シフト管理システムの導入/開発事例や活用/成功事例について

シフト管理システムは、希望の収集、配置条件の整理、勤怠連携の順に進めると、現場の負担を減らせます。近い業態の事例は、投資判断の材料としても役立ちます。

導入・開発・活用の事例からは、着手点と狙える効果が見えてきます。全体像はシフト管理システムの完全ガイドもご覧ください。

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Excel・紙脱却でシフト作成を効率化した事例

Excelや紙からの脱却による希望の集約、シフト作成時間の削減、確定後の共有を3つのパネルで示した図。
希望を集めてから確定を伝えるまで、改善点がつながります。

小売・飲食、医療・介護の現場では、店長やリーダーが紙やExcelで希望を集め、人数を調整していることがあります。手作業のシフト作成は、管理者の長時間労働やヒューマンエラーにつながりやすい業務です。そのため、システム導入で分かりやすい成果が出やすいのは、Excelや手書き紙からの脱却です。

シフト作成時間を月数時間削減した試算

Excelや紙からの移行効果を具体的に示すのが、シフト作成時間の削減です。たとえば、希望シフトを従業員がスマホから入力し、下書きに反映すれば、希望の集約や並べ替えの手間を減らせます。

紙の集計を時給3,000円、1人あたり月約30分(約1,500円)とすると、100名規模では月5万円相当になります。また、この集計作業は、システム導入でほぼ自動化できます。

削減効果を漠然とした効率化で終わらせず、自社の作業時間に当てはめて数字にしておくことが大切です。概算には、次の要素を使います。

  • 店舗数:対象となる店舗の数
  • 作成時間:店舗ごとのシフト作成にかかる時間
  • 人件費単価:管理者の時間あたりの人件費

たとえば、月8時間の作成が2時間になり、10店舗で実現すると、月60時間、年720時間を削減できます。時給3,000円で換算すると年216万円相当になり、月額が1ユーザー数百円規模なら、短期での回収も視野に入ります。

事例を読むときも、こうした数字を自社に置き換えて確認してください。

記入ミス・連絡漏れを減らして定着した事例

Excelや紙からの脱却は、管理者の工数削減だけでなく、希望収集と確定通知のデジタル化で双方向に効率化します。

  • 記入ミス:手書き希望表の読み違いによる出勤者の間違い
  • 連絡漏れ:確定シフトの一斉通知で掲示の見落としや連絡網の遅れを防ぐ
  • 問い合わせ:いつでも勤務予定をスマホで確認でき、開始時刻や翌週のシフトの質問が減る

確定したシフトは、スマホのプッシュ通知やメールで一斉に伝えられます。店長は、その分の時間を接客や育成、売上づくりといった本来のマネジメントに使えます。さらに、店長が店舗運営の質を高められた事例もあり、効果は単なる省力化にとどまりません。

ポイント

作成時間や連絡漏れを、自社の店舗数や作業量に当てはめて数字にできるかが、導入範囲を決める目安になります。測れる部分から始めると、効果を追いやすくなります。

希望休・ヘルプ要員の調整を実装した事例

希望休とヘルプ要員の調整に必要な配置条件、希望反映、配置漏れ防止を示すチェックリスト図。
条件をそろえると、配置提案の前提が見えます。

希望休を公平に調整することと、急な欠勤を穴埋めすることは、シフト管理を勤怠管理と分けて考えるうえで難しい点です。そこで、導入事例では希望の調整とヘルプ要員の手当てを丁寧に設計し、現場で使える運用へつなげています。

希望休とスキル要件を自動で突き合わせた事例

希望休を反映しつつ必要要件を満たす配置を手作業で組むのは難しく、条件整理が欠かせません。

  • 配置条件:レジ、ホール、夜勤、資格などのスキルや勤務条件
  • 希望反映:従業員ごとのスキル・勤務条件を登録し、希望休と必要人数・スキルに合う配置を提案
  • 配置漏れ防止:資格者がいない時間帯をアラートで知らせる

配置の提案を正しく働かせるには、前提となる情報を先にそろえておく必要があります。従業員マスタには、スキルや契約上の勤務上限、希望条件を持たせ、時間帯ごとの必要人数もルールとして決めておきます。

雇用形態が多様な現場ほど、条件設定に作り込みが要ります。そこで、業務スキルと時間帯ごとの最低人数を洗い出しておきます。

条件が曖昧なままだと、シフトを手で直す作業が増え、効率化の効果が損なわれます。そのため、導入前に条件を要件としてまとめておくことが、手戻りを防ぐことにつながります。

急な欠勤の穴埋めを通知で素早く解決した事例

当日の急な欠勤への対応は、シフト運用の要点です。従来の個別連絡から、候補者への一斉募集に切り替えられます。

  • 従来の連絡:店長が出勤可能な人へ電話やLINEで個別に依頼
  • 一斉募集:欠員時間帯の出勤可能なメンバーへ通知し、応募者を承認
  • 店舗間応援:複数店舗では近隣の余剰人員と欠員店舗をマッチング

候補者をシステムで絞り込めるため、店長の記憶に頼らずに対応でき、欠勤時の補充も速められます。また、店舗をまたぐ応援の時間を給与や人件費の按分に反映すれば、店舗間ヘルプを、エリア全体の人件費を見直す取り組みにつなげられます。

システム活用の中核は、希望休を公平に反映することと、欠勤や欠員へ速やかに対応することです。

希望調整の公平化で離職を抑えた事例

希望休の調整を記録し、反映状況を見えるようにすると、公平性と定着の両方を支えられます。

  • 課題:紙やExcelの属人調整で希望が偏り、不満や離職につながることがある
  • 記録:希望提出や確定の過程を残し、希望の反映状況を見えるようにする
  • 働きやすさ:学生や副業を持つ人など、多様な働き方の希望を反映する

従業員は判断の経緯を確認できるため、納得しやすくなり、シフトをめぐる対立も減りました。人手不足が深刻な業態ほど、公平性と柔軟性が採用や定着の競争力に直結します。

たとえば、ある事例では、希望を出しやすくし、公平に調整したことで、アルバイトの定着率が改善し、採用コストも下がりました。システムの効果は、管理者の工数削減に加えて、現場で働く人の満足度向上にも広がります。

ポイント

希望休とヘルプの実態を先に整理できるかが、システムに求める機能を決める目安です。条件が曖昧なままでは、手で修正する作業が残ってしまいます。

勤怠・給与計算と連携して二重入力をなくした事例

勤怠・給与計算との連携は、シフト管理システムの投資効果を大きく高めます。Excelへの転記や給与ソフトへの手入力も減らせます。

二重入力がなくなれば、計算ミスや残業代の差異を抑えられます。こうした点が、現場が投資に踏み切る最大の理由です。

予定と実績の差異を可視化して人件費を管理した事例

成功事例では、シフトを出勤表としてだけでなく、人件費を管理する起点として扱っています。

  • 差異の把握:同じ基盤で早出や残業をリアルタイムに確認
  • 人件費の比較:予定と実績を日次・週次で比べ、人件費率や人時生産性を店舗別に見えるようにする
  • 配置の見直し:予定超過は確定前に警告し、実績との差が大きい場合も通知

その結果、時間帯ごとの過剰配置や人手不足を数字で捉えられ、シフトの組み方を継続して改善できます。

月末の給与計算を終えてから超過に気づくような後手の管理から脱却できます。また、手集計では残業代に月10万円規模の誤差が出ることもあります。連携による自動計算は、入力ミスを防ぐことと人件費を管理することの両方に役立ちます。

SaaSから自社開発へ乗り換えてTCOを抑えた事例

すべての企業が最初から自社開発するわけではありません。たとえば、小規模でSaaSを始め、規模が広がってから乗り換えた事例もあります。

  • 少人数のSaaS:月額は1ユーザー300〜500円が中心、29社調査の平均単価は約290円
  • 人数増加:従業員が50名、100名と増えると、年額が数十万円規模になることがある
  • ノーコード受託:初期100万〜300万円、月額1万〜3万円程度でユーザー数無制限の固定費
  • 移行の条件:SaaSで独自の勤務ルールや店舗間ヘルプを満たせない場合

少人数の間は従量課金で手軽に始められ、乗り換えの時期は5年TCO(総保有コスト)で比べます。試算では、ノーコード受託(Bubble等)は50名以上でSaaSより有利とされています。

導入方法と乗り換えの時期は、従業員数の伸びと要件の特殊性を踏まえて決めます。

ポイント

二重入力や手集計の誤差がどれくらい起きているかを数えると、連携に投資する目安が見えてきます。SaaSから乗り換える時期は、従業員数の伸びを踏まえて5年TCOで比べます。

業種別の活用事例と定着までの並行運用

業種ごとの活用として、時間帯配置、多店舗ヘルプ、夜勤や資格配置、過去の入電量を4つのパネルで示した図。
配置の工夫は、業務量や資格要件に合わせて分かれます。

シフト管理の課題や成果は業種によって異なります。小売・飲食、医療・介護、コールセンターでは、活用の仕方も変わります。

業種ごとの条件には、時間帯による業務量の波、24時間体制と資格配置、呼量の予測による要員計画などがあります。また、稼働直後に旧来の方法と並行運用することは、現場への定着に共通して重要です。

小売・医療・コールセンターの活用事例

業種別の活用では、需要や配置条件に応じたシフト運用が成果につながります。

  • 時間帯配置:売上や来客実績を見て、ピーク時は厚く、閑散時は薄く配置
  • 多店舗ヘルプ:チェーン各店が人員を融通し、抱え込みを減らす事例
  • 医療・介護:夜勤や資格配置に合わせ、有資格者を各時間帯に配置
  • コールセンター:過去の入電量から必要席数を予測し、シフトを計画

来客予測とシフトを連動させると、人時生産性が高まり、サービス品質と人件費の両立にもつながります。

いずれも、固有の配置ルールや予測の仕組みを再現できるかどうかで成否が決まります。このため、汎用のSaaSで表現しきれない要件には、柔軟な作り込みが選ばれる傾向があります。

並行運用で現場に定着させた事例

高機能なシステムでも、現場が使わなければ投資効果は得られません。そこで、一部から導入し、段階的に運用を広げていきます。

  • 小さく試す:一部の店舗や業務から始め、旧来の方法と並行運用
  • 現場に定着:小さな成功で抵抗感を和らげてから全店へ展開
  • 操作性を確かめる:無料トライアルを使い、現場の声を運用ルールに反映

アルバイトの入れ替わりが多い現場では、新しく入った人も迷わず操作できることが、定着の条件になります。

riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発の立場から、業務に基づいて要件を整理することと、定着まで支援することを重視しています。並行運用には二重の手間がかかり、一次データでは、移行や初期設定が難航し、安定稼働まで2か月との調査もあります。

切り替えには助走期間が必要です。そのため、並行運用に手間をかけることが、定着につながります。

事例を読むときは、華やかな機能よりも、現場で使われた理由に注目すると、失敗を避けやすくなります。

ポイント

業種ごとの配置条件を先に書き出し、稼働直後に旧来の方法と並行運用できるかが、定着の目安になります。固有のルールが多いなら、柔軟な作り込みも候補です。

まとめ

成功の鍵は、希望調整とヘルプの実態から設計し、作成時間の削減で効果を測り、勤怠・給与連携へ段階的に広げることです。

Excelや紙からの脱却は、作成時間と連絡漏れの改善を数値で確かめられます。配置条件の整理と通知は、希望休や欠勤への対応を支えます。

勤怠・給与連携は、二重入力の解消と人件費の管理に役立ちます。SaaSの従量課金は人数が増えると膨らむため、5年TCOで移行時期を見極めます。

事例を読むときは、機能よりも現場で使われた理由に目を向けます。そのうえで、店舗数、雇用形態、勤務ルールに照らして導入範囲を決めます。まずは、シフト作成と希望収集をデジタル化し、現場が使えるところから進めます。

riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、固有の勤務ルールに沿った要件の整理から、定着するシステムづくりまでを支援しています。全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。