医療・介護のAIエージェントは、診断より、記録・検索・申し送りなどの業務を安全に支援する用途から始めるのが現実的です。
候補は、ripla、富士通Japan、NEC、NTTデータ、IBM、Google Cloudの6社です。人が確認する工程と既存システムとの連携まで設計できるかで比べます。
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医療/介護業界のAIエージェント開発でパートナー選びが重要な理由

医療・介護でAIエージェントを使うには、回答精度だけでなく、機微な情報の保護と既存業務への接続を同時に設計する必要があります。扱う情報が患者情報や介護記録で、電子カルテや介護記録ソフト、ナースコール、画像・音声など複数のデータに関わるためです。
人手不足への対応は「診断」より先の業務自動化
まずは、診断を自動で確定する用途より先に、職員の作業時間を減らす業務を選びます。退院サマリの下書き、診療情報の検索、介護記録の音声入力は、職員の最終確認を組み込んで段階的に試せる例です。申し送りの整理や問い合わせの一次対応も、同じ進め方で試せます。
厚生労働省は、2026年度に必要な介護職員数を約240万人と見込んでいます(出典:厚生労働省「介護人材確保に向けた取組について」)。こうした状況では、AIの役割を人員削減ではなく、記録などの間接業務を減らし、職員が利用者と向き合う時間を確保することに置きます。
発注前に決めておく業務範囲・データ・責任者
対象業務の流れと人が担う判断を先に決めておくと、見積もりと安全性を具体的に評価できます。たとえば、看護師の音声から申し送り案を作り、看護師が修正してから記録システムへ保存する、といった一連の流れを整理しておきます。
開発会社へ相談する前に洗い出しておく項目は、3つあります。
- 業務の境界:入力、AI処理、人の確認、記録・通知の区切り
- データ連携:API・CSVの有無と、手書き記録のOCR要否
- 運用時の責任:誤出力の確認者と、障害時に手作業へ戻す手順
業務の境界、データ連携、運用時の責任に具体的に答えられる会社を候補にします。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫の支援
業務整理から開発、定着まで一つのチームで進めたい場合は、riplaが候補になります。社内DXの経験をもとに、営業・顧客・生産・販売管理などの基幹システムを構築・導入してきました。その知見を、個別の業務要件に合わせた支援に生かします。
特徴と強み
導入効果を先に定め、その効果に必要な機能を選ぶ進め方が、riplaの特徴です。たとえば、記録時間、申し送りの抜け漏れ、夜間巡視の負担など、施設が改善したい業務をKPIに置き、成果につながるAI機能を検討します。
要件整理から現場展開までを一度に相談したい組織に向いています。業務フローや画面・権限の設計、AI連携、テストまで含めて、続けて相談できます。既存システムや社内DXも含めて改善範囲を設計したい場合にも、検討しやすい会社です。
得意領域・実績
現場の要件に応じた個別開発では、音声から記録案を作る機能、規程・マニュアル検索、問い合わせの分類と担当者への引き継ぎなどを検討できます。その際、既存の基幹システム構築で培った業務設計の経験を生かせます。
データの送信先、出力の承認者、ログの保存期間まで含む運用設計を相談できます。まず個人情報を扱わない議事録や規程検索で効果を確かめ、その後に対象業務を広げる段階導入にも適しています。
富士通Japan株式会社|医療機関の業務データと生成AIの連携
病院の基幹システムや医療文書作成支援を含めて検討するなら、富士通Japanが候補になります。生成AIに加えて、電子カルテなど既存の医療情報システムとの接続や院内運用も合わせて相談しやすいベンダーです。
特徴と強み
富士通Japanは2025年、国立病院機構名古屋医療センターで生成AIによる医療文章作成支援を本格運用しました。同社発表では、退院サマリの作成時間を患者一人あたり7割以上効率化したとしています。
AIが作った文章は医師が確認する設計です(出典:富士通Japan「生成AIを活用した医療文章作成支援サービス」2025年)。
得意領域・実績
退院サマリや診療文書、病床稼働、電子カルテと周辺システムの連携など、大規模病院の改善に向きます。また、既存の富士通製システムを使う医療機関は、連携方式と保守窓口も含めて相談できます。
施設固有の業務を短期間で試す場合は、標準機能と個別開発の境界を確認します。そのうえで、実証から本番への移行費用、データ保管先、障害時の代替手段を、見積書と契約書で明確にする必要があります。
日本電気株式会社(NEC)|電子カルテと医療文書作成支援の組み合わせ

電子カルテと医療文書作成支援を一緒に検討したい病院では、NECを比較候補にできます。カルテから必要な情報を探し、文書へ要約する負担を生成AIで支援するサービスを展開しています。
特徴と強み
NECの「MegaOak AIメディカルアシスト」は、大規模言語モデルでカルテ検索と文書要約を支援するクラウドサービスです。また、MegaOak Cloud Gatewayを介して電子カルテと連動する構成が示されています(出典:NEC「MegaOak AIメディカルアシスト」)。
得意領域・実績
カルテ検索や退院サマリ・診療情報提供書の作成、院内データの活用を進めたい病院に適しています。生成された文章を医師が確認・修正してから使う手順を組み込みやすい点も、文書支援の用途に合っています。
導入前には、他社製カルテや部門システムとの接続、検索対象、原文の追跡方法を確認します。
病院ごとに略語や記録様式が異なるため、PoCでは匿名化データを使い、回答の正確さと医師の確認時間を測ると、判断材料になります。
株式会社NTTデータ|医療データ基盤とAIガバナンスを含む支援
複数拠点・部門へAI活用を広げる基盤づくりには、NTTデータが候補になります。医療・ヘルスケアのシステムやデータ連携、生成AI基盤、ガバナンスまで幅広く扱うITサービス企業です。
特徴と強み
同社は生成AI活用とAIガバナンスを並行して進める方針を示しています。
生成AI人財7万人以上、グローバルの生成AI事例2,000件以上、AI関連特許500件以上を掲げています(出典:NTTデータ「生成AI」)。ただし、いずれも同社が公表するグローバル実績で、個別案件の成果を示す数値ではありません。
得意領域・実績
電子カルテやレセプト、治験、地域医療データを横断する案件に向きます。自治体や大規模医療法人が関わる取り組みでも、候補にできます。
同社は、閉域環境で生成AIを活用するサービスも公開しており、データを公開型AIへ送らない構成を検討する組織の相談先になります。
大規模構想では要件定義や関係者調整に時間を要する場合があります。そのため、一つの診療科や施設で、検索や要約など効果を測りやすい業務から始めるのが有効です。全体展開の前には、データ標準とアクセス権限を整えます。
日本アイ・ビー・エム株式会社|AIエージェントの統合と業務オーケストレーション
複数のAIアシスタントやエージェントをまとめて管理したい場合は、日本IBMを検討できます。watsonxを中心に生成AI、データ基盤、業務コンサルティングを組み合わせ、医療組織の優先業務の生産性向上を支援しています。
特徴と強み
IBM watsonxは、業務向けAIの構築とデータ・モデル・ガバナンスの管理を支える製品群です。また、watsonx OrchestrateはAIアシスタントやエージェントの作成・展開・管理を担い、業務プロセスの自動化を目指す製品です(出典:IBM「watsonx」「ヘルスケア」)。
医療用途では、回答品質に加えて、権限や監査ログも確認対象になります。
得意領域・実績
病院のバックオフィス、問い合わせ、職員向けナレッジ検索などを複数のエージェントで支援したい組織に適しています。
データ基盤やクラウド方針がIBM中心なら、セキュリティ・監査・運用の標準化も合わせて検討できます。
業務を変えるには、製品の導入に加えて、職員の画面や承認手順を決めることが欠かせません。誤回答時の連絡先やエージェントに許す操作の範囲も、あわせて決めておきます。そのうえで、実績を確認しながら権限を広げる進め方が現実的です。
Google Cloud Japan|医療データ検索と生成AI基盤の組み合わせ
医療データ検索やFHIR連携をクラウド上で組み立てたい場合は、Google Cloudが候補です。複数の記録・文書を検索し、根拠情報を添えて職員へ回答するエージェントの構築を検討できます。
特徴と強み
医療向けVertex AI Searchは、医療記録や文書を検索し、組織内情報に基づく生成AIの回答を支援します。また、情報源を示して回答を確認しやすくする設計が紹介されています(出典:Google Cloud公式ブログ「AIによる医療の変革はすでに進んでいる」)。
得意領域・実績
院内規程やマニュアル、患者記録、検査結果を横断して検索したいケースに合います。FHIR R4データの取り込み手順も公開されており、将来の標準化を見据えてクラウド基盤を整えたい医療法人が検討できます。
Google Cloudは基盤サービスのため、医療業務に詳しいSIerや開発会社との協業も検討します。構築会社には、モデル選定に加えて、データ変換、アクセス権、監査ログを提案できるかを尋ねてください。バックアップやクラウド費用の上限管理も、確認すべき項目です。
医療/介護業界のAIエージェント開発会社を選ぶポイント

候補各社は得意な規模や製品、データ基盤が異なるため、自社の業務で安全に運用できる条件をそろえて比較します。知名度よりも、各確認事項に具体的な回答があるかを見ます。
「類似業務」での実績と経験の確認
自社と似た業務での導入経験があるかを確認します。「AIの実績」という説明よりも、退院サマリや介護記録、夜間見守りなど、対象業務の近さを見ます。患者向け対話の経験も、確かめる項目です。
導入前後の作業時間、利用率、修正率に加えて、事故・インシデントへの対応も質問します。
守秘義務で顧客名を出せない場合は、匿名化した画面例や評価方法、PoCの検証項目を確認します。一方で、施設名を並べるだけの提案では、改善対象や範囲が分からず、費用対効果を比べられません。
AIモデルより連携・データ整備で見る技術力
現場で使える品質かを見るには、モデルの名称より、データの扱いを確かめることが近道です。電子カルテからのデータ抽出や手書き記録・PDFの取り込み、部署ごとの略語、検索根拠の表示を確認します。
提案書では、連携方式やマスキング、評価データを照らし合わせます。さらに、誤回答の検知方法も確かめます。
費用は要件によって変わり、業務整理と小規模PoCは数百万円ですが、本番向けの個別開発や連携、セキュリティ設計まで含めると、1,000万円を超える計画もあります。クラウドや音声認識・OCRの従量料金、監視・保守の費用は、見積もりで分けて確認します。見積もりの範囲は、モデル評価の更新費まで含めてそろえる必要があります。
管理体制と契約上の責任の範囲
誤記録が医療事故につながり得る業務では、AIの出力を最終的に承認する人を決めておきます。診断や治療を補助するプログラムは、目的や機能によってプログラム医療機器に該当する場合があります。
厚生労働省は、AIを用いても診断・治療を行う主体は医師であり、最終判断も医師が担う考え方を示しています(出典:厚生労働省「AIを用いた診断、治療等の支援を行うプログラム」)。そのうえで契約では、誤出力や連携障害、情報漏えいなどについて責任の範囲を定めます。
モデル更新後の性能変化も対象に含め、SLAには稼働率に加えて、障害通知や復旧目標、ログ保存を盛り込みます。また、モデル変更の承認やインシデント報告の手順も入れておきます。ベンダーと施設の確認・対応分担が明記されているかを確認してください。
よくある質問
導入前の疑問は、費用、個人情報の扱い、施設内の担当体制に分けると、開発会社へ確認しやすくなります。
医療・介護向けAIエージェントの開発費用はいくらですか?
業務を絞った小規模な検証は数百万円で、本番向けに電子カルテや介護記録との連携、権限・監査・保守まで整える計画では、1,000万円を超える場合があります。
金額は、連携数や画面開発、セキュリティ要件、利用人数で変わる目安で、固定の相場ではありません。
患者情報や介護記録を生成AIへ入力しても安全ですか?
施設の許可や管理ルールなしに、公開型生成AIへ患者情報を入力してはいけません。
個人情報保護委員会の医療・介護向けガイダンスを確認し、マスキングや匿名加工・仮名加工を検討します。そのうえで、利用環境やアクセス権、ログを整え、委託契約も見直してください。
IT担当者がいない介護施設でも導入できますか?
導入は可能ですが、施設側の責任者を決めてください。まずは、個人情報を含まない議事録、規程検索、採用問い合わせの分類などから試し、入力可能な情報、禁止情報、相談先を一枚にまとめておけば、現場へ共有できます。
まとめ
医療・介護のAIエージェント開発会社は、モデルの性能に加えて、業務設計や既存システム連携、情報保護を含めて選びます。人による確認や導入後の教育・保守も、選ぶ際に欠かせない観点です。
個別開発の一貫支援ならripla、病院システム・文書支援なら富士通JapanやNECが候補です。
広域データ基盤ならNTTデータ、エージェント管理ならIBM、クラウド検索やFHIR連携ならGoogle Cloudを比較できます。
自施設の要件に照らして選びましょう。
最初は、記録や検索、問い合わせなど効果を測りやすい業務に絞ります。そのうえで、削減時間とAI利用料・保守費を合わせて、ROIを確認します。
人が確認する運用を保ちながら対象を段階的に広げることが、現場負担の軽減とケアの質向上につながります。
参照した公式資料は、富士通Japanの発表、NECのサービス情報、NTTデータの生成AI情報です。さらに、IBMのヘルスケア情報も確認しました。
あわせて、Google Cloudの医療向け生成AI情報、厚生労働省の介護人材資料、個人情報保護委員会の医療・介護ガイダンスを参照しています。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
