MVP開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

MVP開発は、仮説設定・企画、設計・開発、検証・改善の3フェーズを順に回して進めます。各フェーズの結果を見ながら、次に何をするかを決めていくのが特徴です。

完成度を先に上げるより、仮説検証と改善を短く回すことを優先します。全体の詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・MVP開発の完全ガイド

MVP開発の全体像

この進め方は、アイデアを作り込みすぎず、市場で得た反応をもとにプロダクトを育てる考え方です。

「リーン・スタートアップ」を広めたエリック・リースの考え方で、Build(作る)→ Measure(計測する)→ Learn(学ぶ)の順に回していきます。

MVPは、この流れの中で仮説を市場に出す手段です。

MVPの定義

MVPは、価値を確かめるための最小構成です。利用者の反応を早く得ることを、作り込みより優先します。

  • 定義:Minimum Viable Productは実用最小限のプロダクト
  • 学習:Build、Measure、Learnを短い周期で回す

たとえば、WordPressの簡易フォームで料理の注文を受け、配達は注文後に手動で手配する例もあります。

MVPは、確かめたい学びに絞って作ることが大切です。

市場のニーズを確かめる前に作り込むと、後から手戻りが増えます。そこで、小さく出して、実際のユーザーの反応を集めます。

MVP開発が重要な理由

MVP開発は、不確実な市場で学習を早めるために使います。その成果は、機能の数ではなく、検証の質で判断します。

  • 失敗回避:CB Insightsの42%という失敗要因を、仮説検証で確かめる
  • 継続判断:利用率、65%、78%などの指標で改善を判断する

CB Insightsの調査では、失敗原因の第1位が「市場ニーズがなかった」です。

MVPは、このリスクを早く確かめる手段になります。

Harvard Business Reviewでも、検証を重ねる考え方が扱われています。

MVPは、大企業や新規事業、既存サービスの改善にも応用できます。

HRテックの事例では、想定外の業界から需要を見つけてピボットした例があります。MVPは、こうした方向転換の材料になります。さらに、InstagramとBurbnにも学びがあります。

市場投入後は、利用の状況を継続して追います。

目標値を置く場合は、期間と対象を先に定義します。

スタートアップだけでなく、VCが支援する事業やSaaSでも使われています。

2024年のWeb事業でも、最初から完成度を上げすぎない進め方が選ばれています。

ポイント

MVPを進めるかどうかは、機能の数ではなく、何を検証できたかで判断します。迷ったときは、作る範囲が確かめたい学びに絞られているかを目安にしてください。

MVP開発の進め方

仮説設定・企画から設計・開発を経て検証・改善へ進むMVP開発の流れ図
各段階で扱う作業を分けると、次の判断が見えやすくなります。

MVP開発は、仮説設定・企画、設計・開発、検証・改善の3フェーズで進めます。フェーズごとに、行う作業と決めるべき事項は異なるため、先に確認しておくと次の行動を判断しやすくなります。

仮説設定・企画フェーズ

企画では、誰の課題を何で解くかを一文にまとめ、機能の優先順位と検証指標を先に決めます。検証できる状態にするには、この段階での決定が欠かせません。

  • 仮説:対象ユーザー、課題、提供価値、検証方法を置く
  • 優先順位:MoSCoWやKanoで分類し、Must haveから機能を絞る

最初のリリースはMust haveだけに絞り、Should have、Could、Won’t haveは後回しにして2nd、3rdイテレーションで扱います。これにより、スコープクリープを防げます。

検証の指標には、KPI、NPS、Retentionを使います。「Retention is the north star metric」という考え方もあります。

設計・開発フェーズ

設計・開発では、検証に必要な画面と機能だけを作ります。既存サービスを組み合わせると、開発期間を抑えられます。

  • MVP設計:UI、iOS/Android、SaaS、CRUDの範囲を絞る
  • 外部活用:認証はAuth0、決済はStripe、通知はTwilio、AIチャットはOpenAI APIを必要に応じて使う

NoCodeなら、BubbleやAdaloで検証できます。また、シリーズ Aの事例のように、SNSと組み合わせる方法もあります。

独自開発を選ぶ場合は、iOS/Android、AI、APIなどの対象を先に決めます。

SIerへ相談するときも、範囲を明確にしておきます。

開発期間は2〜4週間から1〜3ヶ月を目安に置きます。

別案として、10〜20人の体制も検討します。

利用者が使う画面だけでなく、計測イベントも設計します。そのうえで、実装の前に、成功条件と停止条件を関係者で共有しておきます。

検証・改善フェーズ

検証・改善では、利用データと利用者の声を一緒に見ます。次の開発へ進む基準は、数値で決めておきます。

  • 計測:利用率、継続率、NPS、問い合わせを記録する
  • 改善:仮説を更新し、1ヶ月単位で優先順位を見直す

リリース後は、利用者がどの機能を使ったかも計測します。数字だけでは理由が分からないため、A/Bテストと定性インタビューで確かめます。

改善は、決めた期間ごとに振り返ります。

65%や78%などの目標値は、対象ユーザーとともに評価します。

想定と違う反応があれば、機能を足す前に仮説を更新します。必要ならピボットして、次の検証へ進みます。

機能の完成度を上げ続けるより、学習が止まった機能を見直します。

1ヶ月、3〜6ヶ月、1〜2年の計画は、それぞれ分けて調整します。

ポイント

迷ったときは、次のフェーズへ進む基準を満たしているかで判断します。基準は仮説設定の段階で数値にしておき、検証の結果と照らし合わせます。

費用相場とコストの内訳

小規模MVP、中規模MVP、大規模MVPの費用目安を並べたパネル図
規模が上がるにつれて、費用の目安も段階的に広がります。

MVP開発の費用は、機能範囲と開発方法によって変わります。

見積もりでは、人件費、外部サービス、保守の項目を分けて確認します。

開発規模と費用の関係

費用の幅は、規模と構成の前提によって大きく変わります。まずは、次の2つの観点で前提を分けて考えます。

  • 規模:小規模、中規模、大規模に分けて見る
  • 構成:NoCode、外部SaaS、スクラッチの前提を比べる

小規模MVPは100万〜500万円、中規模MVPは500万〜1,500万円が目安です。

大規模MVPは1,500万円を超える場合があります。

構成による差も大きく、NoCodeツールと既存SaaSを組み合わせれば、数十万円程度から検証できます。

スクラッチ開発では数百万〜数千万円規模になることもあります。

費用の70〜80%は、エンジニア、デザイナー、PMなどの人件費になることがあります。残りは、インフラ、ライセンス、外注費です。そのため、見積もりでは人件費と外部サービス費を分けて出してもらうと、前提の違いが見えます。

スタートアップ特化の会社やフリーランスを使うと、30〜50%削減できるケースもあります。ただし、品質と管理方法も同時に確認します。

費用を抑えるポイント

費用を抑える鍵は、機能を減らすことと既存サービスを使うことです。検証に不要な作り込みは、後回しにします。

  • 範囲:Must haveに絞り、2nd、3rdで追加する
  • 外部サービス:認証、決済、通知、AIを自前実装しない

UIの作り込みや独自インフラは、検証後に改めて判断します。

費用の70〜80%を占める人件費の使い方は、そのタイミングで見直します。

安さだけで決めず、保守、セキュリティ、データ移行の費用も確認します。後から作り直す事態を避けるためです。

ポイント

費用は、規模と構成の前提で大きく変わるため、同じ条件をそろえて比べることが判断の出発点です。削る場合も、保守とセキュリティの費用を含めて見て、後から作り直す事態を避けてください。

見積もりを取る際のポイント

RFPの準備、見積書の比較、開発パートナーの評価を並べた確認項目図
提案前の準備からパートナー選びまで、確認の視点が続きます。

各社の見積もりは、何を作り、何を検証するかを同じ条件で伝えたうえで比べます。その前提をそろえる資料が、RFPです。

RFP(提案依頼書)の準備

検証の目的とMVPの範囲を、開発会社へ先に伝えます。ただし、決まっていない事項は、未確定として明記しておきます。

  • 目的と範囲:背景と目的、ターゲットユーザー、課題、MVP時点の必須機能、利用環境、デバイスを記載する
  • 条件:既存システムとの連携要件、セキュリティ、個人情報の扱い、時期(スケジュール感)、予算レンジ、保守、UI/UXの範囲を記載する

RFP(Request for Proposal:提案依頼書)は、開発会社が同じ条件で提案できるための文書です。そのため、届いた見積もりの差を比べやすくなります。

見積書の比較で確認すべき点

見積書は、金額の大小よりも、含まれる作業の中身を見ます。工数、単価、保守、保証範囲に分けて確認します。

  • 内訳:要件定義、設計、開発、テスト、リリースの工数を見る
  • 継続費:インフラ、保守、バグ修正の期間と範囲を見る

また、デザイン費や、リリース後の保守・運用費用は、月額か一括かを分けて確認します。

保証期間に加えて、3〜4ヶ月などの開発期間と、1〜3ヶ月の保守条件も見ておきます。

同じRFPでも前提が違えば金額は変わるため、追加費用が発生する条件を質問しておきます。

開発パートナーの評価基準

開発パートナーは、実績だけでなく、MVPへの理解と改善力で評価します。契約後の相性も、あわせて確かめておきます。

  • 経験:MVP、SaaS、BtoC、AI、APIの実績
  • 進め方:アジャイル、計測、コミュニケーション、保守の方法

MVP開発の実績と仮説検証への理解は、自社に近い事例があるかどうかで確かめます。

そのうえで、スプリントやユーザーインタビューの回し方を聞きます。担当PMの経験と判断の速さも確認します。

技術スタックに加えて、NPSやRetentionなどの成果指標をどう扱うかも確認します。

見積もり、RFP、UI/UXの前提を説明できる会社を選びます。特に、長期の保守と改善に対応できるかも、大切な確認点です。

ポイント

見積もりは、RFPで前提をそろえたうえで比べます。金額が近くても、含まれる作業や保守の範囲が違えば判断は変わるため、継続費まで見て選んでください。

まとめ

まとめると、MVP開発は仮説を立て、最小限の機能を作り、利用データをもとに改善を回す進め方です。

費用や開発パートナーは、検証の目的と継続の計画を前提に選ぶと、判断しやすくなります。

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株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。