プロジェクト管理システムの導入/開発事例や活用/成功事例について

プロジェクト管理システムの導入事例は、可視化、省力化、現場への定着の3つの観点で読むと、自社で狙う効果を判断しやすくなります。導入企業のROIを知ることは、投資判断の精度を高める材料にもなります。全体像はプロジェクト管理システムの完全ガイドもご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・プロジェクト管理システムの完全ガイド

協力会社の把握と管理コスト削減を実現した事例

複数の案件を同時に進める企業では、要員や協力会社の稼働状況が見えにくくなります。そこで、作業内容や工数を可視化すると、コストの無駄が見えてくる場合があります。実際に、可視化によって数千万円規模のコスト削減につながった導入事例があります。

協力会社の業務把握で3,000万円以上を削減した事例

あるソフトウェア開発会社は、システムを導入して協力会社の業務状況を可視化しました。その結果、3,000万円以上を削減したと報告されています。

協力会社への作業依頼は、案件ごとに口頭やメールで行われがちです。さらに、請求書を見るまで費用が確定せず、不透明な運用になる場合があります。

協力会社の作業時間が見えないと、過剰な発注や重複作業に気づきにくくなります。そこで同社は、案件を横断して工数と費用を捉え、本来内製できる作業や重複を見つけました。

  • 内製可能な作業:外注が本当に必要かを見直す
  • 案件間の重複:似た作業への発注が重なっていないかを確認する

3,000万円という金額は、見えなかったコストの大きさを示しています。自社の協力会社への年間発注額に照らすと、見えていないムダを考える材料になります。

データ集計・報告書作成で年間約200万円を削減した事例

システムインテグレータ社のOBPM事例では、データ集計や報告書作成の管理コストを年間約200万円削減したと報告されています。

従来は、各担当者がExcelで進捗報告や予実管理の資料を集計し、管理者がそれをまとめ直していました。こうした間接作業には、相当な工数がかかります。

  • 進捗・工数の入力:メンバーの情報を自動で集計する
  • レポート出力:集計結果を判断に使う

システムに入力された情報は、ダッシュボードやレポートとして出力できます。そのため、管理者は数字を作る作業を減らし、内容を読んで判断する時間を取りやすくなります。年間約200万円の削減は、人件費に換算すると管理担当者の相当な工数にあたります。

ポイント

協力会社への発注を案件をまたいで見ると、内製できる作業や重複した発注が見えてきます。自社の年間発注額と照らし合わせて、見えていない費用を把握することが出発点になります。

アナログ管理からの脱却で年332万円を削減した事例

大企業に限らず、プロジェクト管理システムの効果は試算できます。例として、20名規模の組織の試算を見てみます。

Excelやホワイトボードでプロジェクトやタスクを管理している場合、システムへの移行で資料探しや二度手間を減らせます。そうした時間の削減は、年数百万円規模のコスト削減につながるという試算も示されています。

20名規模で年720万円が387万円に圧縮された試算

試算では、アナログ管理を続けると、1人あたり月10時間ほどを資料探しや過去のやり取りの確認、二度手間に使うとされます。普段は意識されにくいこの見えないコストに、大きな削減余地があります。

この時間は1人月あたり約3万円分にあたり、20名規模では年間720万円が、探し物や手戻りに費やされる計算になります。

  • アナログ管理:年720万円の作業コスト
  • システム導入後:年約387万6,000円に圧縮
  • 削減額:差し引き年332万4,000円

この試算では、タスク・資料・進捗をシステムで一つにまとめることで、年332万4,000円を削減できるとしています。

自社の人数、人件費単価、アナログ作業時間に合わせて再計算してください。なお、20名規模で年300万円超という数字は、大企業だけに当てはまる話ではありません。

情報が共有されると、誰もが最新の状態を確認できます。その結果、探す時間や二度手間も減ります。

遅延・対応漏れ防止で手戻りを減らした活用事例

進捗を可視化すると、遅延や対応漏れを防ぎやすくなります。特に、遅れや漏れは後工程に広がり、手戻りとコストを増やすことがあります。

  • ガントチャート:全体のスケジュールを俯瞰する
  • カンバン:各タスクの状態を把握する
  • コメントやチャット:確認の会議やメールを減らす

管理者は遅れの兆候を早く捉え、要員の追加や優先順位の変更を検討できます。また、メンバー間でも停滞箇所が共有され、助け合いや意思決定の迅速化につながった事例があります。

事例は、数字の大きさだけでなく、遅れや漏れ、停滞を防ぐといった改善にも目を向けて読みます。

ポイント

アナログ管理の作業時間を金額に換算し、移行後の費用と比べると、削減の見込みが立ちます。自社の人数と人件費単価で再計算すると、判断の材料になります。

現場に定着させ効果を出した活用事例

利用準備、研修、段階導入の3項目をカードで示す図。
小さく試してから横展開する構成です。

同じシステムでも、現場に定着する企業と効果が出ない企業に分かれます。高ROIの事例は、ツールを入れること自体を目的にしていません。そこで、運用ルールを設計して現場に浸透させた企業の進め方を見ていきます。

メーカーの設計思想に沿って運用した高ROI事例

プロジェクト管理システムには、それぞれ設計思想があります。高いROIを出した企業には、メーカーが意図した使い方を実践するという共通点があります。

  • Jira:SE向けに作られたツール
  • Backlog:Wikiと統合されたツール
  • Redmine:自由度の高いツール

自社の成熟度に合わない自由度の高いツールを方針なしで入れると、混乱することがあります。実際に、Redmineでチケットの粒度や閲覧範囲を決めないまま、情報が乱発した失敗も報告されています。

定着した企業は、誰が何をどの粒度で入力するかを先に決め、製品の設計思想に沿って展開しています。ツールの選定だけでなく、運用方法によっても効果は左右されます。

研修と段階導入で全社浸透させた事例

定着した事例では、ITリテラシーの差を前提に、研修や段階導入を行っています。使える人と使えない人の間で情報が行き違うと、かえって混乱を招くからです。

周知や研修なしに一斉導入すると、現場が従来のExcelに戻り、システムが使われなくなることがあります。一方、成功事例はこの格差を放置しません。

  • 利用準備:マニュアルと利用ルールを整える
  • 研修:操作が直感的なツールを使い研修する
  • 段階導入:部署や案件で試し、納得感とノウハウを蓄えてから横展開する

小さな成功体験を積むと、現場の抵抗感が和らぎ、定着が進みます。riplaも、組織の成熟度に合わせた運用設計と研修、段階導入による定着を重視しています。

ポイント

誰が何をどの粒度で入力するかを先に決め、研修と段階導入で広げることが、定着を進める前提になります。ツールを入れる前に、運用の形を決めておく必要があります。

形骸化の失敗から立て直した事例

中央の運用図に入力項目、導入目的、管理者の確認、ルールの改善を注釈線で結んだ図。
目的に沿った入力と定期的な見直しが要所です。

事例からは、成功談だけでなく、形骸化の理由や立て直し方も学べます。高額な費用をかけても使われず、Excelに戻ってしまう失敗は少なくありません。その構造を知ることが、予防につながります。

多機能・入力過多で形骸化した失敗の教訓

多機能なツールで入力項目を増やしすぎると、入力作業が現場の負担になります。実際に、タスクを進める時間より入力に時間を取られ、進行が遅れた事例もあります。

  • 運用ルール:守られないと入力が定着しない
  • 管理者の確認:見るべき項目を見ないと活用されない
  • 定期改善:見直しがないと形だけになりやすい

失敗の本質は、導入目的が変わってしまうことにあります。現場の負担を減らすはずのツールが、管理者の求める情報を集める道具に変わることがあります。

こうした問題が重なると、システムは形だけ残り、機能しなくなります。また、目的や成熟度を欠いた標準化は、かえって効率を下げる場合もあります。

この点は、リスクや課題の観点とも関わります。詳しくは関連記事もあわせてご覧ください。

目的を絞り直して立て直した事例

立て直した企業は導入目的に立ち返り、入力項目と運用ルールを絞りました。そのうえで、進捗の遅れや対応漏れを把握するために必要な項目は残しました。

入力負担が軽くなると、現場が再びシステムを使うようになります。加えて、管理者は入力データを集めるだけでなく、定期的に確認して遅延の兆候を捉えます。

  • 声かけ:遅れの兆候を見てメンバーに働きかける
  • ルールの改善:現場の声を聞いて定期的に見直す

運用改善を続けることが、形骸化を防ぐ方法です。riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発の立場から、機能数より目的と成熟度に合う項目設計や運用ルールを重視し、現場への定着を支援します。

事例は、成果の大きさだけでなく、現場で使われ続けた理由に注目して読むと、失敗を避ける判断材料になります。

ポイント

入力項目が導入目的に合っているかを見直すと、形骸化を早めに防げます。立て直しには、運用ルールを定期的に見直し続けることも欠かせません。

導入規模と費用から見る事例の読み方

資料探しなどの時間、人件費単価と人数、年間費用と削減可能額を順に並べた3つのパネル図。
費用と削減額を同じ判断材料にそろえます。

事例を自社に活かすには、導入費用と規模を確認することが大切です。同じ年数百万円の削減でも、月数千円のクラウドか数百万円のオンプレミス投資かによって、投資対効果は変わります。

費用相場を踏まえると、事例の読み解き方が見えてきます。

費用相場と削減額の突き合わせ

クラウド型の従量課金は、1アカウント月500〜1,500円です。たとえば、エンプレス社の35社調査では平均約1,150円でした。

一方で、月額固定型は月1万〜5万円前後が相場です。BOXIL SaaSの827件調査(2025年4月)では、初期費用の中央値が2万円、年間費用の中央値が3万円(月換算約2,500円)でした。

  • 削減額:20名規模の試算では年332万4,000円
  • 費用相場:月数千円から月額固定型まで幅がある

相場と削減額を比べると、月数万円の費用で年数百万円のリターンを見込める計算です。削減額だけでなく、実現に必要な投資額も合わせて判断してください。

3,000万円の削減も、大規模なオンプレミス投資か既存クラウドで実現したかによって、再現性が変わります。そのうえで、自社で実現できる費用帯の事例を探し、削減の仕組みを自社の数字に当てはめます。

事例を自社の数字に置き換える手順

まず、資料探し、過去のやり取りの確認、二度手間に使う時間を、メンバーに概算してもらいます。

  1. 資料探しや二度手間に使う時間を概算する。
  2. その時間を人件費単価で金額に換算し、人数を掛ける。
  3. システムの年間費用と削減可能額を並べる。

20名規模で月10時間、1人月約3万円という試算は、あくまで目安です。自社の実態に合わせて調整し、見えないコストの総額を算出してください。

年332万4,000円の削減を月数万円のクラウド費用で得られるなら、初年度から回収が視野に入ります。また、自社の数字は稟議の根拠にもなります。

事例は、他社の成功を眺めるだけでなく、自社の意思決定の材料として読みます。

ポイント

同じ年数百万円の削減でも、導入方式によって投資対効果は変わります。自社で実現できる費用帯の事例を選び、削減額を自社の数字に置き換えて判断します。

まとめ

成功も失敗からの立て直しも、突き詰めると、導入目的を保ち、自社の成熟度に合う運用ルールを設計して現場に定着させることにあります。

協力会社の業務把握では3,000万円以上、管理業務では年間約200万円の削減事例があります。

20名規模の試算では、アナログ管理の年720万円が387万6,000円(387.6万円)に圧縮され、年332万4,000円を削減できるとしています。

多機能や入力過多で形骸化した事例は、機能の多さが成功を保証しないことを示しています。

事例は機能より、現場で使われ続けた理由に注目して読みます。自社の人数、協力会社への発注額、アナログ作業時間に照らして、効果の大きい可視化から始めてください。

riplaはフルスクラッチ受託と業務伴走を組み合わせ、目的に沿う項目設計や研修、段階導入による定着を支援します。全体像は完全ガイドをご覧ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。