化学・素材業界のシステム開発会社は、業務の流れを理解したうえで、現場に定着させる計画を立てられるかで比べると選びやすくなります。
ここでは、株式会社ripla、NEC、SAPジャパン、富士通、日立、NTTデータの6社を取り上げ、各社の強み、向いている企業、発注時の確認点を順に紹介します。
- レシピ・配合管理
- riplaの支援領域
- 品質・安全情報の連携
- 設備・保全データ
- 選定時の確認事項
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化学/素材業界のシステム開発でパートナー選びが重要な理由

化学・素材業界の生産は、組立製造のような部品表だけでは表しきれません。
投入量に対する配合比率や反応・混合の条件、歩留まりは、一つの工程の中で扱われます。連産品や副産物、廃棄物も、同じ工程から生まれます。そのため、業務知識のない会社に依頼すると、稼働後も手作業が残りやすくなります。
サプライチェーンを止めるリスク
基幹システムの刷新では、画面を置き換えるだけでなく、業務のつながりごと設計し直す必要があります。原料の購買からタンク・サイロ在庫、製造指図まで連動し、さらに品質判定や出荷、請求までつながっています。そのため、どこか一つの設計を誤ると、生産計画や調達が連鎖的に止まります。
24時間稼働のプラントでは、切り替え時の停止時間を短くすることに加えて、障害時の手作業や旧システムへの戻し方まで設計しておく必要があります。
生産ロジックと法規制を同時に扱う必要性
化学物質を扱う企業では、SDSや安全在庫、ロットの情報を正確に管理しなければなりません。さらに、危険物区分やPRTR対象物質の情報も、管理の対象になります。
経済産業省は化管法に関するSDS・PRTRの情報を公開しており、PRTR届出では管理番号の利用も案内されています(出典:経済産業省「化学物質管理」、2026年確認)。
システム会社には、機能の説明に加えて、どのマスタを誰が整備し、どの時点で承認するのかまで提案してもらうことが求められます。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援
riplaは、コンサルティングから開発までを一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを進めてきた経験を生かし、事業の成果につながるシステムづくりと、導入後の定着支援に強みがあります。
営業・顧客管理や生産、販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があります。また、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。
特徴と強み
riplaの強みは、業務の整理とシステム実装を一体で考えられる点です。
化学・素材業界の案件では、最初から大規模ERPを入れるよりも、現場の状況に合わせて段階的に進める方法が有効です。まず原料・製品・レシピなどのマスタを洗い出し、ロットや顧客のマスタも含めて整理します。そのうえで、現場の紙やExcelを標準化し、必要な機能を順に開発します。
現場が使い続けられる運用ルールまで設計することで、導入後にシステムが形骸化するリスクを抑えられます。
得意領域・実績
営業や生産、販売管理など、基幹領域をまたいで扱いたい企業に適しています。
たとえば、製造指図と在庫に加えて、受注、原価、請求をつなげたい場合があります。経営指標までつなげたい場合も、現状分析から要件定義、開発、導入後の定着まで相談できます。
riplaの支援は、既存の基幹システムを残しつつ、現場の安全チェックやレシピ承認など、効果の出やすい業務から小さく始めたい企業にも向いています。
NEC|プロセス産業向けERP「FlexProcess」に強み
NECは、食品・化学・素材製造業向けのERPソリューション「FlexProcess」を提供する大手ITベンダーです。
公式サイトでは、国内・海外で370社以上の導入実績を掲げています(出典:NEC「生産管理システム FlexProcess」、2026年確認)。
特徴と強み
FlexProcessは、部品表と工程表だけでは表しにくいプロセス産業の生産を「生産モデル」で管理します。
投入量や配合、歩留まりを基準情報として扱えるのが特徴です。さらに、副産物や連産品も基準情報に含められます。
また、リサイクル品や廃棄物も扱えます。化学・素材の生産管理で、レシピと実績を結び付けて原価や品質を確認したい企業に適しています。
得意領域・実績
大阪有機化学工業では、原価計算のスピードと精度の向上を実現した導入事例が公開されています。
ジェイカムアグリでは販売物流システムを刷新し、運用コスト20〜30%削減、業務効率20%向上という目標を達成したと紹介されています(出典:NEC「FlexProcess導入事例」、2026年確認)。
複数工場の生産・在庫・原価を標準化したい企業にとって、有力な比較候補になります。
SAPジャパン|グローバル化学企業のERP基盤を支援
SAPジャパンは、財務と調達を統合するERPをグローバルに展開しています。さらに、サプライチェーンや製造も統合の対象です。
化学業界向けページでは、供給リスクと製造プロセスを一体で扱う方向性が示されています。また、製品コンプライアンスやサステナビリティ管理も含まれます(出典:SAP「化学業界向けソフトウェア」、2026年確認)。
特徴と強み
多国籍の拠点や複数通貨、グループ会計を統一的に管理したい企業に向いています。加えて、国ごとの規制も扱いたい場合に適しています。
クラウドERPや組み込みAIを組み合わせられる点が、経営と現場のデータを同じ基盤に集めやすい強みです。製品コンプライアンスやESGデータ管理なども、組み合わせの対象です。
発注側は、レシピや連産品の業務を標準機能に寄せるか、追加開発するかを、早い段階で見極める必要があります。
得意領域・実績
大手総合化学メーカーのUBEは、SAP S/4HANA Cloudを中核とする「RISE with SAP」を採用し、本稼働を開始したとSAPジャパンが発表しています(出典:SAPジャパン「UBEがRISE with SAPを導入」、2024年)。
海外拠点を含む業務標準化、会計・SCMの統合、将来のデータ活用を重視する企業は、SAP本体と導入パートナーを組み合わせて検討するとよいです。
富士通|プロセス産業向けパッケージとSAP導入に対応
富士通は、基幹業務パッケージやSAPを活用した製造業向けシステムを提供する総合ITベンダーです。
プロセス産業向けの「GLOVIA ProcessC1」では、化学製品メーカーである東亞合成の導入事例が公開されています。
特徴と強み
パッケージを中心に業務を標準化しながら、製造から会計までを連携させたい企業に向いています。
大規模なSAP環境では、業務要件だけでなく、クラウド移行やデータ連携、運用設計まで含めた長期計画が必要です。
自社の標準業務を明確にしてから、標準機能と追加開発の境界を決めることで、カスタマイズの膨張を抑えやすくなります。
得意領域・実績
東亞合成の事例では、プロセス産業向け基幹業務パッケージを用いた取り組みが紹介されています。
富士通と住友化学などの事例では、SAP ERPのクラウド移行や海外拠点との連携が示されています(出典:富士通「GLOVIA ProcessC1導入事例」「住友化学SAP導入事例」、2026年確認)。
化学メーカーのグループ標準化や海外展開を重視する場合に候補となります。
日立|化学物質管理と業務プロセス改善を一体支援
日立は、製造業の業務改革やIT活用を支援する総合ベンダーです。
化学・素材分野では、プライムポリマーの事例で、業務プロセスとIT活用を最適な形に整え、化学物質管理システムをベースにした開発まで一貫して支援した実績が公開されています。
特徴と強み
化学物質の情報を、製品や原料、法規制の業務に結び付けたい企業に向いています。安全性の業務ともつなげたい場合にも適しています。
SDSやPRTR関連の情報は、台帳ごとに分けておくより、製品の出荷先や原料の購買と連動させた方が、管理の価値が高まります。品質文書や変更履歴も、同じ流れで結び付けると効果的です。
日立のように業務コンサルティングから専用システム開発まで扱える会社なら、現場の情報分断をまとめて相談しやすいです。
得意領域・実績
プライムポリマーの導入事例では、化学物質管理業務を効率化し、高い精度で管理するためのインフラ構築に成功したと説明されています(出典:日立「株式会社プライムポリマー導入事例」、2026年確認)。
生産管理に加えて、規制対応や安全情報をまとめて扱うことを優先したい企業に適しています。既存システムと専用データベースを連携したい企業にも向いています。
NTTデータ|化学製造業向けERPとOT・IT連携に対応
NTTデータは、SAPや国産ERP「Biz∫」を中核に、構想策定から導入、保守、定着まで支援するシステムインテグレーターです。
公式サイトでは、プロセス製造業である化学業界に特化したWeb型ERPパッケージ「BIZXIM化学」も案内されています(出典:NTTデータ「ERP(SAP/Biz∫)」、2026年確認)。
特徴と強み
化学製造業向けの業務テンプレートを活用し、販売、購買、在庫を統合したい企業に向いています。生産や原価まで含めて統合したい場合にも、同じテンプレートを使えます。
NTTデータは、ERPやMESなどのITデータと、工場設備のOTデータを融合するサービスも提供しています。
設備の稼働状態、品質、製造実績を同じ分析基盤に集めたい場合は、将来の予知保全やエネルギー管理まで含めて相談できます。
得意領域・実績
大規模な業務改革、複数拠点のERP刷新、MESやIoTを含む工場DXを一体で進めたい場合に適しています。
化学業界では、サイロ・タンク在庫やケミカルローリーの配車を、設備データと結び付けて扱うことが求められます。個別の管理にとどめず、需給や生産、物流ともつなげます。
NTTデータのような大規模SIerでは、全社の構想と現場の実装を一体で考え、段階的なロードマップを作ることがポイントです。
化学/素材業界のシステム開発会社を選ぶポイント

6社から選ぶときは、知名度や製品名で判断せず、自社の条件に合うかで比べることが大切です。自社の製造方式や拠点数、機密情報の扱いを整理し、移行可能な停止時間も明確にします。
発注側は、提案依頼書に具体的な業務シナリオを入れて、各社を比べます。
プロセス製造業の実績の確認
同じ製造業の実績でも、BOM中心の組立製造と、配合・反応・分離を扱うプロセス製造では、必要な設計が異なります。
提案会社には、レシピ変更の承認や連産品の原価配賦、ロット追跡の実績画面を見せてもらいます。さらに、歩留まり差異や品質判定、タンク在庫の画面も示してもらい、標準機能で対応できる範囲を確認します。
レシピと法規制情報のセキュリティの評価
配合比率や新製品の試作条件は、営業秘密に該当する可能性があります。
クラウドかオンプレミスかの二択に加えて、データ暗号化や職務分掌、拠点・部署・職位ごとの権限を確認します。また、レシピの版管理や閲覧・変更ログ、退職者のアカウント無効化も見ておきます。
危険物やSDS、PRTRの情報についても、登録・承認・更新の責任者と監査証跡が必要です。
停止しない移行と運用体制の確認
大規模な刷新では、要件定義の段階でマスタデータの整備責任を決めておきます。まず、配合レシピや原料、製品を洗い出します。さらに、取引先や設備も整理し、倉庫や危険物区分も含めて、重複や表記ゆれを解消します。
開発費の目安に加えて、保守費用も見ておく必要があります。一般に保守費用は開発費の15〜20%程度が目安となるため、初期費用と5年程度のTCOを比べると判断しやすくなります。
移行は、全社一括で切り替えるよりも、工場や業務単位で段階的に導入するほうが安全です。そのうえで、旧システムとの並行稼働や休日の切り替え、障害時の復旧訓練を組み合わせます。現場では、紙のチェックリストを活かしながら、散水のタイミングや目視確認、入港・サイロ空き・輸送計画の定時共有を、事故防止のルールとして先に標準化します。
よくある質問
化学・素材業界のシステム開発では、費用や導入期間に加えて、レシピの機密性やプラント停止のリスクもよく相談されます。ここでは、発注前に確認したい質問を取り上げます。
化学・素材業界では汎用ERPと専用ERPのどちらを選ぶべきですか?
海外拠点や会計・SCMの統合を優先するなら汎用ERP、配合・歩留まり・連産品を短期間で適合させたいならプロセス製造業向けERPが候補になります。
実際には、ERPを中核に専用の生産管理や化学物質管理を連携する構成も多いため、業務シナリオごとに標準機能と追加開発を比べる必要があります。
システム開発費用はどのように比較すればよいですか?
初期開発費に加えて、ライセンスやクラウド利用料、保守も含めたTCOで比べます。さらに、データ移行や教育、現場の切り替え対応も、TCOの中で見ておきます。
見積書では、レシピ管理や品質判定、SDSなどの機能ごとに、標準・設定・追加開発の区分を分けてもらうとよいです。PRTRやタンク在庫、TMSも同じように区分してもらうと、会社ごとの差が見えやすくなります。
レシピ情報をクラウドで管理しても安全ですか?
安全性は、クラウドかオンプレミスかの区別より、どう運用するかで左右されます。
まず、最小権限や暗号化、認証強化を確かめます。変更ログやバックアップ、委託先の運用体制も見ておきます。そのうえで、必要に応じて機密レシピを専用環境に置くハイブリッド構成を選びます。
ベンダーには、誰がどの条件でレシピを閲覧・変更できるかを、画面と運用規程で示してもらいます。
まとめ
化学/素材業界のシステム開発会社は、企業規模や製品の知名度よりも、プロセス製造業の生産ロジックを基準に選ぶことが大切です。そのうえで、化学物質管理や物流まで確認します。GXや現場定着も、確認の範囲に入ります。
今回紹介した6社は、支援の得意領域が異なるため、自社の課題に合う会社を2〜3社に絞り、同じ業務シナリオで提案を比較してください。
業務とマスタの責任範囲の整理
配合レシピや原料・製品コード、設備に関するマスタは、誰が作り、誰が承認し、いつ凍結するのかを明確にしておきます。危険物やSDS、PRTRのマスタも、同じ観点で決めておきます。
発注者側の準備が曖昧なまま開発を始めると、追加要望やデータ不備が後から発覚し、費用と納期が膨らみます。そのため、まず現場の業務を一覧にし、止められない工程と改善できる工程に分けることから始めると安全です。
小さく始めて、現場で使える仕組みに育てる進め方
いきなり全社の基幹システムを刷新するより、効果と安全性を確かめやすい領域から始める方法があります。たとえば、原料受入やレシピ承認、製造実績が候補になります。在庫の把握も、その候補の一つです。
射出成形設備の投資事例では、リサイクル率向上により年間PP樹脂購入量27トン、CO2排出量114.696トンを削減し、投資回収期間を2年3.3か月と試算しています。
発注側は、原価低減と環境効果を数値化してから、次のシステム投資へつなげると社内説明もしやすくなります。
参考にした公開情報:NEC FlexProcess、SAP化学業界向けソフトウェア、富士通GLOVIA ProcessC1導入事例、日立プライムポリマー導入事例、NTTデータERPソリューション、経済産業省 化学物質管理を確認しています。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
