医療・介護業界でAI活用を成功させるには、診断をいきなり自動化するのではなく、記録・問診・見守りなどの定型業務から安全に始め、現場定着まで伴走できる開発会社を選ぶことが重要です。
医師の働き方改革が始まっても、現場ではカルテやサマリ、申し送りなどの事務作業が残っています。介護現場も人材確保が難しく、AIを単なるコスト削減ツールではなく、スタッフの負担軽減とケア品質の維持に使う視点が欠かせません。本記事では、医療・介護業界におけるAI活用で相談しやすい会社を6社紹介し、選定基準、導入費用の考え方、契約と運用の注意点まで解説します。
医療・介護業界でAI活用パートナー選びが重要な理由

医療・介護のAI導入は、AIモデルを用意するだけでは完了しません。患者情報や要介護者の記録を扱うため、業務設計、既存システムとの接続、アクセス権限、現場の承認ルールを一体で設計する必要があります。
適切なパートナー選定が成否を分ける理由
医療機関では、電子カルテが古いオンプレミス製品であったり、紹介状や同意書がPDFや紙で保存されていたりします。介護事業所でも、記録ソフト、見守り機器、勤怠システムが別々に動いていることがあります。その状態でAIだけを追加すると、職員が二重入力する仕組みになり、導入前より負担が増える可能性があります。業務を観察し、データを整え、必要なら小さな連携プログラムまで作れる会社を選ぶことが大切です。
発注前に確認すべきポイント
提案を受ける前に、対象業務、利用者、入力データ、AIの出力を誰が確認するかを整理します。たとえば「退院サマリを自動で完成させる」ではなく、「退院時の記録を下書きし、医師が確認して電子カルテへ登録する」と定義します。個人情報を学習に利用するのか、保存期間は何日か、障害時に手作業へ戻せるか、ログを施設側が確認できるかも質問します。AIの精度だけでなく、失敗したときの業務継続性まで比べることが重要です。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。
特徴と強み
医療・介護のAI活用では、現場の困りごとを業務要件へ翻訳する力が欠かせません。riplaは、AIを入れること自体を目的にせず、記録作成、問い合わせ対応、集計、申請などの業務を分解し、どこを人が判断し、どこをシステムが補助するかを設計できます。データAI事業部に相談する場合も、PoCだけで終わらず、本番運用、権限設定、改善サイクルまで含めて計画しやすい点が強みです。
得意領域・実績
既存の業務システムを活かしながら、AI検索、文書作成支援、社内ナレッジ活用、データ分析などを段階的に追加したい組織に向いています。特に、現場ヒアリングから始めて、30日で対象業務とデータを定義し、60日で小さな実証を行い、90日で運用ルールを固める進め方と相性がよい会社です。医療・介護固有の要件は事前に共有し、必要なセキュリティや法務確認を含めて提案を受けると、開発範囲を現実的に見積もれます。
NEC|電子カルテと病院経営を含めた医療DXに強い

NECは、電子カルテや病院情報システムなど、医療機関の基幹領域を長く支援してきた大手ITベンダーです。公式の医療DX情報では、生成AIを搭載した電子カルテや、病院経営の分析・支援に関する実証を紹介しています(出典: NEC「これからの地域医療に生成AIの活用を」)。医療データを業務システムの中で扱いたい病院にとって、既存環境との整合性を相談しやすい候補です。
特徴と強み
NECの強みは、生成AIを単独のチャット画面として提供するのではなく、電子カルテ、地域連携、病院経営データなどと組み合わせて検討できる点です。地域医療では病院単体の効率化だけでなく、救急搬送、紹介、退院後の連携まで含めたデータ活用が必要になります。閉じた環境やアクセス制御を前提に、経営層と現場の双方へ説明しやすい構成を求める場合に適しています。
得意領域・実績
医療文書作成、電子カルテ周辺の生成AI、病院経営のデータ分析、治験患者の登録効率化など、大規模病院向けのテーマを検討しやすい会社です。一方で、部門単位の小さな業務改善では、既存契約や調達手続きが導入スピードに影響することがあります。予算と決裁期間が限られる場合は、対象部門、連携対象、実証期間、成果指標をあらかじめ絞って相談することが大切です。
富士通Japan|医療文書作成の実証と現場導入に強い

富士通Japanは、医療機関向けのシステムと業務支援を展開する企業です。国立病院機構名古屋医療センターの事例では、退院サマリの作成に生成AIを活用し、作成時間を28分から8分へ短縮した実証結果が公表されています(出典: 富士通Japan、2025年11月19日)。文書作成の負担を具体的な時間で改善したい病院にとって、検討しやすい会社です。
特徴と強み
現場で使う医療文書は、単に文章を生成するだけでは不十分です。診療科ごとのテンプレート、電子カルテへの転記、医師による確認、誤りが見つかった場合の修正履歴まで設計する必要があります。富士通Japanのように医療現場の業務フローを理解する会社へ相談すると、AIの出力をどの工程に置くかを具体化しやすくなります。
得意領域・実績
退院サマリ、診療情報提供書、紹介状、診療録の下書きなど、医療文章の作成時間を短縮したい場合に向いています。名古屋医療センターの公表資料では、年間約5,000万円のコスト削減試算も示されていますが、これは施設の件数や人員構成に基づく試算です。自院で稟議を通す際は、削減時間をそのまま人員削減とみなさず、診療時間の確保、残業抑制、教育時間への振り替えとしてROIを計算する必要があります。
NTTデータ|閉域環境・ガバナンス・介護DXをまとめて支援

NTTデータは、生成AIのシステム構築、AIガバナンス、組織づくりと人材育成を一体で支援する大手ITサービス企業です。公式情報では、クローズドな環境で利用できるAIモデルや運用基盤を含め、導入から定着まで支援すると説明しています(出典: NTTデータ「生成AI」)。医療・介護のように、技術だけでなくルールと教育を同時に整えたい組織に適しています。
特徴と強み
要配慮個人情報を扱うAIでは、データをどこへ送るか、モデルの学習に使われるか、運用者が何を見られるかを細かく決めます。NTTデータは、生成AIの活用推進とAIガバナンスを両輪として掲げ、セキュリティ、法規制、倫理面の評価と対策を支援しています。さらに、医療・ヘルスケア分野での知見や介護事業者との取り組みも公開しているため、組織横断の改革を進める際に相談先となります。
得意領域・実績
閉域環境の生成AI、データ基盤、病院や介護事業者をまたぐ業務連携、見守り介護ソリューションなどが候補になります。施設内の記録を検索するだけでなく、地域連携や経営分析まで進めたい場合に向いています。ただし大規模案件になりやすいため、まずは対象業務を一つに絞ったPoCを行い、本番化した場合の運用費、データ更新費、監視費まで確認することをおすすめします。
Ubie|AI問診と医療文書の業務負担軽減に強い

Ubieは、医療機関向けのAI問診や生成AIサービスを提供する医療特化型企業です。公式の製品ページでは、Ubie AI問診が47都道府県、1,800の医療機関に導入されていると案内されています(出典: Ubie「病院向けAI搭載のWeb問診システム」、2026年8月確認)。患者が入力した症状を診療前に整理し、受付や看護師の問診負担を減らしたい医療機関に向いています。
特徴と強み
AI問診は、患者が答えた内容を医療者が読みやすい形に整理し、診察前の情報収集を支援します。診断をAIに任せるのではなく、医療者が問診内容を確認し、必要な追加質問や診察を判断する仕組みです。紙の問診票を手入力する業務が多い施設では、導入効果を測りやすく、比較的低リスクな第一歩になりやすいです。
得意領域・実績
AI問診、診療前の情報整理、医療文書作成、病院内の生成AI活用を検討する場合に候補になります。公式事例では、琉球大学病院が文書作成を2時間から10分へ短縮した事例も紹介されています。導入時は、問診の回答率、受付から診察までの時間、看護師の入力時間、患者の満足度を分けて測定すると、単なる「AIを使った」という報告で終わらず、業務改善として評価できます。
Microsoft|音声から診療文書を作る臨床ワークフロー支援

Microsoftは、クラウド基盤とAIを組み合わせた医療向けサービスを展開するグローバル企業です。2025年には、診察中の音声をもとに臨床文書の下書きを作るDragon Copilotを発表しました。公式説明では、音声入力、会話の聞き取り、生成AI、医療向けの安全対策を組み合わせ、臨床ワークフローの効率化を支援するとされています(出典: Microsoft Industry Blog、2025年3月3日)。
特徴と強み
音声認識で診察内容を記録し、SOAP形式などのカルテ下書きを作るアプローチは、医師がキーボード入力に費やす時間を減らす可能性があります。診察中に患者へ向き合いやすくなる点も期待できます。一方、専門用語の誤認識、話者の切り分け、患者の同意、音声データの保存期間などを確認しなければなりません。海外製品を採用する場合は、日本の診療録や電子カルテの形式へどう適合させるかが重要です。
得意領域・実績
診療中の会話記録、臨床文書の下書き、音声入力を活用した医師の働き方改革に関心がある施設に適しています。導入時は、Wi-Fiやマイクなどの物理インフラも評価対象です。院内ネットワークが不安定なまま音声AIを導入すると、使える場所が限られます。システムの機能だけで比較せず、通信、端末、電子カルテ連携、職員研修を含めた総額で判断することが必要です。
医療・介護業界のAI活用パートナー選びのポイント

会社を比較する際は、知名度やAIのデモだけで決めず、「自院の業務で誰が何分短縮できるか」「事故や停止が起きたときに誰が対応するか」を確認します。医療・介護では、精度が高く見えても最終判断を人が担う設計が必要です。
実績と経験の確認方法
実績は「AIを開発した件数」ではなく、医療機関や介護事業所で本番運用された業務の種類で確認します。退院サマリ、AI問診、申し送り、見守り、介護記録など、自社の課題に近い事例を見せてもらいます。事例の数字は、導入前後の条件、対象人数、測定期間、職員の確認時間まで聞くと、過大な期待を防げます。紹介可能な担当者がいるかも、定着力を判断する材料です。
技術力と専門性の評価
確認する技術要件は、モデルの種類だけではありません。電子カルテや介護記録ソフトとのAPI連携、PDFや手書き記録のOCR、データクレンジング、閉域ネットワーク、暗号化、権限管理、監査ログ、バックアップを確認します。古いシステムに連携口がない場合は、RPAや中間データベースが必要になることもあります。その場合の追加工数と保守範囲を見積書に明記してもらいます。
プロジェクト管理体制と契約の確認
医療AIでは、ハルシネーションや音声認識ミスにより、薬剤名、アレルギー、検査値を誤って扱う危険があります。契約では、AIの出力を確定情報として扱わないこと、医師や介護職員が確認する工程、障害や誤出力の報告期限、ログの保存、再発防止、損害賠償の範囲を確認します。SLAには稼働率だけでなく、障害時の連絡窓口、復旧目標時間、代替手段、データ返却の方法を含めることが重要です。
費用は、初期の要件定義・連携開発・端末やネットワーク整備と、月額のクラウド利用料・監視・保守に分けて考えます。たとえば月間1,000件の文書作成で、1件あたり15分短縮できれば、月250時間を生み出せます。職員の時間単価を2,500円としても、単純計算では月62万5,000円相当です。ただし、空いた時間が診療枠の増加や残業削減に結びつくかを確認し、削減時間をすべて人件費削減に置き換えないことが現実的です。
2026年時点の相場感としては、既製のAI問診・音声入力・見守りサービスを限定導入する場合は月数万円から数十万円程度、業務ヒアリングと小規模PoCを含む個別開発は数百万円から1,000万円前後、電子カルテや介護記録ソフトとの本格連携まで行う場合は1,000万円から数千万円規模になるケースがあります。これは公開された一律価格ではなく、利用人数、データ量、連携方式、閉域環境、端末台数で変動する発注目安です。見積を比較するときは、初期費用の安さではなく、3年間の利用料と保守費を含む総保有コストで判断します。
医療・介護業界のAI活用でよくある質問

医療・介護のAI導入では、費用、個人情報、診断への利用範囲について質問が多く寄せられます。最初から大規模なシステムを作るのではなく、対象業務と責任者を限定した実証から始めると、リスクと効果を確認しやすくなります。
医療・介護業界のAI開発費用はいくらですか?
費用は、既製サービスを利用するか、個別開発するか、電子カルテなどと連携するかで大きく変わります。既製のAI問診や音声入力なら月額利用を中心に始められますが、独自の文書生成、閉域環境、複数システム連携を行う場合は、要件定義と開発の初期費用が増えます。見積書では初期費用だけでなく、API利用料、データ整備、監視、保守、端末、ネットワーク工事まで分けて確認します。
AIに診断を任せても問題ありませんか?
診断や治療方針に関わるAIは、対象機能や承認の要否を確認し、医師の判断を補助する位置づけで運用します。まずはAI問診、文書の下書き、申し送りの要約、請求関連文書など、最終確認者を置きやすい事務支援から始めると安全です。AIの出力をそのまま患者説明や処方に使わず、確認者、確認項目、記録方法をSOPに定めます。
患者や利用者の個人情報を生成AIに入力できますか?
利用するサービスの契約、データ処理場所、学習利用の有無、保存期間、アクセス権限を確認したうえで判断します。患者の病歴や介護記録は要配慮個人情報に該当し得るため、無料の公開生成AIへスクリーンショットや氏名入り記録を貼り付ける運用は避けます。匿名化や仮名化だけで十分かはデータの内容と再識別可能性によって変わるため、個人情報保護とセキュリティの担当者を交えてルール化します。
まとめ

医療・介護業界におけるAI活用は、診断を置き換えるためだけのものではありません。退院サマリ、AI問診、音声記録、見守り、申し送りなど、現場の時間を奪う業務を安全に補助し、人が患者や利用者に向き合う時間を増やすことが第一歩です。
比較候補として、業務整理から開発・定着まで相談したい場合は株式会社ripla、医療基幹システムや病院経営まで含めたい場合はNEC、医療文書作成の実績を重視する場合は富士通Japan、閉域環境やガバナンスまで整えたい場合はNTTデータ、AI問診を早く始めたい場合はUbie、音声による臨床文書作成を検討する場合はMicrosoftが候補になります。会社を選ぶときは、実績だけでなく、データ連携、現場研修、責任分界、障害時の代替手段、導入後の改善体制を確認してください。
介護職員の必要数は2026年度に約240万人と見込まれています(出典: 厚生労働省「介護人材確保に向けた取組について」)。人手不足が深刻になるほど、導入目的を「人数を減らす」ではなく「記録時間を減らし、ケアに使える時間を増やす」と定義することが定着につながります。なお、本記事で参照した公式情報は以下のとおりです。
参考情報: NEC「これからの地域医療に生成AIの活用を」、富士通Japan「医療機関におけるAI活用」、NTTデータ「生成AI」、Ubie「病院向けAI搭載のWeb問診システム」、Microsoft Industry Blog「Dragon Copilot」、厚生労働省「介護人材確保に向けた取組について」
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
