受付システムの導入を検討するとき、多くの担当者がまず知りたいのは「自社と同じような規模・業態の企業が、実際にどんな課題を受付システムで解決し、どれだけのコスト削減や来訪体験の改善につなげたのか」という具体的な事例ではないでしょうか。受付システムは、オフィスの来客対応だけでなく、内見予約の取りこぼし防止、無人店舗の入退室統合、ホテルや宿泊施設のチェックイン省人化まで、活用シーンが急速に広がっています。だからこそ、自社に近い導入事例・成功事例を知ることが、投資判断の精度を高めてくれます。
本記事は、受付システムの導入事例・開発事例・活用事例・成功事例を、発注企業の視点から具体的に掘り下げる「事例特化」の解説です。受付担当2名分の人件費を年約576万円カットした置換事例、内見予約の取りこぼしを減らした不動産の事例、ホテルPMSとスマートロックを連携して省人化した宿泊施設の事例、ノーショー(無断キャンセル)を削減したクリニックの事例まで、費用相場やROIの一次データとあわせて解説します。なお、受付システムの全体像をまだ把握していない方は、まず受付システムの完全ガイドから読むことをおすすめします。
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・受付システムの完全ガイド
受付無人化で人件費を大幅削減したオフィス事例

受付システムの導入で、もっとも分かりやすい成果が出るのが「来客受付の無人化による人件費削減」です。従来は専任の受付担当者が常駐し、来訪者の取り次ぎ、担当者への連絡、応接室への案内を手作業で回していました。タブレット型の受付システムは、この一連の対応を来訪者自身の操作と担当者への自動通知に置き換え、受付の常駐を不要にします。
受付担当2名を置換し年約576万円を削減した事例
受付無人化の効果をもっとも具体的に示すのが、人件費の削減です。一次データの試算では、100名規模のオフィスで受付担当2名(月約50万円相当)を配置していた企業が、これをクラウド型受付システム(ラクネコ等)に置き換えた場合、年約576万円のコスト削減につながります。受付システムの全体相場は初期0〜18万円・月額410円〜2万円程度であり、人件費との差は歴然です。この投資対効果の明快さが、受付システムが急速に普及した最大の理由です。
重要なのは、この削減効果を「漠然とした省力化」ではなく、自社の実際の数字に当てはめて定量化することです。受付に費やしている人員の人件費、来訪者数、取り次ぎにかかる時間を整理すれば、年間で削減できる金額が概算できます。たとえば受付専任が不要になり、その人材を本来の業務に再配置できれば、削減額に加えて生産性向上の効果も得られます。事例を読むときは、こうした自社の数字への置き換えを必ず行ってください。
取り次ぎ自動化で社員の中断を減らした事例
受付システムの効果は、受付担当者の人件費削減だけにとどまりません。来訪者がタブレットで担当者を選ぶと、その担当者のチャットツール(SlackやTeams等)やメールへ自動で通知が飛ぶため、内線電話の取り次ぎという「他の社員の手を止める作業」が消えます。従来は受付からの取り次ぎ電話に出た社員が席を立ち、また別の社員が応接室の空きを確認し、という連鎖的な中断が発生していました。
受付通知が担当者に直接届く仕組みにすると、この中断が構造的になくなります。導入事例では、来客対応にまつわる細切れの中断が減ったことで、開発や設計といった集中を要する業務の効率が上がったという声が聞かれます。受付システムは単なる受付の省力化ではなく、オフィス全体の業務フローから無駄な割り込みを取り除くツールとして機能します。事例から学べるのは、効果を受付窓口だけで見るのではなく、通知が届く社員側の生産性まで含めて評価すべきだという点です。
内見予約と無人店舗を統合した不動産の事例

受付システムの活用事例で、競合があまり触れていないのが不動産業界です。賃貸仲介や内見の現場では、来店受付・内見予約・物件への入退室を別々の仕組みで管理しており、ここに受付システムを組み合わせると大きな効果が生まれます。riplaがフルスクラッチ受託の立場から注目するのも、この「予約・受付・入退室を一気通貫でつなぐ」領域です。
内見予約の取りこぼしを減らした事例
不動産仲介では、内見の問い合わせが営業時間外や電話の取り逃がしによって失注につながるケースが少なくありません。一次データによれば、小規模店の電話取り逃がしは「5本に1本(約20%)」にのぼるとされ(bigdata-analytics.jp 2026)、これは内見機会の取りこぼしと直結します。Web受付・予約システムを導入した事例では、内見希望者が24時間いつでも空き枠を選んで予約でき、夜間や休業日の取りこぼしが大幅に減りました。
さらに、内見予約とリマインド通知を組み合わせることで、当日のドタキャンも減らせます。リマインドによる無断キャンセル率の削減は30〜50%という報告もあり(SPRING 2025)、限られた営業人員で効率よく内見を回す不動産業にとって、この効果は売上に直結します。事例が示すのは、受付システムを「来店してから」だけでなく「予約の入口から」設計することで、取りこぼし防止という明確なROIが得られるという点です。
無人店舗で受付と入退室を統合した事例
受付システムとスマートロック・入退室管理を統合した無人店舗の事例も、注目に値します。たとえば内見の現場では、予約した顧客にだけ一時的な解錠コードを発行し、本人確認を兼ねた受付を済ませた来訪者だけが物件に入れる仕組みを構築できます。これにより、営業担当者が現地に同行しなくても、安全に内見を実施できるようになります。
この統合事例の本質は、受付(来訪者の本人確認・記録)と入退室(解錠・施錠・入退室ログ)を一つの予約データで結びつけている点にあります。予約のない人物は解錠コードを得られず、入退室ログが自動的に残るため、無人運用でもセキュリティと記録性が担保されます。スマートロックや電子錠との連携には配線・設置工事費といったハード側のコストも発生しますが、人員を張り付けずに店舗を運営できる効果を考えれば、十分に投資が正当化される事例が増えています。受付システムを「ソフトだけ」で捉えず、ハードとの統合まで視野に入れることが、これからの差別化の鍵です。
ホテルPMS連携でチェックインを省人化した事例

宿泊業界も、受付システムの効果が大きい領域です。ホテルや旅館のフロントは、チェックイン・チェックアウトの繁忙時間帯に行列ができ、限られたスタッフでは対応しきれないという慢性的な課題を抱えています。受付システムをホテル管理システム(PMS)と連携させることで、この受付業務を大幅に省人化した事例が増えています。
セルフチェックイン端末でフロント業務を圧縮した事例
セルフチェックイン端末を導入した宿泊施設の事例では、宿泊者が予約番号やQRコードを端末にかざすだけで本人確認・宿泊者台帳の記入・客室の鍵発行までを自分で完結できます。フロントスタッフは、対応が必要な宿泊者だけに集中できるため、繁忙時間帯の行列とスタッフの負荷が大きく緩和されました。PMSと連携していれば、予約情報・宿泊者情報・客室の在室状況がリアルタイムに同期され、二重入力やミスも防げます。
この省人化の効果は、人手不足が深刻な宿泊業界において特に大きな意味を持ちます。夜間のフロント常駐を最小限にできれば、人件費の圧縮だけでなく、採用難という構造課題への対応にもなります。事例が示すのは、受付システムを単体で導入するのではなく、PMSという宿泊業務の中核システムと連携させてこそ、チェックインからチェックアウトまでの一連の流れが自動化されるという点です。
多言語UIでインバウンド対応を強化した事例
インバウンド需要の回復で、受付の多言語対応が宿泊・観光施設の重要課題になっています。受付システムの多言語UIを導入した事例では、英語・中国語・韓国語など複数言語で受付やチェックインの案内を表示でき、言語の壁による混乱や問い合わせの集中を解消しました。スタッフが外国語を完璧に話せなくても、システムが多言語で手続きを案内してくれるため、現場の心理的な負担も軽くなります。
さらに進んだ事例では、海外決済(WeChat PayやAlipay等)との連携や、高齢者にも分かりやすいユニバーサルデザインのUI設計まで踏み込んでいます。多言語UIとデジタル弱者への配慮を両立させることは、競合の解説が手薄な領域であり、インバウンドと国内利用者の双方に対応したい施設にとって差別化のポイントになります。受付システムを選ぶ際は、対応言語の数だけでなく、決済連携やUDの観点まで含めて事例を検討することをおすすめします。
民泊・無人宿泊施設で完全省人化した事例
競合の解説がほとんど存在しない民泊・無人宿泊の領域でも、受付システムの活用事例が広がっています。民泊では、フロントを常駐させずに運営するため、予約・本人確認・鍵の受け渡しをすべてオンラインとスマートロックで完結させる必要があります。予約システムと連携したセルフチェックインで、宿泊者が自分のスマートフォンから本人確認を済ませ、解錠コードを受け取って入室する仕組みが構築されています。
この完全省人化の事例で重要なのは、本人確認の厳格さと、トラブル時の遠隔対応体制です。宿泊者台帳の作成は法令上の義務であり、無人運用でも本人確認とデータの記録を確実に行う必要があります。事例では、オンライン本人確認(eKYC)と入退室ログを組み合わせ、無人でも法令対応とセキュリティを担保しています。多言語UIを備えれば訪日客の無人チェックインにも対応でき、人手不足が深刻な宿泊業界において、受付システムは運営そのものを成立させる基盤になっています。賃貸・宿泊・無人店舗という競合が手薄な領域こそ、受付システムの価値がもっとも大きく発揮される事例だと言えます。
クリニックでノーショーと待ち時間を削減した事例

医療機関やクリニックの受付システムは、患者体験の改善という観点で大きな成果を上げています。クリニックの受付は、保険証の確認、問診票の記入、待ち時間の案内など、患者と職員の双方に負担のかかる業務が集中する場です。受付・予約システムを導入した事例では、これらの工程をデジタル化し、待ち時間の短縮と無断キャンセルの削減を同時に実現しています。
待ち時間を66%削減し満足度を高めた事例
受付・順番待ちシステムを導入したクリニックの事例では、待ち時間が平均66%削減され、患者満足度が1.5倍に向上したという一次データが報告されています(knowledge-hd.co.jp 2026)。患者は受付システムで順番待ちの状況をスマートフォンから確認でき、診察の順番が近づくまで院外で過ごせます。待合室の混雑が緩和され、感染対策の面でもメリットがありました。
受付端末で問診票を事前に記入できるようにした事例では、職員が手書きの問診票を読み取って電子カルテに転記する手間も削減されました。受付システムが電子カルテと連携していれば、患者情報の二重入力がなくなり、受付業務全体のスピードが上がります。事例が教えるのは、待ち時間の短縮という患者体験の改善が、そのまま満足度とリピートにつながるという点です。
リマインドでノーショーを削減した事例
予約と受付を一体化したシステムでは、リマインド通知によって無断キャンセル(ノーショー)の削減も実現できます。予約の前日や数時間前に自動でリマインドが届くことで、患者の「うっかり忘れ」を防げます。一次データによれば、リマインドによってノーショー率は30〜50%削減できるとされ(SPRING 2025)、限られた診療枠を有効活用したいクリニックにとって大きな効果です。
ノーショーの削減は、飲食店の事例でも顕著です。飲食店のノーショー1件あたりの損失は約29,000円とされ、月5件発生すれば約14万円の損失になります。リマインドでこれを30〜50%削減できれば、システムの月額費用を大きく上回る効果が得られます。受付・予約システムの事例を評価するときは、人件費削減だけでなく、こうした「機会損失の防止」という金額換算の効果まで含めて見ることが重要です。自社の取りこぼしやノーショーの実態を数字で把握することが、導入判断の出発点になります。
補助金活用とスモールスタートで成功した事例

受付システムの事例には、大規模な投資で一気に省人化したものだけでなく、補助金を活用したり、小さく始めて効果を確かめてから拡大したりという、堅実な進め方で成功したものも数多くあります。むしろ予算の限られた中小事業者にとっては、こうした事例こそが参考になります。投資のハードルを下げ、リスクを抑えながら成果を出す方法を見ていきましょう。
IT導入補助金で初期費用を半減した事例
受付・予約システムは、IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)の対象になることが多く、これを活用して初期費用を抑えた事例があります。一次データによれば、IT導入補助金では最大1/2〜4/5(通常枠の上限450万円)の補助が受けられ、初期10万円のシステムが実質5万円前後になるケースもあります。補助金を使えば、投資回収のスピードがさらに早まり、導入のハードルが大きく下がります。
補助金を活用した事例から学べるのは、申請には事前準備が必要だという点です。gBizIDプライムの取得や、対象となるITツール・支援事業者の確認、事業計画の作成といった手順を踏む必要があり、思い立ってすぐに申請できるわけではありません。導入を検討する段階で補助金の公募スケジュールを確認し、計画的に準備を進めた事業者ほど、スムーズに採択を勝ち取っています。補助金は「使えれば大きい」ものの「準備に時間がかかる」ことを前提に、早めに動くことが成功の条件です。
無料トライアルから段階拡大した事例
いきなり全社的に受付システムを導入するのではなく、無料トライアルや一部拠点での試験運用から始めて、効果を確かめてから拡大した事例も堅実です。たとえば美容室の事例では、月額5,000円のシステムを導入し、月65,000円の効果を生んで初月から黒字化したという試算があります。小さく始めて効果が見えれば、社内の納得感を得ながら段階的に投資を広げられます。
このスモールスタート型の事例が教えるのは、「現場が本当に使うか」を実運用でテストしてから本格導入する重要性です。無料トライアル期間に実際の受付業務を回し、現場スタッフと来訪者の双方が無理なく使えるかを検証します。トライアルで運用ノウハウと現場の納得感を蓄積し、標準機能では足りなくなった段階で連携やカスタマイズに進む。この段階主義は、いきなり大規模投資に踏み切って現場に使われず失敗するパターンの対極にある、安全な進め方です。自社の規模に応じて、最適な入り口を選ぶことが、成功事例の共通点です。
まとめ

受付システムの導入事例を振り返ると、成果は「人件費削減」「機会損失の防止」「来訪者体験の改善」という三つの軸に集約されます。オフィスでは受付担当2名の置換で年約576万円を削減し、不動産では内見の取りこぼしと無人店舗の入退室統合で売上機会を守り、ホテルではPMS連携でチェックインを省人化し、クリニックでは待ち時間66%削減とノーショー30〜50%削減を実現しています。共通するのは、受付システムを単体で捉えず、予約・入退室・PMS・電子カルテといった周辺システムと連携させることで効果が最大化されるという点です。
事例を読むときに大切なのは、「どんな機能があるか」ではなく「自社の課題にどんなROIをもたらすか」という視点です。自社の受付人件費、来訪者の取りこぼし、ノーショーの実態を数字で把握し、もっとも効果の大きい領域から導入を検討してください。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、受付・予約・入退室を一気通貫でつなぐシステムづくりを一貫して支援します。全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。
株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
