人事評価システムの発注は、評価制度の棚卸し、RFPへの要件記載、提案と見積もりの比較の順に進めると、導入後の手戻りを防ぎやすくなります。
まず制度を整理し、機能と非機能の要件、選定と移行体制へと進みます。全体像は人事評価システムの完全ガイドもご覧ください。
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要件定義で最初に固める評価制度の整理

人事評価システムの要件定義は、まず自社の評価制度そのものを固めるところから始まります。
等級制度や評価項目、評価の計算ロジック、評価スケジュールを言葉にして、現行制度を棚卸しします。あるべき制度を整理することが第一歩です。
等級制度・評価ロジック・計算式の棚卸し
自社の評価制度は、等級と評価項目、評価方法、計算式の3つを文書にしておくと、システムで再現する範囲を判断できます。
- 等級と評価項目:等級の段階数と、段階ごとの評価内容
- 評価方法:定量目標と定性評価を組み合わせる比率
- 計算式:最終的な評価ランクを決める計算ロジック
仕組みが曖昧なままでは、SaaSの標準機能で再現できるかも判断できず、導入後に計算式を表現できないと分かって、致命的なミスマッチになるおそれがあります。
制度として明文化されていないものは、システム化の際に抜け落ちてしまいます。そのため、Excelに埋め込まれた複雑な計算式や、人事担当者が持つ暗黙の調整ルールも掘り起こしておきます。
さらに、職種別の評価シートや評価軸ごとの重み付けなど、自社特有のロジックも整理しておきます。この棚卸しは、導入後の手戻りを防ぐとともに、SaaSで足りるかスクラッチが必要かを判断する材料になります。
現状(AsIs)と理想(ToBe)の業務フローの整理
制度の棚卸しと並行して、評価業務の現状(AsIs)を図に描いておきます。業務の各段階を並べると、無駄や手戻り、システム化で改善すべき点が見えてきます。
- 評価シートの配布と回収:誰がいつ行うか
- 集計と調整:どこで集計し、どのような調整を経て確定するか
- 導入後の業務(ToBe):システム導入後に実現する業務フロー
現状を見ないまま理想だけを描くと、現場で使われないシステムになりがちです。一方で、現状と導入後のギャップこそが、システムに求める要件になります。
riplaがフルスクラッチ受託で重視するのも、現場の業務から逆算してToBeを描く進め方です。業務フローを先に組み直すと、現場に定着し、過剰投資にならないシステムの輪郭が見えてきます。
制度と業務フローの整理は、RFPを書く前提になる工程です。
RFPに盛り込むべき機能・非機能要件

制度と業務フローを整理したら、その内容をRFP(提案依頼書)にまとめます。RFPは、自社の要望を各社に伝え、比較できる提案を得るための文書です。
機能要件に加えて、セキュリティや可用性などの非機能要件も漏れなく書きます。要件がそろうと、提案の質や見積もりの妥当性を比べられます。
評価ワークフロー・目標管理・連携の機能要件
機能要件には、必要な機能を具体的に書き、優先度を付けておきます。すべての機能を必須にすると、見積もりが膨らみ、不要な機能にも費用を払うことになります。
- 評価と承認:シートの雛形設計、多段階の承認フロー
- 目標と記録:MBO・OKRによる目標管理、1on1記録、多面評価
- 分析:レポート作成や集計の機能
機能ごとに「必須」「推奨」「任意」などの優先度を整理しておくと、ベンダーが提案しやすくなります。
また、既存システムとの連携要件も欠かせません。給与計算、勤怠管理、人事管理の各システムと、どのデータを、どの方向へ、どの頻度で連携するかを明記します。
連携の方式は、APIかCSVか、リアルタイムかバッチかで、開発の難易度と費用が変わります。実際、リサーチでは、既存の人事システムとの併用でデータが分散したことが、導入課題の上位に挙がっています。
連携の仕様は曖昧にせず、RFPで具体的に問う必要があります。連携要件の精度は、システム全体の成否を左右します。
セキュリティ・権限・可用性の非機能要件
評価情報は機微な個人情報です。だからこそ、セキュリティと権限管理の要件は妥協せず、自社のポリシーに沿ってRFPに明記します。
- アクセス管理:役割ごとの権限設定と、不正な利用への対策
- データ保護:通信・データの暗号化とアクセスログの保持
- サービス運用:評価期のアクセス、障害時の支援、SLA(サービス品質保証)
要件を後回しにすると、導入後に追加対応が発生して、費用と時間がかかります。さらに、可用性や保守の条件も事前に確かめておきます。
データのバックアップとリストアの方針も確認しておきます。クラウド型では、その進め方が提供事業者の運用に左右されます。
オンプレ型やスクラッチ開発では、保守費用が年で初期費用の10〜20%程度かかるのが一般的です。そのため、この運用コストもRFPで確かめておくと、総保有コストを見誤りにくくなります。非機能要件を具体的に書けるかどうかは、発注側の成熟度を示します。
SaaS導入とスクラッチ開発で異なる要件の立て方
人事評価システムの実現手段は、大きく分けてSaaS(クラウドサービス)とスクラッチ(個別開発)があります。選ぶ方式によって、要件定義とRFPの立て方が変わります。
自社制度の独自性と求める柔軟性を踏まえ、どちらの路線で要件を組むかを早い段階で見極めます。
SaaSは「自社制度をどこまで再現できるか」の確認
SaaSでは、自社の評価制度を製品でどこまで再現できるかを検証します。標準機能で再現できるかどうか、難しい場合はどこまでカスタマイズできるかを、RFPで具体的に問います。
- 独自ロジック:計算ロジックを標準機能で表現できるか
- 職種別シート:職種ごとの評価シートに対応できるか
- カスタマイズ:標準機能で難しい場合、どこまで対応できるか
自社の評価シートと計算式を提示し、実際に再現できるかを確かめると、機能一覧では見えない差が分かります。
SaaSの費用は、初期費用と月額で構成されます。人事評価・タレマネ領域では、初期費用は「30万〜100万円未満」が最も多くなっています。
月額は1名あたり「500〜999円」が最も多いというデータがあります。課金モデルでは、定額制(全社固定)が33.3%、従量制(1ユーザー)が30.3%です。
段階制(レンジ別)は28.7%で、各モデルの割合はほぼ均等です。そのうえで、人数規模に応じて有利なモデルを試算し、要件に織り込みます。
無料トライアルで自社制度を実機検証する工程を、RFPの選定プロセスに含めることをおすすめします。
スクラッチは「制度を忠実に再現する」要件の詳細
評価制度の独自性が強く、SaaSでは表現しきれない場合は、スクラッチ開発が選択肢になります。その場合は、制度、計算ロジック、業務フローを忠実に再現する要件を詳しく記します。
- 制度:自社の評価ルールをシステム上で再現する
- 計算ロジック:独自の計算式を具体的に示す
- 業務フロー:現場の動きをシステムに反映する
既製機能に合わせるSaaSと違い、スクラッチは自社専用に一から作ります。そのため、要件の精度が品質と費用に直結します。
オンプレ型のスクラッチ開発は、初期費用が数百万〜数千万円です。また、保守費用は年で初期費用の10〜20%が目安となります。
費用は高くなりますが、評価制度を曲げずにシステム化でき、将来の制度変更にも柔軟に対応できます。
riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発の立場から、自社制度を起点に要件を詳しくし、SaaSで足りる部分とカスタムが必要な部分を分ける進め方を支援しています。SaaSとスクラッチのどちらを選ぶかは、RFPの設計段階で見極める分岐点です。
見積もり比較とベンダー選定の進め方

RFPを各ベンダーに提示したら、提案と見積もりを比べて選定します。判断を誤ると、安く見えた見積もりが後から膨らんだり、自社制度に合わない製品を選んでしまったりするおそれがあります。そのため、見積もりの構造を理解し、隠れコストまで見抜くことが選定の精度を高めます。
初期設定・データ移行など隠れコストの見抜き方
初期費用と月額だけでなく、付帯費用を含めた総額を比較します。RFPで対象の費用を明示するよう求めると、各社の見積もりを同じ条件で比べられます。
- 初期設定:設定代行にかかる費用
- データ移行:既存データを新システムへ取り込む費用
- 運用支援:運用コンサルティングにかかる費用
これらの隠れコストは、予算オーバーの主な原因になります。そこで、相見積もりを取って項目ごとに突き合わせ、妥当性を見極めます。
費用負担を抑える手段として、IT導入補助金も検討できます。実際、リサーチでは、約40%の企業が何らかの補助金を活用しています。
特に中堅企業(100〜999名)では、IT導入補助金の利用率が高いというデータがあります。導入費の一部が補助される可能性があるため、対象になるかを早い段階で確認しておきます。
補助金を要件と見積もりに織り込むと、稟議の場でも根拠を示せます。隠れコストを見抜き、使える制度を活用することが、賢い発注の条件です。
データ移行性・ロックイン回避の選定軸
導入時の使い勝手に加えて、将来の乗り換えやすさも選定軸に入れます。特定ベンダーへの過度な依存を避けるため、データの可搬性をRFPで確認します。
- データの出力:評価データを自社でエクスポートできるか
- 他システムへの移行:データを取り出しやすいか
- ロックイン:特定ベンダーに依存するリスクがあるか
スイッチングコストの観点は見落とされがちですが、乗り換えのしやすさに関わる大切な確認事項です。
選定の最終段階では、無料トライアルや実機デモを使い、自社の評価制度を実際のデータで再現できるかを確かめます。提案書の機能一覧と実際の使い勝手には差があるためです。
riplaは、フルスクラッチ受託と運用伴走の立場から、要件定義、ベンダー選定、導入後の定着まで一貫して支援し、自社制度に合うシステム化を進めています。RFPと要件定義に時間をかけることは遠回りに見えても、結果的には最短で失敗のない導入に進む道筋です。
価格以外の評価軸によるベンダーの総合判断
価格の安さだけで決めると、失敗につながります。価格以外の評価軸も項目ごとに点数化し、根拠をもって各社を比べます。
- 制度への適合度:自社の評価制度に合うか
- 支援の手厚さ:導入支援と運用支援の内容
- 対応力:サポート体制とレスポンスの速さ
- 人事領域の知見:領域に関する知見と実績
項目別の評価表を作ると、感覚に頼らず、根拠に基づいて選べます。
特に、導入後も伴走してくれるかを重視します。リサーチでは、性能よりも運用準備が成否を分けると指摘されています。
納品後も定着まで支えるベンダーなら、投資を成果に結びつけられます。一方で、安さを優先して支援が薄いベンダーを選ぶと、現場が使いこなせず形骸化する失敗につながります。
RFPで導入後の支援内容と体制を提案してもらい、価格と支援のバランスを総合的に判断します。要件定義から選定までを一貫して設計する姿勢が、導入を成功させる土台になります。
データ移行・導入体制・スケジュールの要件
機能要件と非機能要件を整理したら、移行・体制・スケジュールの要件を固めます。機能の話に隠れて軽視されやすいものの、導入を円滑に進められるかを左右します。
RFPにこれらを明記すると、ベンダーの提案が現実的になり、導入後のトラブルを防ぎやすくなります。
既存データの移行・名寄せの要件整理
過去の評価履歴や社員情報をどこまで移行するかを、要件として明確にします。Excelや旧システムのデータを取り込む場合は、形式の変換や、分散した社員情報の名寄せが必要になります。
- 移行範囲:何年分の履歴とどのデータを移すか、対象外は何か
- 名寄せ:複数の台帳に分散した社員情報をどう整理するか
移行の難易度と工数を見積もらずに進めると、想定外の費用と時間がかかります。ただし、すべての過去データを移すと工数が膨らむため、意思決定に必要なデータに絞る判断も欠かせません。
初期設定の代行費やデータ移行費は、隠れコストの代表例です。RFPで費用を明示するよう求めておくと、予算オーバーを防ぐ手立てになります。移行は導入の最初の関門であり、要件として軽視できません。
導入体制・定着支援・スケジュールの要件
自社側の推進体制も要件として明確にします。プロジェクトの主導者を決めるとともに、人事・情報システム・現場の代表をどう巻き込むかを定めておきます。
- 自社の体制:主導者と関係部門の参加方法
- ベンダーの支援:導入・運用をどこまで支援してもらうかRFPに明記
- 工程と期限:稼働日から逆算した各工程の期間
意思決定が滞ると、導入が長引きます。そのため、現場への定着まで支援を得られるかもRFPに記し、形骸化を防ぎます。
評価期に間に合わせるため、稼働期限から逆算して、要件定義から研修までに必要な期間を見積もります。研修や利用促進の期間も、スケジュールに含めておきます。
リサーチでは、性能より「運用準備」が成否を分けると指摘されています。riplaは、フルスクラッチ受託と運用伴走の立場から、移行・体制・スケジュールの要件整理と、導入後の定着までを一貫して支援しています。こうした実務の要件まで丁寧に詰めることが、要件定義を実行できる計画へと仕上げる最後の工程です。
まとめ
人事評価システムのRFPや要件定義では、機能より先に自社の評価制度と業務フローを整理します。等級、評価ロジック、計算式を棚卸しし、AsIsとToBeの業務フローを描いたうえで、機能と非機能の要件をRFPにまとめます。
SaaSでは制度の再現性を検証し、スクラッチでは制度を忠実に再現する要件を詳しく書きます。見積もりは、隠れコストや補助金、データの可搬性も含めて比べます。
RFPと要件定義を丁寧に行うと、導入後の手戻りや形骸化を防ぎやすくなります。まずは自社制度を言葉にし、現場の業務から逆算してToBeを描くことから始めます。
riplaは、フルスクラッチ受託と運用伴走を組み合わせ、要件定義からベンダー選定、導入後の定着まで一貫して支援します。費用相場や全体の進め方は、完全ガイドでご確認ください。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
