HTML5開発の完全ガイド

HTML5開発は、要件と対応環境を先に決め、段階を分けて進めるのが基本です。HTML5は2014年にW3Cで正式勧告され、Webブラウザの標準技術として定着しました。

PC・スマートフォン・タブレットに対応するには、基礎から進め方、費用、会社選びまでの全体像を押さえる必要があります。これから開発する方も、進行中の計画を見直したい方も、必要な情報を確認できます。

工程、開発会社、費用、発注の4テーマは、それぞれ次の記事で詳しく解説しています。

HTML5開発の進め方と各フェーズのポイント

HTML5開発を要件定義・企画、設計・開発、テスト・リリースの順に示す図。
後工程の確認事項も、前の工程で決めた内容を受けて整理できます。

HTML5開発は、要件定義・企画、設計・開発、テスト・リリースの順に進みます。各段階で確認事項を整理しておくと、品質とスケジュールを管理しやすくなります。特にフロントエンドでは、ブラウザごとの見え方やSEO、表示速度も検証が必要になります。

要件定義・企画フェーズ

要件が具体的であるほど、設計や開発に入ってからの手戻りを抑えられます。

  • 開発目的と対象ユーザー
  • 対応デバイス・ブラウザとバージョン
  • 機能・性能・セキュリティ要件
  • アクセシビリティ基準(WCAG 2.1のA/AA/AAAのどれを目指すか)と合意内容

まず、開発の目的と対象ユーザーを発注側と開発会社の双方で共有します。利用するデバイスやブラウザ、必要な機能も、この段階で具体化しておきます。

また、マルチデバイス対応では、対象とするブラウザとバージョンの範囲を先に決めておきます。機能要件と非機能要件も文書にまとめ、性能、セキュリティ、アクセシビリティの基準を定めます。

IPAの調査では、ITプロジェクトの失敗原因の約35%が要件定義の不備とされています。そのため、要件を曖昧なまま設計へ進めず、関係者の合意を取ることが重要です。

設計・開発・テストの進め方

設計から公開まで、工程ごとに確認する内容を分けて進めます。

  • 情報設計とHTML要素の使い分け
  • Schema.orgの対応範囲
  • 2週間程度のスプリントによる段階開発
  • HTML・ブラウザ・表示性能のテスト

設計では、開発環境も整えます。headerやnavなどは意味を踏まえて選び、articleやsectionの扱いも、この段階で決めておきます。

Schema.orgの構造化データも、どの範囲で実装するかを事前に整理しておきます。開発はアジャイルで進め、機能を段階的に提供します。

テストでは、レスポンシブとアクセシビリティも確かめます。さらに、Google LighthouseやPageSpeed InsightsでCore Web Vitalsを測ると、表示性能とSEO品質も把握できます。

▶ 詳細はこちら:HTML5開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

ポイント

迷ったときは、要件と対応環境が具体的に決まっているかを確かめてから次の工程に進みます。そこが曖昧なら、設計に入る前に関係者で合意を取り直します。

外部に委託する場合は、パートナー選びがプロジェクトの成否を左右します。HTML5は標準技術ですが、APIを理解し、性能とアクセシビリティを両立できる会社を選ぶ必要があります。実績に加えて、設計やテストの進め方まで確かめると、技術力を見極めやすくなります。

パートナー選定の評価基準

候補を同じ基準で比べると、技術力と品質管理の違いを把握できます。

  • HTML5/CSS3/JavaScriptの統合実績
  • レスポンシブ対応の品質
  • 性能最適化の具体策
  • テスト・ブラウザ対応方針

会社を比べる際は、上の4点を軸に実績と提案内容を見ていきます。見積もりでは、デザインやマークアップ、JavaScriptの費用に加えて、レスポンシブ対応の費用範囲を押さえます。

さらに、SEO対策とアクセシビリティ対応が含まれるかも、項目ごとに確かめます。商談では、Canvas APIの事例やPWA案件のLighthouseスコアを尋ねると、技術力を判断する材料になります。

開発会社の種類と特徴

依頼先ごとの体制と費用感は、案件の規模に照らして比べます。

  • 大手SIer・開発会社
  • 中小・専門Web制作会社
  • フリーランスエンジニア
  • オフショア開発会社

大手SIerは大規模案件の管理に強みがあり、エンジニアの月額単価は100万〜180万円が目安です。一方、中小の専門Web制作会社は月額60万〜100万円程度で、フリーランスは月額40万〜80万円です。

フリーランスは費用を抑えやすいです。ただし、長期案件では稼働の安定性も確かめる必要があります。また、要件定義から開発まで一貫して支援できる会社であれば、工程間の認識差を抑えられます。

▶ 詳細はこちら:HTML5開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

ポイント

会社を比べるときは、実績に加えて、設計やテストの進め方を説明できるかを見ます。依頼先の種類で体制や費用感が違うため、案件の規模から候補を絞ります。

HTML5開発の費用相場と見積もりのポイント

HTML5開発の小規模、中規模、大規模それぞれの費用目安を並べた図。
規模が上がるにつれて、費用の幅も大きくなります。

HTML5開発の費用は、規模、技術要件、開発体制によって変わります。相場は50万円から3,000万円以上まで幅があるため、予算の前提を早めに整理しましょう。

規模別の費用目安

費用を規模別に比べると、必要な機能と予算の関係が見えます。

  • 小規模:5〜15ページ程度のサイト
  • 中規模:業務システム・EC・予約システム
  • 大規模:SaaSや基幹業務Webアプリ

小規模の目安は50万〜200万円で、セマンティックHTMLとCSS3によるレスポンシブ対応に、フォームやGoogleマップを加える構成が一般的です。

中規模は200万〜800万円が相場です。また、Canvas API、Web Storage、Geolocation APIなどを使う案件もあります。

大規模は800万〜3,000万円以上が目安です。費用に影響するのは、ReactやVue.jsによるSPA・PWA、WebSocketのリアルタイム通信などです。

費用の内訳とコスト削減の方法

見積もりの内訳を確かめるとともに、コストを削る案が品質に与える影響も検討します。

  • 人件費とエンジニア単価
  • デザイン費・テスト費の割合
  • MVPによる初期機能の絞り込み
  • 既存ライブラリ・UI部品の活用

費用の70〜80%は人件費で、フロントエンドエンジニアの月額単価は40万〜120万円です。また、デザインは全体の15〜25%、テスト・品質保証は15〜20%を占めるのが一般的です。見積もりは最低3社から取り、総額に加えて、費目の粒度や前提条件も比べます。

MVPで核心となる機能から実装すると、初期費用を40〜60%削減できる場合があります。さらに、既存のオープンソースやUI部品を使うと、開発工数を30〜50%減らせる可能性があります。

▶ 詳細はこちら:HTML5開発の見積相場や費用/コスト/値段について

ポイント

費用は規模で大きく変わるため、まず規模と必要な機能を決めてから予算を立てます。見積もりを比べるときは、総額だけでなく、費目の内訳と前提条件まで照らし合わせます。

HTML5開発の発注・外注・委託方法

請負契約と準委任契約を、成果物や要件の明確さと要件変更の多さで比較する図。
成果物の明確さと変更の見込みが、契約形態を選ぶ軸になります。

発注前の準備が成功の8割を左右するともいわれます。まずは自社の技術リソースと案件の特性を整理します。そのうえで、内製と外注のどちらが適切かを判断し、発注方法と契約形態を選ぶことになります。

発注の流れとRFP作成

発注条件を整理してから見積もりを依頼すると、提案を並べて比べられます。

  • 要件整理とRFP作成
  • 見積もり取得と提案比較
  • 契約条件の確認とキックオフ

発注は、上の3段階を順に進めます。RFPには、目的、対象ページ・画面数、対応環境を記載します。さらに、デザインカンプや希望納期、予算もRFPに含めておきます。

HTML5案件では、ブレークポイントやPWA対応についても明確にしておきます。また、アクセシビリティでは、WCAG 2.1のA・AA・AAAのどれを目指すかを示し、構造化データやCore Web Vitalsの目標も併せて伝えます。

条件を具体的に書くほど見積もりの精度が上がり、追加費用や認識の違いを抑えられます。

契約形態と注意点

要件の変わりやすさと成果物の明確さで、契約形態を選び分けます。

  • 請負契約:成果物の納品を約束
  • 準委任契約:エンジニアの稼働に対して支払い
  • 知的財産権・責任範囲・追加開発の確認
  • 保守費用を含む総コストの比較

請負契約は、成果物と要件が明確で変更の少ない案件に向いています。一方で、要件が変わりやすいアジャイル開発には、準委任契約が適しています。

契約では、成果物と知的財産権のほか、契約不適合責任の範囲と期間、追加開発の扱いを確かめます。なお、保守は月額10万〜30万円のライト保守から、月額30万〜80万円のフル保守まであります。

そのため、運用費も含めた総コストで比べると、長期的な費用対効果が見えてきます。

▶ 詳細はこちら:HTML5開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

内製と外注のどちらが適切かを先に判断し、外注するなら要件を整理したRFPを用意します。要件が変わりやすい案件は準委任契約、成果物が明確な案件は請負契約を検討します。

まとめ

HTML5は、業務システム、PWA、ECサイトなどで使われるWebアプリ開発の標準的な選択肢です。ブラウザ対応率は98%以上とされるため、幅広い環境での利用が見込めます。

まず、要件定義で対象ブラウザと機能・非機能要件を決め、設計で画面と構成を整理します。次に、テストではクロスブラウザと性能を確かめます。また、パートナーは、HTML5/CSS3/JavaScriptの実績で比べます。

見積もりは、企業規模の異なる3社以上から取り、費用と提案の前提を確かめます。費用の目安は、小規模が50万〜200万円、中規模が200万〜800万円、大規模が800万〜3,000万円以上です。

外注するときは、RFPと契約形態を整え、保守や運用まで見据えて協業先を選ぶことが大切です。はじめに、目的と規模を整理してから、複数社に見積もりを依頼します。

工程や会社選びなど、テーマごとの解説は関連記事にまとめています。

各テーマを詳しく知りたい方は、次の記事も参考にしてください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。