザインや複数のプラグイン、一部外部連携を含む構成
- 大規模サイト:基幹連携や大量SKU、高トラフィックへの対応が必要な構成
小規模サイトの固定費は、サーバー代・ドメイン代・SSL証明書が中心です。合計すると、月数千円〜数万円程度に収まることが多いです。
また、脆弱性対応やプラグイン更新は自社エンジニアが担うため、人件費を別に見込んでおく必要があります。
中規模サイトを外部委託する場合は、月額10万〜30万円程度が目安です。この保守では、サーバー監視や軽微な不具合対応のほか、定期的なセキュリティチェックやコンテンツ更新支援も対象になります。
大規模サイトは、月額50万円以上になる場合があります。24時間365日に近い監視体制や、複雑な連携の維持が必要になるためです。さらに、頻繁な機能改修も発生します。
ここで示した金額は、保守委託費の目安です。ただし、決済手数料やサーバーのスケールアップ費用は、別途加算されます。そのうえで、発注する会社は、売上規模やアクセス量、要件の複雑さを見て、どの帯に当たるかを把握しておきます。
ランニングコストの内訳

EC-CUBEのランニングコストは、性質の違う項目に分けて考えます。毎月の中心となるのは、サーバー・インフラ費、決済手数料、保守監視・機能改修費です。これに対して、バージョンアップ・脆弱性対応・プラグイン維持費は、発生時期が決まっていません。
サーバー・インフラ費と決済手数料
固定費と売上に連動する費用を分けて捉えると、毎月の支出を把握しやすくなります。
- サーバー・インフラ費:サイトを動かす土台の維持費
- 決済手数料:売上に比例して増える変動費
ドメイン代は年間500〜6,000円程度が基本的な目安です。小規模サイトのサーバー費用は、年間500〜10,000円程度が目安です。アクセス規模が大きい場合は、月額数万円〜数十万円の環境が必要になります。
利用する環境としては、クラウドサーバーやVPSがあります。また、SSL証明書は年間1万〜9万円程度で、ECサイトでは必須です。
EC-CUBEでは、自社でサーバー環境を用意して維持します。そのため、PHPのバージョン、メモリ、ディスクの管理が必要です。バックアップ体制を含めて、運用全体を設計しておく必要があります。
決済手数料は見落としやすいランニングコストで、一般的に売上の3〜5%程度かかります。売上が伸びるほど、決済手数料の負担も大きくなります。
たとえば、月商500万円で手数料率が4%なら、毎月20万円が発生します。サーバー代は予測しやすい固定費ですが、決済手数料は変動費として事業計画に織り込んでおきます。
保守監視・機能改修費
日々の安定運営と継続的な改善に必要な作業は、保守費として見積もります。
- 稼働監視:サーバーの状態確認と障害対応
- 更新・修正:バナーやページの更新、不具合の修正
- 改善施策:成約率(CVR)を高めるLPOやUI改善
日常的な改修費は、月額3万〜15万円程度を見込んでおく必要があります。ECサイトは公開後も売上を伸ばすために改善を続けます。改善費用は、運用予算の中に最初から組み込んでおきます。
EC-CUBEは、ソースを自由に改修できるため、改善施策を実装しやすい点が強みです。一方で、改修を担うエンジニアの工数は継続的に発生します。
その工数は、自社の人件費か外部への委託費のどちらかで見積もります。外部に委託する場合は、軽微な更新を月額固定の保守契約で対応できます。まとまった機能追加は、都度見積もりを取る方法が現実的です。
バージョンアップ・脆弱性対応・プラグイン維持費(OSS特有の重コスト)
オープンソースでは、更新や脆弱性対応を運用する側が担う必要があります。
- バージョンアップ:PHPやSymfonyなどの更新に伴う改修
- 脆弱性対応:発見された問題へのパッチ適用
- プラグイン維持:導入済みの有償プラグインのライセンス更新
これらは、必要な時期にまとまって発生する費用です。代表的な発生時期は、新たな脆弱性が公表されたときや、メジャーアップデートのときです。
とくに、数年ごとのメジャーバージョンアップは金額が大きくなります。古いバージョンからの移行は、アーキテクチャが異なるため、リニューアルに近い作業になりやすいです。なお、既存サイトからの移行費用は、新規構築費用の20〜50%程度になる場合があります。
日常の運用に、Composerによる依存管理を組み込んでおくことが重要です。具体的には、composer.lockを共有して、依存関係を管理します。また、composer auditやDependabotを使えば、脆弱性を自動で検知できます。
Symfonyの「非推奨(Deprecated)」警告も、日常の保守で解消しておきます。早めに対応しておくと、次のメジャーアップデートがスムーズに進みます。逆に、対応を怠ると大量の修正が必要になり、移行費用が跳ね上がります。
保守契約の形態と選び方

外部委託の契約形態は、自社の運用方針と予算に合わせて選びます。契約範囲を明確にすると、無駄のないコスト管理につながります。代表的な契約形態は、月額固定型、スポット型、成果報酬・複合型の3つです。
月額固定型とスポット型
定常作業と突発作業を分けて考えると、契約の使い分けを判断しやすくなります。
- 月額固定型:一定額で定常的な保守を依頼する形
- スポット型:必要な作業が発生した時点で都度依頼する形
月額固定型は、毎月数万円〜30万円程度を支払う定額保守です。サーバー監視や軽微な不具合対応、定期的なセキュリティチェックを任せられます。
簡単なコンテンツ更新も、月額固定型の対象になることがあります。また、費用が一定で予算を立てやすく、トラブル時の相談窓口も確保できます。
大規模な機能追加など、契約範囲外の作業は別料金になります。そのため、発注側は契約時に、月額へ含む作業と追加費用になる作業を明確にしておきます。
スポット型は、必要なときに都度見積もりを取って支払う形態です。OSやPHPのアップデート、脆弱性へのパッチ適用に向いています。
プラグイン開発のような大規模な機能追加にも使われます。常時監視は不要でも、必要なときだけ専門対応を頼みたい場合の選択肢になります。
実務では、定常保守を月額固定型、突発作業をスポット型に分けて依頼します。このほか、IT業界では、定常保守を準委任やラボ型契約で行う形もあります。突発作業は、これとは別にスポット契約で対応する形になります。
成果報酬・複合型と自社運用の比較
売上拡大まで任せるか、専門人材を社内に置くかで、選択肢は変わります。
- 成果報酬・複合型:運用支援と売上連動の費用の組み合わせ
- 自社運用:社内エンジニアが保守と改修を受け持つ形
成果報酬・複合型では、月額固定費に売上の5〜10%を加える場合があります。運用代行やグロース支援まで一体で任せたい事業者に合っています。
売上が大きくなると成果報酬も増えるため、利益率との比較が必要です。
社内にPHPやSymfonyに精通したエンジニアがいれば、保守を内製化できます。そうすれば、外部委託費を抑えられる可能性があります。
保守には、脆弱性の継続的な監視やバージョンアップ対応が必要です。サーバー運用の専門性も求められるため、それを担える人材の人件費は安くありません。また、担当者が退職すると、属人化したノウハウが失われるリスクもあります。
得失は、サイト規模、社内の技術力、改修頻度を踏まえて判断します。外部委託費だけでなく、内製化の人件費とリスクも比較します。
ランニングコストを最適化する方法

ランニングコストは、判断と運用設計を見直せば抑えられます。オープンソース特有のコスト構造を踏まえ、予算の立て方と、決済手数料やSaaS移行の見直しという2つの観点から検討します。
TCO(総保有コスト)での予算計画
月額だけでなく、数年間の総額で予算を考えることが出発点になります。
- 初期費用:システムの構築にかかる費用
- 継続費用:保守・運用費と決済手数料
- 将来費用:メジャーバージョンアップの費用
ECサイトのシステム寿命は、一般的に3〜5年と言われています。その背景には、デザインの流行やセキュリティ要件の刷新サイクルがあります。
初期構築費に、月額費用に期間を掛けた保守・運用費を加えます。さらに、決済手数料と数年後のメジャーアップデート費用も合算します。
数年間の総額をシミュレーションして、投資回収計画を立てます。メジャーアップデートは、新規構築費の20〜50%規模になることがあります。そのため、この大型出費に備えてあらかじめ積み立てておけば、資金繰りを守れます。
月々のサーバー代だけでEC-CUBEの安さを判断するのは避けたいところです。5年スパンで費用を試算し、SaaSや他のパッケージと比べます。
決済手数料の見直しとSaaS移行の検討
売上規模が変わったら、決済費用と構築方式をTCOで見直します。
- 手数料の見直し:料率の交渉や決済手段の誘導
- SaaS移行:保守をプラットフォーム側に任せる
売上が大きくなったときは、決済代行サービスに手数料率の交渉ができないか確認します。また、銀行振込など手数料の低い決済手段へ誘導する方法もあります。
手数料率の差が0.5%でも、年間で数十万〜数百万円の差になります。そのため、決済条件は定期的に見直す価値があります。
オープンソースでは、脆弱性対応や更新を自社か委託先が担います。そのぶん保守コストが重くなれば、SaaS・ASP型クラウドECも候補になります。
Shopifyやmakeshopといったサービスでは、標準機能で要件を満たせる場合があります。月額利用料を払っても、トータルのコストが安くなるケースもあります。自社に合う構築手法かどうかは、TCOを基準に定期的に見直します。
EC-CUBE特有の保守リスクと見落としやすい注意点
保守費用だけでなく、放置によって費用が増えるリスクも確認しておきます。見落とすと後から大きなコストになりますが、適切に対応すれば回避できます。
旧バージョンのEOLとセキュリティ放置リスク
旧バージョンの継続利用は、セキュリティと事業継続のリスクになります。
- サポート終了:古いPHP系列とともに、公式パッチが止まる
- 基準への対応:改正割賦販売法やPCI DSSへの準拠が必要
EC-CUBEの2系のような古いバージョンは、サポートが終了しています。EOLはEnd of Lifeを意味します。サポートが終わったあとは、新たな脆弱性が見つかっても、公式のセキュリティパッチは提供されません。
脆弱性を抱えたままだと、不正アクセスにつながるおそれがあります。クレジットカード情報の漏洩など、重大なインシデントに発展するおそれもあります。被害が発生すると、賠償・調査・再構築で数千万円規模になることがあります。
ECサイトはカード情報を扱うため、セキュリティ基準への準拠が求められます。保守費用は、事業を続けるための必要な投資として捉えておきます。
サポート対象のバージョンを使い、脆弱性情報を継続的に確認します。さらに、脆弱性へすぐパッチを当てられる体制も維持します。
古いバージョンを「動いているから」と放置するのは危険です。結果として、いちばん高くつく選択になる可能性もあります。
コア改変による「保守地獄」と技術的負債
構築時のコア改変は、運用後の保守費用を長期的に押し上げます。
- 拡張ポイント:公式の仕組みに沿って機能を足す
- 直接改変:コアに手を入れる方法
- 日常管理:依存関係の確認を続ける
本来は、フック(EventDispatcher)や拡張ポイントを使ってカスタマイズします。テンプレートオーバーライドやDIも、保守性を高める方法になります。
コアファイルを直接書き換えると、更新時に改変が上書きされます。そのうえ、セキュリティパッチのたびに、膨大なコンフリクト解消が必要になります。
これが「保守地獄」で、アップデート費用が雪だるま式に膨らみます。最終的には、アップデートできない状態に陥ることもあります。
負債の原因は構築時の設計にありますが、費用が出るのは運用時です。そのため、依頼時には、コアを直接改変しない実装かを開発会社に確認しておきます。拡張ポイントを使った保守しやすい実装かどうかも、あわせて見ておきます。
コア改変が多い状態で引き継いだ場合は、保守費が高止まりしやすくなります。その場合は、適切な設計へのリファクタリングや、再構築の時期を見極める必要があります。
負債の蓄積を防ぐには、Symfonyの非推奨警告を都度解消することが有効です。脆弱性の検知は、composer auditやDependabotに任せられます。
まとめ
EC-CUBEはライセンス費用が無料でも、運用費用まで安いとは限りません。中規模〜大規模で外部委託する場合は、月額10万〜50万円程度が目安です。
ドメイン代は年500〜6,000円、SSLは年1万〜9万円などが必要です。決済手数料は売上の3〜5%、保守監視・機能改修費は月3万〜15万円程度です。さらに、バージョンアップや脆弱性対応、プラグイン維持費も発生します。
メジャーバージョンアップは、新規構築費の20〜50%規模になることがあります。この費用は、毎月の保守費とは別枠で予算化しておきます。
月額固定型・スポット型・成果報酬・複合型は、作業の性質で使い分けます。自社運用との得失は、人件費とリスクを含めて比較します。
予算は耐用年数3〜5年のTCOで組み、決済手数料も見直します。必要に応じてSaaSへの移行も検討し、自社に合う運用体制を選びます。
費用感を知るには、サイト規模と要件を整理することから始めます。そのうえで、EC-CUBEの保守実績がある複数の会社から見積もりを取る方法もあります。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
