製造業向けの部品/資材通販/EC開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

製造業向けの部品・資材通販ECは、大きく3つの段階を踏んで進めます。部品や資材の調達・販売をオンライン化するこの取り組みは、業務効率化と新たな販売チャネルの確立に欠かせません。

  • 品番、価格、在庫、受発注、連携要件を整理する
  • 実績、提案、費用、保守体制を比較して選ぶ
  • 公開後も受注データと業務改善を継続して管理する

本テーマの全体像は、以下の記事でも確認できます。

▼全体ガイドの記事をご覧ください。
・製造業向けの部品/資材通販/EC開発の完全ガイドをご覧ください。

製造業向けの部品/資材通販/EC開発の全体像

製造業向けECシステムと、個別価格・掛け払い・購買承認・基幹システム連携を示す図
商習慣や既存業務との接点が、機能設計の中心になります。

製造業向け部品/資材通販ECの定義と特徴

製造業向けの部品・資材通販ECとは、工場・製造業者・商社などが必要な部品や資材をオンライン上で発注・購入できる、BtoB(企業間取引)型のECシステムです。従来は電話・FAX・担当者との対面が中心だった受発注業務をウェブ上に移すことで、24時間365日の受付や在庫確認の即時化、請求処理の自動化が実現でき、発注ミスの削減にもつながります。

製造業向けECには、次の2つの形態があります。

  • オープン型:カタログ販売のオンライン版として、不特定多数の法人ユーザーが会員登録して部品・資材を購入できる形式で、新規顧客の開拓にも使えます。
  • クローズド型:既存の取引先のみがログインして発注できる受発注専用システムです。

クローズド型では、取引先ごとの価格・与信管理・支払条件を設定でき、製造業特有の商習慣に対応しやすいのが特徴です。近年は両方の機能を組み合わせた「ハイブリッド型」も増えています。製造業のECは一般的なBtoCのECサイトとは大きく異なり、個別価格や掛け払い、購買承認、基幹システム(ERP・生産管理システム)との連携など、製造業特有の商習慣や業務フローに対応する機能が不可欠です。

要件を正確に把握することが成功の鍵です。

製造業でEC化が求められる背景と必要な機能

経済産業省の「令和6年度電子商取引に関する市場調査」によると、日本のBtoB-EC市場規模は514兆円を超え、製造業(産業関連機器・精密機器)分野でも23兆8,228億円(前年比7.5%増)に達しています。受発注のデジタル化が進むなかで、部品・資材通販ECの構築は競争力維持において急務です。製造業でEC化が求められる背景には、複数の構造的な変化があります。

  • 労働力不足:受発注担当者の高齢化や退職で、電話やFAXによる手作業は維持が困難です。ECシステムによる自動化・省力化が経営上の優先課題です。
  • 購買担当者の世代交代:ウェブ経由の発注を好む担当者が増え、使いやすいオンライン発注環境の整備が競争上の優位性につながります。
  • 処理コストの削減:受注から請求までをシステム化すると処理コストを削減でき、調査でもBtoB-ECの導入で工数を40〜60%減らせた事例が報告されています。

必要な主な機能は、取引先別価格設定、在庫・納期照会、見積もり機能などです。ほかにも、購買承認ワークフローや基幹システム連携、EDI連携などが、標準的に求められます。

ポイント

形態を選ぶときは、新規顧客を広く開拓したいか、既存の取引先との受発注を効率化したいかを先に決めます。個別価格や掛け払いなど商習慣への対応が要るかも、あわせて確かめてください。

製造業向けの部品/資材通販/EC開発の進め方・工程・手順

製造業向けEC開発を要件定義・業務分析、設計・開発・テスト、リリース・移行・運用の順に示す工程図
取引先を巻き込む確認は、要件定義から稼働後まで続きます。

Step1:要件定義・業務分析フェーズ

製造業向けECシステムの開発では、要件定義フェーズが最も重要なステップです。ここでの詰めが甘いと、「思っていた機能と違う」「取引先の商習慣に対応できない」といったトラブルが起き、手戻りのコストが膨大になります。まずは、現状の受発注業務の流れを把握します。

電話・FAX・メールなど複数の経路で行う受発注業務を一つずつ洗い出し、業務量・担当者・所要時間・課題を明確にします。次に、主要な取引先へのヒアリングで、EC化によってどのような利便性を提供できるか、求められる機能や使い勝手を確かめます。

取引先ごとの価格契約や与信条件を詳しく確認し、発注ロットや支払い条件も把握します。そのうえで、既存の基幹システム(ERP・生産管理など)との連携要件を洗い出し、在庫情報や受注データをリアルタイムで反映するためのAPI連携やデータ連携の仕様を、事前に明確にしておく必要があります。要件定義の期間は一般的に1〜2ヶ月が目安です。

Step2:設計・開発・テストフェーズ

要件定義のあとは、「基本設計(外部設計)」と「詳細設計(内部設計)」の2段階で設計を進めます。基本設計では画面構成やデータフロー、外部システムとの接続仕様を定め、詳細設計では機能仕様やデータベース、API仕様を具体化します。設計から開発・テストまでの期間は規模によって異なり、一般的に3〜8ヶ月程度が目安です。

製造業向けECでは、取引先別の価格テーブルや承認ワークフローの設計が特に複雑になるため、設計には十分な時間を確保することが大切です。開発では設計書をもとにシステムを実装し、手法にはウォーターフォール型(工程を順番に進める方式)とアジャイル型(機能ごとに短サイクルで開発・フィードバックを繰り返す方式)があります。

要件が比較的明確な場合はウォーターフォール型、追加要件が多く発生しやすい場合はアジャイル型が採用されるケースが多いです。テストは単体・結合・システムの順に進め、最後に実際の取引先を巻き込んだ受け入れテスト(UAT)を行います。このUATは、本番稼働後のトラブルを防ぐために欠かせません。

Step3:リリース・移行・運用フェーズ

テストが完了したら、本番環境への移行(リリース)を行います。製造業向けECでは、一度に全取引先を移行せず、一部の取引先でパイロット運用をして問題がないことを確かめてから、全体に展開する段階的な移行が推奨されます。取引先への操作説明会や操作マニュアルの整備も、スムーズな移行に欠かせない準備です。

本番稼働後は、保守・監視体制を整え、ユーザーからのフィードバックをもとに継続的な改善を進めることが必要です。取引先が実際に使い始めると、要件定義時には気づかなかった改善要望や追加機能のニーズが出てくることがほとんどです。そのため、開発会社との保守契約(月額保守費用の目安は開発費の5〜15%程度)を締結しておくことを、強くお勧めします。

また、EC化による効果(受注件数・処理時間・ミス率の変化など)を定期的に測り、ROI(投資対効果)を見える形にすることも、社内でのEC活用を進めるうえで欠かせません。

ポイント

段階ごとに取引先を巻き込むかどうかで、手戻りや稼働後のトラブルの量が変わります。要件定義の詰めを甘くせず、パイロット運用の結果を見てから全体展開する順番を守るのが目安です。

費用相場とコストの内訳

パッケージ導入・カスタマイズ、クラウドEC、フルスクラッチ開発の費用相場をカード別に示す図
初期費用と月額料金を分けて見ると、方式ごとの費用構造が分かります。

開発方式別の費用相場

製造業向けEC開発の費用は、開発方式によって大きく異なります。大きく分けると、「パッケージ導入・カスタマイズ」「クラウドEC(SaaS)」「フルスクラッチ開発」の3つがあります。

パッケージ導入・カスタマイズは、アラジンEC・ecbeing・EC-CUBEなどの既存パッケージを自社の要件に合わせる方式です。初期費用は300万〜1,000万円程度が目安で、カスタマイズの範囲によって変動します。短期間で構築でき開発工数も抑えられますが、パッケージの仕様に縛られるため、複雑な独自要件への対応は難しい場合があります。

クラウドEC(SaaS)は、初期費用が数十万〜100万円、月額料金が1万〜10万円程度が目安です。ただし、個別価格や基幹システム連携など製造業特有の要件には、対応に限界があります。フルスクラッチ開発は、業務や商習慣に100%対応できる反面、費用は高額になりやすく、500万〜3,000万円以上になることもあります。

費用の内訳と変動要因

EC開発の費用は、要件定義・設計と開発・実装を含め、複数の項目に分かれます。ほかに、インフラ、テスト、データ移行、導入支援・教育の費用もかかります。このうち最も変動しやすいのは開発・実装費用で、機能の複雑さや連携するシステムの数によって大きく左右されます。

費用を大きく押し上げるのは、基幹システム(ERP・生産管理・在庫管理)との連携開発、取引先ごとの複雑な価格体系、複数の決済手段(掛け払い・クレジット・銀行振込)への対応です。加えて、海外取引がある場合の多言語・多通貨対応や、取引先のセキュリティポリシーへの対応も、費用が膨らむ要因になります。

逆に費用を抑えるには、機能に優先順位をつけてフェーズ分けして開発することや、標準機能で対応できる部分のカスタマイズを最小限にとどめることが有効です。クラウドインフラを活用すると、サーバーの調達・管理コストを削減できます。

ポイント

費用は、開発方式と要件の多さで大きく変わります。標準機能で済む範囲を先に分けておくと、見積もりの比較がしやすくなります。

見積もりを取る際のポイント

RFP(提案依頼書)の準備と複数社への依頼

見積もりを取る際は、まずRFP(Request for Proposal:提案依頼書)を作成することを強くお勧めします。RFPは、開発会社に自社の要件・目的・条件などを明示した文書です。

RFPには、プロジェクトの目的と背景、現状の業務フローと課題、必要な機能要件などを盛り込みます。さらに、既存システムの概要や稼働希望時期、予算感(上限)も示し、選定の基準と判断スケジュールも書き添えます。

RFPがあれば、複数の開発会社から同じ条件で提案を受けられ、費用やスケジュール、実績を公平に比べられます。見積もりは、1社だけでは適正価格かどうかの判断がつかないため、2〜3社以上に依頼することを推奨します。複数社の提案を比べると、費用の相場感をつかみつつ、各社のアプローチの違いや強みも把握できます。

見積書の内容確認のポイント

見積書は、金額だけでなく内容の詳細まで確認することが大切です。まず確かめたいのは、含まれる範囲(スコープ)の明確さです。要件定義・設計・開発などの各工程が、どこまで含まれているかを見ます。

追加費用が発生する条件も事前に確認しておきたい点で、要件変更や追加機能の開発、テスト延長が生じた場合の費用の考え方を見ておきます。また、保守・運用費用も含めて比べることが欠かせません。初期開発費用が安くても保守費用が高いと、5年間の総所有コスト(TCO)で見たときに逆転することがあります。

支払い条件とマイルストーンも確認が必要です。一般的には契約時・設計完了時・開発完了時・納品時の4回に分けて支払う形が多いものの、開発会社によって異なります。特にフルスクラッチ開発では、ソースコードの著作権・利用権が自社に帰属することを、契約で確認しておきましょう。

開発パートナー選びで失敗しないための確認事項

開発パートナーは、価格の比較だけでなく、総合的に評価して選ぶことが大切です。なかでも最も重視したいのは製造業・BtoB ECの開発実績で、個別価格や与信管理、承認フローなどの商習慣を理解している会社ほど、プロジェクトの成功確率は高まります。

次に確認したいのは、要件定義・コンサルティング能力です。優れた開発会社は、言われた機能を作るだけでなく、業務課題を一緒に整理し、最適なシステム設計を提案してくれます。提案に業務改善の視点が含まれているかを、確かめましょう。

アフターサポートの体制も、本番稼働後の問題への対応スピードや、保守・改善開発の体制を含めて確認します。製造業のECシステムは稼働後も継続的な改善が必要なため、長期的なパートナーシップを組める開発会社を選ぶことが大切です。

ポイント

見積もりは金額だけでなく、保守費用や追加費用の条件まで同じ基準で比べるかどうかが、契約後のずれを減らす目安になります。

まとめ

製造業向けの部品・資材通販EC開発は、受発注業務の効率化や省人化、新規顧客の開拓で大きな効果をもたらします。

開発を成功させるには、要件定義で業務分析と取引先ヒアリングを十分に行い、自社の商習慣に合ったシステムを設計することが何より求められます。

開発費用は方式によって異なり、パッケージ活用で300万〜1,000万円、フルスクラッチ開発では500万〜3,000万円以上が相場です。

見積もりは、RFPを作成して複数社に依頼し、費用や実績、サポート体制などを総合的に比べて選びます。

開発会社を選ぶ際は、製造業・BtoB ECの開発実績と、業務課題を一緒に解決できるコンサルティング力を重視しましょう。

プロジェクトを成功に導くには、信頼できる開発パートナーと長期的に協働する関係を築くことが、最終的な成功の鍵となります。製造業向けEC開発に関するより詳しい情報は、以下の完全ガイドもご参照ください。

▼全体ガイドの記事をご覧ください。
・製造業向けの部品/資材通販/EC開発の完全ガイドをご覧ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。