EC-CUBE開発は、要件定義・企画、設計・開発、テスト・リリースの3段階で進みます。
要件と運用体制を先に固め、拡張範囲や保守方法まで見通しておくことが大切です。EC-CUBEは2006年に始まり、累計35,000店舗以上で使われています。
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EC-CUBE開発の全体像
EC-CUBEは株式会社イーシーキューブが提供する国産ECプラットフォームです。GPLでソースコードが公開されており、ライセンス費用は無料です。
EC-CUBE 4系は、PHPのSymfonyを基盤に再設計されています。また、データベースはMySQLまたはPostgreSQLで、テンプレートはTwigです。
オープンソースならではの自由度と拡張性
EC-CUBEの自由度を活かすには、改修範囲、プラグインによる拡張、運用責任の3点を合わせて検討する必要があります。
一方、ShopifyやBASEなどのSaaSは、提供機能やAPIの範囲で改修することになります。EC-CUBEなら、在庫の基幹システム連携もリアルタイムで設計できます。
- 改修範囲:画面から業務ロジックまで、要件に合わせて変更できます。
- 拡張手段:コアを変えず、プラグインで機能を追加できます。
さらに、独自ポイントやクーポン発行も、ソースコードで対応できます。公式オーナーズストアには2,000点以上のプラグインがあり、決済連携や配送管理は、導入だけで済む場合があります。SEOやメール配信も、導入だけで済む場合があります。
ただし、プラグインとの相性やバージョン互換性は、導入前に検証が必要です。SaaSのような自動更新ではないため、継続的な保守体制を整えておく必要があります。
国内ECサイト構築における標準的な選択肢としての位置づけ
国内ECでEC-CUBEを選ぶ際は、市場との適合性、標準機能、支援環境の3点が判断材料になります。
実際に、経済産業省によると、BtoC EC市場は2024年に約24.8兆円でした。前年比9.0%成長した市場で、EC-CUBEは中小企業から大手まで採用されています。
- 市場適合性:国内の商習慣に合わせた機能を使えます。
- 標準機能:配送、ギフト、税率、決済に対応します。
こうした市場の広がりを背景に、EC-CUBEは年商1,000万円から10億円の事業者にとっても現実的な選択肢です。配送伝票やのし、ラッピング、軽減税率も、標準機能で扱えます。
銀行振込や代金引換も、海外製サービスより準備しやすい構成です。支援の面では、公式サイトのインテグレートパートナーが200社以上あり、公式フォーラムやGitHubで技術情報も確認できます。
EC-CUBE開発の進め方

EC-CUBE開発は、要件定義、設計開発、テストリリースの3段階です。各段階で何を作り、どこまで決めるかを先に定めておくと、遅延の原因を減らせます。
- 要件定義・企画:解決する課題と開発範囲の決定
- 設計・開発:要件に沿った構成の設計と、機能の実装
- テスト・リリース:品質の確認、公開、運用の開始
要件定義・企画フェーズ
要件定義では、まず事業上の目的をはっきりさせます。具体的には、商品の種類と数量、顧客層、月間売上、競合との差別化を整理します。そのうえで、標準機能で対応する範囲と決済要件を固めます。
EC-CUBE 4系には、商品や受注、顧客を管理する機能のほか、コンテンツ管理もあります。そのため、標準機能で足りる範囲を要件定義の段階で洗い出しておきます。
- 事業要件:事業の目的と前提の確認
- 機能範囲:標準機能と独自開発の切り分け
メール配信とクーポン発行は、標準機能で対応できます。一方、定期購入は標準外のため、プラグインかカスタム開発から選びます。
加えて、BtoBの掛け売りや会員ランク、セット商品も、要件定義で確かめます。決済は、クレジットカードやコンビニ、後払いを比較します。Amazon PayやPayPayも、候補として比べます。
なお、期間の目安は、小規模なら2〜3週間、中規模以上なら4〜8週間です。この段階では、要件定義書、画面遷移図、概算見積書をまとめます。
設計・開発フェーズ
設計・開発では、インフラや画面に加えて、業務処理と外部システム連携まで、一つの構成として検討します。
たとえば、サーバーは専用サーバーやVPSのほか、AWS、GCP、さくらのクラウドから比較します。AWSでは、EC2やAmazon ECSにRDSを組み合わせられます。
- インフラ:負荷と拡張性を基準にしたサーバー選定
- 画面設計:Twigとモバイル対応の組み合わせ
さらに、年商1億円以上の規模なら、開発会社と冗長構成やCDNのCloudFrontも検討します。Twigを基盤に、デザインカンプをもとにHTML/CSSとテンプレートを作ります。
総務省の調査では、アクセスの約75%がスマートフォンです。そのため、画面はモバイル対応を前提に設計します。拡張はSymfonyのイベントディスパッチャーで行い、更新時に上書きされない形にします。
ERPやWMSとは、API、CSV、DBで連携します。CRMやMA、会計システムも、API、CSV、DBで連携します。期間の目安は、標準構成で2〜4ヶ月、大規模開発で4〜8ヶ月です。
テスト・リリースフェーズ
公開前の確認では、機能と表示を見たうえで、セキュリティ、負荷、決済まで確かめます。
まず機能テストでは、会員登録からカート、決済、受注管理まで、各機能が正しく動くかを確認します。対象ブラウザは、Chrome、Safari、Firefox、Edgeです。これらを、PC、タブレット、スマートフォンで見ます。
- 購買フロー:閲覧から受注管理までの通しの確認
- 表示と安全性:端末ごとの表示差と脆弱性の検証
XSSやSQLインジェクションへの対策を確かめ、OWASP Top 10も基準にします。また、ピーク時もレスポンスを3秒以内に収められるかを検証します。
負荷試験では、Apache JMeterやGatlingを使い、同時接続数を段階的に増やします。決済は正常系だけでなく、与信エラーやタイムアウト、返金まで試します。
本番リリースは平日の午前中に行い、そのあと最低でも1週間は監視します。
費用相場とコストの内訳

費用はサイト規模とカスタマイズの度合いで大きく変わるため、人件費と工数、ランニングコストに分けて考えます。
人件費と工数
人件費は、必要な職種と人数、月額単価、個別カスタマイズの範囲によって変わります。
標準の体制は、PM1名、デザイナー1名、フロント1名です。バックエンドはPHP/Symfonyの担当が1〜2名で、テスターは1名です。
- 体制:案件規模に応じた職種と人数の組み方
- 単価:職種ごとの月額レンジの見積もり
この体制の単価は、バックエンドが80万〜130万円、フロントが70万〜120万円です。デザイナーは60万〜100万円、PMは90万〜140万円が相場です。
規模別では、ライトは100万〜300万円で、期間は1〜2ヶ月が目安です。ミドルは300万〜800万円で、期間は2〜4ヶ月が目安です。
さらに、フルは800万〜2,000万円以上で、期間は4〜8ヶ月に及びます。ライセンス費用は無料ですが、有料プラグインは1つ数千円から数万円です。
決済プラグインは3万〜10万円、定期購入の機能は5万〜15万円が目安です。デザインテンプレートは3万〜8万円で、工数の削減に役立ちます。
初期費用以外のランニングコスト
運用予算には、サーバーや保守の固定費に加えて、売上に応じた決済手数料も見込みます。
サーバーは月額1万〜10万円で、共用なら1,000〜5,000円です。月間10万PVを超える場合は、VPSやクラウドを使い、月額3万〜10万円になります。
- サーバー:アクセス規模に応じた構成の選択
- 保守:更新、障害、問い合わせの体制を含む
AWS(EC2、RDS、S3、CloudFront)の利用は、月額5万〜15万円が目安です。証明書は、Let’s Encryptなら無料です。一方、EV SSLは年間5万〜15万円かかります。
また、ドメインの維持費は年間1,000〜5,000円で、比較的軽い費用です。保守契約は月額5万〜30万円で、更新や障害対応を含みます。
セキュリティアップデートは年に1〜2回あり、それを適用する体制が必要です。カード決済の手数料は売上の3.0〜3.6%程度です。
たとえば、月間売上が500万円なら、カード決済の手数料は月額15万〜18万円になります。こうした費用を合わせると、運用費は月額10万〜50万円、年間120万〜600万円が目安です。
初期費用だけでなく、少なくとも3年間の総額で予算を組みます。
見積もりを取る際のポイント

見積もりは、要件、比較の軸、リスクの3点から確認します。発注先の前提をそろえておくと、金額差の理由を読み解きやすくなります。
要件明確化と仕様書の準備
RFPでは、事業の前提や必要な機能、外部サービスとの連携条件を、具体的に伝えます。
依頼が曖昧だと、見積もりが2〜5倍開くこともあります。そのため、商品カテゴリ数や商品点数、BtoC・BtoBの別を書き、アクセスや売上も添えます。
- サイト概要:商品と顧客の概要、アクセス、売上
- 必要機能:決済と配送の条件の決定
会員ランクやポイントも明記します。レコメンドや多言語の対応も、あわせて書いておきます。
外部との連携は、API、CSV、DB直接連携を、倉庫やCRM、MA、会計ごとに整理します。既存サイトを基にするのか、完全オリジナルなのかも伝えます。ブランドガイドと競合のURLも共有します。情報をRFPにまとめるのが難しい場合は、画面遷移図と機能一覧を用意します。
複数社比較と発注先の選び方
発注先は、見積もりの内訳と保守条件も比べます。見積もりは最低3社以上から取り、公式パートナー認定も確認します。認定には、ゴールド、シルバー、ブロンズの3段階があります。
アパレルと食品、BtoBとBtoCでは、必要な機能が異なります。そのため、見積もりは総額だけでなく、項目の細かさも見比べます。
- 実績:EC-CUBEの機構とSymfonyの知見
- 類似性:業種と規模が近い案件の実績
「デザイン一式:100万円」だけの見積もりより、15万円、10万円、12万円と内訳が示されたもののほうが有効です。保守の窓口、対応時間、障害時の連絡手順も、契約前に確認します。
注意すべきリスクと対策
外注する場合は、脆弱性への対応、バージョン更新、引き継ぎ体制を事前に確認します。
1つ目は、セキュリティ脆弱性への対応が遅れるリスクです。経済産業省とIPAも注意喚起しており、WAF(Web Application Firewall)を併用して備えます。
- 脆弱性:公式情報の確認と、パッチの適用
- 更新:拡張の方法と、影響範囲の確認
2つ目は更新です。EC-CUBE 2系から4系への更新は、再構築に近い作業になります。
そこで、開発ではコアを直接改修せず、プラグインとカスタマイズディレクトリという拡張方法を守ります。
3つ目はベンダーロックインです。特定の開発会社しか保守できない状態を避けるため、コメント、設計書、テストコードを残します。
契約書では、著作権と、設計書やテスト仕様書を納品する範囲を定めます。
まとめ
EC-CUBE開発では、自由度と保守性を両立する設計が重要です。コアを直接修正せず、プラグインやカスタマイズディレクトリを使うことで、その両立を図ります。
要件定義の段階で、標準機能と独自開発の境界をはっきりさせておきます。さらに、セキュリティパッチを適用する体制も、初期計画に含めます。
予算は、初期費用だけでなくランニングコストも含めて考えます。規模別では、ライトが100万〜300万円、ミドルが300万〜800万円が目安です。
フルは800万〜2,000万円以上で、運用費は月額10万〜50万円です。発注先は、EC-CUBEの実績や認定を軸に、類似事例と保守体制で比べます。
最低3社以上に同じ条件で提案を頼むと、提案の違いを確認できます。そのうえで、適切なパートナーと進めることが、ECビジネスの成功につながります。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
