ソフトウェア運用保守の必要機能や標準機能の一覧について

ソフトウェア運用保守の契約を検討するとき、「そもそも運用保守とは具体的に何をやってくれるサービスなのか」「どこまでが標準で含まれ、どこからが追加費用になるのか」が見えにくい、と感じる担当者は少なくありません。運用保守は、開発のように目に見える成果物が残りにくいため、提供される機能や役割が曖昧なまま契約してしまい、「思っていたことをやってもらえない」というすれ違いが起きがちです。だからこそ、運用保守が提供する機能の全体像を、標準機能と必要機能に分けて理解しておくことが重要になります。

本記事は、ソフトウェア運用保守が提供する機能と役割を「機能特化」で整理する解説です。ここでいう機能とは、システムの画面機能ではなく、運用保守というサービスがカバーする監視・バックアップ・障害対応・SLA管理・定期メンテナンス・アップデート/リリース管理・AIOpsによる自動検知といった役割の総体を指します。各機能が標準でどこまで含まれ、どこからが必要に応じた追加機能になるのかを、費用内訳とあわせて具体的に解説します。読み終えるころには、契約書のサービス範囲を読み解く目が養われるはずです。なお、運用保守の全体像をまだ把握していない方は、まずソフトウェア運用保守の完全ガイドから読むことをおすすめします。

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運用が提供する標準機能(監視・バックアップ)

運用が提供する標準機能(監視・バックアップ)のイメージ

ソフトウェア運用保守は、大きく「運用」と「保守」に分かれます。運用は、システムを安定して動かし続けるための定型業務で、監視・バックアップ・定型オペレーションが中心です。保守は、不具合の修正や改善といった、システムに手を加える業務を指します。まず運用側の標準機能から見ていきましょう。これらは多くの契約で月額に含まれる、運用保守の土台となる機能です。

稼働監視・リソース監視という標準機能

監視は、運用保守のもっとも基本的な標準機能です。具体的には、システムが正常に応答しているかを確認する死活監視、CPUやメモリ、ディスク容量といったサーバーリソースの監視、エラーログの監視などがあります。これらを常時行い、閾値を超えたりサービスが停止したりした際にアラートを発報します。監視は保守費の内訳のなかで15〜25%を占めるとされ(出典:ripla)、運用保守の費用の主要な構成要素です。

監視機能を評価するうえで確認したいのが、監視の対象範囲と頻度、そしてアラート発報後の対応です。死活監視だけなのか、リソースやアプリケーションのエラーまで監視するのか、監視は二十四時間三百六十五日なのか平日日中のみなのかで、提供される価値は大きく変わります。さらに、アラートを検知した後に運用保守チームが一次対応まで行うのか、検知して連絡するだけなのかも、契約上の重要な分岐点です。監視は「見るだけ」では意味がなく、検知から対応につながって初めて機能します。標準の監視がどこまでをカバーするのかを、契約前に明確にしておくことが欠かせません。

バックアップと定型運用という標準機能

バックアップは、データを定期的に取得・保管し、障害やデータ破損が起きた際に復元できるようにする機能です。日次でデータベースをバックアップする、世代管理で過去数世代を保持する、といった運用が一般的です。バックアップは平時には存在感がありませんが、いざデータが失われたときには事業の存続を左右する命綱になります。標準のバックアップが、どの範囲を、どの頻度で、どれだけの期間保管するのかは、必ず確認すべき項目です。

このほか運用の標準機能には、ログの取得・確認、定期的なジョブ実行の確認、利用者からの問い合わせへの一次対応などの定型運用が含まれます。問い合わせ対応は保守費の10〜20%を占めるとされ(出典:ripla)、利用者からの「使い方が分からない」「この操作はどうすればよいか」といった日々の問い合わせに窓口として応じる機能です。注意したいのは、バックアップ「取得」は標準でも、障害時の「復元(リストア)作業」は別費用、というケースがある点です。標準運用がどこまでを含むのかを、取得と復元、監視と対応のように、動詞のレベルで切り分けて確認することが、後のトラブルを防ぎます。

保守が提供する機能(障害対応・改修・アップデート)

保守が提供する機能(障害対応・改修・アップデート)のイメージ

保守は、システムに手を加えて正常な状態を維持・改善する機能群です。運用が「現状を保つ」のに対し、保守は「不具合を直し、変化に対応する」役割を担います。障害対応・軽微改修・アップデート/リリース管理が中心で、運用と比べて技術的な難易度が高く、提供範囲によって費用が大きく変わります。

障害対応とバグ修正という機能

障害対応は、保守の中核機能です。システムが停止したり誤動作したりした際に、原因を調査し、暫定的にサービスを復旧させ、再発を防ぐ恒久対応を行います。障害対応は保守費の内訳のなかで25〜35%という最大の比率を占めるとされ(出典:ripla)、保守機能の最重要要素です。障害対応の品質は、後述するSLA管理機能と密接に関わり、「いつまでに初報を返し、いつまでに復旧させるか」という時間の約束によって担保されます。

障害対応とあわせて重要なのが、軽微改修の機能です。軽微改修は、運用しながら出てくる小さな改善要望や、画面の文言修正、項目の追加といった、大規模開発には至らない範囲の修正を指します。保守費の10〜15%を占めるとされますが(出典:ripla)、ここで注意したいのは「どこまでが契約内の軽微改修で、どこからが別見積もりの開発か」の線引きです。この境界が曖昧だと、「これくらいやってくれると思っていた」という発注側と、「それは追加開発です」というベンダー側のすれ違いが頻発します。軽微改修の範囲を工数の目安などで定義しておくことが、運用後の摩擦を防ぎます。

アップデート・リリース管理という機能

現代のソフトウェア運用保守で重要性を増しているのが、アップデートとリリースの管理機能です。OSやミドルウェア、利用しているライブラリには、定期的にセキュリティ修正や機能更新が提供されます。これらを適切なタイミングで適用し、システムを安全な状態に保つのがアップデート対応です。脆弱性を放置すれば、不正アクセスや情報漏えいのリスクが高まるため、アップデート対応は運用保守の重要な役割の一つです。

リリース管理は、改修やアップデートを本番環境に反映する一連の作業を、安全に行うための機能です。修正を本番に適用する前にテスト環境で動作を確認し、影響範囲を見極め、問題があれば元に戻せるよう準備したうえで反映します。定期メンテナンスとして、計画的に作業時間を設けて反映する運用も一般的です。アップデートやリリースを場当たり的に行うと、修正のつもりが新たな障害を生むことがあります。テスト・反映・切り戻しの手順を整えたリリース管理機能があるかどうかは、運用保守の成熟度を測る一つの指標です。これらの機能をモダンなクラウド環境で自動化していく潮流については、次のセクションで扱います。

SLA管理とAIOps自動検知という機能

SLA管理とAIOps自動検知という機能のイメージ

運用と保守の個々の機能を束ね、サービスの品質として保証するのがSLA管理機能です。さらに近年は、AIや自動化を活用して監視・検知を高度化するAIOps(AIによるIT運用)が注目されています。運用保守の機能を、品質の約束と自動化という観点から見ていきましょう。

SLA管理・月次報告という機能

SLA(サービス品質保証)管理は、運用保守の品質を数値で約束し、その達成状況を測定・報告する機能です。代表的な指標として、稼働率99.9%(月の停止が約43分まで)や99.5%、障害時の初報応答が重大15分・通常2時間、エスカレーション30分、回答24時間、復旧が重大4時間・通常8時間といった水準が設定されます(出典:ripla)。SLA管理機能は、これらの目標値に対して実績がどうだったかを記録し、月次で報告します。管理報告は保守費の5〜10%を占めるとされる機能です(出典:ripla)。

SLA管理機能を評価する際は、「努力目標」なのか「保証(未達時にペナルティあり)」なのかを見極めることが重要です。多くの契約のSLAは努力目標であり、未達でも返金や減額が発生しないことがあります。保証型のSLAであれば、稼働率を下回った場合に月額の一定割合が減額されるといったペナルティ条項が付きます。月次報告で稼働率や障害件数、対応時間が定量的に開示されるかどうかは、運用保守が「やっています」という言葉ではなく数字で品質を示せるかの試金石です。SLA管理という機能の有無と中身が、運用保守の信頼性を大きく左右します。

AIOpsによる異常の自動検知という機能

近年の運用保守で進化が著しいのが、AIや機械学習を運用に取り入れるAIOpsです。従来の監視は、あらかじめ決めた閾値を超えたらアラートを出す方式が中心でした。AIOpsでは、過去のログやメトリクスのパターンを学習し、「いつもと違う」異常の兆候を自動で検知します。閾値の手前にある予兆を捉えられるため、障害が顕在化する前に対処できる可能性が高まります。AIや機械学習モデルを含むシステムの運用保守(MLOps保守)は月50万〜200万円が一つの相場とされ(出典:ripla)、高度な機能には相応の費用がかかります。

ただし、AIOpsを導入すれば運用が完全自動化されるわけではありません。自動検知された異常を最終的に判断し、対応するのは人であり、AIが誤った判定をすることもあります。AIOpsは、人の運用を置き換えるものではなく、人の判断を支援し、見落としを減らす機能と捉えるのが現実的です。riplaはフルスクラッチ受託と国内運用保守を組み合わせ、SaaSやクラウド、AI連携が前提となる現代のシステムを、自動化機能と人の判断を組み合わせて運用保守する立場を取っています。運用保守の機能は、監視・バックアップという土台から、SLA管理による品質保証、AIOpsによる自動化まで、層をなして発展しているのです。

標準機能と追加機能の境界を見極める

標準機能と追加機能の境界を見極めるイメージ

ここまで見てきた運用保守の各機能は、契約によって「月額の標準機能に含まれる範囲」と「必要に応じて別費用で提供する追加機能」の線引きが異なります。この境界を契約前に見極めることが、運用保守の機能を理解する最終的な目的です。同じ「監視」「障害対応」という言葉でも、どこまでが標準かは契約ごとに違うため、言葉だけで判断してはいけません。

費用内訳から標準機能の中身を読み解く

運用保守の機能の中身は、費用の内訳を見ると具体的に把握できます。保守費の内訳は、定期保守20〜30%、監視15〜25%、障害対応25〜35%、問い合わせ10〜20%、軽微改修10〜15%、管理報告5〜10%という構成が一般的です(出典:ripla)。この内訳に対して、自社が契約する月額がどの機能にいくら配分されているかを確認すると、「監視はどこまでの範囲か」「障害対応に十分な体制が割かれているか」が見えてきます。内訳が示されない「一式」の見積りでは、機能の中身が分からず、過不足を判断できません。

年間の運用保守費は開発費の15〜20%が目安とされ、規模別の月額は小規模5〜15万円、中規模15〜50万円、大規模50〜200万円以上が一つの相場です(出典:ripla)。自社のシステム規模に照らしてこの相場と内訳を当てはめると、提示された月額にどの機能がどこまで含まれているのかを逆算できます。費用と機能はセットで考えることで、「安いが監視が薄い」「高いが使わない機能まで含まれている」といったミスマッチを避けられます。

追加機能になりやすい作業を契約前に確認する

標準機能に含まれず、追加費用になりやすい作業を契約前に確認しておくことも重要です。代表的なのが、バックアップからの復元(リストア)作業、大規模な改修、OSSの脆弱性対応としての緊急アップデート、AIモデルの再学習などです。これらは「機能としては存在するが、月額には含まれない」ことが多く、いざ必要になったときに想定外の請求につながります。どの作業が標準で、どの作業が追加なのかを、作業項目ごとにリスト化して確認しておくと安心です。

あわせて、追加機能を依頼する際の単価ルールも事前に取り決めておきます。軽微改修を超える開発が必要になったとき、人月単価60万〜150万円(出典:ripla)といった相場を踏まえて、どう見積もられるのかを把握しておけば、追加依頼のたびに費用感に振り回されずに済みます。riplaはフルスクラッチ受託と国内運用保守を組み合わせ、標準機能と追加機能の境界を契約段階で明示し、内訳と単価を透明にする進め方を重視しています。運用保守の機能を理解するとは、各機能の中身を知ると同時に、その境界と費用を見極めることなのです。

まとめ

ソフトウェア運用保守の機能のまとめイメージ

ソフトウェア運用保守が提供する機能は、運用側の標準機能(監視15〜25%、バックアップや問い合わせ対応10〜20%)と、保守側の機能(障害対応25〜35%、軽微改修10〜15%、アップデート/リリース管理)、そして全体を束ねるSLA管理(管理報告5〜10%)とAIOpsによる自動検知という層構造で整理できます(内訳出典:ripla)。重要なのは、各機能が標準でどこまで含まれるかを「監視と対応」「バックアップ取得と復元」「軽微改修と追加開発」のように動詞のレベルで切り分け、SLAが努力目標か保証かを見極めることです。

運用保守の機能を理解しておくと、契約書のサービス範囲を読み解き、「思っていたことをやってもらえない」というすれ違いを未然に防げます。稼働率99.9%、初報15分、復旧4時間といったSLAの数値(出典:ripla)が、どの機能によって担保されるのかを把握しておくことが、安心して任せられる運用保守を選ぶ近道です。riplaはフルスクラッチ受託と国内運用保守を組み合わせ、監視からSLA管理、AIOpsまでの機能を、システムの特性に応じて設計・提供します。全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。