ペット用品通販/EC開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ペット用品ECの外注は、要否の判断、要件整理、発注先の選定、契約、発注後の管理の順に進みます。

ペット関連商品の国内EC市場は、富士経済グループの調査で2028年までに3,489億円へ拡大する見込みです(2023年比27.9%増)。参入障壁は下がっていますが、外注の進め方を正しく理解することが不可欠です。

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ペット用品通販/EC開発を外注する前の確認事項

外注する前に、まず「本当に外注が最適か」を冷静に見極める必要があります。外注には利点が多いものの、内製が向いている場合もあります。

発注先の種類によって、費用・品質・対応範囲は大きく異なります。そのため、事前に特徴を理解しておくことが、発注を成功させる鍵を握ります。

外注と内製、それぞれに向いているケース

社内にEC開発の専門人材がいない場合は、外注が有力な選択肢になります。さらに、短期間で高品質なシステムを整えたい場合にも、外注は適しています。

  • 外注:社内の専門人材が不足し、機能を早く実装したい場合。
  • 内製:開発人材が揃い、独自の体験を継続して改善したい場合。

社内の人手が足りない場合も、外注を検討できます。定期購入、ペット情報の登録、商品レコメンドなど、ペット用品ECに特化した機能を短期間で実装したいときにも、外注は有効です。

初期投資を抑えて早くリリースしたい場合は、ASP型やパッケージ型に詳しい会社が候補になります。自社開発と比べると、コストと期間を大きく減らせる可能性があります。

内製が向いているのは、社内にすでに開発チームがあり、ペット用品の業務に詳しいエンジニアを複数名確保できる場合です。

競合との差別化のために独自アルゴリズムや独自UX(ユーザー体験)を追求したい場合も、内製が候補になります。仕様変更にすばやく対応でき、長期的にはコスト競争力につながることもあります。

社内にECのノウハウが不足していることから、外注を選ぶ企業は多く、内製と外注を組み合わせたハイブリッド方式も一般的です。

たとえば、基幹システムの開発は外注しつつ、コンテンツ更新やマーケティング施策の実行は内製で担う分業体制が機能的です。

発注先の種類と特徴

EC開発の発注先は、大きく分けて「Web制作会社」「システム開発会社(SIer)」「フリーランス」の3種類です。

  • Web制作会社:デザインやCMS構築を重視する案件に合います。
  • システム開発会社(SIer):複雑な連携やバックエンド開発を伴う案件に適します。
  • フリーランス:小規模で、範囲が限られた案件に向いています。

Web制作会社は、ShopifyやEC-CUBEなどのプラットフォームを使ったEC構築の実績も豊富です。

複数名のスタッフで対応するため、品質管理やアフターサポートが手厚いのが特徴です。中規模ECの費用は、100万〜500万円程度が目安です。

システム開発会社(SIer)は、受発注システムや在庫管理、基幹システムとの連携など、バックエンドの複雑な開発を得意としています。

定期便や会員ランクの管理、外部倉庫との連携が必要な場合は、SIerが適しています。費用はWeb制作会社より高い傾向にあり、500万〜数千万円規模が中心です。

フリーランスは費用を最も抑えやすい選択肢です。ただし、1人での対応が基本のため、プロジェクトの規模が大きくなると、品質やスケジュールのリスクが高まります。

小規模なECサイトの構築やページ改修などが、その典型です。

発注先の種類を理解したうえで、自社の予算や規模、求めるサポートの水準に合わせて選ぶことが、発注を成功させる第一歩になります。

ポイント

外注と内製のどちらが合うかは、社内の専門人材の有無と、独自の体験を継続して改善したいかで分かれます。外注先も種類ごとに得意な案件が違うため、規模と目的に合うものを選ぶのが目安です。

ペット用品通販/EC開発の発注・外注の手順

EC開発の要件整理からパイロット案件までの発注手順を示す図解。
要件を整理してから候補を試す順に進みます。

EC開発を外注するときは、段階を追って進めることで、費用の膨らみや品質トラブルを防ぎやすくなります。

ペット用品ECは商品カテゴリが多く、定期購入やペット情報の管理など独自の機能も求められます。特に、要件整理に漏れがあると、後からの手戻りが増えます。

要件整理とRFP作成

発注の第一歩は、自社のビジネス課題と、実現したいEC像を言葉にすることです。

  • 目的と利用者:解決したい課題、対象者、利用場面を決めます。
  • 機能と運用:商品分類、定期購入、ペット情報の扱いが対象です。
  • 発注条件:予算、納期、選定基準、提案の方法。

機能に優先順位をつけておくと、各社の提案を同じ基準で比べられます。そのうえで、初回リリースに必要な機能と、運用後に追加する機能を分けて検討します。

ペット用品ECでは、犬・猫・小動物・爬虫類などの商品カテゴリを整理します。フード類の定期購入も、要件の一つになります。

さらに、ペット情報(名前・種類・年齢・体重)をもとにした商品レコメンドも、検討の対象になります。動物用医薬品や療法食に関する法規制への対応も、要件に含めておきます。

こうして整理した内容をまとめるのが、「RFP(提案依頼書)」です。RFPは、複数の開発会社に具体的な提案と見積もりを依頼するための文書で、発注先を選ぶ段階で使います。

要件定義書とは違い、RFPは「発注先が正式に決まる前」に使う書類です。

RFPには、プロジェクトの背景と目的、求める機能の概要、予算感を書きます。あわせて、希望スケジュール、選定基準、提案書の提出形式と期限も入れます。その内容が明確なほど、各社から精度の高い提案と見積もりが届き、比べやすくなります。

発注先の選定と比較

RFPができたら、3〜5社程度の候補先に送付し、提案書と見積書を受け取ります。

  • 技術提案:要件に合う基盤と実装方針の比較。
  • 費用と担当者:内訳の透明性、専門性、連絡のとりやすさ。
  • 候補の絞り込み:必要に応じて2社程度で小規模に試します。

候補先の実績は、ペット用品や食品、消費財などの商材ECを中心に確かめます。Shopifyエキスパートパートナーか、主要ECパッケージのアライアンスパートナーかどうかも、選定の基準になります。

提案書を受け取ったら、複数の観点で比べます。まず「技術提案の妥当性」として、自社の要件に合ったプラットフォームの選定と機能の実装方針が示されているかを確認します。

次に「費用の妥当性と透明性」を確かめます。費用の内訳として、設計費や開発費、テスト費が示されているかを見ます。ライセンス費や保守費などの扱いも、あわせて確認します。

発注側は、費用の総額だけでなく、ランニングコストや追加開発の単価体系も確かめておきます。また、「担当者の専門性とコミュニケーション能力」も評価の観点になります。

提案説明会や質疑応答では、担当者がペット用品ECのビジネスや業務フローを理解しているか、質問に的確に答えられるかを見極めます。

候補を2社程度に絞ったら、残った候補先に、可能な範囲でパイロット案件を依頼します。小さな機能追加などで開発品質と連携の進め方を確かめてから本発注先を決めると、リスクを抑えられます。

ポイント

要件が言葉になっていないまま発注先を探すと、提案や見積もりを同じ基準で比べられません。RFPに要件を書き切れているかを、候補先を絞る前に一度確かめるのが目安になります。

ペット用品通販/EC開発の契約時に確認する項目

請負契約と準委任契約について、それぞれに向くEC開発を左右に並べて比較した図解。
仕様を先に固めるか、進めながら調整するかが分かれ目です。

発注先が決まったら、次は契約です。EC開発では、どの契約形態を選ぶか、契約書にどの条項を入れるかが、プロジェクト全体のリスクに直結します。

契約内容を理解しないまま署名すると、仕様変更時の追加費用や、納品後の瑕疵担保をめぐるトラブルが起こりかねません。

契約形態の選び方

EC開発の契約形態は、主に「請負契約」と「準委任契約」の2種類です。請負契約では、受注側が合意した仕様どおりにシステムを完成させて納める義務を負います。

  • 請負契約:仕様を確定して完成品を納める開発。
  • 準委任契約:進行中に要件を調整する開発や運用。

費用と納期が事前に確定するため、予算を管理しやすく、発注側にとって費用超過のリスクが少ないのが最大のメリットです。

請負契約では、仕様変更が起きると追加費用や納期の延長が生じやすく、開発の途中で要件を見直すことに柔軟に応じにくい面もあります。

開発の開始前に全機能を確定できるなら、請負契約が適しています。これに対し、準委任契約では、受注側が業務を遂行すること自体に報酬が支払われます。

成果物の完成責任を負うのではなく、作業プロセスへの対価となるため、開発を進めながら仕様を詰めていくアジャイル型の開発や、保守・運用の契約に向いています。

ペット用品ECでは、要件定義を準委任契約で進め、要件が固まってから開発を請負契約へ切り替える方法もあります。こうすると、実務に合ったリスク管理ができます。

どちらの形態を選ぶにしても、「料金が発生する対象業務の範囲」を契約書に明記しておくと、後々のトラブル防止につながります。

契約書の重要条項

契約書を結ぶ前に、必ず確認しておきたい重要条項があります。最初に見るべきは「著作権・知的財産権の帰属」です。

  • 知的財産権:成果物の権利の帰属と、再利用の条件。
  • 保証と変更:不具合の責任範囲と期間、仕様変更の手順。
  • 秘密保持:顧客・商品情報を守るNDAの範囲を決めます。

ソースコード、デザイン、データベース設計書などの著作権が、発注側(自社)に帰属するのか、受注側に残るのかを明確にしておく必要があります。

著作権が受注側に残る契約では、将来ほかの会社へリプレースや改修を頼む際に制約が生じることがあります。次に確認するのは、「瑕疵担保責任(契約不適合責任)の範囲と期間」です。

納品後に不具合が見つかったとき、どの範囲と期間まで受注側に対応義務が課されるかを確認します。

瑕疵担保期間は、納品後6〜12ヶ月程度とするのが一般的です。個人情報を扱うペット用品ECの場合は、セキュリティ上の欠陥に関する責任範囲も、あわせて明確にしておきます。

また、「仕様変更時のフロー」も確かめておきます。開発の途中で機能追加や仕様変更が起きたとき、費用と納期をどう調整するかを事前に決めておけば、口頭のやりとりによるトラブルを防げます。

さらに、秘密保持義務(NDA)も重要です。顧客データや商品情報など機密性の高い情報を扱うEC開発では、NDAの締結が必須です。

NDAは契約書とは別に結ぶ場合と、契約書の中に秘密保持条項を盛り込む場合があります。どちらの方式でも、曖昧さの残らない表現で合意しておくことが大切です。

ポイント

仕様が確定しているかどうかで請負と準委任を選び、契約書では著作権、瑕疵担保、仕様変更、秘密保持の扱いを曖昧にしないことが目安になります。

ペット用品通販/EC開発の発注後のプロジェクト管理

発注側が決裁者と担当窓口を決め、週次の進捗報告会とユーザー受け入れテストに関わる管理項目を示す図解。
体制づくりから受け入れ確認まで、発注側の関与が続きます。

契約を結んで開発が始まったあとも、発注側が主体的に関わることが、成功の鍵になります。

「外注したのだから、あとは任せておけばよい」という姿勢は、要件の認識ズレや品質低下、スケジュール遅延を招く大きな原因になります。

発注側も責任を持てる体制を整え、受注側と協力してプロジェクトを進めることが求められます。

コミュニケーション体制の構築

開始時には、コミュニケーションの体制を整えます。発注側はプロジェクトオーナー(最終意思決定者)と担当窓口(日常の連絡担当者)を決め、受注側に伝えます。

  • 役割:指示を一本化し、決裁者と日常窓口の役割を分けます。
  • 定例連絡:進捗・課題・次週の作業の定期的な共有。
  • ツールと変更管理:連絡先と依頼・承認の手順。

担当窓口が不明確だと、受注側は複数の関係者から違う指示を受けて、方針がぶれかねません。また、定例ミーティングの頻度と形式も、事前に決めておきます。

週次の進捗報告会を設けるのが一般的です。議題は、「当週の進捗と成果物の確認」「課題と懸念事項の共有」「翌週の作業計画の確認」の3点にまとめると、効率よく進められます。

日常の連絡には、SlackやChatWorkなどのチャットツールが使えます。タスクや進捗は、JiraやBacklog、Notionなどで一覧にしておくと、状況を共有しやすくなります。

ペット用品ECは商品カテゴリが複雑なため、要件の変更が起こりがちです。いつ、誰が、どの経路で変更を依頼し承認するかを決めておくと、余分なコストを抑えられます。

進捗管理と品質保証の方法

進捗管理では、プロジェクト全体にマイルストーンを設けます。要件定義から、リリースまでの各段階で、期日と成果物を明確にするのが基本です。

  • 工程と移行:各段階の完了条件とデータ移行。
  • 受け入れテスト:ペット用品の購入シナリオを通した検証。
  • リリース後:監視・障害対応の担当と連絡手順。

ペット用品ECでは、既存の在庫や商品情報のデータ移行に時間がかかることがあります。そのため、物流会社や決済代行、基幹システムとの連携テストも含めて、予定に余裕を持たせます。

品質保証は、受注側に任せきりにしないことが肝心です。単体テストや結合テストは受注側が実施するとしても、ユーザー受け入れテスト(UAT)は発注側が主体となって行う必要があります。

テストでは、商品検索からカート追加、決済まで、実際の購入の流れを再現します。ペット情報の入力や定期購入の設定、注文確認メールの受信も含めて、利用の場面を網羅して検証します。

また、リリース後の監視の体制も、事前に整えておきます。リリース直後は、アクセスの集中によるパフォーマンスの低下や、テスト環境では出なかったバグが本番環境で表に出るケースがあります。

発注先には、24〜48時間以内の障害対応保証を求めます。あわせて、エスカレーションフローを文書にまとめておくと、トラブル時に迅速に動けます。

ポイント

発注後の成否は、発注側が決裁者と日常の窓口を決めて、受け入れテストや障害対応に関わるかどうかで大きく変わります。受注側任せにせず、役割を事前に分けておくことが目安です。

まとめ

準備、発注先の選定、契約、プロジェクト管理の4段階を、一連の流れとして進めます。外注を判断する際は、社内の人材、必要な機能、希望する時期を確かめておくとよいでしょう。

発注時はRFPに要件を書き込み、技術提案や費用、担当者の専門性を比べます。契約では請負と準委任の違いを踏まえ、権利と保証、仕様変更、NDAの扱いを明確にします。

さらに、発注側にも担当者を置き、定例の共有や変更の管理、UATに関わることが重要です。リリース後の監視も含め、準備から運用まで役割を分かち合い、品質を守りましょう。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。