マッチングサイトの導入/開発事例や活用/成功事例について

成功事例を見ると、マッチングサイトは片側の先行集客と既存基盤を活用したPoCから立ち上げ、公開後はUI/UXを改善して取引成立と成長につなげています。

利用者双方がそろう二面市場のため、一般情報サイトやECと同じ感覚で作ると、登録者がいないため利用者も来ず、頓挫するケースが後を絶ちません。全体像はマッチングサイト開発の完全ガイドもご覧ください。

鶏と卵問題を突破した立ち上げ事例

鶏と卵問題への立ち上げ戦術として、片側の母集団集め、運営による供給、領域の絞り込みを並べた図解
片側から始める設計が、初期の密度づくりを支えます。

マッチングサイトの立ち上げで、多くの事業がつまずくのが「鶏と卵問題」です。供給側(出品者・サービス提供者)がいなければ、需要側(利用者)は来ません。また、需要側がいなければ、供給側も集まりにくくなります。

成功事例を横断すると、突破した企業は例外なく両側を同時に集めず、片側を先行させていました。さらに、その進め方には明確な戦術がありました。

片側先行で突破した3つの戦術の事例

事例から見える突破戦術は3つで、自社の条件に合う方法を選ぶ材料になります(出典:カスタメディア)。

  • シングルサイドスタートアップ:片側の母集団を先に集める
  • バーチャルサプライヤー:供給側がそろうまで、運営が代わりに担う
  • ニッチに集中する:エリアや業種を絞り、需給密度を高める

シングルサイドスタートアップでは、情報メディアやQ&Aサイトで需要側ユーザーを集め、母集団ができてからマッチング機能を加えます。

レストラン予約サービスのOpenTableは、初期に飲食店データを運営側で代わりに入力しました。利用者に「すでに店がある」状態を見せた代表例です。また、Airbnbは特定の都市で密度を作ってから拡大しました。

3つの戦術に共通するのは、最初から全方位で母集団を集めないことです。このため、自社に最も合う突破口を開発前に選ぶことが、立ち上がらないプラットフォームを避ける要点です。

立ち上げの失敗パターンと回避策は、関連記事『マッチングサイト開発/導入の失敗・課題・注意点・リスクについて』もご覧ください。

ニッチ特化で密度を作った事例の学び

資金力に限りがあるスタートアップには、ニッチへの集中が現実的な選択肢になります。密度づくりでは、範囲と拡大の順序が鍵になります。

  • 範囲を絞る:限られた供給でも検索に選択肢を返せる領域から始める
  • 段階的に広げる:需給や運用の知見を得てから、隣接領域へ進む段取り

反対に、全国・全業種を最初から狙うと、薄く広がるため、検索結果に供給側がほとんど表示されず、需要側が離脱するおそれがあります。

たとえば「東京都内・特定業種」のように絞ると、限られた供給側でも選択肢を返せます。利用者は「ここなら相手が見つかる」と感じ、最初の取引も成立します。

ニッチ特化では、絞った領域で運用ノウハウを蓄積してから横展開する段階的な進め方が有効です。そのうえで、需給のバランス、価格設定、トラブル対応を把握しておけば、拡大時の失敗を抑えられます。

事例を読むときは、どこまで絞り、どの順に広げたかに注目すると、自社に転用できる打ち手が見えてきます。

ポイント

どちらの側を先に集めるかは、自社の母集団や既存接点を見て、開発前に決めておくことが大切です。ニッチに絞るか、既存の顧客基盤や提携先の接点を使うかも、同じ判断の中で考えます。

大企業の顧客基盤を需要側に転用した事例

既存顧客基盤を需要側に活用し、PoCで検証してから投資を判断する流れの図解
小さく確かめた手応えを、次の投資判断につなげます。

鶏と卵問題への現実的な策は、巨大な顧客基盤を持つ大企業と組み、その顧客を需要側に転用することです。ゼロから広告で集客すると初期コストが膨大になりますが、既存顧客を使えば立ち上げの難所を乗り越えるうえで役立ちます。

カスタメディアが手がけた事例は、この方法を示しています(出典:カスタメディア)。

業界初チャットで展示場の非効率を解消した事例

イエラボ(東邦ガス)は、注文住宅を検討する個人と建築会社をつなぐサイトです(出典:カスタメディア)。

  • 展示場の負担を減らす:チャットでオンラインの出会いを作る
  • 顧客接点を生かす:東邦ガスの既存接点を、注文住宅検討者の需要側に活用する

従来、検討者は住宅展示場に出向いて建築会社と接点を持つ必要があり、展示場の運営コストと移動の負担が課題でした。

業界初とされるチャット機能により、検討者は複数の建築会社とオンラインでやり取りできるようになりました。その結果、展示場に頼らない出会いが成立しました。

ガス契約という生活インフラの顧客接点は、住宅検討層との親和性があります。そのため、広告で集めるよりも、質の高い需要側を低コストで供給側に届けられます。

このため、自社や提携先が持つ母集団を洗い出すことが、現実的な突破口になります。

チャットなどの機能設計は、関連記事『マッチングサイトの必要機能や標準機能の一覧について』もご覧ください。

既存基盤を活かしPoCで検証したビルサポの事例

ビルサポは、三菱電機が関わるビルオーナーとビルメンテナンス事業者のマッチングPoC(概念実証)です(出典:カスタメディア)。

この事例からは、既存基盤の活用と段階的な検証が読み取れます。

  • 顧客基盤を転用:ビル設備に関わる既存顧客を需要側に生かす
  • PoCで仮説を検証:本格展開の前に、マッチング成立を確かめる

既存顧客基盤で集客コストを抑えながら、PoCで取引成立を確かめています。完成品は一気に作らず、最小構成から育てる考え方です。

検証を先に行い、そのうえで投資を判断すれば、新規プラットフォームのリスクを下げられます。多額を投じても利用されない事態を避ける助けにもなります。

大企業の基盤を借りられなくても、限定した範囲で需給のマッチングを試す方法は使えます。手応えを得てから、機能拡張と集客投資に進みます。

riplaはフルスクラッチ受託と国内開発の立場から、PoC後の本格構築への移行を支援しています。

ポイント

既存の顧客基盤を需要側に転用すると、集客コストを抑えて立ち上げを進めやすくなります。最初は限定した範囲でPoCを行い、手応えを得てから本格投資に進むと、リスクを下げられます。

UI/UX改善で数値が動いた成長事例

ClickのUXレビュー、プロトタイプ検証、デザインシステム構築と、売上前年比4,111%成長を示す図解
画面体験を整える取り組みの先に、売上成長が示されています。

マッチングサイトは、公開後の継続的な改善が成長を左右します。需給双方に摩擦があると利用者が離れ、市場の密度も下がります。実際、UI/UX改善で数値が動いた事例もあり、その重要性を示しています。

売上前年比4,111%成長を実現したClickの事例

マッチング系サービス「Click」は、機能追加を続けた結果、UXが複雑になり離脱率が悪化しました(出典:NOROSHI×Mikosea)。

複雑化したUXを見直すため、専門家レビューから画面体験の整理まで段階的に改めました。

  1. 専門家によるUXレビューを行う
  2. プロトタイプで改善案を検証する
  3. デザインシステムを構築し、画面体験を整える

機能を増やせば便利になるという考えが、かえって利用者を遠ざけていました。

一連の改善の結果、売上は前年比4,111%に成長しました。

成否を分けるのは、機能の数より目的達成までの摩擦の少なさです。特に、検索からメッセージ、取引までの導線が複雑だと、利用者が離れます。

そこで、機能を足す前に、レビューとプロトタイプ検証でつまずきを見つけ、デザインシステムで体験を整えます。

マッチングサイトでは、ローンチを起点に行動データを見ながらUI/UXを磨く体制が必要です。

需給双方でUIを切り分けた設計の事例

マッチングサイトでは、需要側と供給側に異なる体験が必要で、UIも立場ごとに切り分けて考える必要があります。

  • 需要側:相手を探して取引までをシンプルにする
  • 供給側:情報や取引履歴を管理しやすい体験

供給側には、プロフィールや出品情報の管理、問い合わせ状況や取引履歴を把握する機能が必要です。同じ画面で両方を扱うと、どちらかが使いにくくなります。

そのため、成功事例では設計段階から需給双方のUIを切り分けています。需要側には簡潔な検索と連絡の導線を、供給側には管理機能を備えた画面を用意します。

ユーザーインタビューやユーザビリティテストで仮説を検証し、さらにABテストで改善を重ねます。設計の要点は、双方の体験を整えて取引成立を目指すことです。

ポイント

公開後は、行動データを見ながらUI/UXを改善し続けることが、成長を左右します。成否を分けるのは機能数より摩擦の少なさなので、機能を増やす前に導線を見直すことが判断の目安になります。

まとめ

成功も立て直しも、二面市場を前提に片側集客を設計し、最小構成で取引を確かめてから、機能や信頼の担保を広げる流れに集約されます。

3戦術で鶏と卵問題を突破し、大企業の顧客基盤を使えば、初期集客コストを抑えてPoCを進められます。

公開後のUI/UX改善は、Clickの前年比4,111%成長のような成果にもつながります。

事例を読むときは、機能の多さより、二面市場が立ち上がり使われ続けた理由に注目しましょう。

まず、自社や提携先の母集団を調べ、狭い範囲で取引が成立する最小構成から始めます。riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、事業の成立条件から要件を整理します。

二面市場として定着するプラットフォームづくりも一貫して支援します。全体像の確認には、完全ガイドをご活用ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。