Ruby開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

Ruby開発は、要件定義から本番リリースまでを3つのフェーズに分けて進めるのが一般的です。

各フェーズで決めることを押さえておくと、発注側と開発会社の認識を合わせやすくなります。

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Ruby開発の全体像

Ruby開発では、まずRuby言語の特性と、その上で動くフレームワークやエコシステムを理解しておくと進めやすくなります。Rubyはオブジェクト指向の言語で、コードを読みやすく書けるので、開発速度と品質を両立しやすい言語です。Rubyは1995年にまつもとゆきひろ氏が開発しました。

Rubyの特徴と開発に向いているシステム

Rubyは、読みやすさと開発速度を重視するWeb開発に適しています。

  • 生産性:少ないコードで機能を作れる点
  • Rails:規約に沿って開発を進める方式
  • gem:既存機能を再利用する仕組み

Rubyの強みは高い生産性です。Javaなどと比べても少ないコードで、試作や機能追加を進められます。

Ruby on Rails(以下、Rails)は「設定より規約(Convention over Configuration)」を採用しています。Railsを使うと、開発速度が3〜5倍になるともいわれます。そのため、短納期のプロジェクトに向いています。

Rubyのgemには、Devise、ActiveAdmin、Stripe連携などがあります。これらを使うと、認証や管理画面を短期間で作れます。

2024年時点で、RubyGemsには15万件を超えるgemが登録されています。このため、ほとんどのユースケースで既存のライブラリを活用できます。

適したシステムとしては、ECサイトやマッチングプラットフォーム、社内業務システムなどが挙げられます。SaaS型のWebサービスやAPIサーバーも、同様に含まれます。

リアルタイム処理が求められるゲームサーバーや、高トラフィックの大規模システムでは、他の言語を検討する場合もあります。

Ruby開発の代表的な活用シーン

活用先を選ぶときは、素早い検証と継続的な改善が必要かどうかが手がかりになります。

  • 新規サービス:MVP(最小限の製品)を早く試す用途
  • 業務システム:機能追加を重ねていく用途
  • API:バックエンドとして使う用途

RubyおよびRuby on Railsは、Webアプリケーション開発の現場で幅広く使われています。国内では、クックパッドや食べログが採用例に挙がります。価格.comやGunosyも、Ruby on Railsを採用しています。

海外では、Airbnb、GitHub、ShopifyもRubyを採用しています。

活用シーンを見ると、新規サービスの立ち上げ(0→1フェーズ)で特に威力を発揮します。MVP(最小限の製品)を素早く作り、ユーザーの反応を見ながら改善を繰り返す、アジャイルな開発スタイルとも相性がよいです。

既存システムのリプレイスや既存Webサービスへの機能追加でも、Railsの豊富なgemを使えば効率よく開発できます。

RailsをバックエンドAPIに使い、ReactやVue.jsと組み合わせるSPA構成も増えています。

ポイント

Rubyが合うかは、素早い検証と継続的な改善が必要かどうかで判断します。リアルタイム処理が中心のシステムなら、他の言語も比べておくとよいでしょう。

Ruby開発の進め方

Ruby開発の3フェーズを順に示し、要件定義・企画に全期間の15〜20%を充てる目安を添えた図
最初の企画段階で時間を確保すると、後工程の手戻りを抑えやすくなります。

要件定義・企画フェーズは、作るものの方向を決める段階です。設計・開発フェーズでは、それを形にしていきます。テスト・リリースフェーズでは、公開までの確認を進めます。

要件定義・企画フェーズ

企画の段階では、利用者、機能、予算と期間を先にそろえておきます。

  • 目的:解決する課題の定義
  • 機能:必須要件と品質条件の切り分け
  • 計画:予算とリリース時期の決定

要件定義・企画の内容が、プロジェクトの成否を左右します。「何を作るか」「誰向けか」「必要な機能」を、早い段階で明確にしておくことが欠かせません。

発注側が、目標や課題、対象者、機能要件を整理します。そのうえで、性能・セキュリティ、予算、期間も定めます。

要件定義が不十分なままRuby開発を始めると、途中で仕様変更が頻発し、開発コストが大きく膨らむおそれがあります。特に発注者側が「このくらいの機能があればいい」という曖昧なイメージのまま進めると、完成したシステムが期待と食い違うことがあります。

そこで、要件定義書や画面遷移図、ワイヤーフレームなどを丁寧に作り、発注者と開発者の認識を合わせておくことが大切です。企画の段階で、Ruby on Railsで実現できる機能の範囲を技術者と確認しておくことも、後のトラブルを防ぐうえで役立ちます。

要件定義には、全期間の15〜20%を充てるのが目安です。たとえば3ヶ月の開発なら、2〜3週間ほどになります。

設計・開発フェーズ

設計の段階では、Railsの役割分担とコードの保守性を確認しておきます。

  • 構成:Model・View・Controllerの整理
  • 規約:チームで書き方を統一すること
  • テスト:RSpecなどの早期導入

要件定義の後は、設計・開発へ進みます。まず構成図と画面を設計し、続いてデータベースとAPIを設計します。

Ruby on Railsを使う場合は、MVCアーキテクチャ(Model・View・Controller)に基づいて、システムの構造を設計します。Modelはデータと Rubyオブジェクトを対応させる役割を持ち、ViewはHTML、Controllerは制御を担います。

この役割分担を設計の段階で決めておくと、複数人で開発するときの作業が整理されます。その後の詳細設計(内部設計)では、各機能の処理ロジックやクラス設計、メソッドの仕様を定めます。

Ruby on Railsでは、Railsの規約(Convention)に沿って設計します。そのため、後から参加したエンジニアも、コードを理解しやすい状態を保てます。

開発では、詳細設計をもとにRubyで実装します。Railsでは、モデル、コントローラ、ビューを積み上げるように作っていきます。

RSpecを使ったTDD(テスト駆動開発)を採り入れることもあります。Rubyのコミュニティでは、品質を重視する傾向があります。

開発期間中は、1〜2週間単位のスプリントでレビューを行い、進捗を定期的に確認します。こうして品質を保ちながら、プロジェクトを進めていきます。

テスト・リリースフェーズ

公開前には、機能、連携、本番運用の順に確認していきます。

  • 単体:メソッドの動作の検証
  • 結合:機能間の連携の確認
  • 運用:監視と改善の手順づくり

開発が完了したら、テストフェーズに移ります。Rubyでは、Unit Test、Integration Test、System Testの3段階で確認します。

単体テストでは、個々のメソッドや機能が仕様どおりに動くかを確かめます。RSpecやMinitestでテストを自動化すると、修正に伴うデグレードを防げます。

結合テストでは機能同士の連携を確かめ、システムテストでは利用者の操作を再現します。

テストが終わり、品質基準を満たしていることを確認できたら、リリース(本番環境へのデプロイ)を行います。本番環境には、Heroku、AWS(Amazon Web Services)、GCP(Google Cloud Platform)を使えます。デプロイは、CapistranoやDockerで自動化できます。

リリース後は、エラーの監視やパフォーマンスの計測、フィードバックの収集を続けながら、改善を重ねていきます。Railsのプロジェクトでは、gemのバージョンアップやセキュリティパッチの適用も定期的に必要になります。そのため、リリース後の保守・運用体制を事前に整えておくことが重要です。

ポイント

各フェーズで決めることを先にそろえておくと、途中の手戻りを減らせます。要件が曖昧なまま進めると仕様変更で費用が膨らむので、要件定義を丁寧に行うのが大切です。

費用相場とコストの内訳

Ruby開発の費用を人件費、初期開発費、ランニングコストに分け、総所有コスト(TCO)として捉える図
公開後に続く保守や基盤の費用まで視野に入れると、予算の見通しが変わります。

Ruby開発の費用は、初期の開発費だけでなく、リリース後のランニングコストも含めた総コストで考えるのが大切です。

開発費用は、プロジェクトの規模や機能の複雑さによって大きく変わります。それでも、一般的な相場観を知っておくと、予算計画を立てやすくなります。

人件費と工数

人件費は、工数とエンジニア単価に分けて見積もります。

  • 工数:機能と規模からの算出
  • 単価:経験と役割の確認
  • 生産性:Railsの活用度

Ruby開発における費用の大部分を占めるのが人件費です。1人月は、1人が1ヶ月働く単位です。

1人月の単価は、相場で50万円程度です。標準では80〜120万円、大手SIerでは150万円以上になります。

エンジニアの単価は、実務経験によっても変わります。3〜5年の実務経験があれば月60万〜80万円、5年以上なら月80万〜100万円以上です。

小規模なWebアプリケーション(基本的なCRUD機能、ユーザー認証、管理画面程度)であれば、工数は3〜5人月程度で、総費用は150万〜500万円が目安です。中規模のサービス(決済機能、通知機能、複雑なデータ処理を伴うもの)では、10〜20人月程度かかるケースが多く、費用は500万〜2,000万円ほどになります。

大規模なプラットフォームやマッチングサービスでは、30人月以上の工数が必要になることもあります。そのため、開発費用は数千万円規模になることも珍しくありません。

また、RubyはJavaや.NETより少ない工数で実装しやすい言語です。そのため、初期費用を抑えられます。

初期費用以外のランニングコスト

公開後は、基盤、保守、バージョン更新の費用も見込んでおきます。

  • 基盤:AWSやGCPの費用
  • 保守:RubyとRailsの更新
  • 改善:利用の増加に合わせた拡張

初期費用だけでなく、ランニングコストも見込んでおく必要があります。主な項目は、サーバーやインフラの費用です。

AWSやGCPのサーバー費用は、小規模で月額1万〜3万円、中規模で月額5万〜20万円程度です。さらに、ドメインは年間1,000円〜5万円程度、SSL証明書は年間3,000円〜8万円程度かかります。

保守・運用費用は、バグ修正やRuby本体、Railsの更新を続けるためにかかります。年間の保守費は、開発費の15〜20%が目安です。たとえば初期開発費用が500万円なら、年間75万〜100万円程度の保守費用が発生する計算になります。

Rubyは定期的にバージョンがリリースされ、古いバージョンはサポートが終了します。セキュリティリスクを避けるためにも、定期的なバージョンアップが必要です。

サービスが成長すると、サーバーのスケールアップや機能追加の開発費用も発生します。この点も念頭に置いておく必要があります。

継続的なコストを含めた「総所有コスト(TCO)」で比べることは、開発会社を選ぶうえで大切な視点です。

ポイント

初期費用だけでなく、保守・運用を含むランニングコストまで含めて比べることが大切です。小規模か中規模かで相場は大きく変わるため、まず規模を決めてから予算を組みます。

見積もりを取る際のポイント

Ruby開発の見積もり前後に確認する要件定義書、3社からの見積もり、保守体制、仕様変更時の追加費用を示す図
前提と契約条件をそろえると、各社の提案を同じ目線で比べられます。

見積もりを比べるときは、作業範囲と条件をそろえておくことが欠かせません。そうすると、予算の過不足や遅延を防げます。

要件明確化と仕様書の準備

要件を整理するときは、仕様書にまとめておくと、見積もりの前提がそろいます。

  • 目的:作る理由と対象者の決定
  • 機能:必須要件と対象外の切り分け
  • 画面:導線と入力内容の共有

見積もりを依頼する前に、開発したいシステムの要件をできるだけ明確にしておくことが、何より大切です。要件が曖昧なまま依頼すると、開発会社ごとに解釈が分かれ、見積もり金額にも大きなばらつきが出ます。また、後から「こんな機能も必要だった」という追加要件が見つかると、追加費用の発生や納期の遅れにつながります。

仕様書には、概要と主要機能を記します。画面遷移図やデータの入出力も、あわせて書いておきます。こうした内容を文書にまとめた「要件定義書」や「仕様書」を用意すると、開発会社が具体的な工数を算出でき、精度の高い見積もりにつながります。

参考になる競合サービスのURLを共有するだけでも、開発会社との認識合わせがぐっと楽になります。さらに、開発範囲に「含めるもの・含めないもの」を明記するスコープ定義も欠かせません。これがあると、見積もりのブレを大きく減らせます。

複数社比較と発注先の選び方

価格だけでなく、Rubyの実績と保守体制も同じ基準で比べます。

  • 実績:近い規模のRails案件の有無
  • 見積もり:工程別の工数の比較
  • 支援:リリース後の対応の確認

見積もりは、最低でも3社から取るのが基本です。同じ仕様でも、金額が2〜3倍違うこともあります。

価格だけで比べると危険です。作業の範囲と品質、支援の内容を確かめるとともに、連絡頻度も見ておきます。

RubyとRuby on Railsの実績や同規模案件を確認します。そのうえで、コードレビューとテスト自動化の体制、リリース後の保守体制も見ておきます。

実績として公開されているポートフォリオや開発事例を見て、類似プロジェクトの経験があるかを確かめます。また、開発担当者と事前に面談し、技術的な質問への答え方やコミュニケーションの取りやすさも、判断材料にするとよいでしょう。

Rubyエンジニアのスキルレベルや、開発体制(チームの規模や役割分担)も確認しておきます。品質の高い開発を実現するためにも、欠かせない点です。

注意すべきリスクと対策

仕様変更、認識の食い違い、引き継ぎは、要件と契約で先に管理しておきます。

  • 仕様変更:追加費用の条件の取り決め
  • 認識差:デモとレビューによる確認
  • 引き継ぎ:コードと資料の権利の確認

主なリスクは、仕様変更による追加費用です。要件定義で仕様を固めておけば、その負担を抑えられます。

開発会社との契約では、仕様変更が起きたときの追加費用の算定方法も、事前に合意しておくことが大切です。固定費(ラボ型契約)か変動費(請負契約)かといった契約形態も、リスク管理の観点から慎重に検討する必要があります。

次に注意したいのは、開発会社との認識齟齬です。Ruby on Railsでは、規約に沿った実装かどうかを確認します。内部の実装を見ないと、品質の問題が遅れて見つかります。

定期的なデモやレビューを契約に盛り込み、進捗が見える体制を作ることが有効な対策です。また、「開発会社の撤退リスク」も見落とせません。小規模な開発会社に発注した場合、担当エンジニアの退職や会社の経営悪化によって、プロジェクトが途中で頓挫するおそれがあります。

所有権と納品物の管理方法は、契約書に明記しておきます。コードはGitHubなどで共有します。

SQLインジェクションやXSSへの対策を確認します。さらに、本番前に第三者診断も行います。

ポイント

見積もりは、要件を明確にしたうえで、最低3社から取って比べるのが基本です。価格だけで選ぶと、作業範囲や保守体制の違いを見落とすおそれがあります。

まとめ

ここまで、Ruby開発の進め方を、各フェーズ、費用、見積もりの順に見てきました。Rubyは、高い生産性と豊富なgemのエコシステムにより、Webアプリケーション開発に適した言語です。クックパッドやGitHub、Airbnbなどの採用実績が示すとおり、スタートアップから大企業まで幅広い場面で使われています。

開発は、「要件定義・企画」「設計・開発」「テスト・リリース」の3つのフェーズを、ひとつずつ丁寧に進めることが成功の鍵です。特に要件定義フェーズには十分に時間をかけ、全開発期間の15〜20%程度を充てることで、後の手戻りやコスト増大を防げます。

設計・開発フェーズでは、MVCアーキテクチャに基づく整理された設計と、RSpecを使ったテスト駆動開発が品質の向上に役立ちます。

費用は、小規模で150万〜500万円、中規模で500万〜2,000万円が目安です。Rubyは工数を抑えやすいという特性もあります。さらに、初期開発費だけでなく、年間で開発費の15〜20%程度がかかる保守・運用費も含めて、ランニングコストを見込んでおく必要があります。

仕様書を準備し、複数社から相見積もりを取ることが大切です。そのうえで、価格や実績で比べ、品質と体制も確かめて選びます。仕様変更や認識齟齬、開発会社の撤退といった、よくあるリスクへの対策を事前に講じることで、プロジェクトの成功につながります。

Ruby開発を検討している場合は、経験豊富な開発会社に相談し、目標に向けて最適な開発体制を作ってください。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。