アプリ開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

アプリ開発は、企画・要件定義から始まり、設計・実装・テスト・リリース・運用保守の6つのフェーズを順に進めて完成します。各工程の手抜きは後工程へのしわ寄せとなるため、要件定義の精度が成否を大きく左右します。手法の選び方から各フェーズの進め方、外注時の注意点までを、この順に扱います。

  • アプリ開発の全体像と主な開発手法
  • 企画・要件定義フェーズの進め方
  • 設計・開発フェーズの進め方
  • テスト・リリースフェーズの進め方
  • アプリ開発を外注する際のポイントと注意点

アプリ開発の全体像と主な開発手法

アプリ開発は大きく分けると、「企画・要件定義」「設計」「実装(開発)」「テスト」「リリース」「運用・保守」の6つのフェーズで構成されます。

それぞれの工程は密接に連動しているため、前工程の品質が後工程の出来栄えを大きく左右します。まずは、どの手法でプロジェクトを進めるかを決めることが、成功への第一歩です。

ウォーターフォール開発の概要

ウォーターフォール開発とは、要件定義→設計→実装→テスト→リリースという工程を上流から下流へと順番に進める手法です。各フェーズを完了させてから次に移るため、進捗管理やコスト管理がしやすく、スケジュールの見通しを立てやすいという強みがあります。

仕様が最初から明確に固まっているプロジェクト、予算と納期が厳格に決まっているプロジェクト、セキュリティや規制要件が厳しい業務システムなどに適しています。一方で、開発途中に仕様変更が生じると手戻りコストが大きくなりやすい点はデメリットです。要件を最初の段階で精緻に固めることができれば、品質の高い仕上がりを安定して届けられます。

アジャイル開発の概要

アジャイル開発とは、機能をいくつかの小さな単位(スプリント)に分けて、繰り返し開発・リリースを行う手法です。1スプリントは通常1〜2週間程度で、設計・実装・テストを短いサイクルで繰り返します。そうすることで、ユーザーのフィードバックをすばやく取り込みながら、プロダクトを改善していけます。

ユーザーニーズが変わりやすいBtoCアプリや、機能の優先順位を柔軟に変えたいスタートアップのプロダクトに特に向いています。ただし、仕様が流動的であるため、全体のコストや納期が見えにくくなることもあり、プロジェクトマネジメントに高いスキルが求められます。

最近では、上流工程(要件定義・基本設計)はウォーターフォールで固め、詳細設計以降はアジャイルで進めるハイブリッド型を採用するケースも増えています。

ポイント

開発手法は、仕様と予算・納期がどこまで固まっているかで決めます。仕様が固まっていればウォーターフォール、流動的であればアジャイルの考え方を取り入れるのが目安です。

企画・要件定義フェーズの進め方

アプリ開発の企画と要件定義で整理する目的、ユーザー、競合、要件定義書を示したチェックリスト
4項目を揃えると、必要な機能を決める土台になります。

アプリ開発で最も重要なフェーズが、企画と要件定義です。この段階で「何のためにアプリを作るのか」「誰に使ってもらうのか」「どんな機能が必要なのか」を明確にしないまま進めると、開発が進んだ後で方向性の修正を余儀なくされます。

その結果、多大なコストと時間が失われることになります。実際、業界では「要件定義の品質が開発全体の9割を決める」とも言われるほど、上流工程の精度がプロジェクトの成否を左右します。

企画フェーズで決めるべき項目

企画フェーズでは、まずアプリ開発の目的と課題を明確にします。例として「社内の業務効率を30%改善したい」「既存ユーザーのリテンション率を高めたい」「新規顧客獲得のチャネルを増やしたい」のように、ビジネス上の目標を数値で書き出しておきます。

次に、ターゲットユーザーのペルソナを具体化します。年齢・職業・利用シーンなどを詳しく描くと、必要な機能と不要な機能を判断する基準が生まれます。あわせて、競合アプリのリサーチも欠かせません。

同カテゴリのアプリがどのような機能を持ち、どこに課題があるかを把握することで、自社アプリの差別化ポイントが見つかります。最後に、企画の段階でコンセプトシート・ターゲット定義書・競合分析レポートなどを用意しておくと、その後の要件定義がスムーズに進みます。

要件定義書の作成と優先順位付け

要件定義では、「機能要件」と「非機能要件」の2つを整理します。機能要件とは、アプリが実現すべき具体的な機能の一覧(ログイン機能・検索機能・決済機能など)のことです。一方、非機能要件は、パフォーマンス・セキュリティ・可用性などの品質基準を指します。

特に重要なのは、すべての要件に優先順位をつけることです。MoSCoW法(Must have / Should have / Could have / Won’t have)などのフレームワークを活用し、初期リリースに必須の機能と、将来的に追加できる機能を分けておきます。

機能を詰め込みすぎると開発工数が膨れ上がり、費用オーバーや納期遅延の原因となります。また、要件定義書には曖昧な表現を使わないことが鉄則です。たとえば「使いやすい画面」を「3ステップ以内で目的の操作が完了できる画面」と書くように、測定可能な表現で記述すると、発注側と開発側の認識のズレを防げます。

ポイント

機能を追加するか迷ったら、初期リリースに必須かどうかで判断します。必須でなければ将来の追加に回し、MoSCoW法で優先順位を分けておきます。

設計・開発フェーズの進め方

要件定義が完了したら、設計フェーズに移ります。設計は「外部設計(基本設計)」と「内部設計(詳細設計)」に分けられます。

外部設計ではユーザーが目にする画面のレイアウト・遷移・操作フローを定義し、内部設計ではシステムのデータ構造・API設計・アーキテクチャなどを詳細に決めます。設計の品質が低いと、実装段階で矛盾や不整合が発生し、修正コストが積み重なっていきます。

UI/UXデザインとワイヤーフレームの作成

外部設計で最も重要なのは、ワイヤーフレームとUI/UXデザインです。ワイヤーフレームとは、各画面の要素配置を骨格として表した設計図のことで、デザインの前段階として、画面構成・情報の優先順位・ナビゲーションの設計を一目で分かる形にします。

ワイヤーフレームは、Figma・Adobe XD・Sketchなどのツールで作るのが一般的です。完成したら、実際のビジュアルデザインへと落とし込みます。さらに、カラーパレット・タイポグラフィ・アイコンデザインなどを統一したデザインシステムとして定めておくと、開発者がコーディングしやすい環境が整います。

また、プロトタイピングツールを使ってインタラクティブなデモを作り、ユーザーテストを実施します。実装前に使いやすさの問題を見つけて直せるため、この段階でUXの検証に時間をかけることが、後工程での大幅な手戻りを防ぐ最善策です。

実装フェーズと技術選定のポイント

設計が完了したら、いよいよ実装(コーディング)フェーズです。スマホアプリでは、iOSとAndroidの両方に対応するか、どちらか一方を先行開発するかを技術選定で決めます。

ネイティブ開発(iOS: Swift/Objective-C、Android: Kotlin/Java)は、各OSの機能を最大限に活用できますが、別々の開発が必要になり、コストが高くなります。一方、React NativeやFlutterといったクロスプラットフォーム開発では、ひとつのコードベースでiOS・Androidの両方に対応でき、開発コストを大幅に削減できます。

実際、中規模のBtoCアプリをネイティブで開発した場合は200〜500万円程度かかるところ、クロスプラットフォームで開発すると100〜300万円程度に抑えられるケースがあります。また、実装では、コードのバージョン管理にGitを使い、プルリクエストによるコードレビューを徹底します。そうすることで、品質の担保と知識の共有を実現できます。

ポイント

設計では、画面の流れ(外部設計)を先に固めてから内部設計に進みます。画面の流れが定まっていれば、データ構造やAPIの設計で生じる矛盾を減らせます。

テスト・リリースフェーズの進め方

テストフェーズの単体テスト、結合テスト、システムテスト、受け入れテストを並べた図
確認対象が個々の部品から利用者の操作へ広がります。

実装が完了したら、テストフェーズに入ります。テストはアプリ品質を担保するための重要な工程で、単体テストから受け入れテストまで複数のレベルで実施します。

テストが不十分なままリリースすると、ユーザーの手元でバグが発生してアプリの評価が下がり、ビジネス上の損失につながります。たとえば、Google Playの統計では、アプリのクラッシュ率が1%を超えるとストアの評価に悪影響が出ると言われており、品質管理の重要性は非常に高いです。

テストの種類と実施方法

単体テスト(ユニットテスト)は、個々の関数やモジュールが仕様どおりに動くかを確認するテストです。JUnit(Android)やXCTest(iOS)などのテストフレームワークで自動化すると、継続的にコードの品質を担保できます。

結合テストは、複数のモジュールを組み合わせ、APIとの連携やデータベースとのやり取りに問題がないかを検証するテストです。次に、システムテストでは、実機での動作確認・パフォーマンステスト・セキュリティテストを行います。また、Firebase Test LabやBrowserStackなどのクラウドテストサービスを使えば、多様な端末環境でのテストを効率化できます。

最後に、受け入れテスト(UAT: User Acceptance Test)では、発注者や実際のエンドユーザーに操作してもらい、要件どおりに機能しているかを最終確認します。特にスマホアプリは、機種・OSバージョン・画面サイズの組み合わせが無数にあるため、実機テストの範囲を事前に設計しておく必要があります。

ストア申請とリリース準備

テストが完了したら、App Store(iOS)またはGoogle Play(Android)へのストア申請を行います。App Storeへの申請には、Apple Developer Program(年額99ドル)への登録が必要で、審査には通常1〜7営業日程度かかります。

Google Playへの申請には、Google Play Developerアカウント(初回登録料25ドル)が必要で、審査期間は数時間〜数日程度です。審査でリジェクト(却下)されると再申請が必要になり、リリーススケジュールが大幅に遅れる可能性があります。リジェクトの主な原因は、プライバシーポリシーの未掲載や不適切なコンテンツです。

ほかにも、広告の表示ルール違反や不正なAPIの使用などが挙げられます。そこで、事前にAppleやGoogleのガイドラインを熟読し、対策を施してから申請することが欠かせません。また、リリース前にはASO(App Store Optimization)として、タイトルや説明文、スクリーンショット、キーワードを見直すと、オーガニックな流入を増やせます。

ポイント

テストの範囲は、機種・OS・画面サイズの組み合わせから決めます。リリース前の審査で止まらないよう、ストアのガイドラインを事前に読み込んでおくのが目安です。

リリース後の運用・保守フェーズ

アプリの運用・保守でモニタリング、ユーザーフィードバック、改善計画、リリースを循環させる図
リリース後の反応が次の改善計画につながります。

リリースはゴールではなく、運用へ向けたスタートラインです。そこから継続的に運用・保守を行うことで、アプリの価値を維持し、高めていけます。

一般的に、運用保守費用は初期開発費用の15〜20%程度が毎年のコストとして発生します。たとえば開発費300万円のアプリなら、年間45〜60万円程度の保守費用を見込んでおく必要があります。

モニタリングとバグ対応

リリース後は、アプリのパフォーマンスやエラーを継続的にモニタリングする体制を構築します。Firebase Crashlyticsなどのクラッシュ分析ツールを導入すると、エラーをリアルタイムで検知し、迅速に修正できます。さらに、Firebase AnalyticsやMixpanelといった解析ツールで行動データを集めて分析すると、どの機能が使われているか、どこで離脱が起きているかが分かります。

iOS・AndroidともにOSのメジャーアップデートが年に1〜2回行われ、新しいOSバージョンへの対応も保守業務として定期的に発生します。対応が遅れると既存ユーザーがアプリを使えなくなる事態が生じるため、OSアップデートのスケジュールを事前に把握して、計画的に対応することが欠かせません。

ユーザーフィードバックを活かした継続改善

アプリストアのレビューやユーザーアンケートで得られたフィードバックは、次の改善計画に直結する貴重な手がかりです。ネガティブレビューには迅速に返信し、問題を修正したバージョンをリリースすることで、ユーザーの信頼を維持できます。

機能追加や改善を行う際は、初期開発と同様に要件定義→設計→実装→テスト→リリースのプロセスを経ることが原則です。ただし、軽微な修正や小規模な改善であれば、アジャイルの考え方で短いサイクルを回すほうが効率的です。

プロダクトロードマップを作成し、中長期の機能拡張計画を一覧にしておくと、開発チームと関係者が同じ方向を向いて進められます。また、ユーザー数の増加に伴いサーバー負荷が増大するケースにも備え、クラウドインフラのスケーリング設計を事前に行っておくことが、運用リスクの低減につながります。

アプリ開発を外注する際のポイントと注意点

アプリ開発を外注する場合は、発注先を選ぶことと、発注のプロセスを管理することが、成功を左右します。開発会社への外注は一般的に50〜500万円以上の費用がかかりますが、品質の担保・プロジェクト管理体制・保守サポートの観点から、多くの企業が開発会社への依頼を選んでいます。

一方、フリーランスエンジニアへの依頼は費用を抑えやすい点が魅力ですが、担当者が個人であるため、急な対応停止や品質のばらつきに注意が必要です。

発注先の選定基準と比較のポイント

開発会社を選ぶ際は、自社のプロジェクトに近い開発実績があるかを最初に確認します。BtoC向けのゲームアプリと業務系BtoBアプリでは、求められる技術スタックもプロジェクト管理の手法も大きく異なります。そのため、ポートフォリオや事例紹介を詳しく見て、似たジャンルの開発経験があるかを見極めてください。

次に確かめたいのは、コミュニケーション体制です。担当ディレクターが窓口になって定例ミーティングを設けてくれるか、Slackやチャットツールで日常的に連絡が取れるか、進捗レポートをどの頻度で共有してくれるかを確認しておきます。

また、見積書の内訳を細かく確認することも欠かせません。工数・単価・マイルストーンが明記されていない見積書は、後から追加費用が発生するリスクがあります。そのうえで、複数社から相見積もりを取ると、市場相場と各社のアプローチの違いを比較できます。

契約内容の確認と知的財産権の取り決め

外注で開発したアプリのソースコードの著作権は、契約で明確に取り決めなければ開発会社側に帰属するケースがあります。将来、開発会社を変えたり自社でメンテナンスしたりする際に、ソースコードを自由に使えないと大きな制約になります。

契約書には「成果物の著作権は発注者に譲渡される」旨を明記し、開発中に使うライブラリのライセンスも確認しておきます。あわせて、秘密保持契約(NDA)の締結も忘れずに行います。アプリの企画内容・ビジネスロジック・ユーザーデータなどの機密情報を開示することになるため、情報漏洩のリスクを契約で担保しておく必要があります。

さらに、不具合が発生した場合の保証期間(瑕疵担保責任の期間)と対応範囲を事前に合意しておくことで、リリース後のトラブルに備えられます。一般的には、引き渡し後3〜6ヶ月程度の瑕疵担保期間を設けることが多いです。

ポイント

外注先は、開発実績・見積書の内訳・契約書の著作権の定めを基準に比べます。フリーランスに頼む場合は、対応停止や品質のばらつきを想定しておくのが目安です。

まとめ

開発手法は、プロジェクトの特性に合わせてウォーターフォールとアジャイルを使い分け、必要に応じてハイブリッド型も検討します。外注する場合は、実績やコミュニケーション体制、見積書の透明性、契約内容を中心に発注先を精査することで、コストとリスクの両方をコントロールできます。

リリース後も、モニタリングとユーザーフィードバックを活かした改善を回し続けることで、長く使われるアプリに育てられます。アプリ開発の進め方に不安を感じている担当者の方は、ぜひ本記事を参考にプロジェクトを推進してください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。