受発注管理システムのモダナイゼーションの事例/成功事例について

受発注管理システムのモダナイゼーションの成功事例では、現状の可視化、受注業務のデジタル化、段階移行によって、業務負荷と刷新リスクを抑えています。カタログの理想論より、現場の課題・手法・効果を数字で追う事例への需要が高まっています。

基幹系の刷新、受注のデジタル化、段階移行の事例を紹介します。他社の刷新手順や一括移行と段階移行の選択、夜間バッチ・保守費の削減幅について、多く相談を受けています。全体像は受発注管理システムのモダナイゼーションの完全ガイドもご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・受発注管理システムのモダナイゼーションの完全ガイド

レガシー受発注基幹系を刷新した成功事例とその効果

夜間バッチが8時間から90分に、年間保守費が約2,400万円から約850万円に変化した刷新事例の図解。
時間と費用の両面に、刷新の効果が表れています。

老朽化した基幹系を刷新し、効果を数字で示せた事例は説得力があります。長年の運用では、夜間バッチの肥大化やサーバー保守費の増大、改修人材の枯渇が課題になりがちです。

製造業:COBOL受発注基幹系を16ヶ月で刷新し夜間バッチ80%短縮

従業員約1,200名の製造業では、受発注から在庫引当、出荷指示までを、COBOLで作られた基幹系で管理していました。

夜間バッチは8時間に及び、翌朝の出荷準備に間に合わないリスクがありました。さらに、技術者の高齢化と仕様の未文書化が進み、取引先対応の軽微な変更に数週間かかっていました。

刷新の成果は、処理時間と年間保守費の変化として、次のとおり表れています。

  • 夜間バッチ:8時間から90分へ短縮し、約80%減
  • 年間保守費:メインフレーム維持費が約2,400万円から約850万円へ下がり、約65%減

締めから在庫更新までのリードタイムが短くなり、当日受注分を翌日出荷できる範囲が広がりました。また、取引先からの急な追加注文にも応えやすくなっています。

処理時間と保守コストの両面で効果を示すには、技術の置き換えだけでなく、改善する受発注KPIも計画に含めておくと、稟議の根拠になります。

大量ログの可視化で保守費の重い機器を特定した改善事例

あるシステム運用改善では、基幹系の大量ログを収集・可視化し、保守費が突出した機器や処理を特定しました。

  • 運用負担:従来の約5分の1に圧縮したと報告されています
  • 投資対効果:数億円規模につながったと報告されています
  • 受発注ログ:夜間バッチの所要工程や連携エラー・再試行を把握できます

成功事例では、刷新の前に稼働ログや業務データを一覧にし、現状を計測して改善幅を数字で示しています。そのうえで、受注件数・処理時間・エラー率をもとに優先順位を決めれば、限られた予算を効果の大きい部分へ集中させられます。

ポイント

基幹系の刷新では、夜間バッチの時間と年間保守費を先に数字で押さえ、刷新後の効果と比べて判断します。改善の対象は、ログで保守費の重い機器や処理から絞るのが目安です。

FAX・電話受注をデジタル化した受発注DXの成功事例

受発注でデジタル化を検討する業務として、FAX注文の手入力、欠品時の電話確認、納期回答のメール送信を並べた図。
入力・確認・回答の各工程に、見直しの余地があります。

受発注のモダナイゼーションは、基幹系の置き換えだけでなく、受注の入り口の見直しも含みます。FAX・電話・メールで受けた注文をWeb-EDIや取引先ポータルへ移して入力を減らす事例と、その前提になる業務分析を見ていきます。

業務プロセス分析を徹底し月700時間を削減した事例

大手流通グループでは、RPAやシステム化の前に、受発注を含む定型業務のプロセスを分析しました。

分析では、誰がどの業務にどれだけ時間を使うかを洗い出し、自動化する対象を絞りました。

  • 削減効果:業務時間を月間約700時間削減

この事例の特徴は、ツールを入れる前に業務プロセスを見える形にして整理した点です。

FAX注文の手入力、欠品時の電話確認、納期回答のメール送信は、属人化や二重入力につながりやすい業務です。

現状を分析せずにWeb-EDIを導入しても、取引先がFAXを使い続ければ効果は限られます。そのため、デジタル化する工程と取引先を見極める必要があります。

業務分析だけを外部に依頼する場合、費用は200万円から500万円程度が目安です。この範囲には、受発注業務の洗い出しや現行システムの調査、刷新方針の整理が含まれます。

大規模な再構築の前に業務を整理しておくと、刷新全体の手戻りを防げ、投資対効果も高めやすくなります。

取引先ポータル新設で受注入力の負荷を移管した事例

デジタル化の成功例では、受注入力の負荷を自社から取引先へ自然に移している点が共通しています。ある卸売業では、電話とFAXの注文を専用Webポータルへ切り替えました。

  • 入力負荷:直接入力で自社の受注入力が減り、誤出荷や返品も減少
  • 利用定着:履歴・在庫・納期回答を見られる、双方に利点のある設計で、デジタル化率も向上

こうしたデジタル化は、クラウド移行型の比較的軽い刷新で実現することもあります。既存の受発注機能をクラウドへ移してWeb受注窓口を新設する場合、数百万円〜1,000万円台、3〜6ヶ月程度が目安です。全面再構築に比べて低コストで始められ、早い段階で効果を感じられることもあります。

ポイント

受注のデジタル化は、業務プロセスを分析し、取引先も含めてデジタル化する工程を見極めてから導入範囲を決めるのが判断の目安です。

段階的移行で連携を再構築した受発注刷新の進め方と事例

受注受付機能、在庫引当機能、納期回答機能、会計連携の順に新システムへ移行する流れ図。
切り替えを機能ごとに分け、段階を追って進めます。

受発注システムは在庫管理や会計・販売管理と連携するため、一度に全体を切り替えるビッグバン移行はリスクを伴います。

成功事例では、新旧システムを並行稼働させ、機能単位で少しずつ置き換える段階的移行が採用されています。

代表的な手法であるストラングラーパターンと、連携を再構築する際の要点を、事例とともに見ていきます。

ストラングラーパターンで在庫・会計連携を段階刷新した事例

ストラングラーパターンは、既存システムを動かしたまま、機能を一つずつ新システムへ切り出す移行手法です。

ある中堅企業では、次の順に機能を新システムへ移しました。

  1. 受注受付機能
  2. 在庫引当機能
  3. 納期回答機能
  4. 会計連携

各機能の切り替え時には、新旧システムを並行稼働させました。データの整合性を確認しながら進めたことで、業務を止めずに移行を完遂しています。

この手法の最大の利点は、リスクを分散できる点です。不具合の影響は該当する機能に限られ、旧システムへ戻せるため、止められない受発注業務でもリスクを抑えられます。

基幹系の再構築型刷新は、費用が2,000万円から数千万円規模、期間は12〜18ヶ月以上が一般的です。

一度の切り替えでこの投資を一気に賭けると、経営リスクは大きくなります。このため、効果を確かめながら段階的に進める方法が成功の確率を高めます。また、各段階の小さな成功は、長期プロジェクトの完遂を後押しします。

在庫・会計・販売管理連携の再構築でデータ二重管理を解消した事例

受発注の刷新では、周辺システムとの連携の再構築も欠かせません。あるメーカーでは、受発注・在庫管理・会計・販売管理がそれぞれ独立しており、データの二重管理が常態化していました。

  • データ連携:業務データ全体を見直し、受注から在庫引当・売上計上・請求までつなぎ、転記・突合をなくす
  • 締め作業:月次締めを短縮し、在庫数と受注残の不一致を解消
  • 部門間共有:最新データを参照でき、欠品・過剰在庫をめぐるやり取りも減少

「2025年の崖」を背景に、経済産業省はレガシーシステムの放置による経済損失リスクを指摘しています。その規模は、2025年以降で年間最大12兆円とされています。

JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)の調査では、約7割の企業が基幹システムのレガシー化を課題と認識しています。そのため、計画的に刷新を進めることが求められます。

ポイント

基幹系の刷新で一度に切り替えるか迷うときは、機能単位の段階移行を基本に、在庫・会計との連携の再構築も一緒に計画するのが目安です。

受発注モダナイゼーション事例から学ぶ成功のまとめ

COBOL基幹系を約16ヶ月で刷新した製造業では、夜間バッチを約80%、保守費を約65%削減しました。流通グループは業務分析を経て、月間約700時間を削減しました。

また、大量ログの可視化では、作業負担を従来の約5分の1にした事例があります。さらに、ストラングラーパターンで在庫・会計連携を段階刷新した事例もあります。各事例のデータは、受発注業務の文脈に置き換えて紹介しました。

成功事例では、現状を計測して刷新の範囲を絞り、FAX・電話の受注をWeb-EDIやポータルへ移して入力の負荷を減らしています。そのうえで段階移行により、連携の再構築まで進めています。

業務分析と効果の確認を先行させ、ストラングラーパターンで小さく進めれば、基幹業務のリスクを抑えながら投資の回収を目指せます。

刷新は、業務分析から連携の再構築、組織への定着まで進めることで成果につながります。まず、現行のプロセスを一覧にし、効果が見えやすい工程から着手します。

事例に学びながら、自社ならではの成功事例を築いていきましょう。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。