ラボ型契約でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

ラボ型契約では、専属チームの技術力と継続性を確かめ、自社の開発フェーズに合うかどうかで開発会社を比べることが大切です。

契約モデル・拠点・規模の3軸で選んだ6社を取り上げ、強みや得意領域、選定の決め手を並べます。情報収集の段階の方から、複数社の比較に入っている意思決定者まで、ラボ型契約に関わるすべての方が活用できる内容です。

  • 契約期間とチーム編成が、自社の開発計画に合っているか
  • 仕様変更への対応力と、成果を測るKPIの事前のすり合わせ
  • 契約終了後の引き継ぎや内製化まで含めた総コストの比較

ラボ型契約のパートナー選びの重要性

ラボ型契約のパートナー選定で確認する契約モデル、アサイン、Exit戦略、生成AI対応の4項目を示す図。
単価以外の確認軸を並べて把握できます。

ラボ型契約は人月単価でチームを長期的に抱える形態です。そのため、ベンダー選定の良し悪しが事業成果に与える影響は、請負契約以上に大きくなります。

発注側は、優秀なエンジニアをアサインできるか、仕様変更に柔軟に応じられるか、契約終了時に内製化や別ベンダーへ引き継げるかを、長期の視点で見極める必要があります。

適切なパートナー選定が成否を分ける理由

ラボ型契約は準委任契約のもとで人月単価のチームを長期間確保するため、毎月のコストが固定費として積み上がっていきます。東京基準で1名あたり月100万円から150万円、国内ニアショアで70万円から130万円、ベトナムオフショアでも40万円前後が相場です。5名規模なら、月数百万円が継続的に流れ出す構造になります。

そのため、アサインの質が低い、コミュニケーションコストが想定以上にかかる、技術的負債が積み重なるといった事態が起きると、事業への打撃は請負契約以上に深刻になります。一方で、適切なベンダーを選べた場合のリターンも大きいといえます。

富士フイルムヘルスケアとFPTの事例では、当初小規模に始まったラボが15年で170名規模に拡大し、業務知識を抱えたチームとして競争力の源泉になっています。たとえばフォーサイトシステムのように、離職率を業界平均14%より低い4から5%に抑えるベンダーなら、長期にわたり安定した品質を保てます。短期の単価だけでなく、定着率や成長余地まで含めた選定が事業成果を左右します。

発注前に確認すべきポイント

発注前にまず確認したいのは契約モデルの柔軟性です。ラボ型のほかに、ソリューション型や請負型とも組み合わせて運用できるベンダーなら、要件が確定した段階で請負に切り替えるなど、コスト最適化の打ち手が広がります。

次に、エンジニアのアサインプロセスを必ず質問しておく必要があります。営業段階で出てきたエースが契約後に別の案件へ回される「すり替え」は、業界全体の課題として指摘されています。そのため、面談の実施や経歴開示の有無、低パフォーマンス時の交代条項の明文化が重要です。

さらに、Exit戦略を最初から共有できるかも見極めのポイントです。引き渡し時のドキュメントやソースコードの状態、B-O-T(Build-Operate-Transfer)方式による内製化への移行、引継ぎ期間の追加費用を、契約書レベルで合意しておくと、後々のトラブルを大幅に減らせます。また、GitHub CopilotやAIコード支援ツールを業務に組み込めるかどうかも比較軸です。

ポイント

ラボ型は人月単価でチームを長期的に抱えるため、ベンダーの質が事業成果を大きく左右します。迷ったときは、定着率と契約終了時の引き継ぎ条件を先に確かめてください。

株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。

riplaは、営業・顧客・生産・販売管理など幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。

特徴と強み

riplaの最大の特徴は、業務要件の整理から実装、運用後の改善までを一つの体制でカバーできる点です。さらに、1名・1ヶ月という最小単位からチームを組める柔軟さも、新規事業や検証フェーズの企業に支持されています。

riplaは、ラボ型契約に必要な「発注側のマネジメント力」を補完する立ち位置で関与します。そのため、社内にPOやPMが十分に整っていない企業でも、シェアードPMを0.3人月単位で配置しながらスモールスタートできます。契約モデルの柔軟性も、riplaの強みの一つです。

たとえば、ラボ型で要件を探索し、仕様が固まった段階で請負へ切り替えたり、アイドルタイムをQAや保守タスクに割り当ててコスト効率を高めたりと、フェーズに応じた体制を提案します。さらに、生成AIを活用したコード支援や、要件定義段階でのプロンプト設計支援にも対応しており、AIネイティブな開発スタイルを取り入れたい企業との親和性が高い体制です。

得意領域・実績

riplaが特に強みを発揮するのは、営業・顧客管理・販売管理・生産管理といった事業の根幹を支える基幹システム領域と、新規事業フェーズのWebサービス・SaaS開発です。事業会社としてDXを内側から推進してきた経験があるため、業務プロセスの理解とエンジニアリングを同じ目線で議論できます。この点は、他のSI企業との大きな差別化要素となっています。

準委任契約のKPI設計(ベロシティ・バグ発生率・リードタイム)も標準的に運用しており、定量評価による継続改善が可能です。また、契約モデルも柔軟に切り替えられ、生成AI活用にも対応しています。選定の決め手は、コンサルから開発・運用までを一つの体制で任せられる点と、シェアードPMで発注側のマネジメントを補えることです。

riplaは、要件が曖昧な新規事業から既存基幹の継続改善まで、フェーズを問わずラボ型を導入したい企業にとって、最初に検討すべき選択肢の一社です。

ポイント

発注側のPM体制が弱いなら、シェアードPMで小さく始められるかを見てください。要件が固まるまでは、契約モデルを切り替えられるかも判断材料になります。

クオリサイトテクノロジーズ|地方拠点で高品質を実現する沖縄ラボ

クオリサイトテクノロジーズは、沖縄を拠点とする国内ニアショア企業で、地方単独でCMMI Level 4を取得している点が特徴です。

首都圏の金融システムを直接受注できる品質保証体制を地方ベンダーとして築いていることも、他社と比べた際の強みです。準委任契約のラボ型でも、プロセス成熟度の高さを活かした安定した運用が期待できます。

特徴と強み

沖縄拠点という立地から、首都圏ベンダー比で人月単価を15から30%低減できる構造になっています。同時に、CMMI Level 4というプロセス成熟度認証を地方単独で取得しているため、品質ばらつきの抑制やプロジェクト統制力の面でも信頼性が高い水準にあります。

国内拠点ならではの、日本語コミュニケーション、時差なし、即時往訪可能といったニアショア特有のメリットもあり、コストと品質のバランスを取りたい企業に適しています。さらに、ニアショアIT協会の正会員でもあり、業界ネットワークを活かして他拠点との連携・人材融通にも対応できる体制です。

金融システムのような高い品質要件が求められる案件を首都圏から直接受注している実績は、ラボ型契約においてもセキュリティ・統制面で安心材料となります。

得意領域・実績

得意領域は、金融・社会インフラ系の業務システムと、品質保証要件の高いエンタープライズ向け開発です。首都圏の大手金融機関と直接契約を結ぶ規模感を持ちながら、ニアショアならではのコスト優位を維持している点が際立っています。

契約モデルは、ラボ型・準委任に加え、CMMI準拠の請負プロセスも選べるため、要件確定度に応じた使い分けがしやすい設計です。一方で、エンジニア単体の単価は他のニアショアベンダーより若干高めとなる傾向があり、品質要件と単価のバランスを慎重に検討する必要があります。

選定の決め手は、地方拠点でも首都圏品質を担保したい企業、長期にわたって金融・基幹系の保守開発を委ねたい企業にとっての安心感です。

フォーサイトシステム|高定着率で長期チームを支える国内ベンダー

フォーサイトシステムは、国内ラボ型開発における高定着率と長期チーム運営に強みを持つベンダーです。業界平均14%とされるIT人材の離職率に対し、同社は4から5%という低水準を維持しています。

そのため、ラボ型の本質である「人と知見の継続性」を担保できる点が、大きな差別化ポイントです。長期視点で安定したチームを抱えたい企業に向いています。

特徴と強み

ラボ型契約で最も恐ろしいのは、立ち上げに3ヶ月かけたチームが、半年後にはエース2名の退職とノウハウ流出で再立ち上げとなり、実質的に仕切り直しになるパターンです。フォーサイトシステムは、業界水準を大きく下回る離職率を維持することで、このリスクを構造的に抑え込んでいます。

定着率の高さは、エンジニアの育成・キャリア設計に投資している企業文化の表れでもあります。ラボチーム内でジュニアからシニア、テックリードへとステップアップできる環境があるため、長く関与するエンジニアほど発注企業の業務理解が深まり、属人化リスクをチーム全体で吸収する力が育っていきます。

フォーサイトシステムは、ラボ立ち上げの初期投資を中長期で確実に回収したい企業にとって、極めて重要な選定基準を満たすベンダーです。

得意領域・実績

得意領域は、業務系Webアプリケーション、長期運用保守、継続的な機能拡張案件です。3年・5年と関係が続くほど真価を発揮する体制で、ミニストップの基幹システム入替プロジェクトのように、テスト・改修工程にラボ型を適用して本番移行を成功させた業種横断の長期事例とも親和性があります。

契約モデルは準委任のラボ型を中心とし、要件確定度に応じた請負との組み合わせにも対応します。ただし、短期スポット利用には不向きで、5年10年単位でビジネスパートナーになり得るベンダーを探す場合の有力候補となります。

選定の決め手は、人の入れ替わりによるノウハウ流出を構造的に避けたい企業、初期立ち上げのコストを長期回収する前提でラボを設計したい企業に対する適合性です。

ポイント

立ち上げたチームが途中で崩れるリスクを避けたいなら、離職率の低さとチームの継続性を見てください。長く関わる前提なら、この点が判断の軸になります。

FLINTERS|3つの契約モデルを使い分ける戦略パートナー

戦略策定段階のコンサル型、要件探索フェーズのラボ型、要件確定後のソリューション型を順に示す図。
要件の確定度に合わせた切り替えを表しています。

FLINTERSは、ラボ型・ソリューション型・コンサル型という3つの契約モデルを提供し、フェーズや課題に応じて使い分けられる戦略型ベンダーです。

要件確定度や事業フェーズに応じて最適な契約形態を提案できる点が、ラボ型だけを売るベンダーとの違いです。広告・マーケティング領域のシステム開発で多くの実績を持ちます。

特徴と強み

ラボ型契約のデメリットとして、「発注量が少ない時期は固定費が割高になる」「仕様が確定したらラボ型より請負のほうが効率的になる」といった点がしばしば指摘されます。FLINTERSは、これらの局面で契約モデル自体を切り替える提案ができるため、発注企業が抱えがちな「ラボに縛られて柔軟性を失う」リスクを構造的に下げられます。

たとえば、要件探索フェーズはラボ型、確定後はソリューション型(請負相当)、戦略策定段階はコンサル型と、フェーズに応じて使い分けられます。また、シェアードPMの考え方とも相性が良く、複数モデルを跨いで安定したガバナンスを敷ける設計です。

もう一つの強みは、上流のコンサルティング機能を社内に持っている点です。ラボ型を活用しながらも、戦略で方向性に迷ったときは同じチームでブレストや計画修正ができるため、発注側のPO・PM工数を抑制できます。

得意領域・実績

FLINTERSは広告テクノロジー領域・マーケティングシステム・データ基盤領域での実績が豊富で、KPI設計と運用改善を一体で進めるプロジェクトに強みを持ちます。また、準委任契約のKPI評価(ベロシティ・バグ率・リードタイム)を導入し、低パフォーマンス時のエンジニア交代プロセスも明確に設計しており、ラボ型契約のリスク管理に直結します。

選定の決め手は、ラボ型単体ではなく、契約モデルを柔軟に組み合わせたい企業や、上流コンサルとセットでパートナーを探している企業との適合性です。事業フェーズが進んでも同じベンダーで伴走させたい場合は、優先して検討したい選択肢です。

SHIFT ASIA|品質保証に強いベトナム拠点のオフショアラボ

SHIFT ASIAは、ベトナムを拠点としつつ、日本品質を担保する仕組みを徹底しているオフショア型ラボの代表格です。ベトナムの豊富なIT人材プール(2023年比でAI関連人材が340%増、IT人材総数50万人超)を活用しながらも、品質保証プロセスを最優先に設計しています。

コスト優位と品質担保を同時に求める企業に適しています。

特徴と強み

ベトナムオフショアの単価相場は、国内ニアショアの30から50%水準(月39万円から70万円程度)で、コスト優位が圧倒的です。また、プログラマーは30万円から40万円、シニアエンジニアでも40万円から60万円のレンジで、コスト効率を引き出せます。

SHIFT ASIAは、その単価優位を維持しつつ、QA(品質保証)プロセスをコア機能に位置付けることで、オフショアにありがちな「安いが品質が読めない」という不安を解消しています。もう一つの強みは、BrSE(ブリッジSE)の質と日本側プロジェクトマネジメントへの連携密度です。

オフショアラボのTCO(総保有コスト)を膨らませる主因は、ブリッジSE稼働費、コミュニケーションロスによる手戻り、通訳・渡航費といった隠れコストです。これらを抑え込む仕組みが組み込まれている点が、選定の決め手になります。

得意領域・実績

SHIFT ASIAは、Webアプリケーション・モバイルアプリ・大規模システムテストといった領域で実績を蓄積しています。QA機能を起点とした品質保証文化を背景に、テスト工程の自動化や継続的な品質メトリクス計測にも対応します。

ハイブリッドモデルの「上流は国内ニアショア、下流コーディングはベトナムオフショア」というベストショア体制を組む際には、下流側パートナーとしても適合度の高い選択肢です。選定の決め手は、汎用的なWeb・モバイル開発を大規模に進めたい企業、コスト圧縮を最優先しつつも品質をオフショアにありがちな水準で諦めたくない企業にとっての適合性です。

円安局面では、汎用開発のコスト優位がニアショアに逆転する可能性もあるため、発注側は為替動向を踏まえた使い分けが必要になります。

ポイント

コストと品質を両立したいなら、単価の安さだけでなくQAの仕組みとブリッジSEの費用を含めて見てください。隠れコストを入れた総額で比べると判断しやすくなります。

カオピーズ|先端技術領域に強いベトナムオフショア

カオピーズはベトナムを主拠点とするオフショア開発企業で、AI・ブロックチェーン・データ分析といった先端技術領域に強みを持っています。

汎用開発はニアショアが安価という円安局面でも、先端領域ではベトナムオフショアのコスト優位と人材の厚みが依然として有効です。カオピーズは、その代表的な選択肢として位置づけられます。

特徴と強み

ベトナムのAI関連人材は2023年比で340%増の8.5万人規模に達しており、機械学習・LLM・データ分析の領域では、国内よりも厚いタレントプールから採用できる構造です。カオピーズはこの人材厚みを活かし、先端技術案件でもラボ型・準委任で長期チームを組成できます。生成AI時代には、AIエンジニアリングの内製化を外から支える役割を果たします。

もう一つの強みは、新規事業フェーズの企業が抱える「要件未確定・スピード重視・先端技術活用」という3条件を同時に満たすラボ型を提供できる点です。1名・1ヶ月の超スモールスタートから、AIプロトタイプ開発を回しつつ、検証結果に応じてスケールアップできるため、不確実性の高い領域での試行錯誤を支えます。

得意領域・実績

得意領域は、AI・機械学習システム、ブロックチェーン関連サービス、データ分析基盤、IoT連携などの先端技術系プロジェクトです。また、準委任契約でのラボ型を中心に、PoCから本番運用までを連続したチームで支援する体制を整えています。

大手飲料子会社のチャットボット新機能でラボ型運用を継続し、売上120%増を実現した事例のように、先端技術と事業成果を結びつけるプロジェクトでの実績が際立っています。

選定の決め手は、先端技術領域で国内では確保しづらいスキルセットを長期的に押さえたい企業、円安局面でも先端領域のコスト優位を活かしたい企業にとっての適合性です。一方で、リモート前提の海外拠点となるため、コード持出し対策・NDAの実効性・セキュリティ事故時の責任分界点について、契約段階で詳細に詰めておく必要があります。

INDIGITAL|インドネシア拠点のコスト競争力に優れたオフショア

INDIGITALはインドネシアを拠点とするオフショア開発企業で、ベトナムよりさらに低い単価レンジ(月20万円から30万円水準)を実現できる点が最大の特徴です。

コスト圧縮を最優先したい企業や、大量の汎用開発を抱える企業にとって、ラボ型契約の選択肢として近年注目を集めています。

特徴と強み

東京基準で月100万円から150万円のエンジニア単価が、インドネシア拠点では月20万円から30万円まで下がる構造です。国内ニアショアと比べて2分の1から3分の1、ベトナムオフショアと比べても2割程度安いため、ラボ型を5名10名と大規模に組むほど固定費削減のインパクトが大きくなります。

汎用Web開発・モバイル開発を量産フェーズに乗せたい企業に向く構成です。もう一つの強みは、英語コミュニケーションがベースとなる文化的特性です。日本人POが直接英語で指示できる場合、ブリッジSE依存度を下げてTCOを下げられる余地があります。

一方で、日本語でのきめ細やかな仕様伝達を求める案件では、別途BrSEを介する必要があります。その人件費を見落とすと隠れコストで割高になるリスクがあるため、設計段階でのTCO見積もり精度が問われます。

得意領域・実績

得意領域は、汎用Webサービス、ECサイト、モバイルアプリ、大規模な定常運用案件です。AI・先端領域の人材厚みではベトナムに譲るものの、汎用開発の量産・継続運用では圧倒的なコスト優位を背景に、5名10名規模のラボを長期で維持できる体制を整えています。

INDIGITALの契約形態は、準委任のラボ型を中心とし、要件確定後は固定スコープでの請負契約に切り替える運用も可能です。

選定の決め手は、ベトナムオフショアのさらに半額レンジを狙いたい企業、英語で直接やり取りできる体制を持つ企業、汎用開発を大規模・長期に外部化したい企業にとっての適合性です。一方で、上流要件定義や複雑な業務知識を要する案件では、ニアショアやriplaのような上流支援に強いベンダーと組み合わせる「ハイブリッド」運用が現実的な選択肢となります。

ラボ型契約パートナー選びのポイント

ラボ型契約パートナーを選ぶ際のExit戦略と定量KPI、生成AI対応力とTCO、シェアードPMと運用プロセスの確認項目を示す図。
評価、総コスト、運用体制を並べて比較できます。

6社を並べたうえで自社に最適なベンダーを絞り込むには、単価の比較だけでなく、複数の評価軸で総合的に見比べる必要があります。

ここでは、5つの観点から選定時のチェックポイントを見ていきます。具体的には、ベンダーロックイン対策とKPI評価の可否、生成AI対応力とTCO見積もり手法、シェアードPMの可否です。これらは深く語られにくい領域ですが、ラボ型契約の成否を分ける実務的な判断材料です。

ベンダーロックイン対策とKPI評価の可否

ラボ型契約は長期化するほどノウハウが蓄積される反面、契約終了時にドキュメントやソースコードが整理されていないと、内製化や別ベンダーへの移行で多大な追加コストが発生します。そのため、発注前の段階で、Exit戦略を契約書レベルで合意しておくことが重要です。

具体的には、ドキュメントの引継ぎルールと、ソースコード・テストコード・CI/CD設定の所有権を決めておきます。さらに、B-O-T(Build-Operate-Transfer)方式の段階移行プロセスと、引継ぎ期間の費用負担も明文化します。もう一つの落とし穴は、準委任契約での評価指標の曖昧さです。

請負と違い成果物の検収がないため、「何を持って良し悪しを判断するか」が曖昧なまま月数百万円が流れていく事態になりかねません。そこで、ベロシティ(スプリント消化ポイント)、バグ発生率、リードタイム、デプロイ頻度といった定量KPIをベンダーと合意します。低パフォーマンス時のエンジニア交代条項を契約に組み込めるかどうかが、選定の分岐点となります。

生成AI対応力とTCO見積もり手法

GitHub CopilotやCursor、Claude Codeのような生成AIコード支援ツールの普及により、単純コーディングは大幅に自動化が進んでいます。ラボ型ベンダーがこれらのツールを業務に組み込み、エンジニア1人あたりの生産性を引き上げているかは、人月単価の妥当性を判断する重要な観点です。

プロンプトエンジニアリングやAI統合アーキテクチャを扱えるチームかどうかも、選定時に確認したい点です。また、TCO(総保有コスト)の見積もりも、ラボ型契約では欠かせません。表面上の人月単価だけを比べるとオフショアが安く見えますが、実際にはブリッジSE稼働費、コミュニケーションロスによる手戻り、通訳・渡航費、PO/PM側の追加工数といった隠れコストが積み重なります。

そのため、リサーチ段階では、エンジニア単価×人数だけでなく隠れコストも含めた「真の月額コスト」を各社に見積もってもらうのが現実的です。発注規模が小さいフェーズでは、シェアードPMを0.3人月単位で活用し、固定費を抑えながらマネジメント品質を維持する設計も検討に値します。

シェアードPMの可否と発注側マネジメント体制

ラボ型契約のデメリットとして、「発注側のマネジメント力が要求される」点が挙げられます。そのため、社内にPOやPMが充実していない企業の場合は、ベンダー側がシェアードPMを0.3人月や0.5人月で配置できるかどうかが、立ち上げの成否を左右します。

複数案件を兼務するPMを安価に確保することで、ラボ全体のガバナンスを保ちつつ、PM単独配置時の固定費を圧縮できます。あわせて、発注側のマネジメントの進め方をベンダーと共通言語にできるかどうかも問われます。

運用プロセスがどこまで標準化されているかは、ラボ型契約の安定性に直結します。たとえば、標準化の対象には、Jira・Backlogのツール運用ルールやデイリースクラムの実装、スプリントレビューでのKPIレビュー、月次の振り返り(レトロスペクティブ)が含まれます。さらに、アイドルタイムの活用方針(QA・保守・ドキュメント整備への振り分け)まで合意できるベンダーが理想です。

ポイント

単価の比較だけでは選びきれないため、5つの観点を合わせて見てください。特に、ロックイン対策とKPI評価は欠かせません。

まとめ

ラボ型契約は、優秀なエンジニアチームを長期で確保し、仕様変更にも柔軟に対応できる強力な開発スキームです。その一方で、ベンダー選定を誤ると固定費だけが膨らみ、Exit戦略の不備からロックインに陥るリスクもあります。

今回紹介した各社には、それぞれ明確な強みと得意領域があります。riplaはコンサルから開発まで一気通貫で支援でき、クオリサイトテクノロジーズは沖縄ニアショアでCMMI Level 4を取得しています。

フォーサイトシステムは高定着率で長期チームを運営し、FLINTERSは3つの契約モデルを使い分けられます。SHIFT ASIAはベトナム拠点でQAを重視し、カオピーズはベトナムを拠点に先端技術領域に強みを持ちます。INDIGITALはインドネシア拠点で圧倒的なコスト優位を持ちます。

選定時には、単純な人月単価の比較だけでなく、5つの観点から総合的に判断することが重要です。具体的には、ベンダーロックイン対策とKPI評価の可否、生成AI対応力とTCO見積もり手法、シェアードPMの可否です。

要件確定度・事業フェーズ・社内マネジメント体制を踏まえて契約モデルを柔軟に組み合わせれば、ラボ型契約は事業成果に直結する強い武器になります。まずは1名・1ヶ月のスモールスタートから、自社の業務に最適なパートナーを見極めていくことをおすすめします。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。