不動産・建設業界でAIエージェントを外注するには、課題を数値で捉え、PoCで検証し、RFPと契約を整理する順に進めます。まず業務の活用例を確かめ、発注形態、要件、契約、費用、委託先、現場定着の順に決めると、導入後も現場で使われやすくなります。
AIシステム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「AIシステム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
不動産・建設業界でAIエージェント開発を外注する背景
AIエージェントは、質問に答えるだけでなく、社内データを検索し、複数のシステムを操作して、判断後に次の担当者へ仕事を渡す仕組みです。
不動産の物件提案や建設の施工計画書作成にも使えます。
ただ、法令・図面・顧客情報を扱うため、費用だけで委託先を選ぶと、要件や契約、責任の分け方が抜けやすくなります。
外注を検討する理由は、生成AIを試すことそのものではなく、人手不足や業務の属人化といった事業上の制約を解消することにあります。
特に、自社データと既存システムをつなぐ部分は、単なるチャットボット導入より業務分析と開発設計が必要になります。
建設業の2024年問題と熟練知の継承
建設業では、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されました。
上限規制のもとでも、施工品質を保ちながら作業時間を減らすことが求められています。
国土交通省の令和7年版国土交通白書も、建設業では就業者の高齢化と若年者の入職減少が見込まれると整理しています。
同白書は、担い手の確保・育成が喫緊の課題だとしています(出典:国土交通省「令和7年版国土交通白書」、2025年)。
AIエージェントに任せる役割は、大きく2つに分けられます。
- 資料の検索:過去の施工計画書や写真、検査記録から必要な情報を探す
- 下書きの作成:日報も参照して担当者が確認する下書きを作り、熟練者の経験を再利用する
不動産営業の追客疲れと提案品質のばらつき
不動産会社では、反響の取り込みや顧客属性の整理に時間がかかります。
物件提案やメール、電話の準備も重なるため、営業担当者は本来注力すべき面談や契約交渉に集中しにくくなることがあります。
閲覧履歴や希望条件を参照させれば、AIエージェントは次の2つを作れます。
- 物件の提案理由:なぜその物件を提案するのかを説明文にまとめる
- 一次返信:顧客への最初の返信を下書きとして用意する
駅距離や用途地域、設備、重要事項説明に関わる内容は自動送信せず、宅地建物取引士などが事実を確認する工程を必ず挟みます。
業務フェーズ別に見るAIエージェントの活用事例
発注前には、どの業務を、どの入力から、どの出力まで自動化するのかを決めておきます。AIに何をさせたいかより先にこの流れを決めると、発注側と開発会社の認識がそろいやすくなります。
他社の成功事例は、自社の帳票や承認者、例外処理に置き換えてから、効果を見積もります。
建設設計・施工管理では文書作成と現場判断を支援
建設分野では、発注情報や社内ナレッジから施工計画書の下書きを生成できます。さらに、図面や写真を読み取り、確認箇所を示す使い方も考えられます。
- 下書き作成:施工計画書の作成を支援する
- 画像確認:図面や写真から確認箇所を示す
- 提出前確認:根拠文書と専門担当者の承認を組み込む
大成建設は2025年11月、視覚言語モデルを基盤にした全体施工計画書作成支援システムを発表しました。
500ページ規模の文書を約10分で生成し、作業時間を従来比約85%削減できるとしています(出典:大成建設「最新生成AIを活用した土木工事の全体施工計画書作成支援システムを開発」、2025年)。
重機・ドローン・センサーと連携する場合は、通信断や遅延のときに安全側へ停止する設計が欠かせません。
AIの判断範囲と制御装置・現場責任者の担当範囲は分けて定め、緊急停止、手動切替、操作ログを要件に含めます。
不動産営業では物件提案と追客を自動化
不動産では、CRMから顧客の希望条件や問い合わせ履歴、閲覧物件を取り出せます。こうした情報をもとに提案理由や次のメッセージを作るエージェントは、実用的です。
- 提案作成:希望条件に合う物件と提案理由を用意する
- 追客支援:次に送るメッセージを作成する
- 誤送信防止:物件情報を送る前に担当者が確認する
大和ハウス工業のAIプランコンシェルジュは、約2,000件のプランデータから、要望に応じた住宅プランと説明文を生成します。
外注する際は、担当者が行った修正を学習と評価に戻せるかも確かめておきます。
導入の初期は、即時返信や面談前の検討状況の要約など、対象業務を絞ります。
返信率と初回対応時間を導入前後で比べ、担当者一人あたりの対応件数と商談化率も見ます。
売上への寄与も検証します。
削減時間と品質の両面からみた定量効果
AI導入の効果を「何%削減」とだけ書くと、稟議のあとで評価がぶれやすくなります。
- 削減対象:月800時間の文書作成でAIが担う60%分なら480時間(人の確認は40%)
- 実際の削減率:確認時間、差し戻し、データ更新の手間も含めて測る
- 建設の品質:手戻り、事故につながる見落とし、熟練者への問い合わせ回数を見る
- 不動産の品質:誤送信率、商談化率、顧客と話せた時間を確認する
大成建設の約85%削減は参考値として見てください。
結果は、自社のデータ品質や帳票の標準化、承認ルールによって変わります。そのため、RFPには自社のベースラインを記載します。
AIエージェントの発注形態の選び方

発注形態は、既製SaaSから、ノーコード・ローコード内製、ベンダーとの共同開発を経て、フルスクラッチ受託開発へと進むほど、自由度と責任範囲が大きくなります。
発注形態は、会社の規模よりも業務の重要度や既存データとの連携を見て決めます。
許容できる誤りの大きさと、運用を担う社内人材の有無も、発注形態を決める際の判断材料になります。
既製ツール・PoC・共同開発・フルスクラッチの使い分け
問い合わせ要約や議事録作成のように、情報源と出力が限られる業務は、既製ツールで始められます。発注形態は、業務の複雑さと失敗したときの影響をもとに選びます。
- 既製ツール:情報源と出力が限定された業務に使う
- 共同・受託開発:図面やCRMなど複数の情報を連携する
- PoC:法規確認や重機制御など、誤りの影響が大きい業務で人の承認を試す
図面や施工要領書、CRMを横断する場合は、ベンダーとの共同開発か受託開発が現実的です。
会計や工事台帳を加える場合も、この考え方は変わりません。
法規チェックや発注承認、重機制御など、失敗時の影響が大きい業務では、最初から全自動を目指すより、専門担当者の承認を含むPoCから始めます。
PoCでは、本番データに近いサンプルを使い、正答率、根拠提示率、処理時間を測ります。人の確認時間と月額運用費も記録します。
期間は4〜8週間程度とし、合格基準を満たした場合に本開発へ進むことで、投資が膨らむのを抑えられます。
レガシーシステムと非構造化データの棚卸し
予算と期間は、モデルの選定よりもデータ連携で膨らみがちです。そのため、棚卸しでは次のデータと作業を確認します。
- 接続先:古いオンプレミスの基幹システムや部署別のExcel
- 資料:紙・手書き図面や重複した顧客マスタ
- 整備:API確認、OCR、項目標準化、アクセス権整理
RFPには、データごとの形式や件数、更新頻度を書き出します。
RFPには、保管場所や欠損率、権限も一覧にします。
「データはある」とまとめず、一件ずつ確かめることが大切です。
委託先には、どの方式で連携するかを説明してもらいます。将来のシステム刷新時に移行できるかも確認します。
- 連携方式:API・ファイル・DB参照・RPAから選ぶ
- 例外処理:読めない図面や写真を人へ返す
手書き図面や現場写真では、読み取りの精度に加えて、読み取れない箇所を人に返す例外処理が欠かせません。
中小規模での一つのボトルネックへの絞り込み
全社の業務を一度に自動化すると、現場ごとの例外が増え、誰も責任を持てなくなります。まずは、週に何度も発生し、成果を測りやすい作業を一つ選びます。
- 反響対応:夜間の問い合わせに一次返信する
- 日報確認:翌日の確認事項を抽出する
- 事例検索:過去の見積や施工事例を探す
無料の生成AIで仮説を試したあと、機密情報を扱う段階で、企業向けの環境や委託開発へ切り替える進め方もあります。
経営会議では、削減時間を人件費に単純換算するだけでなく、残業の抑制や失注の防止を分けて説明します。
教育期間の短縮や品質事故の回避も、効果として別々に示すと伝わりやすくなります。浮いた時間を、どの顧客対応や現場管理に振り向けるかまで決めておくと、費用対効果を具体的に示せます。
RFPと要件整理で決めるべき発注条件

RFPは、候補会社に同じ前提で提案してもらうための資料です。「AIエージェントを作ってください」と頼むだけの依頼書とは違います。
比較の前提には、対象業務と利用者、入力と判断、出力と例外を含めます。さらに、評価方法や納期を加え、予算とセキュリティも同じ条件にそろえます。
- 必須条件:候補会社すべてに求める条件を固定する
- 提案範囲:候補会社に自由提案を求める部分を分ける
業務フロー・データ・評価指標の一覧
RFPでは、現行業務とAIに任せる役割を分けて整理します。
- 現行フロー:担当者、システム、判断基準、所要時間、月間件数、手戻りを記録する
- AIの役割:「読む」「検索」「推論」「登録」「承認依頼」に分ける
- 成果物:参照資料、生成箇所、根拠表示、出力形式、承認者を決める
施工計画書の場合は、参照する発注図書と生成対象の章を明示します。Word出力と承認者も、あわせて書いておきます。
非機能要件と評価指標は、数値で確認できる形にします。
- 稼働条件:応答時間、同時利用者数、可用性、ログ保存、権限、国外移転、復旧時間を定める
- 評価指標:正答率、引用元の正確さ、禁止情報の出力率、承認前の外部送信件数を測る
評価は、文章の印象よりも測定結果を基準に行います。
セキュリティと現場の利用条件の要件
顧客情報や図面を扱う業務では、無料の公開型AIにデータを入力しない運用が欠かせません。RFPでは、次の管理条件も確かめておきます。
- 情報保護:氏名を「A様」に置き換えるマスキングを行う
- アクセス管理:利用者別の閲覧権限と入出力ログを定める
- 委託管理:学習利用の有無と再委託先を確認する
IPAのAI事業者ガイドラインも、リスクを踏まえた活用と事業者のガバナンスを示しています(出典:IPA「AI事業者ガイドライン」、2026年版)。
現場で使う画面は、利用者と通信環境に合わせて設計します。
- 操作方法:音声入力、候補選択、写真添付、ひらがな検索を優先する
- 通信対策:圏外では下書きを保持して再送する
- 利用検証:利用者テストと操作時間で使い勝手を測る
高齢の営業担当者や職人が使う場合は、複雑な画面を避けます。
契約形態と知的財産権・責任分界の決め方
AI開発では、要件が固まっていない初期調査と、仕様が確定した本開発とで、適した契約が異なります。そのため、契約書の名称だけで判断せず、成果物や検収基準、変更手続きを具体的に定義します。瑕疵対応と運用支援も、あらかじめ決めておきます。
工程ごとの準委任・請負・共同開発の使い分け
工程の不確実さに合わせて契約形態を選び、検収の方法も決めておきます。
- 準委任:調査・検証・PoCの稼働時間や役務を管理する
- 請負:仕様と成果物が明確な本番機能に向く
- 検収:テストデータ、精度、根拠、ログ、障害時の動作を確かめる
AIの回答精度を完全に保証できるとは限りません。そのため、検収は画面の完成だけで判断しないようにします。
共同開発では、意思決定者や費用負担、成果物の利用範囲を別紙にまとめます。仕様変更時の単価や追加データ整備、月次改善の扱いも先に決めておくと、認識のずれを減らせます。
学習データ・プロンプト・コードの権利と事故責任
契約では、納品物を誰がどこまで使えるかを明記します。汎用部品や基盤モデルの権利まで取得できるとは限りません。
- 対象成果物:ソースコード、プロンプト、評価データ、検索インデックス、業務設計書
- データ利用:自社データを別顧客の学習に使わない
- 契約終了時:データ返却・消去と再利用範囲を決める
事故や金銭被害の責任を、AI提供会社だけに負わせられるとは限りません。そのため、法務担当者と次の境界を整理しておきます。
- 承認者:誰が最終判断を担うか
- 自動化範囲:自動化しない操作と警告を無視した場合の扱い
- 賠償条件:損害賠償の上限と例外
事故の対象には、誤った法令解釈や物件設備の情報、積算、危険な制御指示が含まれます。
AIエージェント開発の費用相場と見積の内訳
2026年時点の国内公開情報では、既製ツールは月数千円からです。受託開発は数十万円から数百万円、大規模案件は数千万円以上まで幅があります。株式会社riplaの公開情報では、費用相場は50万円から5,000万円超、人件費は全体の60〜80%とされています(出典:株式会社ripla「AIエージェント開発の見積相場や費用」、2025〜2026年時点)。
相場の一つの数字に当てるより、費用が何に対応しているのかを比べることが大切です。
初期費用の内訳(人件費・データ整備・連携)
見積書では、費用を工程ごとに分けて示してもらいます。次の3つの区分で整理すると、会社間の比較がしやすくなります。
- 開発工程:業務ヒアリング、UX、プロンプト、画面、API連携
- 品質・導入:データ整備、テスト、セキュリティ審査、教育
- 数量単位:帳票、ファイル、OCRページ、統合マスタ件数
データ整備を「一式」にせず、帳票の種類やファイル数などの単位で比較します。
小規模PoCは、数十万円から数百万円で始められる場合があります。本番化では、システム書き込みや利用者管理の費用を確認します。加えて、監査ログや障害監視の費用も見ておきます。
ランニングコストと運用担当者の工数
運用費と利用量を見積もる際は、次の項目を確認します。
- 継続費用:API、検索・DB、ログ、監視、バックアップ、保守、モデル変更、追加学習、セキュリティ
- 従量課金:1件あたりのトークン量、検索回数、再試行回数、添付サイズ
- モデル選択:分類は軽量、重要な下書きは高性能モデルに分ける
利用回数が増えると従量課金も増えるため、実際の使用量を試算します。
社内で確認や更新、誤回答の分類、権限の棚卸しにかかる時間も見積もります。制度や物件情報、施工基準の改訂に合わせて、知識を更新する仕組みが必要です。
削減額から回収期間までのROI計算
ROIは、年間効果額から初期費用と年間運用費を引き、その額を投資額で割って求めます。たとえば月400時間の作業を時給3,000円相当で評価すると、年間効果は1,440万円と見積もれます。ただし、確認や再作業の時間を差し引かなければ、過大評価になります。
- 控除項目:品質確認や再作業の時間を差し引く
- 効果の種類:人員削減だけでなく、残業、受注機会、教育期間も分ける
- 試算条件:保守・標準・楽観の3ケースを作る
前提の違いで数字がどう変わるかは、ケースごとに並べて確認します。
回収期間は、初期費用を年間純効果で割って求めます。初期費用1,200万円、運用費240万円、効果1,440万円の場合、純効果は1,200万円となり、単純回収期間は約1年です。
PoCでの確認が済んでいない段階では、導入を分けて、投資の上限を決めておきます。
委託先の選定と見積比較で確認するポイント
委託先は、AIの技術用語を多く説明する会社よりも、不動産・建設の業務やデータの実情を理解し、導入後の運用まで伴走できる会社を選びます。
提案書やデモを、見積や契約条件と同じ評価軸で並べます。そうすると、価格だけで比べる事態を避けられます。
業界実績に加えて見る業務分析と運用体制
実績の確認では、導入社数だけでなく、条件の近い案件を確かめます。
- 案件条件:データ形式、利用者数、連携先、セキュリティ要件
- 評価内容:課題、代替案、精度評価、導入後の利用率、保守体制
- 業界経験:建設の現場写真・図面・施工書類、不動産のCRM・ポータル反響・物件マスタ
顧客名を伏せた画面だけでなく、具体的な課題や運用の実績も質問します。
PMの業務ヒアリング参加と、データ・セキュリティ・UI担当の配置時期を確認します。納品後の交代に備えて、引き継ぎ資料や窓口を契約に含めます。SLAや障害時の連絡網も、あわせて契約で定めます。
見積の総額・前提・除外範囲の比較
比較表には、工程別の金額と成果物を記録し、追加費用の前提もそろえます。
- 比較項目:要件定義、PoC、開発、データ、テスト、教育、保守、クラウド・API
- 追加費用:「別途」項目の件数、単価、上限、承認条件を確認する
- 除外範囲:データ整備、権限、評価テスト、運用監視を確かめる
安い提案に必要な作業が含まれているかを、成果物と合わせて確かめます。
提案では、APIの有無や顧客情報の利用目的を確認します。専門家の承認と現場の通信状況も、前提として書いてもらいます。こうした前提が見積に含まれていれば、後工程での追加請求や混乱を抑えやすい傾向があります。
本番化の前に決める現場定着とガバナンス

AIエージェントが使われなくなる原因は、性能のほかにもあります。現場の仕事の流れに合わず、入力が増え、回答の根拠が分からず、間違いを直す方法もないと、数週間で利用が止まります。
本番化の条件には、現場での利用率を含めます。加えて、教育や問い合わせ対応、改善サイクルも条件として決めます。
Human in the Loopによる誤りの防止
不動産の重要事項や、建設の安全・法令・契約に関わる文書では、AIの出力を最終判断にしないことが前提です。そこで、人の確認を次の流れに組み込みます。
- 根拠提示:AIが参照箇所を示す
- 人の確認:担当者が承認または修正する
- 記録:修正理由をログに残す
自信度だけで正しさは保証されないため、重要項目は原文を確認します。
テストでは、通常ケースに加えて、古い法令や欠損図面を含めます。似た地名や同姓の顧客、極端な数値、通信断も試しておきます。
回答を止める条件と担当者へ引き継ぐ条件を決めると、誤回答を抑えられます。
教育と改善の小さな繰り返し
導入初週は、現場の代表者数名に実案件を操作してもらい、使い勝手と問題を記録します。
集めた記録は一度きりで終わらせず、毎月の確認を続けて、現場に合う形へ直し続けます。
- 記録:便利な回答、未使用機能、誤り、入力の負担を集める
- 定期確認:1か月ごとにログと利用者への聞き取りを確認する
- 改善:プロンプト、検索対象、画面、承認手順を見直す
音声入力、定型ボタン、写真からの報告作成など、今の方法より短時間で使える機能から始めます。
利用率が低いときは、現場の意欲を責める前に仕組みを見直します。入力の負担や応答速度、権限エラーを確かめます。承認手順も、あわせて見直しの対象です。
不動産・建設向けマルチエージェントの将来像
将来は、一つのAIに全業務を任せるのではなく、専門エージェントが連携する構成も考えられます。たとえば、図面読み取りや積算、法規確認を、それぞれ専門のエージェントに分担させます。工程計画や顧客提案も分けられます。
各エージェントは、共通の案件IDと権限のもとで連携します。そのうえで成果物を次の担当へ渡し、重要な分岐は人が承認します。
連携での権限・根拠・状態の扱い
マルチエージェントでは、情報の参照や変更、受け渡しの根拠を追えるようにしておきます。
- 役割設定:目的、データ、ツール、停止条件、出力形式を定める
- アクセス管理:案件単位の権限を適用する
- 実行制限:呼び出し回数と権限を制限する
自由な呼び出しは、誤情報の連鎖とコスト増につながるため、管理が必要です。
一つの業務で、検索から下書き、承認、記録までが安定してから、次の業務へつなげます。将来構想を示しながら、契約範囲は検証できる一業務に区切ります。
発注前の最終チェックと投資判断
発注前には、対象業務と責任者、現状値を確認します。データの権利とPoCの基準も、あわせて確かめておきます。費用と契約については、次の項目をそろえます。
- 費用:初期開発、API、クラウド、保守、教育、社内運用
- 契約条件:除外範囲、再委託、データ返却、終了後の移行
発注の単位は、月何時間の業務をどの精度で短縮し、誰が承認するかで決まります。この問いに答えられるRFPなら、提案や見積、導入後の責任を比べやすくなります。
よくある質問(FAQ)
不動産・建設業界のAIエージェント外注では、費用と期間のほかに、精度とデータ管理への質問も集まりがちです。発注前に論点を確認しておくと、社内説明とベンダーとの合意を進めやすくなります。
AIエージェント開発を外注するといくらかかりますか?
既製ツールなら月数千円から、PoCや小規模な受託開発なら数十万円から数百万円、複数システム連携や全社運用まで含めると数千万円以上になる場合があります。
費用は、業務数やデータ整備の範囲で大きく変わります。連携先やセキュリティ、運用保守も影響します。そのため、RFPで前提条件をそろえ、相見積もりを取ることが必要です。
開発期間はどのくらい見ておけばよいですか?
対象業務が限定された検証は4〜8週間程度、本番の業務システム連携と利用者テストまで含む場合は数か月単位で計画します。
既存データの棚卸しや権限の整理が長引くと、開発期間も延びます。法務やセキュリティの審査、現場教育も、期間を延ばす要因になります。期間を短くするには、最初の対象業務と合格基準を絞ることが有効です。
AIの誤回答や情報漏洩はどう防げますか?
根拠文書を検索して出典を示す仕組みを入れ、出力前にはルールチェックと専門担当者の承認を通します。操作ログと権限管理も組み合わせます。
顧客情報や機密情報は公開型AIへ入力せず、マスキングや企業向けの環境を使います。委託先と再委託先のデータ利用条件も、契約で確認します。
重要事項や安全に関する判断は、完全に自動化せず、AIが回答できない場合に人へ戻す設計が必要です。
まとめ
不動産・建設業界のAIエージェントを外注する際は、まず人手不足や追客、文書作成などの課題を業務単位で定義します。
次に、自社のデータとリスクに合う発注形態を、既製ツールからフルスクラッチまでの中から選びます。そのうえでRFPを作り、入力と出力、評価基準を、セキュリティや運用とそろえます。
成功する発注の要点
発注では、次の4つの観点を一体で整理します。
- 費用:導入と運用を含めた総額で比べる
- 契約:成果物、権利、データ、責任の範囲を決める
- 現場運用:人の承認と使いやすさを組み込む
- 評価:改善を続け、利用率とROIを測る
契約では、検収基準を成果物とあわせて定め、知的財産権の範囲も明確にします。データの利用・返却、再委託、事故時の責任分界も、契約に明記します。
どの観点も一つだけ欠けると、導入後に費用や責任をめぐって問題が出やすくなります。そのため、4つを同じ資料で確認しておくと、ベンダーとの認識がそろいやすくなります。
現場ではHuman in the Loopや音声入力を取り入れ、教育と改善のサイクルを組みます。利用率とROIは継続して測定します。
参考ソース:国土交通省「令和7年版国土交通白書」を参考にしています。
https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r06/hakusho/r07/html/nh000000.html大成建設「最新生成AIを活用した土木工事の全体施工計画書作成支援システムを開発」を参考にしています。
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2025/251128_10770.htmlIPA「AI事業者ガイドライン」を参考にしています。
https://www.ipa.go.jp/disc/committee/begoj9000000egny-att/20260305_009_04_00.pdf株式会社ripla「AIエージェント開発の見積相場や費用」を参考にしています。
https://www.ripla.co.jp/blog/product/ai-agent-development-costs/▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・AIシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
