React.js開発のフルスクラッチ・オーダーメイド開発について

React.jsのフルスクラッチ開発は、要件に合わせて一から作る開発です。独自性や拡張性、モバイル展開を見極め、Next.jsなどの土台を選ぶと成功につながります。

既製品で足りる部分まで作り込むと、初期の工数と費用が膨らみます。

▼全体ガイドの記事
・React.js開発の完全ガイド

React.jsフルスクラッチ開発の全体像

ReactのUIを中心に、状態管理、データ取得、外部システム連携を示した図解。
画面づくりだけでなく、データや外部連携まで設計範囲に含まれます。

フルスクラッチ開発は、既製のパッケージやテンプレートを使わず、要件に合わせて独自にシステムを構築する手法です。

Reactで行う場合は、画面のUIや状態管理、データ取得、外部システム連携を設計し、実装します。

既製品の制約を受けずに作り込める一方で、初期の工数とコストがかかります。そこで、どこまでを独自に作るかを最初に決めておくと、工数の見通しを立てやすくなります。

ReactはUIを描画することに絞ったライブラリで、作り方の自由度が高いのが特徴です。そのため、フルスクラッチとも相性がよい技術です。

とはいえ、React単体で作る範囲と、フレームワークやライブラリに任せる範囲の線引きが、プロジェクトの成否を左右します。

フルスクラッチとパッケージ・ノーコードの違い

発注側と開発会社は、既製品で足りる要件か、独自に作り込む必要がある要件かで手法を選びます。

  • パッケージ・CMS・ノーコード:WordPressやSTUDIOのような既製ツールは、定型業務や一般的なサイトを速く安く構築できます。
  • Reactのフルスクラッチ:既製品では難しい独自要件を、自由に作り込めます。
  • 組み合わせ:定型部分は既製品で、差別化につながる部分はReactで作る方法もあります。

既製品で表現できない要件を無理にカスタマイズすると、費用もリスクも膨らむことがあります。一方で、Reactなら独自要件を自由に作り込めるのが大きな利点です。

既製品で足りる定型要件と、フルスクラッチが必要な独自要件を分けて考えるのが現実的です。すべてをフルスクラッチにする必要はありません。

ポイント

定型部分は既製品に任せ、差別化につながる独自要件だけをReactで作るかどうかを、要件ごとに分けて判断します。すべてを作り込む必要はありません。

フルスクラッチが向くケース・向かないケース

Reactフルスクラッチが向く要件として、独自のUI/UX、複雑な画面、継続的な拡張、モバイル展開を並べた図解。
独自性や将来の拡張を求めるほど、自由な設計が活きます。

Reactのフルスクラッチは、案件を選んで使うことで投資対効果が高まる手法です。要件の独自性、予算、将来の展開を踏まえて、適性を見極めます。

Reactフルスクラッチが向くケース

次のような要件では、Reactの自由なコンポーネント設計や採用市場の厚みを活かせます。

  • 独自のUI/UX:SaaSや自社サービスで体験自体が差別化要因なら、Reactの自由なコンポーネント設計が活きます。
  • 複雑な画面:状態管理や外部システムとのリアルタイム連携に対応できます。
  • 継続的な拡張:中〜大規模のビジネスコアとなるWebアプリに適します。
  • モバイル展開:React Nativeへの資産流用を見据えて進められます。

多くのデータが動くダッシュボードや、リアルタイムで更新される業務アプリでは、仮想DOMによる効率的な描画とコンポーネント設計が活きます。

また、Reactは案件数・求人数が最多とされるため、人材を確保しやすい市場の厚みがあります。

長期の開発やチームの拡大にも、技術の面で対応しやすくなります。

独自のUI/UXや継続的な拡張が必要な場合、Reactフルスクラッチは投資対効果と拡張性の高い選択肢になり得ます。

Reactフルスクラッチが向かないケース

定型的なサイトや小規模案件では、Reactを選ぶ理由が薄くなります。

  • 更新頻度の高い一般サイト:コーポレートサイト、LP、ブログはCMSやノーコードが候補です。
  • 限られた予算の小規模案件:高水準のReactエンジニア単価が負担になります。
  • 計算処理が中心のシステム:機械学習の推論や大量データの重い集計は、得意とする領域ではありません。

WordPressやSTUDIOなどのCMS、ノーコードであれば、速く安く構築でき、担当者自身が運用しやすい場合もあります。

こうした用途にReactを使うと、初期投資と保守コストが過剰になり、費用対効果が見合わないことがあります。独自性が低い要件や小さな予算では、他の選択肢も検討する価値があります。

Reactフルスクラッチは、独自性が高く、育てていくプロダクトに適した手法です。

ポイント

独自のUI/UXや継続的な拡張が要るなら、Reactフルスクラッチは選択肢になります。定型的なサイトや小規模案件では、CMSやノーコードも候補です。

Reactフルスクラッチの強み

Reactフルスクラッチには、他のフレームワークにはない強みがあります。その中心となるのが、コンポーネント設計、デザインシステム、React Nativeへの資産流用です。

コンポーネント設計とデザインシステムの構築

コンポーネント設計では、UIを独立した部品として作り、それを組み合わせてプロダクト全体を組み立てます。

  • 部品化:ボタン、入力フォーム、ナビゲーション、データ表示を、一つずつ切り出して設計する。
  • 規則の体系化:色、余白、タイポグラフィ、操作の振る舞いを一覧にまとめる。
  • 画面への展開:既存の部品を組み合わせて、統一感のあるUIを作る。

規則をまとめたものがデザインシステムです。これを整えておくと、ブランド体験を一貫させながら開発を進められ、新しい画面を加えるほど生産性が高まります。

既製品では難しい、自社ブランドに合った体験も実現できます。特に、体験そのものが差別化につながるプロダクトでは、この自由度が大きな強みになります。

React Nativeへのコード資産流用(Web→モバイル展開)

React Nativeは、Reactと同じ思想・記法でiOS/Androidのネイティブアプリを開発できるフレームワークです。

  • 考え方:コンポーネント設計の思想をそのまま生かせます。
  • 実装資産:ビジネスロジックや状態管理の部分を流用できます。
  • チームの知識:培ったReactのスキルセットが生きます。

Webで構築したプロダクトをモバイルへ展開する際、別の技術を一から学び直さずに済みます。そのぶん、多デバイスへの展開を効率よく進められます。

Web側でVueやAngularではなくReactを選ぶと、将来のモバイル展開を見据えた選択になります。まずWebで作り、事業が軌道に乗ってからモバイルへ広げる進め方も取りやすくなります。

採用市場の厚みによるチームのスケーラビリティ

Reactは人材や情報が多いため、長期運用するチームを維持・拡大しやすい技術です。

  • 案件・求人:フロントエンド技術の中で最多です。
  • npmの週間ダウンロード:約2,800万回で、Vue.jsの約500万回を上回ります。
  • 利用者:Stack Overflowの調査で全開発者の約44.7%が使用しています。

増員や交代の際に人材を探しやすく、マイナーな技術で起こりがちな人材不足による開発停滞のリスクも抑えられます。

情報やナレッジが豊富で、生成AIもReactのコードを高い精度で扱えます。加えて、開発を続けやすいことも、長期でプロダクトを育てるうえでの利点です。

ポイント

長く育てる前提で、部品の再利用やモバイル展開、人材の確保を重視するなら、Reactは有力な選択です。増員や交代の際の人材確保にも役立ちます。

フルスクラッチSPAとメタフレームワークの選択

React単体でSPAを作るか、Next.jsのようなメタフレームワークを使うかは、開発の方向性を左右する大きな分かれ目です。

React単体SPAの意思決定コスト

React単体のSPAは自由度が高い一方、初期に構成を決める負担があります。

  • ルーティング:公式機能がないため、React Routerなどを選ぶ。
  • 状態管理:Redux、Zustand、Jotaiなどの中から、アプリの状態を扱うライブラリを決める。
  • データ取得:TanStack Queryなどを選び、土台に組み込む。

最適な組み合わせを選び、一から統合するには、高度な設計力と時間が要ります。選定を誤ると、後の保守で苦労することになります。

ただし、特殊な要件や、既存システムの一部にReactを組み込む場合は、自由度が役立つこともあります。多くの新規開発では、初期構築の負担が重荷になりがちです。

Next.jsのデファクトスタンダード化

現在はReact単体SPAが減少傾向にあり、土台をまとめて提供するNext.jsが主流です。

  • ルーティング:画面遷移の土台を提供する。
  • SSR:サーバーサイドレンダリングに対応する。
  • SSG:静的サイト生成に対応する。

新規のReactプロジェクトでは約78%がNext.jsを選び、フロントエンド全体では約35%です。事実上のデファクトスタンダードとなっています。

フレームワークが土台を用意するため、Reactで自前構築するより初期の負担を減らせます。

React 19で安定版となったServer Componentsは、初期表示の高速化や初期バンドルサイズの削減に役立ちます。その恩恵を引き出すうえでも、Next.jsの採用が前提になりつつあります。

土台をすべてゼロから組む必要はなく、ルーティングやレンダリングをメタフレームワークに任せる構成が現実的です。

Reactらしい自由な作り込みと、Next.jsの堅実な土台をどう両立させるかが、成功を左右します。

ポイント

多くの新規開発では、構成を一から組む負担を避けてNext.jsを土台にするのが現実的です。特殊な要件や既存システムへの組み込みでは、単体SPAが役立つこともあります。

フルスクラッチの費用・期間・保守性

小規模、中規模、大規模それぞれのReact開発期間と費用の目安を示した図解。
規模が上がるにつれて、開発期間と費用の目安も大きくなります。

費用・期間の目安に加えて、リリース後の保守性も把握しておきます。初期投資だけでなく、運用段階のコスト構造も確認することが欠かせません。

規模別の費用・期間の目安

受託でReact/Next.jsを開発する場合、規模ごとの費用と期間は次の目安です。

  • 小規模:社内ツールやMVPは1〜3か月、50万〜200万円です。
  • 中規模:業務系システムや顧客向けWebアプリは4〜9か月、200万〜1,000万円です。
  • 大規模:基幹システムやAI統合を伴う開発は10か月以上、1,000万〜3,000万円です。

フルスクラッチはゼロから作るため、同等の機能をパッケージで導入する場合より、初期費用が大きくなります。一方で、独自要件を満たし、将来の拡張に耐える土台を作れます。

長期的には、投資対効果が高くなるケースも多くあります。初期費用だけでなく、プロダクトの価値と将来の拡張余地を含めて判断することが大切です。

単純なサイト制作には不向きですが、中〜大規模のビジネスコアとなるWebアプリでは、拡張性の高い選択肢になり得ます。

フルスクラッチの保守性と運用コスト

フルスクラッチ開発で最大のデメリットになるのは、運用・保守の段階でコストが増え続けることです。

  • エンジニア単価:月額平均約80万円、経験3〜5年で55万〜75万円です。
  • 年間保守費:一般に初期開発費の15〜20%程度が目安です。
  • 依存パッケージ:更新や脆弱性対応などの追従コストが継続します。

Reactはサードパーティライブラリを組み合わせて作るため、部品ごとの更新を追う手間がかかります。

保守チームのランニングコストも高くつきます。そこで、コンポーネント設計を整理して保守しやすい構造にしておくと、コストを抑えやすくなります。TypeScriptは型による品質担保とオンボーディング短縮に有効です。

Dependabotなどで依存ライブラリの更新を自動化する方法もあります。ただし、自由度を健全に保つには、保守への投資が前提になります。

発注側は、初期開発費だけでなく、数年単位の保守・運用費を含めた総コストで判断します。

長期に育てる体制を整えることが成功の条件です。

ポイント

規模が大きくなるほど費用も期間も伸びるため、要件の規模を先に見積もり、保守費まで含めて予算を組むことが判断の出発点です。

まとめ

ここまで、React.jsのフルスクラッチ開発について、適性や強み、Next.jsとの関係、費用・期間・保守性を見てきました。

独自のUI/UXや複雑な状態管理・リアルタイム連携が必要な場面、将来拡張する中〜大規模アプリに向いています。

部品設計やブランド統一、React Nativeへの資産流用、人材の厚みも強みです。

単純なサイトやLP、小規模案件、計算処理が中心の用途では、パッケージやノーコードも候補になります。構成を選ぶ際は、React単体SPAの設計負担と、Next.jsが新規プロジェクトの約78%で選ばれている傾向を踏まえます。

費用の目安は、小規模が50万〜200万円、中規模が200万〜1,000万円、大規模が1,000万〜3,000万円です。エンジニア単価(月額平均約80万円)や年間保守費も含めて、総コストを見極めることが大切です。

要件の独自性と将来の拡張性を踏まえて、長く育てられる体制を整えます。まずは要件を整理し、複数の開発会社に相談してみてください。

▼全体ガイドの記事
・React.js開発の完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。