介護・福祉業界のシステムの必要機能や標準機能の一覧について

介護・福祉業界向けのシステムを検討するとき、最初につまずきやすいのが「結局このシステムには、どんな機能が標準で備わっていて、何ができるのか」が分かりにくいことです。介護ソフトと一口に言っても、ケア記録だけのものから、国保連請求・LIFE対応・シフト管理・家族連携までを網羅するものまで幅広く、必要な機能を見極めないまま価格や知名度だけで選ぶと、現場で「あの機能がない」「この機能は使わない」というミスマッチに直面します。機能を体系的に理解することが、自施設に合うシステムを選ぶための出発点になります。

本記事は、介護・福祉業界のシステムが提供する必要機能・標準機能を、カテゴリごとに整理して解説する「機能特化」の内容です。ケア記録・バイタル管理、国保連請求・加算管理、LIFE連携と科学的介護、シフト・勤怠・労務管理、家族・多職種連携、そして見守りセンサーやインカムといった周辺機能まで、それぞれが現場で何を解決するのかを具体的に掘り下げます。なお、介護・福祉業界のシステムの全体像をまだ把握していない方は、まず介護・福祉業界のシステムの完全ガイドから読むことをおすすめします。機能の意味を理解したうえで読むと、各機能の位置づけがより明確になります。

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・介護・福祉業界のシステムの完全ガイド

ケア記録・バイタル管理の標準機能

ケア記録・バイタル管理の標準機能のイメージ

介護・福祉システムの中核となるのが、ケア記録とバイタル管理の機能です。利用者一人ひとりの食事・排泄・入浴・睡眠・服薬といった日々のケアと、体温・血圧・脈拍・SpO2などのバイタルを記録し、時系列で蓄積します。この記録機能がすべての出発点であり、ここに入力された情報が申し送り・請求・LIFE提出へと派生していきます。標準機能としてどこまで現場の動線に沿った入力ができるかが、システムの使い勝手を大きく左右します。

タブレット・スマホからの即時入力機能

記録機能で重視すべきは、ケアスタッフが居室やフロアでその場で入力できる即時入力の使いやすさです。タブレットやスマートフォンに対応し、よく使う項目を選択式やテンプレートで素早く入力できる設計であれば、手が空いた瞬間にその場で記録を残せます。これにより、後で事務所に戻って清書する二重作業がなくなります。クラウド型の介護ソフトはカイポケが月5,000円から、まもる君クラウドが月7,800円から、トリケアトプスが1名月200円(上限5,000円)といった水準で、こうした即時入力機能を標準で備えています。

即時入力の質を高めるうえで重要なのが、入力項目のテンプレート化と、利用者ごとの注意事項の表示です。アレルギーや禁忌、転倒リスクといった個別の留意点が記録画面に表示されれば、入力と同時に安全確認も促されます。標準機能として、現場が「楽に、正確に」記録できる工夫がどこまで作り込まれているかを、選定時には実際の画面で確認することをおすすめします。入力が面倒なシステムは、結局使われなくなるからです。

バイタルの推移可視化と異常アラート機能

バイタル管理機能では、単に数値を記録するだけでなく、推移をグラフで可視化できることが標準的に求められます。体温や血圧の変化が一目で分かれば、状態の悪化を早期に察知できます。さらに、あらかじめ設定した基準値を外れた数値が入力された際にアラートを出す機能があれば、見落としのリスクを下げられます。これらは個々のスタッフの経験や記憶に依存していた異変の察知を、データに基づく仕組みへと変えます。

可視化機能は、看護師や医師、ケアマネジャーとの多職種連携でも力を発揮します。利用者の状態をグラフや一覧で共有できれば、口頭で説明するよりも正確に状況を伝えられます。記録した情報が、ただ蓄積されるだけでなく「使える形」で取り出せるかどうか。これが、記録機能を選ぶ際の重要な観点です。次に解説する請求機能とも連動するため、記録の精度はそのまま経営にも影響します。

国保連請求・加算管理の機能

国保連請求・加算管理の機能のイメージ

介護・福祉システムを経営面で支える中核機能が、国保連への介護報酬請求と加算管理です。介護報酬は制度が複雑で、サービス種別・各種加算・利用者の負担割合を正しく組み合わせて請求しなければなりません。請求機能は、日々のケア記録や提供実績をもとに、国保連へ提出する請求データを自動で生成します。この機能の精度が、事務負担の軽さと収益の安定を直接左右します。

加算の算定要件チェックと取りこぼし防止機能

加算管理の機能は、複雑化する一方の加算体系を正しく算定するために欠かせません。加算ごとに必要な記録や体制要件が定められており、それを満たしているかを人手で完璧に管理するのは現実的ではありません。算定要件チェック機能があれば、要件を満たす記録が揃っているか、算定できる加算は何かをシステムが提示してくれます。これにより、本来取れるはずの加算の取りこぼしを防ぎ、収益を適正化できます。

逆に、要件を満たさないまま加算を請求してしまうと、国保連からの返戻や査定減点につながります。記録と請求が連動し、算定要件を機械的にチェックする仕組みは、こうした誤請求を構造的に防ぎます。加算は制度改定のたびに新設・変更されるため、改定への追従が早いシステムかどうかも重要な選定基準です。標準機能として、最新の報酬改定にどれだけ迅速に対応してきた実績があるかを確認しておくと安心です。

利用者負担分の請求・実績管理機能

国保連への請求と並んで重要なのが、利用者本人への自己負担分の請求機能です。介護サービスは費用の一部を利用者が負担するため、国保連請求とは別に、利用者ごとの負担額を計算し、請求書や領収書を発行する機能が必要になります。標準機能として、サービス提供実績から自動で利用者負担分を算出し、月次の請求書を一括発行できる仕組みがあれば、月末の事務作業が大幅に軽くなります。

あわせて、サービス提供実績の管理機能も欠かせません。実際に提供したサービスの実績を記録し、計画と照らし合わせて管理することで、請求の根拠を明確にできます。提供実績記録票の作成や、利用者・家族への提示も、実績管理機能の一部として標準化されているのが一般的です。記録から請求、そして実績管理までが一つの流れでつながっていることが、介護・福祉システムの請求機能の理想的な姿だと言えます。

LIFE連携・科学的介護を支える機能

LIFE連携・科学的介護を支える機能のイメージ

近年の介護システムで重要性を増しているのが、LIFE(科学的介護情報システム)との連携機能です。LIFEは利用者の状態やケア内容を国に提出し、フィードバックを受けて科学的根拠に基づくケア改善につなげる仕組みで、対応する加算の算定にはLIFE所定の様式でのデータ提出が必要になります。この提出を手作業で行うと大きな負担になるため、記録からLIFE様式のデータを自動で整形・出力できる機能が求められます。

記録からLIFE提出データを自動整形する機能

LIFE連携機能の核心は、日々のケア記録をLIFEの様式に対応させ、提出用データへ自動で変換することです。記録の入力項目があらかじめLIFEの様式に沿って設計されていれば、現場が追加の入力をすることなく、必要なデータが蓄積されていきます。提出のタイミングで、システムがLIFE形式のファイルを出力し、アップロードするだけで提出が完了する。こうした機能があれば、科学的介護への対応が現場の過度な負担にならずに済みます。

制度面でも、医療と介護の情報連携を後押しする動きが続いています。令和8年度の診療報酬改定では、電子的診療情報連携体制整備加算として加算1=15点・加算2=9点・加算3=4点が設定されるなど、情報連携を評価する流れが強まっています。介護システムが医療側の情報とどう連携できるかは、今後ますます重要な機能要件になります。LIFE対応を起点に、医療連携まで見据えた機能設計が望ましいと言えます。

フィードバックを活かすケアプラン連携機能

LIFEは提出して終わりではなく、返ってくるフィードバックをケアの改善に活かしてこそ意味があります。そのため、ケアプラン作成機能とLIFEのデータが連携していることが望ましい標準機能です。ケアマネジャーが作成するケアプランや個別機能訓練計画と、LIFEに提出する状態情報が一つのシステム内でつながっていれば、フィードバックを踏まえた計画の見直しがスムーズに行えます。

ケアプラン連携の機能では、計画・実施・評価・見直しというPDCAのサイクルを、システム上で回せることがポイントです。立てた計画に対して実際のケアがどう行われ、利用者の状態がどう変化したかを記録から追え、それをもとに次の計画を立てる。この一連の流れを支援する機能が充実しているほど、科学的介護の質は高まります。機能を選ぶ際は、LIFE対応の有無だけでなく、ケアの改善サイクルまで支える設計かを確認すると良いでしょう。

医療・薬局との情報連携を支える機能

利用者の多くは複数の持病を抱え、医療機関や薬局とのつながりが欠かせません。そのため、介護システムには医療・薬局との情報連携を支える機能が求められます。服薬情報や処方の内容、受診の記録を共有できれば、誤薬や飲み合わせのリスクを下げられます。電子処方箋の普及も進んでおり、その導入には最大194,000円、東京・大阪等の上乗せで最大29.1万円といった補助が用意されています。介護システムが医療側の情報基盤とどう接続するかは、今後の重要な機能テーマです。

制度面でも、医療と介護の連携を評価する加算が整備されつつあります。前述の電子的診療情報連携体制整備加算に加え、医師との情報共有を行う際にはHPKIカードによる電子署名が用いられ、これは医師会会員であれば無料、非会員でも5,500円で取得できます。こうした制度や仕組みに対応した連携機能があれば、利用者を中心に医療と介護が情報をつなぎ、切れ目のないケアを提供できます。機能選定の際は、自施設の利用者層に医療連携の必要性がどれだけあるかを踏まえて評価しましょう。

シフト・労務管理と多職種・家族連携の機能

シフト・労務管理と多職種・家族連携の機能のイメージ

介護・福祉の現場は24時間365日のシフト勤務であり、人材の確保と定着が経営の最重要課題です。そのため、ケア記録や請求といった本業の機能に加えて、シフト作成・勤怠・労務管理、そして家族や多職種との連携機能が、現場を支える重要な標準機能になります。これらは直接的な収益には見えにくいものの、職員の負担軽減と離職防止という形で経営に効いてきます。

シフト作成・人員配置基準チェック機能

シフト作成は、介護現場の管理者にとって毎月の大きな負担です。職員の希望、資格、夜勤可否、そして人員配置基準を同時に満たすシフトを手作業で組むのは骨が折れます。シフト管理機能では、これらの条件を踏まえてシフトを作成し、配置基準を満たしているかを自動でチェックできます。基準を割り込むと警告が出る仕組みであれば、運営基準違反のリスクを未然に防げます。

シフトと勤怠・労務管理が連動していれば、実際の勤務実績から残業時間や有給取得状況を把握でき、働き方の改善にもつながります。介護現場の人材不足は深刻であり、職員一人ひとりの負担を可視化して適正化することは、離職防止に直結します。本業のケア機能だけでなく、こうした「人を支える機能」がどこまで標準で備わっているかは、長く使えるシステムを選ぶうえで見落とせない観点です。

家族連携・見守りセンサー等の周辺機能

家族連携機能は、利用者の家族に日々のケア状況や様子を共有し、安心を提供する役割を担います。スマートフォンのアプリ等を通じて、写真や活動の記録、健康状態を家族に届けられる機能があれば、面会が難しい状況でも家族との信頼関係を保てます。これは利用者満足度を高め、施設選びの決め手にもなり得る付加価値です。

さらに、見守りセンサーやインカム、ナースコールといった周辺機器との連携機能も、近年の介護システムでは重要性が増しています。離床や転倒を検知するセンサーの情報がシステムに自動で記録されれば、夜勤帯の巡回負担を減らしつつ、事故の早期発見につながります。記録・請求といった基幹機能を中心に据えつつ、こうした周辺機能とどこまで連携できるかが、現場の負担軽減を左右します。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発の立場から、こうした機器連携を含めた現場最適な機能の組み合わせ設計を重視しています。

権限管理・監査ログとデータ保全の機能

介護・福祉システムは利用者の機微な個人情報を扱うため、セキュリティを支える機能も標準として欠かせません。職種や役割に応じて閲覧・編集できる範囲を制御するアクセス権限管理は、必要な情報を必要な人だけが扱える状態を保ちます。あわせて、誰がいつどの情報にアクセスしたかを記録する監査ログ機能があれば、不正アクセスや情報の誤操作を検知・抑止できます。これらは目立たない機能ですが、事業の信頼を守る土台です。

データ保全の機能も、安心して使い続けるために重要です。定期的な自動バックアップや、データの暗号化、障害時の復旧手順が備わっていれば、万一のトラブルでも大切な記録を失わずに済みます。クラウド型を選ぶ場合は、提供事業者がこうした保全機能をどのレベルで担保しているかを確認しましょう。便利な記録・請求機能の裏側で、こうした安全機能がしっかり機能しているかどうかが、長く信頼して使えるシステムかを見極める観点になります。

帳票出力・実地指導対応を支える機能

介護・福祉事業では、行政の実地指導や監査に備えて、各種帳票を整えておく必要があります。サービス提供記録、ケアプラン、アセスメントシート、加算の算定根拠といった書類を、いつでも正確に出力できる帳票機能は、現場の安心を支えます。日々の記録が蓄積されていれば、必要なときに必要な様式で帳票を出力でき、指導や監査の際に慌てて書類をかき集める負担がなくなります。

帳票出力の機能は、加算の算定根拠を明確に示せる点でも重要です。加算ごとに求められる記録が揃っているかをシステムで確認し、根拠書類として出力できれば、実地指導での指摘や返戻のリスクを下げられます。記録から請求、そして帳票出力までが一貫してつながっていることで、日々の業務がそのまま制度対応の備えになります。機能を選ぶ際は、自施設が算定する加算やサービス種別に対応した帳票が出力できるかを、具体的に確認しておくと安心です。

こうした帳票や記録の機能は、現場の入力負担とのバランスで評価することが肝心です。出力できる帳票が充実していても、その根拠となる記録の入力が煩雑では、現場が疲弊して結局使われなくなります。入力は最小限に、出力は最大限にという発想で、一度入力した情報を帳票・請求・LIFEへと多面的に再利用できる設計かどうかを見極めましょう。記録・請求・連携・帳票・安全という各機能が有機的につながってこそ、介護・福祉システムは現場と経営の双方を支える基盤になります。

まとめ

介護福祉業界のシステム機能のまとめイメージ

介護・福祉業界のシステムが提供する機能を整理すると、すべての中心にあるのはケア記録・バイタル管理であり、そこに入力された情報が国保連請求・加算管理、LIFE連携、利用者負担請求へと一気通貫で派生していく構造が見えてきます。記録の即時入力とバイタルの可視化が現場の質を支え、加算の算定要件チェックが収益を守り、LIFE連携が科学的介護を後押しする。これらの基幹機能に、シフト・労務管理や家族連携・見守りセンサーといった周辺機能が加わることで、現場全体を支える仕組みが完成します。

機能を選ぶ際に大切なのは、機能の多さではなく「自施設の業務に本当に必要な機能が、現場の動線に沿って使えるか」という視点です。クラウド型は月5,000円台から導入でき、必要な機能を見極めて選べば、過不足のない投資ができます。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、自施設の業務に最適化した機能設計と、周辺機器まで含めた連携を一貫して支援します。各機能の意味を踏まえたうえで、全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。