ソフトウェア運用保守の機能は、監視やバックアップなどの標準機能と、障害対応や改修などの保守機能に分けると見通しやすくなります。契約前に、対応範囲と追加費用の条件を確かめます。
標準機能と追加機能の境界を、費用の内訳とあわせて見ていきます。全体像は、ソフトウェア運用保守の完全ガイドもご覧ください。
- 運用機能:監視、バックアップ、ログ確認など、安定稼働を支える業務
- 保守機能:障害対応、軽微改修、アップデートなど、変化に対応する業務
- 品質管理:SLAや月次報告で、サービス水準を確認する業務
- 自動検知:AIOpsで異常の兆候を見つけ、対応を支援する機能
- 契約確認:標準範囲と追加費用の条件を、機能ごとに切り分ける確認
▼全体ガイドの記事
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運用が提供する標準機能(監視・バックアップ)

ソフトウェア運用保守は、大きく「運用」と「保守」に分かれます。運用は、システムを安定して動かし続けるための定型業務で、監視やバックアップ、定型オペレーションが中心です。
保守は、不具合の修正や改善といった、システムに手を加える業務を指します。まずは運用側の標準機能から見ていきます。なお、これらは多くの契約で月額に含まれ、運用保守の基本になる機能です。
稼働監視・リソース監視という標準機能
監視は、運用保守のもっとも基本的な標準機能です。具体的には、システムが正常に応答しているかを見る死活監視、CPUやメモリ、ディスク容量などのサーバーリソース監視、エラーログの監視などがあり、これらを常時行います。
閾値を超えたりサービスが停止したりした際には、アラートを発報します。また、監視は保守費の内訳のなかで15〜25%を占めるとされ(出典:ripla)、運用保守の費用の主要な構成要素です。
監視の評価では、対象範囲と頻度、アラート後の対応を見ます。死活監視だけか、エラーまで見るか、二十四時間三百六十五日か平日日中のみかで、提供される価値は大きく変わり、検知後に一次対応まで行うのか、連絡するだけなのかも、契約上の分岐点です。監視は検知から対応につながって初めて機能するため、標準の監視がどこまでカバーするかは契約前に明確にしておくことが欠かせません。
バックアップと定型運用という標準機能
バックアップは、データを定期的に取得・保管し、障害やデータ破損が起きた際に復元できるようにする機能です。日次でデータベースをバックアップする、世代管理で過去数世代を保持するといった運用が一般的です。ふだんは目立ちにくいものの、いざデータが失われたときには、事業の存続を左右する備えになります。
標準のバックアップは、どの範囲を、どの頻度で、どれだけの期間保管するのかを、必ず確かめたい項目です。注意したいのは、バックアップ「取得」は標準でも、障害時の「復元(リストア)作業」は別費用になるケースがある点です。そのため、取得と復元、監視と対応のように動詞のレベルで、どこまでが標準かを切り分けて確認することが、後のトラブルを防ぎます。
このほか運用の標準機能には、ログの取得・確認、定期的なジョブ実行の確認、利用者からの問い合わせへの一次対応などの定型運用が含まれます。特に問い合わせ対応は、保守費の10〜20%を占めるとされ(出典:ripla)、「使い方が分からない」「この操作はどうすればよいか」といった日々の問い合わせに、窓口として応じる機能です。
保守が提供する機能(障害対応・改修・アップデート)

保守は、システムに手を加えて正常な状態を維持・改善する機能群です。運用が現状を保つのに対し、保守は不具合を直し、変化に対応する役割を担います。
中心となるのは、障害対応、軽微改修、アップデート/リリース管理です。また、運用と比べて技術的な難易度が高く、提供範囲によって費用が大きく変わります。
障害対応とバグ修正という機能
障害対応は保守の中核で、停止や誤動作の際に原因を調査し、暫定的にサービスを復旧させ、再発を防ぐ恒久対応を行います。特に保守費の内訳では、25〜35%と最大の比率を占めるとされ(出典:ripla)、保守機能の最重要要素です。その品質は後述するSLA管理と密接に関わり、「いつまでに初報を返し、いつまでに復旧させるか」という時間の約束で担保されます。
障害対応とあわせて重要なのが軽微改修で、運用しながら出てくる小さな改善要望や、画面の文言修正、項目の追加など、大規模開発には至らない範囲の修正を指します。保守費の10〜15%を占めるとされますが(出典:ripla)、ここで注意したいのは、どこまでが契約内の軽微改修で、どこからが別見積もりの開発かの線引きです。
この境界が曖昧だと、「これくらいやってくれると思っていた」という発注側と、「それは追加開発です」というベンダー側のすれ違いが頻発します。そのため、軽微改修の範囲を工数の目安などで定義しておくことが、運用後の摩擦を防ぎます。
アップデート・リリース管理という機能
現代のソフトウェア運用保守で重要性を増しているのが、アップデートとリリースの管理です。たとえば、OSやミドルウェア、利用しているライブラリには、定期的にセキュリティ修正や機能更新が提供されます。これを適切なタイミングで適用し、システムを安全な状態に保つのがアップデート対応です。
脆弱性を放置すると不正アクセスや情報漏えいのリスクが高まるため、アップデート対応は運用保守の重要な役割の一つです。また、リリース管理は、改修やアップデートを本番環境に反映する一連の作業を、安全に行うための機能です。具体的には、修正を本番に適用する前に、テスト環境で動作を確認し、影響範囲を見極め、問題があれば元に戻せるよう準備してから反映します。
なお、定期メンテナンスとして、計画的に作業時間を設けて反映する運用も一般的です。場当たり的に行うと、修正が新たな障害を生むこともあるため、テスト・反映・切り戻しの手順を整えたリリース管理があるかは、運用保守の成熟度を測る一つの指標です。これらの機能が、クラウド環境で自動化されていく流れは、次のセクションで扱います。
SLA管理とAIOps自動検知という機能
運用と保守の個々の機能を束ね、サービスの品質として保証するのがSLA管理機能です。さらに近年は、AIや自動化を活用して監視・検知を高度化するAIOps(AIによるIT運用)が注目されています。
ここからは、運用保守の機能を品質の約束と自動化という観点で見ていきます。
SLA管理・月次報告という機能
SLA(サービス品質保証)管理は、運用保守の品質を数値で約束し、その達成状況を測定・報告する機能で、その有無と中身が運用保守の信頼性を大きく左右します。代表的な指標は、稼働率99.9%(月の停止が約43分まで)や99.5%です。また、障害時の初報応答は重大15分・通常2時間、エスカレーション30分、回答24時間、復旧は重大4時間・通常8時間といった水準が設定されます(出典:ripla)。
SLA管理機能は、これらの目標値に対する実績を記録し、月次で報告します。さらに、管理報告は保守費の5〜10%を占めるとされる機能です(出典:ripla)。この機能を評価するときは、「努力目標」なのか「保証(未達時にペナルティあり)」なのかを見極めることが大切です。
多くの契約のSLAは努力目標で、未達でも返金や減額が発生しないことがあります。一方、保証型のSLAであれば、稼働率を下回った場合に月額の一定割合が減額されるといったペナルティ条項が付きます。加えて、月次報告で稼働率や障害件数、対応時間が定量的に開示されるかを見れば、「やっています」と言うだけでなく数字で品質を示せるかが分かります。
AIOpsによる異常の自動検知という機能
運用保守の機能は、監視・バックアップという土台から、SLA管理による品質保証、AIOpsによる自動化へと層をなして発展しており、近年とくに進化が著しいのが、AIや機械学習を運用に取り入れるAIOpsです。従来の監視は、あらかじめ決めた閾値を超えたらアラートを出す方式が中心でした。一方でAIOpsは、過去のログやメトリクスのパターンを学習し、「いつもと違う」異常の兆候を自動で検知します。
閾値の手前にある予兆を捉えられるため、障害が顕在化する前に対処できる可能性が高まります。ただし、AIOpsを導入しても運用が完全に自動化されるとは限りません。自動検知された異常を最終的に判断して対応するのは人で、AIが誤った判定をすることもあるため、AIOpsは人の判断を支援し見落としを減らす機能と捉えるのが現実的です。
AIや機械学習モデルを含むシステムの運用保守(MLOps保守)は、月50万〜200万円が一つの相場とされ(出典:ripla)、高度な機能には相応の費用がかかります。riplaはフルスクラッチ受託と国内運用保守を組み合わせ、SaaSやクラウド、AI連携が前提となる現代のシステムを、自動化機能と人の判断の両面から運用保守する立場を取っています。
標準機能と追加機能の境界

ここまで見てきた運用保守の各機能は、契約によって「月額の標準機能に含まれる範囲」と「必要に応じて別費用で提供する追加機能」の線引きが異なります。
同じ「監視」「障害対応」という言葉でも、どこまでが標準かは契約ごとに違います。そのため、言葉だけで判断せず、この境界を契約前に見極めることが、運用保守の機能を理解する最終的な目的です。
費用内訳で見る標準機能の中身
機能の中身は、費用の内訳を見ると具体的に分かります。保守費の内訳は、定期保守が20〜30%、監視が15〜25%、障害対応が25〜35%を占めるのが一般的です(出典:ripla)。残りは、問い合わせが10〜20%、軽微改修が10〜15%、管理報告が5〜10%です。
自社の月額がどの機能にいくら配分されているかを見ると、「監視はどこまでか」「障害対応に十分な体制があるか」が見えてきます。一方、内訳が示されない「一式」の見積りでは、機能の中身が分からず、過不足を判断できません。
年間の運用保守費は開発費の15〜20%が目安で、規模別の月額は小規模5〜15万円、中規模15〜50万円、大規模50〜200万円以上が相場です(出典:ripla)。自社のシステム規模に照らしてこの相場と内訳を当てはめると、提示された月額に含まれる機能の範囲を逆算できます。費用と機能をセットで見れば、「安いが監視が薄い」「高いが使わない機能まで含まれている」といったミスマッチを避けられます。
追加費用になりやすい作業の確認
運用保守の機能を理解するには、中身を知るだけでなく、その境界と費用を契約前に見極めておくことが大切です。標準機能に含まれず、追加費用になりやすい作業の代表は、バックアップからの復元(リストア)作業と大規模な改修です。そのほか、OSSの脆弱性対応としての緊急アップデートや、AIモデルの再学習も挙げられます。
これらは「機能としては存在するが、月額には含まれない」ことが多く、いざ必要になったときに想定外の請求につながります。そのため、どの作業が標準で、どの作業が追加なのかを、作業項目ごとに一覧にして確認しておくと安心です。あわせて、追加機能を依頼する際の単価ルールも事前に取り決めておきます。
軽微改修を超える開発は、人月単価60万〜150万円(出典:ripla)の相場を踏まえて見積もりを把握しておくと、追加依頼のたびに費用感に振り回されずに済みます。riplaは、フルスクラッチ受託と国内運用保守を組み合わせ、標準機能と追加機能の境界を契約段階で明示し、内訳と単価を透明にする進め方を重視しています。
まとめ
ソフトウェア運用保守の機能は、運用側の標準機能と保守側の機能、そしてそれらを束ねるSLA管理とAIOpsによる自動検知という層構造で整理できます。運用側の標準機能には監視(15〜25%)、バックアップや問い合わせ対応(10〜20%)があり、保守側には障害対応(25〜35%)、軽微改修(10〜15%)、アップデート/リリース管理があります。
SLA管理には管理報告が含まれ、その割合は5〜10%です(内訳出典:ripla)。そのうえで、各機能が標準でどこまで含まれるかを、「監視と対応」「バックアップ取得と復元」「軽微改修と追加開発」のように動詞のレベルで切り分け、SLAが努力目標か保証かを見分けることが肝心です。
運用保守の機能を理解しておくと、契約書のサービス範囲を読み解き、「思っていたことをやってもらえない」というすれ違いを未然に防げます。また、稼働率99.9%、初報15分、復旧4時間といったSLAの数値(出典:ripla)が、どの機能によって担保されるのかを把握しておくことが、安心して任せられる運用保守を選ぶ近道です。
riplaはフルスクラッチ受託と国内運用保守を組み合わせ、監視からSLA管理、AIOpsまでの機能を、システムの特性に応じて設計・提供します。全体像は、あらためて完全ガイドをご覧ください。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
