倉庫業界のシステムの必要機能は、入出庫・在庫管理、ロケーション・ピッキング、輸配送連携、基幹システム連携の4領域で整理できます。
必須機能は自社の業務範囲から見極め、標準機能と追加機能を分けて選びます。全体の選び方がまだの方は、まず倉庫業界のシステムの完全ガイドから読むことをおすすめします。
- 入出庫・在庫管理:倉庫内の基本業務に必要な機能
- ロケーション・ピッキング:保管場所と出荷作業を効率化する機能
- 輸配送連携:配車やTMSとの連携範囲
- 基幹・EDI連携:上位システムとのデータ連携
▼全体ガイドの記事
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入出庫・在庫管理の中核機能

倉庫システムの中核は、入庫・出庫・在庫の三つの管理機能です。これらはWMSの基礎となる機能で、どの製品にも標準で備わる必須機能といえます。
入庫管理は、仕入先からの荷物を受け入れて検品し、在庫に計上します。出庫管理はピッキングから出荷検品、出荷指示までを扱い、在庫管理は両者を結んで現在の在庫数をリアルタイムに保ちます。この三つが正確に連動してはじめて、現物とデータが一致する信頼できる在庫基盤が成り立ちます。
ハンディ検品・入荷予定照合の標準機能
入庫管理の中心は、ハンディターミナルによる検品機能です。バーコードやQRコードをスキャンして入荷予定データと照合し、品番違いや数量違いをその場で検出します。また、多くのWMSでは、発注情報や入荷予定(ASN)を事前に取り込み、現物のスキャン結果と突き合わせる照合機能が標準で用意されています。
こうした照合によって、目視に頼った検品では避けられなかった受け入れミスを、入庫の段階で防げます。必須機能として見極めたいのは、自社の取扱品目に合った検品方式に対応しているかどうかです。ロット管理や賞味期限管理が必要な食品、シリアル番号で個体を管理する精密機器など、業態によって求められる検品の粒度は異なります。
標準機能の範囲でロット・期限・シリアルを扱えるかを確認しておかないと、後から高額なカスタマイズが必要になります。入庫検品は地味ですが、ここでデータを正確に取り込めるかが、その後の在庫精度を左右する起点になります。
在庫引き当て・棚卸機能の役割
在庫管理機能の要は、在庫引き当てと棚卸です。引き当ては、受注に対してどの在庫を割り当てるかを決める機能で、先入れ先出し(FIFO)や賞味期限順など、業態に応じたルールを設定できます。
引き当てがなければ、古い在庫が倉庫の奥に滞留したり、期限切れの商品を出荷したりするおそれがあります。そのため、標準機能としてどこまで柔軟な引き当てルールを設定できるかは、製品比較で必ず確認したい点です。
在庫引き当てと棚卸は、現物とデータの一致を保つための機能で、WMSを選ぶうえで必ず確認すべき標準機能です。両者が揃ってはじめて、信頼できる在庫を前提とした効率化を支えます。棚卸では、次の二つの方式に対応しているかを確認しておきたいところです。
- 実地棚卸:ハンディで効率化し、理論在庫との差異を明らかにする機能
- 循環棚卸(サイクルカウント):一斉棚卸に加えて、エリアや品目を絞って行う方式
循環棚卸に対応していれば、繁忙期も倉庫を止めずに在庫精度を保てます。
出荷指示・梱包・送り状発行の標準機能
出庫管理の機能は、ピッキング指示の発行から梱包、送り状の発行までを一連で支え、倉庫の最終工程の生産性を左右します。受注データをもとに、誰がどの商品をいくつ取るかという出荷指示を生成し、ピッキング後の出荷検品で誤りを照合します。
多くのWMSでは、運送会社の送り状発行システムと連携し、宛先ラベルや送り状を自動で出力する機能が標準で用意されています。その結果、手書きや手入力の伝票作成がなくなり、出荷工程のスピードと正確さが大きく向上します。
出荷機能で確認したいのは、自社の出荷形態に対応しているかです。個口配送が中心のEC物流、パレット単位で出荷するBtoB物流、店舗別に仕分ける小売向け納品では、出荷の単位や帳票が異なります。標準機能でこれらに対応できるか、運送会社のシステムとどこまで連携できるかは、出荷工程の効率を直接決めます。
ロケーション・ピッキング最適化機能

倉庫の生産性を直接左右するのが、ロケーション管理とピッキング最適化の機能です。ロケーション管理は、商品をどの棚・どの番地に保管するかをシステムでまとめて管理する機能で、これがあるからこそ「探す時間」をなくせます。
ピッキング最適化は、出荷指示に対して作業者が最短ルートで商品を集められるよう、回る順番を指示する機能です。倉庫作業時間の大半を占めるピッキングを縮めることが、生産性を上げる近道となります。
固定・フリーロケーション管理機能
ロケーション管理には大きく、商品ごとに保管場所を固定する固定ロケーションと、空いた場所に随時格納するフリーロケーションの二方式があります。固定ロケーションは作業者が場所を覚えやすい一方、空きスペースが無駄になりがちです。フリーロケーションは保管効率が高い反面、システムが場所を管理していないと現品を見失います。
WMSの標準機能として両方式に対応し、商品特性に応じて使い分けられるかが、保管効率を左右する要点です。番地の付け方を曖昧にしたまま運用すると、新人が商品を探して歩き回り、せっかくの機能が活きません。そのため、ロケーション管理機能は、運用ルールとセットで初めて効果を発揮します。
位置情報を精緻に管理する効果は、配送の現場でも見られています。位置情報サービスのwhat3wordsを活用したDHLやDPDの事例では、配達時間が約30%削減されたと報告されています。これは、位置を正確に特定するだけで作業時間が大きく縮むことを示しており、倉庫内のロケーション管理にも同じ原理が当てはまります。
トータル・シングルピッキングの使い分け機能
ピッキング機能で確認したいのは、複数の出荷方式に対応しているかどうかです。注文ごとに商品を集めるシングルピッキングと、複数注文分の同一商品をまとめて取り出すトータルピッキング(種まき方式)があり、出荷の特性によって最適な方式は異なります。
少量多品種を多数の宛先に出すEC物流ではトータルピッキングが効率的で、注文単位が大きいBtoBではシングルが向くなど、業態に合わせた使い分けが求められます。標準機能でこれらを切り替えられるかが、現場の生産性を決めます。さらに、ピッキング方式の使い分けは、速さだけでなく、人に依存しない強い現場づくりに直結します。
ハンディの指示どおりに動けば、ベテランも新人も一定の速度で作業でき、属人化を解消できます。物流の2024年問題に象徴される人手不足の局面では、特定の熟練者がいないと回らない現場は事業リスクそのものです。そのため、誰が作業しても同じ品質を担保できるピッキング機能は、採用難の時代に事業の安定性を支える必須機能といえます。
保管効率を高める棚割り・配置最適化機能
ロケーション機能には、商品の出荷頻度に応じて保管場所を決める棚割り機能も含まれます。出荷頻度の高い商品を出入口に近い取りやすい位置に置き、頻度の低い商品を奥に置くことで、ピッキングの移動距離を短縮できます。
出荷データの分析をもとに、季節変動や商品の入れ替わりに合わせて配置を見直す機能があれば、倉庫のレイアウトを効率のよい状態に保てます。保管効率は限られた倉庫面積をどう活かすかという経営課題で、その効果は面積生産性という指標で測れます。
同じ面積でより多くの商品を効率よく扱えれば、増床や新拠点への投資を先送りでき、その分のコストを抑えられます。さらに、保管効率の改善は、管理層が重視する評価軸でもあり、システム導入の投資効果を語る有力な根拠になります。配置最適化は、ピッキングの速さと保管効率を同時に高める、見落とされがちな重要機能です。
輸配送・TMS連携機能
倉庫業務が出荷で終わらず、その先の配送まで担う事業者では、TMS(輸配送管理システム)との連携機能が重要になります。WMSが倉庫内の在庫と出荷を管理するのに対し、TMSは配車計画、運行管理、配送進捗の追跡を担います。
両者が連携すると、出荷指示から配送完了までの流れがつながり、荷主や得意先への正確な納期回答が可能になります。倉庫システムを選ぶ際は、自社が配送まで担うのか、外部の運送に委ねるのかで、必要な連携範囲が変わります。
配車計画・ルート最適化機能
TMSの中核は、配車計画とルート最適化の機能です。複数の配送先や荷物量、車両の積載能力、時間指定などの制約を踏まえ、どの車にどの荷物を積み、どの順で回るかを自動で組み立てます。ベテラン配車担当者の経験に頼っていた配車をシステムが支えることで、空車率や走行距離を抑え、限られた車両とドライバーで多くの荷物を運べます。
物流の2024年問題では、2024年度に輸送能力が14.2%不足し、2030年度には34.1%不足すると試算されています。配車最適化は、この不足する輸送力を最大限に活かす機能として重みを増しています。また、ルート最適化の効果は、データに裏づけられた配送指示にあります。
走行データをもとに、どのルートに変えるか、ドライバーの配置をどう変えるかを現場が判断できる仕組みが理想です。単に地図上にルートを表示するだけでなく、現場の意思決定に直結する形で機能することが、TMS連携の価値を決めます。配車計画は、人手不足という構造課題に対する最も実利的な打ち手の一つです。
配送進捗・トレーサビリティ機能
配送進捗の追跡機能は、荷物が今どこにあり、いつ届くかをリアルタイムに把握する役割を担います。ドライバーのスマートフォンやGPSから位置情報を取得して配送状況をつかめば、得意先からの「荷物はいつ届くか」という問い合わせにすぐ答えられます。
位置情報を3メートル四方で特定するwhat3wordsのような仕組みは、番地だけでは分かりにくい配達先や、広い敷地内の受け渡し位置を正確に伝えることで、配達のやり直しや待ち時間を減らします。また、トレーサビリティは、配送品質の証明にもなります。
いつ・どこで・誰が荷物を受け取ったかの記録が残れば、配送トラブルの原因究明が容易になり、得意先への説明責任も果たせます。倉庫から配送まで担う事業者にとって、進捗とトレーサビリティは、サービス品質と信頼を支える必須機能です。自社の事業範囲に応じて、どこまでの連携機能が必要かを見極めることが大切です。
基幹システム・EDI連携機能

倉庫システムの効果を最大化するのが、基幹システム(ERP・販売管理)や取引先とのEDI連携機能です。WMSが単独で動いていると、受注データや出荷実績を上位システムへ手入力で転記する手間が残り、二重入力やデータの不整合を招きます。
基幹連携により、受注から在庫引き当て、出荷、請求までが自動でつながると、間接部門の人件費を抑えられます。これこそ、倉庫事業者が大規模な投資に踏み切る最大の理由です。
受注・在庫・請求を結ぶ連携機能
基幹連携の中心は、受注・在庫・請求のデータを切れ目なくつなぐ機能です。上位の販売管理システムで受けた注文がWMSに流れて在庫が引き当てられ、出荷実績が販売管理に戻って請求が起票されます。この一気通貫の流れができると、注文1件ごとの人手はほぼゼロに近づきます。
連携機能は、APIやファイル連携(CSV・固定長)のどの方式に対応しているか、リアルタイムかバッチかといった同期のタイミングを選べるかで評価するのが基本です。特に在庫情報の同期は、「在庫あり」と表示されながら実際は欠品している売り越しにつながり、得意先の信頼を直接損ないます。
WMSの実在庫がリアルタイムに上位へ反映される連携機能があれば、こうした事故を防げます。連携は地味な裏方の機能ですが、ここが正確に動くかどうかが、システム全体の信頼性を決める要となります。
取引先EDIと外部連携の対応機能
取引先との電子データ交換(EDI)に対応する機能も、倉庫システムに求められる役割です。荷主や小売チェーンとは、発注・出荷・受領の情報を所定のEDIフォーマットでやり取りすることが多く、対応していないと手作業の転記が残ります。物流EDIの仕様は取引先ごとに異なり、仕様変更も起きるため、外部連携を前提とした設計が求められます。
EDIの仕様変更では、最低でも3ヶ月前から事前協議を行うなど、外部の関係先との折衝を見越した運用が欠かせません。外部連携機能を評価するうえで忘れてはならないのは、自社だけで完結しない領域だという点です。たとえば、農協(JA)系統物流と商系物流が分断されているように、業界には複数のEDI仕様や物流網が併存します。
倉庫システムが多様な取引先のフォーマットに柔軟に対応できるか、新しい取引先の追加にどれだけ手間がかかるかは、将来の事業拡大に直結します。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発の立場から、こうした外部連携を含めた要件整理を重視しており、標準機能で足りない部分をどう補うかが選定の分かれ目になります。
在庫分析・KPI可視化の分析機能
連携で集めたデータを活かす機能が、在庫分析とKPI可視化です。入出庫の履歴や在庫の滞留状況をダッシュボードにまとめると、どの商品が動かず倉庫を圧迫しているか、どの時間帯に作業が集中しているかが見えてきます。分析機能は、システムを「記録の道具」から「改善の道具」へ引き上げる、見落とされがちな重要機能です。
出荷件数、誤出荷率、ピッキング生産性、在庫回転率といった指標を継続的に追える分析機能は、改善活動の出発点になります。データを取るだけでなく、判断に使える形で見せることが大切です。倉庫システムを選ぶ際は、標準のレポート機能がどこまで現場の意思決定を支援できるかを確認しておきたい点です。
分析機能の本当の価値は、「可視化で終わらせない」ことにあります。在庫が見えるだけでなく、発注点の見直しや人員配置といった打ち手に直結してはじめて、現場は変わります。
まとめ
倉庫業界のシステムの機能は、入出庫・在庫・棚卸の中核機能の上に、三つの層が積み上がる形で整理できます。三つの層とは、ロケーション・ピッキング最適化、TMSとの輸配送連携、基幹システム・EDIとの外部連携です。
中核機能は、現物とデータの一致を担う必須機能です。ロケーション最適化は、what3wordsの配達時間30%削減に象徴されるように、作業時間の短縮と属人化の解消をもたらします。
配車・進捗管理は、2024年度に14.2%不足すると試算される輸送力を活かす機能として重みを増しています。さらに、基幹・EDI連携が受注から請求までを一つの流れとして動かします。
機能を見極めるときに大切なのは、すべてを揃えることより、「自社の業態にとって何が必須機能か」を切り分けることです。取扱品目の特性、配送まで担うかどうか、取引先のEDI要件によって、必要な機能は大きく変わります。
riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、標準機能で足りる部分と作り込むべき部分を切り分けた要件整理を支援します。全体像をつかむには、あらためて完全ガイドをご活用ください。
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
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・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
