人材業界向けのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

人材業界向けシステム開発は、要件定義から運用保守までの工程で進みます。業務課題と利用者を起点に要件を整理し、段階的に検証しながら進めることが大切です。

業界特有の法規制や複雑な業務プロセスへの対応が必要なため、一般的な開発より検討事項が多くなります。このため、どの手順で何から始めればよいか分からず、戸惑う担当者も少なくありません。

全体像から各工程の進め方、失敗を防ぐポイントまで、順に説明します。

  • 人材業界向けシステム開発の全体像
  • 要件定義からリリース・運用までの進め方
  • 開発を成功させるための重要なポイント
  • 開発パートナー選定と段階的なリリース

テーマ全体の解説は、次の記事をご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・人材業界向けのシステム開発の完全ガイド

人材業界向けシステム開発の全体像

人材業界で使われる求人・求職者管理、人材紹介管理、人材派遣管理、タレントマネジメントの4種類を示す図。
業務領域ごとにシステムの役割を見分けられます。

人材業界向けシステム開発とは、人材紹介・人材派遣・採用支援・HRテックなどのビジネスモデルに特化したITシステムを構築することです。

人材業界向けシステムには、業務の効率化・自動化・高度化を目的とした多様なシステムが含まれます。具体的には、求人・求職者管理システム(ATS)、人材紹介管理システム、人材派遣管理システム、タレントマネジメントシステムなどです。

人材業界はBtoB(企業クライアント向け)とBtoC(求職者・派遣スタッフ向け)の二面性を持つため、双方のユーザー体験を考えた設計が必要です。

人材業界で開発される主なシステムの種類

人材業界で開発・導入されるシステムには、いくつかの主な種類があります。求人・求職者管理システム(ATS: Applicant Tracking System)は、求人情報の登録・管理から応募者の選考進捗管理まで一元的に管理するシステムです。

人材紹介管理システムは、求職者と求人企業のマッチング・選考管理・内定管理・入社後フォローまでを支援します。人材派遣管理システムは、派遣スタッフの登録・就業管理・シフト管理・勤怠管理・給与計算などをカバーします。さらに、企業クライアント向けのCRMシステムや、タレントマネジメントシステム、法令対応システム(労働者派遣法・職業安定法対応)なども重要なシステムです。

開発アプローチの種類と選び方

人材業界向けシステムの開発アプローチは、大きく「スクラッチ開発」「パッケージ導入・カスタマイズ」「SaaS活用」の3種類に分けられます。スクラッチ開発は、自社の業務プロセスに完全に合わせたシステムを一から構築する方法です。自由度が高い反面、コストと期間がかかります。

パッケージ導入・カスタマイズは、既存の人材業界向けパッケージソフトをベースに独自要件を追加する方法で、コストと期間のバランスが取れています。

一方、SaaS活用は、クラウド型のサービスをそのまま利用する方法です。初期コストを抑えられますが、カスタマイズの自由度が低い場合があります。そのうえで、自社のビジネスモデルや予算・スケジュールに合わせて最適なアプローチを選ぶことが重要です。

人材業界特有の開発上の考慮事項

人材業界向けシステム開発では、一般的なシステム開発では考える必要のない特有の事項があります。まず、個人情報(求職者・派遣スタッフの氏名・住所・経歴・スキルなど)を大量に管理するため、個人情報保護法への対応が必須です。次に、労働者派遣法・職業安定法など業界特有の法令への対応も求められます。

また、求人数や求職者数に季節変動(年度替わりや繁閑期)があるため、それに対応できるスケーラビリティが必要です。求職者・企業クライアントの双方が使いやすいUI/UXの設計や、モバイル対応(スマートフォンからのアクセスへの対応)も、重要な考慮事項です。これらを事前に整理してから開発を進めることが、成功への近道です。

ポイント

開発手法は3つあり、自社のビジネスモデルや予算・スケジュールに合わせて選ぶのが目安です。BtoBとBtoCの二面性も、最初の設計で考えておきます。

人材業界向けシステム開発の進め方(各工程の詳細)

要件定義、基本設計・詳細設計、開発・テスト、リリース・運用保守の順に進むシステム開発工程の図。
各工程で業務プロセスと法令対応を確認します。

工程の順番は一般的なシステム開発と同じです。まず要件定義と基本設計、詳細設計で内容を固め、次に開発とテストを行います。最後にリリースし、その後は運用保守に移ります。

ただし、業務プロセスや法令への対応は工程ごとに考える必要があります。各工程の内容と注意点を、順に見ていきます。

Step1. 要件定義:業務要件と非機能要件の整理

要件定義は、システム開発の成否を左右する最も重要な工程です。人材業界向けシステムでは、まず現状の業務フローを詳しくヒアリングし、「どの業務をシステム化するのか」「システム化によってどのような効果を期待するのか」を発注側と開発会社で明確にします。

具体的には、求人登録から内定・入社までの採用フロー、派遣スタッフの登録から就業・給与支払いまでの派遣フロー、企業クライアントとのやり取りのフローなどを整理します。また、法令対応要件(派遣法の60日ルール対応、36協定管理など)、データ件数やアクセス数などの非機能要件、他システムとの連携要件も、要件定義に含めます。

発注者(自社)と開発会社は、要件定義書を作成し、双方で内容を確認・合意することが重要です。

Step2. 基本設計・詳細設計:システム構成と画面・機能の設計

要件定義で整理した内容をもとに、システムの全体構成とアーキテクチャを決めるのが基本設計です。人材業界向けシステムでは、この段階で画面設計、データベースのテーブル設計、外部システムとの連携インターフェース設計などを行います。

画面は、求職者ポータル、企業クライアント向け管理画面、社内スタッフ向け管理画面などを設計します。テーブルには、求職者情報・求人情報・選考履歴・就業記録などを盛り込みます。給与計算システム、メール配信システム、SMS配信システムなどとの連携インターフェースも設計します。

詳細設計では、各画面の入力項目・表示項目・バリデーションルール、各機能の処理ロジック、エラーハンドリングなどを、より細かく定義します。セキュリティ要件(個人情報の暗号化・アクセス権限管理)も、詳細設計で具体化します。

Step3. 開発・テスト:実装と品質確認

設計書に基づいてシステムを実装するのが開発工程です。アジャイル開発手法を採用する場合は、機能を小単位に分割し、スプリントごとに開発と確認を繰り返します。一方、ウォーターフォール型の場合は、設計が完了してから一括で開発を進めます。

テスト工程では、単体テスト、結合テスト、システムテスト、ユーザー受入テストを順に行います。単体テストは各機能の動作確認、結合テストは複数機能の連携確認、システムテストはシステム全体の動作確認です。ユーザー受入テストは、実際の業務担当者が確認します。

特に、人材業界向けシステムでは、個人情報の取り扱いに関するセキュリティテスト、大量データでのパフォーマンステスト、アクセス権限の動作確認なども重要なテスト項目です。

Step4. リリース・運用保守:本番稼働と継続的改善

テストが完了したら、システムを本番環境にリリースします。本番稼働の前には、データ移行(既存システムのデータを新システムに移行する作業)を進めます。あわせて、ユーザー向けのマニュアル整備と操作トレーニング、カットオーバー計画の策定(いつ・どのように新システムに切り替えるか)も準備します。

リリース後は運用保守の工程に入ります。監視や障害対応を続けて安定稼働を保つとともに、法改正(労働者派遣法・職業安定法など)への対応や、ビジネスの成長に合わせた機能追加・改善を継続的に行います。

人材業界は法改正が比較的多い業界であるため、法改正に素早く対応できる体制を、あらかじめ整えておくことが大切です。

ポイント

各工程で、人材業界特有の業務プロセスや法令への対応を考えることが目安です。特に要件定義で、業務フローと非機能要件を揃えておくことが大切です。

人材業界向けシステム開発で失敗しないポイント

失敗を防ぐ対策として、要件定義の徹底、業務知識を持つ開発パートナーの選定、段階的なリリースを示すチェックリスト。
3つの観点を開発計画に組み込めます。

人材業界向けシステム開発プロジェクトが失敗するケースには、いくつかの共通パターンがあります。それを防ぐための重要なポイントを、順に見ていきます。

要件定義の徹底

システム開発の失敗の多くは、要件定義が不十分であることに起因します。人材業界向けシステムは業務が複雑なため要件の抜け漏れが起きやすく、現場の業務担当者を含めた丁寧なヒアリングが必要です。

要件定義書には、「誰が」「どのような状況で」「何をしたいのか」を具体的に書きます。そのうえで業務フロー図や画面イメージ(ワイヤーフレーム)を作成すれば、認識のずれを防げます。また、法令対応要件(労働者派遣法・個人情報保護法への対応)は見落としが起きやすいため、法務担当者にも要件定義に加わってもらうことが望ましいです。

要件定義書は、発注者と開発会社の双方が合意・署名してから次工程に進みます。そうすることで、後からの仕様変更や追加開発によるコスト増、スケジュール遅延を防げます。

人材業界の業務知識を持つ開発パートナーの選定

人材業界向けシステム開発では、技術力だけでなく、人材業界の業務知識を持つ開発パートナーを選ぶことが重要です。たとえば、労働者派遣法・職業安定法・個人情報保護法などの法令知識や、採用フロー・派遣フローなどの業務プロセス知識を持つ開発会社なら、要件定義の段階から的確なアドバイスを得られます。

開発パートナーを選ぶ際は、人材業界での開発実績、導入事例、担当者の業界知識などを確認するとよいでしょう。

開発後の運用保守や法改正対応まで一気通貫でサポートできる開発パートナーは、長期的な視点でシステムを活用しやすくなります。

段階的なリリースによる早期の効果実感

大規模なシステムを一度にリリースしようとすると、開発期間が長くなり、ビジネス環境の変化への対応が難しくなります。また、リリース後に大量の不具合が見つかるリスクも高まります。

そこで、人材業界向けシステムでは、段階的なリリース戦略が有効です。コア機能(例:求人・求職者管理)から優先して開発・リリースし、その後に付加機能(例:マッチングアルゴリズム・分析ダッシュボード)を順次追加していきます。

段階的なリリースにより、早期に業務効率化の効果を実感できます。あわせて、実際に使った現場からのフィードバックを次の開発に活かせます。

ポイント

要件定義を徹底して抜け漏れを減らし、業務知識のあるパートナーを選び、コア機能から段階的にリリースすることが、失敗を防ぐ目安です。

まとめ

各工程では、人材業界特有の業務プロセスや法令への対応を考えることが求められます。そのうえで、開発を成功させるには、要件定義を徹底すること、人材業界の業務知識を持つ開発パートナーを選ぶこと、段階的なリリースを採用することが大切です。

人材業界向けシステム開発を検討する場合は、まず自社の業務課題と開発目標を明確にし、信頼できる開発パートナーに相談することをおすすめします。

人材業界向けシステム開発のご相談先(ripla)

人材業界向けのシステム開発でお困りの方は、ぜひ株式会社riplaにご相談ください。riplaは、人材業界の業務プロセスへの深い理解と豊富なシステム開発実績を持つSIerです。

求人・求職者管理から、採用管理・雇用管理・スキルマネジメントまで幅広いシステム開発をご支援します。要件定義から設計・開発・保守運用まで一気通貫でサポートします。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。