人材業界向けのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

人材業界向けシステム開発を外部の開発会社に外注・発注・依頼・委託するには、社内の準備、開発会社の探し方と絞り込み、契約形態の選択、発注後の管理の順で進めます。

初めての外注では、発注先や契約形態、発注後の管理で迷いやすいものです。全体像は、次の全体ガイドにまとめています。

▼全体ガイドの記事
・人材業界向けのシステム開発の完全ガイド

人材業界向けシステム開発を外注する前の準備

外注前に整理する業務要件、社内体制、予算・スケジュールの目安を3枚のカードで示した図解
3つの準備をそろえると、提案を比べやすくなります。

外注の前に、自社で決めておくべきことがあります。準備が不十分なまま外注を始めると、認識のずれや手戻りが生じ、コストやスケジュールに大きな影響が出ます。そのため、発注前には、業務要件、社内体制、予算・スケジュールの3点を整えておく必要があります。

自社の業務要件と課題の整理

外注前に最も大切なのは、業務要件と解決したい課題を明確にすることです。そのためには、現在の業務のどこに問題があるか、システム化で何を実現したいか、誰がどのようにシステムを使うのかを言葉にしておきます。

たとえば、人材業界向けシステムでは、「求職者データが複数のExcelに散在しており、情報の一元管理ができていない」といった課題があります。ほかにも、「派遣スタッフの勤怠データを手入力しており、給与計算に多くの工数がかかっている」や「選考進捗の可視化ができず、コーディネーターごとに管理方法が異なる」のような課題が挙げられます。

そのうえで、どの課題をシステムで解決するかの優先順位をつけておくと、開発会社への発注がスムーズになります。

社内体制の整備と窓口担当者の設置

外注では、社内の窓口担当者(プロジェクトオーナー・プロジェクトマネージャー)を明確に決めておくことが大切です。この担当者は、発注者側の責任者として、開発会社への要件の伝達や仕様の確認、進捗管理、社内調整を担います。

社内にシステム開発の知識を持つ人がいない場合は、開発会社のPMO支援サービスを使うか、ITコーディネーターなどの専門家に支援を頼むのも有効です。

現場の業務担当者(求人・求職者管理の担当者、派遣スタッフ管理の担当者など)を要件定義やテストの工程に参加させると、現場のニーズに合ったシステムを作りやすくなります。さらに、法令対応に関わる要件では、法務・コンプライアンス担当者とも連携できる体制が望ましいです。

予算・スケジュールの目安の設定

外注の前に、予算とスケジュールの目安を設定しておくことも大切です。予算は「どのくらいまでなら投資できるか」の上限を、スケジュールは「いつまでにシステムを稼働させる必要があるか」の目標日を決めておきます。

目安がないまま開発会社に相談すると、提案の精度が下がり、比較検討も難しくなります。ただし、予算とスケジュールは、開発会社との協議のなかで調整する前提で、あくまで「目安」として設定する柔軟さも必要です。

特にスケジュールは、繁忙期(年度替わりなど)のリリースを避けるなど、業務上の制約も考慮して決めます。

ポイント

業務課題、社内体制、予算・スケジュールの目安のどれかが決まっていない段階では、開発会社に相談する前に社内で整理しておくと、提案を比べやすくなります。

外注の方法と開発会社の探し方

開発会社の探し方としてインターネット検索、IT系マッチングサービス、業界団体・展示会、知人からの紹介を示すハブ図
複数の経路を組み合わせると候補を探しやすくなります。

人材業界向けシステム開発の外注先は、いくつかの方法で探せます。自社の状況・要件・予算に合わせて、適した方法を選びます。

開発会社の主な探し方

開発会社を探す主な方法の第一は「インターネット検索」です。「人材業界 システム開発」「人材派遣 システム 開発会社」などのキーワードで検索し、候補となる開発会社を探します。各社のウェブサイトで、実績・得意分野・事例を確認します。

第二は「IT系マッチングサービス」です。発注ナビ、ITトレンド、ソフトウェア比較サイトなど、システム開発会社を一覧で比べられるサービスを使うと、条件に合う会社を効率よく探せます。

第三は「業界団体・展示会」です。人材業界の展示会(HR Techカンファレンスなど)やIT系展示会(Japan IT Weekなど)では、人材業界向けシステムに強い開発会社と直接会って話を聞けます。第四は「知人・業界仲間からの紹介」です。同業他社が利用している開発会社を紹介してもらえるため、信頼性の高い情報を得やすいです。

候補会社の絞り込みと選定プロセス

候補の開発会社が見つかったら、順番に絞り込んでいきます。まず、候補会社(5〜10社程度)にRFI(Request For Information:情報提供依頼書)を送り、会社概要・実績・技術スタック・体制・サービス概要などの基本情報を集めます。

次に、RFIへの回答内容を評価し、3〜5社程度に絞り込んだうえで、RFP(提案依頼書)を送ります。RFPへの提案書・見積書を受け取ったら、提案内容・費用・スケジュール・体制などを評価基準に沿って比較し、1〜2社に絞り込みます。

最後に、選んだ会社とデモ・ヒアリングを行い、担当者との相性やコミュニケーションのしやすさも含めて最終決定します。

ポイント

探し方は複数を組み合わせ、RFIとRFPの回答を実績・提案・費用で比べながら、候補を1〜2社に絞るのが目安です。

契約形態の選び方(請負契約 vs 準委任契約)

システム開発の外注で使う契約形態は、主に「請負契約」と「準委任契約」の2種類です。それぞれの特徴を知ったうえで、プロジェクトの状況に合う契約形態を選びます。

請負契約(固定金額型)

請負契約とは、開発会社が成果物(システム)の完成を約束し、発注者がその対価として報酬を支払う契約形態です。契約時に開発範囲・費用・納期を固定するため、発注者は予算とスケジュールを見通しやすいというメリットがあります。また、開発会社は成果物を完成させる責任(瑕疵担保責任)を負うため、品質面での担保も得やすいです。

一方で、要件が明確に決まっていないと、開発途中での仕様変更・追加が発生した場合に追加費用が生じる可能性があります。さらに、要件定義の段階で曖昧な部分があると、発注者と開発会社の間で認識のずれが生じやすい点にも注意が必要です。要件が明確で変更の少ないプロジェクトに向いています。

準委任契約(時間工数型)

準委任契約とは、開発会社が一定の業務(開発作業)を遂行することを約束し、発注者がその対価として報酬を支払う契約形態です。実際に費やした工数(時間・人数)に応じて費用が発生します(タイム・アンド・マテリアル型)。

要件が変わっても柔軟に対応できるため、アジャイル開発手法との相性が良く、開発途中で仕様変更・追加が多いプロジェクトや、要件が流動的なプロジェクトに適しています。

ただし、費用の予測が難しく、工数が当初の見込みを超えるリスクがあります。準委任契約では、開発会社が成果物の完成責任を負わないため、発注者側での品質管理・進捗管理がより重要になります。

契約形態の選び分け

人材業界向けシステム開発では、プロジェクトの特性に応じて契約形態を選ぶことが大切です。目安としては、要件が明確なフェーズ(基本設計・詳細設計が完成した後の開発フェーズなど)は請負契約が、要件が流動的なフェーズ(要件定義・コンサルティングフェーズ)は準委任契約が適しています。

アジャイル開発でスプリントを繰り返しながら進める場合は、スプリントごとに準委任契約を結ぶ形態(ラボ型契約・ラボ開発)が普及しています。また、プロジェクト全体で請負と準委任を組み合わせることも一般的です(例:要件定義・設計フェーズは準委任、開発・テストフェーズは請負)。

どちらの契約形態が適切かは、開発会社との協議を通じて決めることをおすすめします。

ポイント

要件が明確な段階では請負契約、要件が流動的で変更が多い段階では準委任契約が、契約形態を選ぶ目安になります。

発注後のプロジェクト管理のポイント

発注後のプロジェクト管理で行う定例ミーティング、仕様変更・追加要件の管理、ユーザー受入テストを示す図解
進捗、変更、受入テストを並行して確認します。

開発会社への発注が済んだら、プロジェクトを成功させるための管理が欠かせません。発注者である自社と開発会社が緊密に連携して進めることが大切です。

定期的な進捗確認と密なコミュニケーション

発注後の管理では、定期的な進捗確認と密なコミュニケーションが欠かせません。週1回以上の定例ミーティングを設定し、進捗状況・課題・リスクを共有する習慣をつくります。

人材業界向けシステム開発では、法令への対応方法や業務フローの細部について、開発途中で確認や判断が必要な事項が多く出てきます。そのため、発注者が迅速に判断・回答できる体制を整えておくと、開発をスムーズに進めやすくなります。

進捗管理ツール(Jira・Backlog・Redmineなど)を使って、タスクの進捗・課題・変更履歴を記録しておくことも有効です。加えて、重要な決定事項は口頭で済ませず、文書化してメールでも記録しておきます。

仕様変更・追加要件の適切な管理

開発の途中で仕様変更や追加要件が出ることは珍しくありません。しかし、変更や追加を無制限に受け入れると、コストの超過、スケジュールの遅延、品質の低下を招きます。そのため、変更や追加が発生したら、その影響(コスト・スケジュール)を開発会社に確認したうえで、発注者側で優先度と要否を判断します。

軽微な変更と大きな変更は分けて、変更管理台帳などで記録・追跡しておくことも大切です。特に人材業界では、法改正への対応が急に必要になるケースがあるため、変更管理のプロセスを事前に決めておくことが求められます。

ユーザー受入テスト(UAT)の準備と実施

開発完了後のユーザー受入テスト(UAT:User Acceptance Testing)は、発注者側の責任で行う重要な工程です。実際の業務担当者がシステムを操作し、業務要件どおりに動くかを確認します。テスト内容は、事前にテストシナリオ・テストケースとして文書化し、結果も記録しておくことが大切です。

人材業界向けシステムでは、実際の業務フローに沿ってUATシナリオを作ります。たとえば、求人・求職者のデータ登録や選考プロセスの管理が対象になります。このほかにも、次の業務フローが対象になります。

  • 求人・求職者の検索・マッチング
  • 派遣スタッフの就業管理
  • 勤怠打刻
  • 給与計算

UATで見つかった不具合は、修正後に再テストを行い、問題がないことを確認してからリリースを承認します。

ポイント

仕様変更の判断や不具合への回答を、発注者側で迅速に返せる体制があるかどうかが、発注後の進み方を見る目安になります。

まとめ

ここまで、人材業界向けシステム開発の発注・外注・委託の進め方を見てきました。発注前の準備が整っているかどうかで、その後の進み方が変わります。

外注の流れは、準備・選定・運用の3段階に分けて確認できます。

  • 準備:業務課題・社内体制・予算・スケジュールの整理
  • 選定:複数社の実績・提案・契約条件の比較
  • 運用:進捗・仕様変更・受入テストの継続的な確認

候補の開発会社は、インターネット検索、マッチングサービス、紹介などを組み合わせて探すと、比べやすくなります。

契約形態は、要件の明確さと変更の頻度を見て、請負契約と準委任契約のどちらが合うかを決めます。

人材業界向けシステム開発の外注・発注について具体的に相談したい方は、ぜひriplaにお問い合わせください。

人材業界向けシステム開発のご相談窓口(ripla)

人材業界向けのシステム開発でお困りの方は、株式会社riplaにご相談ください。riplaは、人材業界の業務プロセスへの深い理解と豊富なシステム開発実績を持つSIerです。

求人・求職者管理から、採用管理・雇用管理・スキルマネジメントまで幅広いシステム開発を支援しています。要件定義から設計・開発・保守運用まで、一貫してサポートします。

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株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。