SaaSアプリ開発の発注/外注/依頼/委託方法について

SaaSアプリの外注は、要件・契約・運用を一続きで設計します。マルチテナント、課金、更新、拡張性といったSaaS特有の要件はRFPに反映し、Webサイト制作とは異なる要件も確認します。

発注は、準備・契約・選定・管理・検収の順に進めます。関連する全体ガイドやSaaSアプリ開発の完全ガイドも確認してください。

発注前の準備と要件整理

発注前に整理するプロダクトの目的、対象ユーザー、課題、提供する価値を示す図解。
4つの観点をそろえると、開発会社との前提を共有しやすくなります。

発注の前に、プロダクトの目的、対象ユーザー、課題、提供する価値を言葉にしておきます。ここが定まっていないと、開発会社ごとに前提がずれてしまい、提案を同じ条件で比べにくくなります。

プロダクトコンセプトの明確化

次に、事業の数字の前提を文書にまとめておきます。成果を測る基準が決まっていれば、開発会社は機能の範囲や費用を同じ条件で組み立てられます。

  • コンセプト:誰の課題を、どう解くかという考え方
  • 指標:KPIやMRR、料金プラン、チャーンレートを数字で示した一覧

RFP(提案依頼書)の作成方法

共有DB型かスキーマ分離型かも、発注前に大枠を決めておきます。この選び方によって、テナントごとのデータの分け方が変わるため、RFPの段階で方向をそろえておくと、後の比較がしやすくなります。

  • RFP:必須機能と追加機能を分けて示す
  • 条件:SOC 2、ISMS、SLAなどの要件と、その水準

ポイント

発注前に目的や数字の前提、データの持ち方の大枠をそろえておくと、提案を同じ条件で比べられます。迷ったときは、RFPで必須機能と追加機能を分けて、先に決めておきます。

契約形態の選び方と注意点

RFPは、Request for Proposal(提案依頼書)の略です。初期、1年後、3年後の利用の様子も書いておくと、開発会社が将来を見込んだ提案をしやすくなります。

請負契約と準委任契約の違い

認証や運用水準(SOC 2、ISMS、SLA)も、RFPに盛り込みます。対応ブラウザ、外部サービス、技術スタックは、契約後の食い違いを防ぐために書いておきます。

  • 契約比較:請負は完成責任、準委任は工数ベースで考える
  • 組み合わせ:MVPと運用で契約を分ける方法もある

契約締結時の重要な確認ポイント

RFPは3〜5社に送り、提案と見積もりを比べます。同じ条件で依頼することで、比較の土台がそろいます。

  • 契約確認:著作権と、GitHubでの引き渡し条件
  • 責任期間:3ヶ月〜1年の範囲で明記する

ポイント

請負と準委任は、費用の決まり方と変更への強さで比べます。契約締結時は、著作権や引き渡し、責任期間を明記しておきます。

開発会社の選定と評価

開発会社との契約は、請負契約と準委任契約(ラボ型開発)の2つが基本です。どちらを選ぶかで、費用の決まり方や、仕様変更への強さが変わります。

評価基準の設定と比較方法

請負は費用と納期を固定しやすい一方で、準委任は変更に柔軟に対応できます。

  • 評価:技術力・実績・提案・費用の4つを採点する
  • 重み:30%のように、観点ごとの比重を先に合意しておく

PoC(概念実証)やトライアル開発の活用

MVPは請負で発注し、運用や改善は準委任とするハイブリッド型も使われます。段階ごとに契約を分けると、各段階のリスクに合った形を選びやすくなります。

  • PoC:2〜4週間の期間で、リスクの高い機能を試す
  • 費用:50万円〜200万円の範囲で確認する

ポイント

評価基準と重みを先に合意してから、開発会社を比べます。高リスクの機能はPoCで小さく試し、契約は段階ごとに分けると選びやすくなります。

プロジェクト進行中のマネジメント

プロジェクト進行中の連絡、課題、品質、連携と、それぞれに使う共有・確認手段を示す図解。
共有先と確認手段を項目ごとに分けておくと、役割が見えやすくなります。

契約の段階では、著作権に加えて、コード、設計書、API仕様書、運用手順書の扱いを確認しておきます。

コミュニケーション体制の構築

契約不適合責任の期間は3ヶ月〜1年とし、NDAや変更管理も文書に残します。後から食い違いが起きないよう、取り決めを形にしておくためです。

  • 連絡:Slackと週次報告の役割を分ける
  • 課題:JiraやNotionの一覧で、関係者と共有する

品質管理とスケジュール管理

評価軸の重みは、技術力30%と実績25%が中心です。提案20%、対応15%、費用10%が、それに続きます。

  • 品質:FigmaとGitHubを使ったレビュー
  • 連携:StripeとAPIの動きを、検収の段階で確かめる

ポイント

連絡と課題の共有の役割を分け、著作権や納品物の受け取りを契約どおりに確かめておきます。レビューとテストを早めに行うと、手戻りを減らしやすくなります。

納品・検収とリリース後の体制構築

納品後の検収、納品物の受け取り、運用、引き継ぎの4領域を示す図解。
検収で確かめる内容と、運用へ引き継ぐ準備が並んでいます。

PoCの目安は、期間が2〜4週間、費用が50万円〜200万円です。

検収テストと納品物の確認

トライアルは1スプリント、つまり2週間で行い、実装力を確かめます。短い期間で動くものを見られるため、発注前の判断材料にもなります。

  • 検収:機能と性能に加え、安全性とテナント分離も試す
  • 納品物:DB設計書と運用手順書の受け取り

リリース後の運用・保守体制

進捗は、SlackやJiraに加えて、Linear、Asana、Notionでも共有します。

  • 運用:24時間365日の監視と、SLAの取り決め
  • 引き継ぎ:IaCとバックアップを整え、担当が替わっても対応できるようにする

管理は、日常の共有とフォーマルな報告の2層で行います。週次報告と2週間ごとのレビューで、課題と優先順位を確認します。

FigmaとGitHubのレビューでは、Pull Requestの内容を確かめます。加えて、API、テスト、ステージングも確認します。

検収では、Stripeやメール、外部APIとの連携を確かめます。テナント分離とGitHubでの納品も確認します。

納品後は、障害が起きたときの復旧の流れを設計します。保守は準委任で月額を固定し、IaCと文書化で依存を減らします。

契約の確認は、観点ごとに順番に合意します。

プロダクトのConceptを決めたら、IT部門とも価値を共有しておきます。

OSSの利用条件や、Proof of Concept(PoC)の扱いを確認します。UI/UX(UIとUX)の設計と、Figmaによる設計も、発注条件に含めます。

ポイント

納品では機能と性能、安全性、テナント分離を実際に試してから検収します。納品後の復旧や保守の体制、引き継ぎ用の文書も、運用の前にそろえておきます。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。