商品情報管理システム(PIM)の必要機能や標準機能の一覧について

PIMは、商品情報を一カ所に集めて各販売先へ正確に届ける仕組みです。主な機能は、一元管理、チャネル配信、品質管理、システム連携の四つです。

全体像がまだなら、まず商品情報管理システム(PIM)の完全ガイドを読むことをおすすめします。本記事は機能に絞って、発注企業の視点から必要な機能と標準機能を整理します。

  • 一元管理:商品マスタ、属性、デジタル資産の集約
  • チャネル配信:販売先ごとの形式への変換と配信
  • 品質管理:登録・承認と入力チェックによる誤りの防止
  • システム連携:在庫や基幹システムとの情報のやり取り

▼全体ガイドの記事
・商品情報管理システム(PIM)の完全ガイド

商品情報を一元管理する中核機能

商品マスタを中心に、商品コード、カテゴリ、属性、デジタル資産を結び付けた図。
商品単位に情報とデジタル資産をまとめる構成です。

PIMのもっとも本質的な機能は、商品に関するさまざまな情報を一カ所に集め、正本(マスタ)として管理することです。商品名や型番、カテゴリといった基本情報は、商品単位で構造的に保持されます。説明文や価格、画像に加え、動画や関連資料も同じ商品に結びつけて扱えます。

これにより、社内のどの部門も同じ最新の商品情報を参照でき、Excelが乱立する状態から抜け出せます。この一元管理が、後に続くすべての機能の土台になります。

商品マスタ・カテゴリ・属性の管理機能

商品マスタ管理機能は、PIMの心臓部です。商品コード(SKU)を基準に、商品の階層構造(カテゴリ・サブカテゴリ)、属性(サイズ・カラー・素材・容量など)、関連情報を柔軟に定義できます。

特に重要なのは、カテゴリによって必要な属性項目が異なる点です。アパレルならサイズとカラー、食品なら原材料とアレルゲン、家電なら消費電力と寸法というように、カテゴリごとに項目を出し分けられる柔軟なデータモデルが求められます。この属性管理が緻密にできるかどうかは、PIM選定の分かれ目です。

汎用的なシステムでは項目が固定的で、自社の商材に合わないこともあります。そのため、商品マスタの構造を自社の商材に合わせて設計できるかは、基本機能として確認したいところです。また、リサーチでも、SKU基準で商品コードを設計し、JANやインストアコードを規則的に付与することが重要だと指摘されており、コード体系と属性設計をセットで考えることが、後の在庫連携や配信の精度を左右します。

画像・動画などデジタル資産の管理機能

商品画像やサブカットのほか、動画や説明書PDF、ロゴといったデジタル資産(DAM=デジタルアセット管理)を、商品情報とひも付けて管理することも、PIMの重要な役割です。PIMで資産を商品にひも付ければ、最新の画像や動画を全チャネルに正しく配信できます。テキストと資産を一体で管理できることも、情報の鮮度と整合性を保つうえで欠かせません。

とくにマルチチャネルで販売する企業では、チャネルごとに必要な画像サイズや形式が異なります。そのため、一つの原本画像から複数のサイズ・形式を自動生成し、配信先ごとに適切なものを割り当てる仕組みを備えるPIMもあります。これらの資産が散在していると、ECに古い画像が掲載されたり、解像度の違うバージョンが混在したりする事故が起きます。

商品の改廃に伴って古い画像が残り続けると、廃番商品の画像が誤って配信されるトラブルにつながります。資産の有効・無効を商品のライフサイクルに連動させて管理できれば、こうした取り違えを防げます。テキスト情報と同様に、デジタル資産も正本を一元管理する発想が、品質を担保する鍵になります。

ポイント

一元管理では、商品マスタの属性を自社の商材に合わせて設計できるか、画像や動画を商品にひも付けて管理できるかを確かめると、選定の判断がしやすくなります。

マルチチャネルへ配信する機能

中央の商品情報から、自社EC、モール、卸向けサイト、紙カタログへ伸びる配信先の図。
販売先ごとの形式に合わせて情報を届ける関係が分かります。

商品情報を一元管理しただけでは、PIMの価値は半分しか活きません。集めた情報を各販売チャネルへ正確に届ける配信機能こそ、現場の工数を直接減らす部分です。

配信先は、自社ECやモール、卸向けサイトのほか、紙カタログや店舗サイネージもあります。必要な項目やフォーマットは配信先ごとに異なりますが、PIMはこの違いを吸収し、一度の入力で各チャネルへ最新情報を届けます。

チャネル別テンプレートと出力変換の機能

マルチチャネル配信の核になるのが、チャネルごとの出力テンプレート機能です。楽天市場とAmazonでは商品項目の名称や必須項目が異なり、紙カタログではまた別のレイアウトが必要になります。PIMが各チャネルの出力テンプレートを持てば、一つの商品情報からチャネルに合わせた形式へ自動変換して配信できます。

これにより、チャネルが増えても入力の手間は比例して増えず、配信先の数だけ管理コストが膨らんでいた現場ほど、この機能の効果は大きくなります。価格やスペックを変更したときも、PIM上で一度修正すれば全チャネルに最新情報が届きます。手作業では「どこかのモールだけ古い情報が残る」という事故が起きがちですが、テンプレート配信機能は、これを構造的に防ぎます。

配信のタイミングを制御できると、新商品の公開日時を予約して一斉に配信したり、セール価格を期間限定で適用したりでき、運用の自由度が高まります。さらに、チャネルごとに公開範囲も細かく絞れれば、販促施策とも連動させやすくなります。配信は、いつ・どこに・どう届けるかを統制する機能として捉えると、PIMの価値がより明確になります。

多言語・多通貨・複数ブランドへの対応機能

事業の拡大に伴い必要になるのが、多言語・多通貨対応の機能です。越境ECや海外展開を視野に入れる企業では、同じ商品情報を日本語・英語・その他言語で管理し、それぞれのチャネルへ配信する必要があります。

PIMの多言語機能を使えば、商品ごとに各言語版の説明文や属性を保持し、翻訳の抜け漏れを管理画面上で把握できます。さらに、通貨や税率の違いに応じた価格管理も、配信機能と連動して重要になります。

また、複数ブランドや複数事業を抱える企業では、ブランドごとに商品情報を区分して管理する機能も求められます。同一のPIM基盤上でブランドを横断して商品を管理しつつ、配信先や権限をブランド単位で制御できれば、グループ全体の商品情報を効率的に運用できます。こうした機能は、現時点で不要でも、将来の事業展開を見据えて要件として押さえておく価値があります。

ポイント

配信機能は、出力テンプレートで一度の入力から各販売先へ届けられるか、配信のタイミングや公開範囲まで制御できるかで比べると、判断しやすくなります。

ワークフローと品質を担保する機能

商品担当者の入力から、マーチャンダイザーの確認、責任者の承認を経て配信する流れ。
担当者を分けた確認の段階が配信前に並びます。

商品情報を多人数で管理する企業では、入力・確認・承認の流れを統制する機能が欠かせません。誰でも自由に編集できる状態では、品質のばらつきや誤った情報の公開が避けられないからです。

PIMのワークフロー機能は、登録から公開までの流れを定義し、適切な担当者が確認・承認したものだけが配信される仕組みを提供します。

登録・承認ワークフローと権限管理の機能

承認ワークフロー機能は、商品情報の品質を組織的に担保します。たとえば、商品担当者が情報を入力し、マーチャンダイザーが内容を確認し、責任者が承認して初めて配信される、という多段階のフローを設定できます。

承認待ち・差し戻し・承認済みといったステータスを管理すれば、どの商品が今どの段階にあるかを一覧で把握できます。大量の新商品を扱う現場では、この把握が大きな助けになります。あわせて押さえたいのが権限管理で、商品情報のどの項目を誰が編集でき、どのチャネルへの配信を誰が承認できるかを、役割に応じて細かく制御します。

権限管理では、価格のように経営に直結する項目を限られた担当者だけが扱い、画像はデザインチームだけが更新するといった統制を実現できます。ワークフローと権限管理を組み合わせることで、大規模な商品情報の運用でも、品質と統制を両立できます。

入力チェック・データ品質を保つ機能

商品情報の品質を保つには、入力時点でのチェック機能が有効です。必須項目が埋まっていない商品は配信できないようにする、価格や数値の形式を検証する、特定カテゴリでは必須の属性が登録されているかを確認する、といったバリデーションを自動で行います。

これにより、配信前に情報の抜け漏れや形式エラーを検出でき、不完全な商品情報がECに掲載される事故を防ぎます。さらに、商品情報の充足率が分かるダッシュボード機能を備えるPIMもあります。どの商品の情報が不足しているか、どのカテゴリの登録が遅れているかを一目で把握でき、品質改善の優先順位づけに役立ちます。

リサーチでは、データ移行前のクレンジングの重要性が繰り返し指摘されていますが、こうした品質管理機能は、移行後も継続的にデータ品質を保つ仕組みとして働きます。一度きれいにしたデータを、運用の中で劣化させないことがPIM活用の肝です。

ポイント

ワークフローでは、登録から承認までの段階を定義できるか、権限を役割ごとに細かく分けられるかが、大規模な運用で品質を保てるかどうかの目安になります。

在庫・基幹システムと連携する機能

PIMの機能を語るうえで欠かせないのが、在庫管理システムや基幹システム(ERP)、ECプラットフォーム、WMS(倉庫管理)との連携機能です。

商品情報は、在庫数や受注といった業務データに加え、出荷や請求とも密接につながっています。そのため、PIMがこれらのシステムと連携できてこそ、商品情報の一元管理が業務全体の効率化につながります。

API連携・在庫同期・基幹マスタ連携の機能

連携機能の基盤になるのがAPIです。PIMがAPIを公開していれば、在庫管理システムやERP、ECカートとデータを双方向にやり取りできます。商品情報はPIMが正本を持ち、在庫数は在庫システムから取得してECに反映するといったように、役割を分担した連携も組めます。

リサーチでも、会計・WMS・CRM・決済・EDIとの連携が二重入力と人的ミスの削減につながると指摘されており、APIの充実度はPIM選定の重要な評価軸です。ただし注意したいのは、「API連携可」という表記だけでは実態が見えない点です。

実際、リサーチでは、取引先や商品コード(SKU)体系の名寄せが連携の最大の関門であり、要件整理だけで数週間を要する場合や、後付けの連動開発が数十万〜100万円の隠れコストになるリスクが指摘されています。標準の連携と個別に作り込む連携を見極めることは、機能評価で欠かせません。対応可否の表記だけでなく、自社の既存システムと現実的につながるかを確認してください。

標準機能で足りない部分を作り込む選択肢

ここまで挙げた機能の多くは、クラウド型やパッケージ型のPIMにも標準で備わっています。しかし、自社特有の商品カテゴリ構造や卸の複雑な価格体系、独自の業務フローに完全に合わせようとすると、標準機能だけでは足りない場面が出てきます。機能の取捨選択では、標準機能で満たせる要件と、自社の競争力に直結するため作り込みたい要件を切り分けることが大切です。

リサーチによれば、クラウド型は初期0〜10万円・月3,000〜70,000円と手軽な一方で、カスタマイズに制限があります。複雑な業務に合わせる場合の目安は、セミオーダーで100万円以上、フルスクラッチで500万〜数千万円です。汎用的な登録・配信は標準機能に任せ、自社固有の価格ロジックや基幹マスタとの統合だけをフルスクラッチで作る、といったハイブリッドな構成も、現実的な選択肢になります。

riplaはフルスクラッチ受託と国内開発の立場から、どの機能をパッケージに委ね、どこを独自開発すべきかを、業務要件から逆算して整理する支援を行っています。機能一覧を読むときも、自社の課題に効く機能を見極める視点が大切です。

ポイント

連携機能は、API対応の表記だけでなく、名寄せや後付け開発の費用まで確かめ、標準で足りるか作り込みが要るかを切り分けると、判断しやすくなります。

運用を支える検索・分析・履歴の機能

ここまで挙げた中核機能を日々の運用で活かすには、商品情報を素早く探し、状態を把握し、変更を追跡する機能が欠かせません。数千〜数万SKUの商品情報を扱う現場では、目的の商品をすぐ見つけられるか、誰がいつ何を変更したかを後から追えるかが、運用効率と品質を左右します。

こうした運用支援機能は地味ですが、PIMを継続的に使い続けるための土台になります。

検索・絞り込み・一括編集の機能

大量の商品を扱う現場でまず効くのが、検索と絞り込みの機能です。商品名や型番、カテゴリのほか、属性や登録状態といった条件で、商品を素早く探し出せることが、日々の作業効率を大きく左右します。

たとえば「特定カテゴリで画像が未登録の商品」「価格が一定期間更新されていない商品」といった条件で絞り込めると、品質改善の対象をすぐに特定できます。一方、検索性能の低いシステムでは、目的の商品を探すだけで時間を浪費します。絞り込んだ商品群に対して、一括で編集・更新できる機能も重要です。

具体的には、あるカテゴリの商品すべての価格を一律に変更したり、廃番フラグを一括で立てたりする操作を、一件ずつではなくまとめて行えると、大量更新の手間が劇的に減ります。リサーチが示すように、商品情報の更新頻度が高い企業ほどPIMの効果は大きく、その効果を引き出すのが検索・一括編集機能です。日常運用の生産性を支える、見落とせない機能だと言えます。

変更履歴・監査ログと分析の機能

商品情報を多人数で管理する以上、変更履歴(監査ログ)の機能は欠かせません。誰がいつどの項目を変更したかを記録し、後から追跡できることが、トラブル時の原因究明やデータ品質の担保につながります。統制の効いた運用には、変更履歴の機能が前提になります。

価格や在庫といった重要項目が意図せず書き換わった場合でも、履歴があれば変更の経緯を確認し、必要なら元に戻せます。さらに、充足率や更新状況が分かる分析・ダッシュボード機能も、運用の質を高めます。どのカテゴリの情報が不足しているか、どのチャネルへの配信が滞っているかが分かれば、改善の優先順位を決めやすくなります。

リサーチでも、システム連携によるリアルタイムの経営判断が効果として挙げられており、商品情報の状態が分かる機能は、その判断材料になります。中核機能で集めた商品情報も、検索・履歴・分析の運用機能で活かしてこそ、PIMの投資対効果が継続的に最大化されます。

ポイント

運用機能は、検索や一括編集で日々の作業時間を減らせるか、変更履歴で誰が何を変えたかを後から追えるかまで見ると、運用の負担を見積もりやすくなります。

まとめ

PIMの機能を整理すると、その柱は四つにまとまります。一つ目は、商品マスタ・属性・デジタル資産をまとめて管理する一元管理機能です。二つ目は、チャネル別テンプレートや多言語・多通貨を扱う配信機能です。

三つ目は、登録・承認ワークフローと入力チェックによる品質管理機能です。四つ目は、APIによる在庫・基幹システムとの連携機能です。これらが組み合わさることで、Excel運用で散在していた商品情報が、正確かつ効率的に全チャネルへ届く状態が実現します。

機能を選ぶときに大切なのは、一覧の網羅性を追うことより、自社の課題に効く機能を見極めることです。クラウドの標準機能で足りるのか、複雑な価格体系や基幹連携のために作り込みが必要なのかは、業務要件から逆算して判断すべきです。

とくに連携機能は「対応可」の表記だけで判断せず、SKU名寄せや隠れコストまで踏み込んで確認してください。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、標準機能と独自開発の最適な配分を業務から逆算して設計します。全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。