タスク管理ツール開発/導入のメリット/デメリット/効果と判断基準について

タスク管理ツールは、進捗の把握や作業のムダ削減が期待できる一方、入力負担や追加費用も伴います。効果と運用負担、人数別の総コストを並べて比べると、稟議の根拠を示しやすくなります。

ツール全体の概要は、完全ガイドでも確認できます。

▼全体ガイドの記事
・タスク管理ツールの完全ガイド

タスク管理ツール導入のメリットとデメリット

タスク管理ツールの導入効果と運用上の懸念を4つのカードで整理した図解。
効果を生かすには、入力が続く運用と追加費用の確認が欠かせません。

導入を判断する出発点は、メリットとデメリットを冷静に並べて比べることです。進捗の把握やコスト削減といった効果と、入力負担や形骸化といった懸念の両方を見ておきます。

そのうえで、自社ではメリットがデメリットを上回るかを見極めます。その見極めが、導入後に後悔しない判断につながります。

進捗の把握とコスト削減というメリット

導入効果は、進捗がどこまで把握できるかと、作業のムダがどれだけ減るかで見ます。

  • 進捗の把握:遅延や対応漏れを防ぐ
  • 作業の効率化:資料探しや二度手間を減らす
  • 連携の強化:コメントやチャットで担当者同士が共有する

ガントチャートやカンバンを使うと、担当者ごとの作業時間を把握しやすくなります。リサーチの試算では、20名規模で資料探しに1人月10時間、約3万円分かかる状態を想定しています。

同じ試算では、20人分で年720万円相当の作業が、ツール導入後には年387.6万円まで圧縮され、削減額は年332万4,000円とされています。

事例では、あるソフトウェア開発会社が協力会社の業務把握で3,000万円以上を削減しました。また、システムインテグレータ社の仕組みを活用した企業は、集計と報告書作成の管理費を年間約200万円削減しました。

そこで、自社の削減効果を金額にしておくと、稟議でROIの根拠として示せます。

入力負担と形骸化というデメリット

一方で、入力負担と形骸化のリスクは、導入前に押さえておく必要があります。現場の入力作業と運用後の追加費用も、あわせて確認しておきます。

  • 入力負担:項目が多いと現場の作業が重くなる
  • 形骸化:更新が止まるとツールが機能しない
  • 追加費用:機能や導入支援に別料金がかかる場合がある

リサーチでは、項目の細分化や多機能化によって使いこなせず、入力負担が進行を遅らせる例が指摘されています。

タスク管理ツールは、入力が続いて初めて価値を生みます。ただし、入力が重荷になると更新が止まり、形だけの存在になるおそれがあります。

ストレージ拡張やタイムトラッキングは追加料金になることが多く、導入支援の費用もかかります。月額料金だけで決めると、後から想定外の費用が生じる可能性があります。

入力項目を絞り、追加費用を事前に確認しておくと、こうしたリスクを減らせます。そのうえで、運用の設計によってメリットを生かしながら負担を抑えられるかが、判断の分かれ目になります。

メリットを自社の数字でROIに換算する判断

メリットとデメリットを比べるには、効果を自社の数字に置き換えます。そこで、削減額と導入や運用の負担を、自社の条件で見積もります。

  • 削減額:人数や探し物の時間、人件費単価から試算する
  • 導入後の費用:月額料金、追加費用、入力にかかる工数を見積もる
  • 純粋な効果:削減額から導入後の費用を差し引く

年332万4,000円の試算は、20名規模で資料探しに1人月10時間、約3万円分かかる状況が前提になっています。自社の人数と時間、人件費単価を当てはめると、自社ならではの削減額を概算できます。

金額で示せば、漠然とした効率化の説明よりも、稟議のROIの根拠になります。

3,000万円以上や年間約200万円の削減事例には、工数の把握や報告の自動化という仕組みがあります。こうした事例を踏まえて、自社で見込める効果を数字で示せば、判断を感覚だけに頼らずに済みます。

ポイント

効果を自社の人数と作業時間で金額にし、導入後の費用と入力の手間を差し引いても、なお残る効果があるかどうかが判断の目安です。

クラウド型とオンプレミス型の人数別判断基準

クラウドとオンプレは、利用人数によって有利さが変わるため、規模別の総コストで比べます。クラウド型は初期費用が無料から数万円ほどで、場所を問わず使え、サーバーの管理も不要です。

オンプレミス型は初期に数百万円規模の投資が必要ですが、柔軟なカスタマイズと強固なセキュリティを実現できます。

人数別の3年総コストによる分岐点

クラウドとオンプレの分岐点は、人数ごとの3年総コストを並べると見えてきます。

  • 100人規模:クラウド約457万円、オンプレ約340万円
  • 500人規模:クラウド約2,287万円、オンプレ約740万円
  • 1,000人規模:クラウド約4,575万円、オンプレ約1,220万円

リサーチの試算では、少人数なら初期費用が低く手軽なクラウドが有利になります。反対に、大人数では、オンプレの初期投資が割安につながる構造です。

数百人規模を超えると、初期投資は大きくても、オンプレや自社開発のほうが総額を抑えられる場合があります。そのため、現在の人数だけでなく、将来の増員計画も含めて比較します。

セキュリティ要件とアクセス性で選ぶ判断基準

形態を選ぶときは、コストに加えて、セキュリティ要件とアクセス性も見ておきます。

  • オンプレミス型:社内にデータを置きたい組織に向く
  • クラウド型:複数拠点やリモートで使う組織に便利
  • フルスクラッチ:標準型で要件を満たせず、投資も難しい場合の選択肢

機密情報を扱い、データを社内に置く必要がある場合は、オンプレのセキュリティとカスタマイズ性が活きます。一方で、複数拠点から使う場合は、どこからでもアクセスできるクラウドの利点が大きくなります。

クラウドでも、IP制限や暗号化、自動バックアップによって要件を満たせる場合があります。そこで、セキュリティポリシー、働き方、人数、将来の拡張性を総合的に評価します。

標準的なクラウドでは要件を満たせず、大規模なオンプレへの投資も難しい場合は、要件に合わせたフルスクラッチが現実的な選択肢になります。その際は、コスト、セキュリティ、アクセス性のどれを優先するかを決めておきます。

ポイント

利用人数と拠点の広がり、データを社内に置く必要の有無で形態の候補を絞り、人数別の3年総コストで分岐点を確かめるのが目安です。

従量課金と月額固定の分岐点という判断基準

クラウド型を選んだら、次は課金体系を比べます。従量課金は人数に応じて料金が増え、月額固定は人数に関係なく一定額です。利用人数によって有利さが逆転するため、自社の両方の総額を試算します。

従量課金型の相場と向くケース

従量課金型は、少人数で必要な人だけが使う場合に始めやすい料金体系です。

  • 相場:1アカウントあたり月500〜1,500円
  • 向く利用:小規模チームやスモールスタート
  • 注意点:人数が増えると総額も増える

従量課金の相場は、一般的な機能で平均約1,000円とされます。エンプレスの35社調査では、1人あたりの平均は約1,150円で、価格帯は1,001〜2,000円台が最も多くなっています。

製品別に見ると、Asana Starterは1ユーザー月1,200円、Jira Standardは月1,085円です。さらに、monday.comベーシックは月1,530円、Jootoスタンダードは月417円です。

利用人数分だけ支払うため、少人数なら無駄を抑えられます。一方で、数十名を超えて全社に展開する場合は、割高になりがちです。

少人数で始めて効果を確かめ、本格展開の段階で課金体系を見直す進め方もあります。

月額固定型が割安になる人数の見極め

月額固定型は、利用人数が多い場合に1人あたりの単価を下げやすい料金体系です。

  • 相場:全体で月1万〜5万円前後
  • 向く利用:全社的に多くの人数で使う
  • 比較方法:従量課金の総額と固定額を計算する

人数無制限のプランが多く、人数が増えるほど1人あたりの単価が下がります。製品別に見ると、Backlogスタンダードは月17,600円で人数無制限です。

My Redmineクラウド版スタンダードは月11,000円で1,000人まで、プロカンスタンダードは月4,400円です。BOXIL SaaS調査では、定額型の主要サービスの平均が月6,485円となっています。

たとえば、月17,600円のツールを30人で使うと、1人あたり約587円です。従量課金で1人1,150円を払う場合と比べても、割安になります。

50〜100名規模では月約6万〜12万円、100名以上では月10万円以上が一つの目安です。この規模になると、固定型が有利になりやすいとされています。

ポイント

従量課金の総額と月額固定の料金を、自社の利用人数に当てはめて計算し、どちらが安くなるかを見るのが判断の目安です。利用人数が変わる見込みも含めて比べると、判断を誤りにくくなります。

市販ツールとフルスクラッチ開発の判断基準

フルスクラッチを検討する条件として、固有の業務フロー、基幹システム連携、利用規模を示した図解。
市販ツールとの適合性と利用規模を見比べて、開発の必要性を整理できます。

大きな分岐点は、市販のパッケージやSaaSを使うか、自社専用にフルスクラッチで開発するかです。多くの企業は市販ツールで足りますが、特殊な業務や深い連携が必要な場合には、開発も候補に入ります。また、選択を誤ると、市販ツールに業務を無理に合わせることになったり、過剰な開発投資で費用対効果が出なかったりします。

市販ツールが向くケースと選び方

標準的なタスク管理で目的を達成でき、早く使い始めたい場合は、市販ツールが候補になります。

  • 初期の負担:初期費用が低く、無料トライアルもある
  • 製品の強み:Jiraはエンジニア向け
  • 製品の強み:BacklogはWiki統合に強い
  • 製品の強み:Redmineは無料でオンプレ運用が可能

自社業務に合う強みを持つ製品を選びます。ただし、自由度の高いツールは、自社の成熟度に合わないと、運用方針がないまま混乱を招くことがあります。

機能の豊富さとあわせて、現場が直感的に使える操作性と、運用ルールを定めて使いこなせるかを見ます。そのうえで、無料トライアルにより現場の使い心地と定着の見込みを確かめてから契約します。

フルスクラッチが向くケースの見分け方

フルスクラッチを検討するときは、業務への適合性、利用規模、期間に応じた総コストを比べます。

  • 業務適合:固有の業務フローが市販ツールで表現できない
  • システム連携:基幹システムと深く連携させたい
  • 利用規模:大人数で従量課金の総額が膨らむ

3年総コストの試算では、人数が増えるほど自社所有型が割安になる可能性があります。そのため、長期にわたって大規模に使う場合は、自社開発も選択肢に入ります。

業務に合わせて作るツールは、市販ツールに業務を無理に寄せるより定着しやすい利点があります。また、判断の際には、市販ツールで業務に合わせられるかも確かめます。

riplaは、フルスクラッチの受託と業務への伴走という立場から、市販ツールで足りるかを見極めます。自社開発が合理的な場合には、業務から逆算した仕組みづくりを支援します。

独自要件の強さと利用規模・期間での総コストを照らし合わせ、自社の要件に沿って決めます。

ポイント

市販ツールに業務を合わせられるか、基幹システムとの連携や独自の業務フローが欠かせないかを見て、長期の総コストと照らし合わせるのが目安です。

隠れたコストと無料トライアルの活用という判断材料

初期費用、追加機能、上位プラン、導入支援の4項目を示す契約前のコスト確認図。
月額料金に含まれない作業や機能も、導入時の見積もりに加わります。

方式と課金体系を絞ったら、最終判断の前に、隠れたコストと無料トライアルを確かめます。ここを軽く見ると、運用を始めてから稟議時の費用対効果が崩れることがあります。

ストレージ・高機能オプション・導入支援の隠れコスト

月額料金だけで選ぶと、後から想定外の費用に直面する場合があります。そのため、基本料金以外の費用も含めて総額で考えます。

  • 追加機能:ストレージ拡張やタイムトラッキング
  • 上位プラン:ガントチャートや外部連携
  • 導入支援:データ移行や初期設定、研修

リサーチでも、こうした費用が隠れたコストとして挙げられています。なお、BOXIL SaaS調査による初期費用の中央値は2万円です。

初期費用ゼロのサービスでも、データ移行や初期設定の支援は別料金になることがあります。また、利用人数が増えたときの容量追加課金も、見積もりの段階で確かめます。

運用ルールの策定支援も、月額料金とは別に費用がかかる場合があります。立ち上げ時にかかる費用も、見積もりに入れておきます。

追加費用も加えた総額で比べると、表面的な月額の安さに惑わされずに済み、有利な選択ができます。

無料トライアルでミスマッチを防ぐ判断

方式やコストの試算が固まっても、最後は現場の使い心地が判断を左右します。そこで、実際に使うメンバーが無料トライアルを試します。

  • 操作性:日々の登録と更新を体験する
  • 機能の過不足:自社業務で必要な操作を試す
  • 利用者の範囲:ITに不慣れなメンバーも確かめる

リサーチでは、導入前のミスマッチを防ぐために、トライアルが推奨されています。現場に合うかは、カタログの仕様や評判からは見えにくいものです。

トライアルには、ユーザー数や機能、期間の制限があります。そのため、限られた範囲と期間の中で、確かめたい機能や操作性に絞って試します。

試した結果は、現場で使えることを稟議で示す材料になります。隠れたコストを含む総額と定着しやすさを最終判断に加えれば、後悔のない選択に近づきます。

ポイント

月額料金に追加機能や上位プラン、導入支援の費用を足して総額を見積もり、無料トライアルで現場の使い心地を確かめてから契約するのが目安です。

まとめ

タスク管理ツールには、進捗の把握やコスト削減の効果が期待できます。試算では年332万円の削減が見込まれ、事例では3,000万円以上や年間約200万円の削減がありました。一方で、判断には入力負担や形骸化、隠れた費用も含めて考えます。

導入形態は人数別の3年総コストで、課金体系は従量課金と月額固定の分岐点で比べます。市販ツールと開発は、業務への適合と総コストで選びます。

判断では、デメリットや費用の分岐点も数字で押さえ、自社の人数・要件・期間に当てはめて比べます。その比較が稟議のROIの根拠となり、後悔しない意思決定につながります。

riplaは、フルスクラッチの受託と業務への伴走という立場から、市販ツールと自社開発のどちらが自社に合うかを含めて、客観的な判断の整理を支援します。

各方式の費用や機能の全体像は、完全ガイドで確認できます。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。