医薬品業界のシステム開発では、株式会社ripla、NTTデータ、TIS、富士通、NEC、SCSKのように、業務知識と規制対応を理解して伴走できる会社を選ぶことが重要です。
医薬品を扱う企業のシステムは、単なる在庫管理や販売管理ではありません。ロット番号、有効期限、温度、品質記録、薬品マスタ、製造・流通履歴まで正確に扱い、CSV(コンピュータ化システムバリデーション)やGMP、GDPにも配慮する必要があります。本記事では、医薬品業界のシステム開発で検討しやすい6社と、発注前に確認したい選び方を紹介します。
医薬品業界のシステム開発でパートナー選びが重要な理由

医薬品業界では、システムの不具合が業務停止だけでなく、品質問題や出荷遅延、患者さんへの供給にもつながります。そのため、技術力だけでなく、業務プロセス、法規制、現場運用を理解するパートナーを選ぶことが成否を左右します。
業務知識が不足すると要件定義が破綻しやすいためです
医薬品の在庫は、商品コードだけで管理できません。ロット、使用期限、保管温度、入出庫履歴、返品・回収、出荷判定などを業務の流れに沿って設計する必要があります。医療機器商社のWMS導入事例では、ロット・期限・温度・トレーサビリティの要件をすべて個別開発しようとした結果、当初2,000万円だった開発費が4,200万円に膨らみ、開発期間は1年半に延びました。稼働後の習得にも半年以上かかり、投資回収に5年以上を見込む状態になったとされています。標準機能で対応できる範囲と、業務上どうしても追加すべき機能を切り分けることが重要です。
発注者側のマスタ整備と意思決定も必要なためです
薬品マスタや検査項目マスタは、ベンダーだけで正しく作れるものではありません。旭川医科大学病院の電子カルテ訴訟では、薬品・検査項目のマスタ作成には医療知識が必要であり、発注者側の協力が欠かせないと判断されました。仕様凍結後の追加要望もプロジェクトを不安定にします。ベンダー選定と同時に、社内の業務責任者、マスタ責任者、承認者を決めておくことが必要です。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。
特徴と強み
riplaの強みは、システムを納品して終わりにせず、業務改善の目的から逆算して設計できる点です。医薬品業界では、現場が使い続けられる入力画面や承認フロー、マスタ更新手順まで設計しなければ定着しません。現行業務のヒアリング、課題の整理、優先順位付け、開発、導入後の改善を一つの流れで相談したい企業に向いています。
得意領域・実績
営業・顧客・生産・販売管理などの基幹領域を横断して、企業ごとの業務要件に合わせたシステム構築を支援します。既存のERP、WMS、会計、受発注、IoT機器などとの連携を前提に、最初から大規模な刷新を行わず、在庫・マスタ・出荷判定など優先度の高い領域から段階的に進める相談にも適しています。CSVやGMPの対象範囲は専門部門と確認しながら、要件定義と検証計画を分けて設計することが大切です。
NTTデータ|製薬バリューチェーンとデータ活用に強い

NTTデータは、製薬企業の研究開発、臨床開発、流通、営業、PMSまで広いプロセスを対象にデジタル変革を支援する企業です。公式情報では、RWD(リアルワールドデータ)の活用や、製薬企業向けのデータ基盤、ServiceNowを活用した業務支援などを掲げています。
特徴と強み
大規模なデータ連携や、複数部門・複数拠点をまたぐプロジェクトに対応しやすい点が特徴です。医薬品メーカーでは、治験情報、安全性情報、製造記録、卸との受発注、医療機関データなどを別々に管理している場合があります。全社データ基盤を整え、部門ごとのシステムをつなぐ構想を描きたい場合に候補になります。
得意領域・実績
医薬品業界データ交換システムであるJD-NETを、製薬メーカーと医薬品卸の受発注データなどを扱う基盤として提供しています。また、大塚製薬の国内6工場に出荷判定業務を支援するシステムを導入した事例も公開されています(出典: NTTデータ、2023年)。グローバル展開、業界横断のデータ連携、製造・出荷判定の統制を重視する企業に向いています。
TIS|研究開発から営業までを支援する製薬向けソリューション

TISは、基幹システム、アプリケーション、プラットフォームまで幅広く提供するIT企業です。製薬業界向けには、研究・開発領域、営業・マーケティング領域、業界横断型の基盤を組み合わせた「Medical Drive」を展開してきました。
特徴と強み
製薬企業の業務を研究開発と販売促進の片側だけで捉えず、バリューチェーン全体で考えられる点が強みです。研究データ、営業活動、顧客情報、社内基盤を連携させる際には、既存システムとの接続方式やデータ定義の標準化が課題になります。複数の業務領域を段階的に整えたい企業に向いています。
得意領域・実績
TISは、2015年の公式発表で、製薬企業向けに15年以上培ったシステム開発技術と業務ノウハウをもとにMedical Driveを提供すると説明しています(出典: TIS、2015年)。R&D、営業・マーケティング、プラットフォームをまたいだ企画を相談したい場合や、業務ごとに分断されたデータを整理したい場合に検討しやすい会社です。
富士通|GMP準拠の製薬工場スマート化を支援

富士通は、製薬業界向けに研究開発、製造、販売、データ分析などのライフサイエンスソリューションを提供しています。製薬工場向けのスマート化では、GMPに準拠したソリューションの経験と、製造データを活用した生産・品質の改善を掲げています。
特徴と強み
工場の設備、製造実行、品質管理、データ基盤を一体で検討したい企業に向いています。GMP対応では、アクセス権限、監査証跡、記録の完全性、変更管理などをシステムだけでなく手順書や教育と合わせて整備します。IoTセンサーから温度・湿度を収集し、異常時に通知して、出荷判定や品質記録につなげる設計も重要です。
得意領域・実績
富士通は、製薬工場向けスマートファクトリーで、10,000社以上の製造業への提供実績と、国内30カ所以上の製造拠点を持つことを強みとして説明しています(出典: 富士通、2026年確認)。製造現場のデータ利活用、品質向上、グローバル拠点の標準化を重視する場合に候補になります。
NEC|製造・SCM・安全性情報を幅広く支援

NECは、製造業向けのERP・SCM・MESや、製品品質、サプライチェーン、物流の最適化を支援する総合IT企業です。製薬業界では、安全性情報管理ソリューションなど、医薬品の安全性情報を扱う領域にも取り組んできました。
特徴と強み
製造・販売・物流をつなぐサプライチェーン改革を重視する企業に向いています。医薬品では、需要予測を高度化しても、ロットや期限を無視すれば現場では使えません。ERPやSCMの計画系と、MESやWMSの実行系を連携させ、どのデータを正とするかを決める設計が必要です。
得意領域・実績
グローバルな製造業向け基盤、ERP・SCM・MES、品質・安全性情報などを組み合わせる提案がしやすい点が特徴です。海外拠点を含むシステム標準化や、製造実績をもとにしたトレーサビリティを整備したい企業は、医薬品プロジェクトの担当体制とCSV対応範囲を個別に確認するとよいです。
SCSK|クラウド・基幹・製薬業務を組み合わせて支援

SCSKは、基幹システム、クラウド、サプライチェーン、スクラッチ開発などを組み合わせて提供するITサービス企業です。公式サイトでは製薬・医療を業種として掲げ、2026年にはVeeva Vault CRMのサービスパートナー認定取得も公表しています。
特徴と強み
既存の業務システムを活かしながらクラウドサービスを組み込みたい企業に向いています。製薬企業では、CRM、営業支援、治験、品質、安全性情報、ERPなどの専門サービスが増えています。すべてを一から作るのではなく、標準サービスと個別連携を組み合わせることで、開発範囲と将来の保守負担を抑えやすくなります。
得意領域・実績
Veevaなど製薬業界で利用されるクラウドサービスの導入・運用、周辺システムとの連携、業務プロセス改善を相談しやすい会社です。クラウド採用時は、データの所在、バックアップ、権限、監査証跡、障害時の復旧、CSVの責任分界をRFPに明記することが重要です。認定内容や担当できる工程は、提案時点で最新情報を確認してください。
医薬品業界のシステムパートナー選びのポイント

会社名の知名度だけで決めず、対象業務、規制対応、現場定着、費用、運用体制を同じ条件で比較してください。特に医薬品業界では、提案書に書かれた機能の数よりも、実際の業務データを安全に運用できるかが重要です。
実績と経験は対象業務単位で確認します
「医療系の実績がある」という説明だけでは不十分です。製造管理、WMS、出荷判定、治験、PV、CRM、医薬品卸とのEDIなど、今回の対象に近い実績を確認してください。可能であれば、実績の概要だけでなく、導入範囲、利用者数、拠点数、移行対象データ、稼働後の保守体制まで質問します。
CSV・GMP・GDPの対応範囲を契約前に明確にします
CSVは、対象システムが意図したとおりに動作し、医薬品の品質や安全性に影響するデータを正確に記録できることを検証する考え方です。要件定義、リスク評価、テスト計画、証跡、変更管理、定期レビューのどこまでをベンダーが担当するかを確認してください。GDPでは、医薬品の破損や品質劣化を防ぎ、輸送中の温度条件を管理することが求められます(出典: 厚生労働省「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」)。
初期費用ではなく総保有コストで比較します
2026年時点の公開相場では、単一業務の業務システムは100万〜500万円、複数業務を統合する基幹システムは1,000万〜3,000万円以上とされる例があります(出典: SIA「システム開発の費用・相場 2026年版」)。ただし医薬品業界では、CSV文書、データ移行、マスタ整備、教育、監査対応、保守、再検証の費用が加わります。見積書では、初期開発費だけでなく、ライセンス、クラウド利用料、保守、バージョンアップ、追加検証、障害時対応まで分けて比較してください。
よくある質問

医薬品業界のシステム開発では、会社選びに加えて、発注者側の体制と段階導入の考え方も結果を左右します。ここでは、比較検討時に特に多い質問へ回答します。
医薬品業界でもクラウドシステムを利用できますか?
利用できますが、クラウドであることだけで適合性が決まるわけではありません。データの完全性、アクセス権限、監査証跡、バックアップ、障害対応、変更通知、契約終了時のデータ返却、CSVの責任分界を確認し、品質部門と情報システム部門が承認できる構成にする必要があります。
最初から全社システムを作るべきですか?
必ずしも全社一括で始める必要はありません。まずは、誤出荷や期限切れ、温度逸脱など品質と供給に直結する領域を選び、マスタ整備と現場定着まで確認してから、他拠点や他部門へ広げる方法が現実的です。段階導入でも、将来の連携を見据えたデータ項目と権限設計は最初に決めておくとよいです。
ロット管理とシリアル管理はどちらが必要ですか?
扱う製品と業務によって異なります。ロット単位の在庫・期限管理が基本でも、製品の個体識別や偽造品対策、回収範囲の特定が必要な場合はシリアル番号管理を検討します。厚生労働省は医薬品の特定用符号について、商品コード、製造番号または製造記号、有効期限などの情報を扱う通知を公表しています。どの単位で追跡し、どの拠点・取引先まで記録するかを要件に落とし込むことが重要です。
まとめ

医薬品業界のシステム開発会社を選ぶときは、知名度や見積金額だけでなく、CSV・GMP・GDPへの理解、ロット・期限・温度管理、薬品マスタの運用、現場定着まで確認してください。株式会社riplaは、コンサルティングから開発、導入後の定着まで一気通貫で相談したい企業に向いています。NTTデータは大規模な製薬データ連携、TISは研究開発から営業までの製薬業務、富士通はGMPを意識した工場スマート化、NECは製造・SCM・安全性情報、SCSKはクラウドと業務システムの組み合わせを重視する企業に適しています。
医薬品の流通を支えるシステムは、効率化の道具にとどまらず、品質と供給を守るインフラです。実際にZiplineはルワンダで、キガリ以外の地域における血液供給の75%を担い、400以上の病院・診療所へ血液や医薬品を届けています(出典: Zipline、2022年)。日本のプロジェクトでも、温度センサー、WMS、製造・品質記録、受発注ネットワークをつなぐことで、現場の判断を支えられます。まずは業務責任者と品質部門を含む体制を整え、複数社へ同じRFPを提示して比較することをおすすめします。
参考にした主なWebソース:NTTデータ「製薬・ライフサイエンス」、NTTデータ「大塚製薬の国内6工場への出荷判定システム」、TIS「Medical Drive」、富士通「製薬業界向け工場スマート化ソリューション」、SCSK「製品・サービス」、NEC「製造業向けソリューション」、厚生労働省「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」、厚生労働省「医療用医薬品を特定するための符号の容器への表示等について」、Zipline「Rwanda instant logistics」、SIA「システム開発の費用・相場 2026年版」です。
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
