業務可視化ツールの導入/開発事例や活用/成功事例について

業務可視化ツールは、集計・進捗の自動化や電子化、現場に合う運用で工数削減につながります。業態や規模が近い事例は、投資判断の精度を高めます。

発注企業の視点から、導入・開発・活用の事例を取り上げ、着手点や狙う効果を考える材料にします。全体像は業務可視化ツールの完全ガイドでも確認できます。

▼全体ガイドの記事
・業務可視化ツールの完全ガイド

集計・進捗管理の自動化による工数削減の事例

週次集計の所要時間を従来の毎週3時間、導入後の10分、短縮時間の毎週2時間50分で比べた横棒図。
集計作業にかけていた時間の大半を別の業務へ回せる変化が見て取れます。

各担当者のExcelを集めて手作業で進捗をまとめる現場では、集計に時間がかかります。

手作業は、間接工数やヒューマンエラーの原因にもなります。

集計と進捗管理の自動化は、業務可視化ツールで成果が分かりやすい領域です。

入力されたデータを集計・グラフ化すると、手作業を省けます。

週次集計が3時間から10分になったIT企業の事例

1,000名以上のIT企業は、ノーコード業務改善プラットフォームを導入しました。

各部署の進捗報告を集める週次レポートは、従来、毎週3時間かかっていました。担当者がExcelを回収し、ファイルごとの形式の違いを吸収しながら手作業で統合していたため、時間がかかっていたのです。

業務データを直接入力する運用に変えた結果、集計は10分に短縮されました。

  • 作業時間:毎週2時間50分、月では約11時間の短縮
  • 別企業:1日あたり1〜2時間の工数削減を報告

削減時間は、単なる負担軽減で終わらせないことが大切です。そのためには、自社の実際の集計時間と人件費単価で効果を数字にしておく必要があります。

事例を読むときも、同じ数字を自社の状況に置き換えて考えます。

読む側は、削減時間を付加価値業務へ回す先まで確認します。

リアルタイムダッシュボードで進捗の遅れを早期発見した事例

集計を自動化する価値は、最新のデータを常に見られる点にもあります。各タスクで遅延が起きると、画面の色やグラフが変わり、管理者がすぐに気づけます。

  • 週次集計:問題が後から表面化していました。
  • 常時把握:その日のうちに遅れの兆候を捉え、手遅れになる前に先回りして対応できます。過去の報告を見る運用から、いまの状況を把握する運用への転換です。
  • 活用の幅:集計時間の短縮だけでなく、新しいデータがあるほど打ち手の幅も広がります。
  • 判断の速さ:遅れや負荷の偏りを早く捉えれば判断も速まり、速度30%向上や予測精度30%改善の例も報告されています。

ポイント

集計・進捗管理への投資は、削減できる時間を自社の集計時間と人件費単価で金額に換算して判断するのが目安です。事例の数字は、そのまま当てはめず自社の状況に置き換えて考えます。

ワークフロー電子化とペーパーレスで大幅コスト削減した事例

紙の回覧では、申請がどこで滞留しているか見えにくい状態でした。一方で、申請・承認の流れを電子化すると、案件が誰の承認待ちで止まっているかを把握できます。

紙の回覧で発生していた印刷・郵送・保管の費用も減らせます。さらに、業務可視化ツールでワークフローを見える化すると、停滞箇所も確認できます。

金融機関がワークフロー電子化で年間1億円削減した事例

5,000名規模の金融機関は、紙とハンコで処理していた申請・承認を電子化しました。業務の流れをシステム上で可視化した結果、年間約1億円のコスト削減を実現したと報告されています。

  • 工程の見える化:申請から承認までの工程が見え、滞留や差し戻しによる手戻りが減りました。
  • 間接部門の生産性:これにより、構造的に改善しました。
  • 1人あたりの削減額:従業員5,000名で割ると、年間2万円程度です。
  • 全社での効果:個々の紙処理時間や郵送、保管、差し戻しを合算すると、桁違いの成果になります。

自治体が年間2.5万枚のペーパーレスを達成した事例

350名規模の自治体は、グループウェア型の業務基盤を導入し、文書の回覧・申請・情報共有を電子化しました。

電子化の効果は、紙の削減枚数だけにとどまりません。

費用回収の目安とあわせて、副次的な効果も確認できます。

  • ペーパーレス:年間約2.5万枚の紙を削減
  • 副次効果:印刷費、書類を探す時間、保管スペースの削減

自治体の事例は、可視化の効果が民間企業に限らないことを示しています。

決裁や合議の多い組織ほど、業務の流れを見える化する価値があります。

時給2,000円で換算すると、1人あたり月24分の無駄を削減できれば、月額800円のツール費用を回収できる計算です。毎日5〜10分の調整や探索の短縮も、全社では投資額を上回る効果につながります。

電子化で滞留が見えると、差し戻しや手戻りを減らせます。可視化は手段で、コスト削減は結果です。業務の流れの変化を見れば、自社で効果を再現する道筋も見えてきます。

ポイント

申請・承認の電子化は、どこで滞留しているかが見える状態になるかどうかが判断の目安です。コスト削減は、その結果として得られる成果と捉えるとよいでしょう。

シャドーITを統合し情報を一本化した立て直し事例

公式ツールへの情報定着に関わる現場へのヒアリング、入力導線、作業手順や判断のポイント、管理職の具体的なコメントを4枚のパネルで示した図。
入力する現場と情報を受け取る管理職の双方が運用を支えます。

公式ツールを導入しても、現場の情報がLINEや手書きメモ、独自Excelに残ることがあります。その結果、公式ツールは清書・報告用になり、シャドーITとの二重構造が生じます。

発注側にとっては、いったん形骸化したツールをどう立て直したかが参考になります。導入だけで解決するとは限らないため、事例から現場に定着させる方法を確認できます。

LINE・独自Excelを公式ツールへ吸収した事例

ある現場では、担当者がLINEで連絡し、進捗を各自のExcelで管理していました。公式ツールには週末に報告用データを入力するだけとなり、運用が形骸化していました。

立て直しは、現場へのヒアリングから公式ツールへの移行まで、二段階で進めました。

  1. 現場がLINEやExcelを使う理由を聞き、公式ツールの入力が作業フローに合わず、手間が増えていると確認する。
  2. 日常の操作に沿って入力導線を整え、LINEでの連絡を公式ツールのコメント機能へ移す。

二重入力は現場の負担を増やすうえ、ダッシュボードのデータと実態をずらしてしまいます。一方で、移行後は生の情報が集まり、ダッシュボードが実態を映すようになりました。

現場の理由を理解しないまま公式ツールの利用を求めても、表向きは従いながら従来の方法を続けることがあります。

LINEや独自Excelを禁止するより、その役割を公式ツールへ吸収するほうが、二重入力を解消し情報を一元化する鍵になります。

属人化したノウハウを脱属人化した事例

業務可視化ツールは、特定の人に偏ったノウハウの共有にも役立ちます。ベテランだけが手順や判断基準を把握し、不在時に業務が止まる現場では、共有できる形に整理することが脱属人化につながります。

  1. 作業手順や判断のポイントを、業務可視化ツールのテンプレートへ登録
  2. 誰が担当しても同じ品質で進められる状態

ノウハウは蓄積するだけでなく、使われ続けるように管理する必要があります。情報が古いままだと、誤った内容が検索されてツールへの信頼が失われ、属人化に戻るおそれがあります。

成功事例では、手順を定期的に更新・棚卸しする担当者とルールを決めていました。

riplaはフルスクラッチ受託と業務伴走の立場から、運用設計と情報の定着までを支援しています。ツールを導入して終わりにせず、情報が回り続ける状態を目指します。

管理職のフィードバックで入力が定着した事例

立て直しの決め手は、意外なところにありました。日報やナレッジに上司が既読を付けるだけだったため、現場は書いても意味がないと感じ、入力をやめていました。

効果を生んだのは、操作研修や入力マニュアルではなく、中間管理職の反応でした。管理職が具体的なコメントを返し、改善や感謝を伝えたことで、現場は読まれる実感を得て入力を続けました。

定着には、入力する現場だけでなく、情報を受け取り評価する管理職の行動変容も必要です。この行動変容こそが、機能改善だけでは解決しきれない定着の核心です。

ポイント

公式ツールの定着は、LINEや独自Excelに残る情報を公式ツールへ吸収できる運用になっているかで判断するのが目安です。禁止するより役割を移すほうが、二重入力の解消につながります。

スモールスタートで定着させ全社展開した事例

一つの部署での試行から効果確認、展開判断を経て全社展開へ進む段階を示したフロー図。
先行部署で得た手応えが、次の展開を決める材料になります。

成果を出した事例では、一部の部署やプロジェクトで小さく始め、効果と現場の納得感を確かめてから全社へ広げています。

多機能なツールを全社へ一気に展開して使われない状態になるより、段階的に進めるほうが、結果として投資対効果を高められます。

一部門のパイロット導入で効果を検証した事例

ある企業のパイロット導入は、低リスクで効果を確かめてから展開を判断する流れでした。

  • 検証範囲:一つの部署での試行
  • 効果確認:集計負担の軽減や遅れの早期把握
  • 展開判断:効果を見たうえで他部署へ広げること

低価格帯のクラウド型なら、初期費用0円、月額ワンコイン前後から始められます。失敗時の負担を抑えつつ、現場で使われるかを検証できます。

小さくても確実な成功は、その後の全社展開を加速します。

先行部署のメンバーは社内推進役となり、導入実例は稟議材料にもなります。営業資料より説得力を持つ場合もあります。

削減時間をROIに換算して全社展開を稟議化した事例

一次データの試算では、削減効果を金額に換算し、全社展開の稟議に活用しています。

  • 削減時間:週次集計が3時間から10分になれば、毎週2時間50分の短縮
  • 人件費換算:時給2,000円で1人あたり週約5,700円、年間約27万円相当。展開人数を掛けて効果を示す
  • 費用回収:時給2,000円なら0.4時間(24分)の削減で月額800円を相殺。毎日5〜10分の調整や検索の短縮も、全社では投資額を上回る効果につながる
  • 承認:ROIを稟議書にまとめ、経営層の合意を得たうえで全社へ広げる。時間を金額に換算すると、意思決定の材料になる

ポイント

全社展開の判断は、一部の部署で効果と現場の納得感を確かめてから行うのが目安です。削減時間を金額に換算して稟議に示すと、社内の合意を得やすくなります。

まとめ

成功事例にも立て直しの事例にも、現場の業務フローから逆算した設計、集計・進捗管理の投資対効果、情報が回り続ける運用への定着が共通して見られます。

金融機関はワークフロー電子化で年間1億円を削減し、自治体は年間約2.5万枚をペーパーレス化しました。可視化の効果は、全社規模で見ると大きな成果につながります。

また、LINEや独自Excelとの二重構造を解消した事例は、定着の鍵が運用設計にあることを示しています。どのツールを入れたかだけでなく、現場で使われ、データが実態を映す理由にも目を向けてください。

まず、自社の業務量と運用実態を確かめたうえで、効果が大きい集計・進捗管理の可視化から始めましょう。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、要件整理から運用定着まで支援します。

全体の流れは、業務可視化ツールの完全ガイドでも確認できます。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。