稟議システムの機能は、承認ルート、権限、承認証跡、他システム連携の四つに分けて整理できます。大切なのは、機能の数より、自社の決裁ルールを標準機能でどこまで再現できるかです。
必須機能と追加費用に見合う付加機能を、導入企業の視点で切り分けます。全体像は稟議システムの完全ガイドで確認できます。
・業務システム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「業務システム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
・スクラッチシステム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「スクラッチシステム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
承認ルートと条件分岐の機能

承認ルートは稟議システムの中核にあたります。誰がどの順番で承認し、どの条件で経路を変えるかを、社内の決裁権限規程に沿って設定できることが求められます。この要件を満たせないと、導入後も手作業での確認が残ってしまいます。
金額・部門による条件分岐承認ルート機能
条件分岐機能は、申請の内容に応じて承認者や順序を切り替えます。たとえば、金額に応じて課長・部長・役員へ回す、設備投資では経理の事前確認を挟む、特定の勘定科目では内部監査を加える、といったルールを設定できます。こうした設定があれば、申請者が条件を覚えて手作業で回す負担も減らせます。
選定時は、分岐の条件をどこまで細かく指定できるかを、製品ごとに比べます。そのうえで、自社の承認パターンを洗い出し、標準設定で再現できるかを、デモで確かめてください。
- 金額:申請額に応じて承認者を切り替える設定。
- 部門・案件種別:複数の条件を組み合わせた分岐。
- 不在時の扱い:上位者へのエスカレーション。
代理承認・差し戻し・並列承認の機能
代理承認は、出張や休暇中の決裁者に代わって、指定された人が処理する機能です。差し戻しでは、不備の内容をコメントで伝えて申請者へ戻せます。
代理承認と差し戻しは、どちらも例外時の滞留を防ぐ働きがあります。そのため、対象者や期限を含めて、運用方法を確かめておく必要があります。
並列承認では、法務と経理など複数の部門が同時に確認できます。順番に回す必要がない案件なら、待ち時間を短縮できます。代理承認、差し戻し、並列承認のそれぞれが標準機能か、個別開発が必要かも比べます。
権限制御と申請フォームの機能

権限制御は、起案、閲覧、承認といった操作を役職や部門に応じて分ける機能です。申請フォームを業務に合わせて設計できれば、入力ミスを抑えつつ、現場が使いやすい状態も保てます。
役職・部門に応じた権限制御機能
権限設定では、職責に応じて操作できる範囲を分けます。たとえば、一般社員は自部門の稟議を扱い、管理者はマスタや承認ルートを変更します。人事や投資など機密性の高い稟議では、閲覧できる人も限定できます。
権限は、導入後も異動・昇進・退職に合わせて更新する必要があります。更新しないと、実態と合わない権限や不要なアカウントが残ります。そのため、管理画面の操作性に加えて、人事システムとの連携で権限を自動更新できるかも確認してください。
申請フォームのカスタマイズと既存帳票流用機能
申請フォームは、稟議の種類ごとに入力項目を設定する機能です。たとえば、設備投資なら投資額や回収期間、取引先の欄を設けられます。採用なら職種や人数、想定年収を集められます。
必須入力や選択肢、計算式を設定できれば、記入漏れや入力のばらつきを抑えられます。
既存のExcelやWord帳票を、どこまで再現できるかも確かめておく必要があります。項目や計算方法を大きく変えると、現場の負担や反発を招くことがあります。また、自由度が高いほど設定や保守が複雑になるため、必要な柔軟性と管理体制のバランスを見ます。
承認証跡と他システム連携の機能

承認証跡とシステム連携は、内部統制と業務効率を支えます。誰がいつ承認したかを記録し、承認済みのデータを会計や契約のシステムへ渡せれば、監査対応と二重入力の削減につながります。
承認証跡の記録とバックデート防止機能
承認証跡機能は、申請から差し戻し、最終決裁までの履歴を、ユーザーと日時とともに記録します。各段階のタイムスタンプを後から確認できるため、誰がいつ判断したかを追跡でき、監査や内部統制の根拠としても使えます。
記録された承認日時を、後から遡って変えられない仕組みは、バックデートによる不正を防ぐうえで役立ちます。あわせて、未承認の案件が次の処理へ進むことも抑えられます。
保存期間や履歴の閲覧権限も含めて、証跡が必要になった場面で取り出せるかを確かめてください。
会計・経費・契約システムとのAPI連携機能
システム連携では、承認済みのデータを会計や経費精算へ引き継ぎます。たとえば、支払稟議から仕訳データを渡したり、契約稟議から案件情報を連携したりすると、二重入力や転記ミスを減らせます。さらに、電子契約やCRMなどとつなぐ場合もあります。
連携先が標準で用意されているか、APIを使って個別に連携できるかを確かめます。経費精算や請求書処理と一体になった製品もあれば、基幹システムとの接続に個別設計が必要な製品もあります。
個別連携には数十万〜数百万円かかる場合があるため、見積もりの段階で、標準機能との境界を明確にしておきます。riplaは既存構成に合わせた連携設計を支援しています。
AI機能と付加機能のコスト構造
AI-OCRやAI契約レビューなどの付加機能は、標準で含まれるか、追加料金が必要かを確かめます。そのうえで、利用頻度と削減できる作業量を見積もり、費用に見合うかを検討してください。
AI-OCR・AIレビューの標準機能と追加オプション
AI-OCRは、請求書や見積書を読み取って稟議フォームへ転記します。AI契約レビューは、契約書のリスク条項を検出します。提供範囲や月額数万円の追加プランの有無は、製品によって異なります。
そのため、想定件数と利用者をもとに費用を試算しておきます。AI-OCRの読み取りや、AIレビューの指摘には、誤りが含まれることがあります。
たとえば金額を誤って認識すると、稟議の判断を誤らせるおそれがあります。AIレビューも、法的な判断の代わりにはなりません。こうした点から、人の確認工程を残したうえで、工数をどれだけ減らせるかを評価する必要があります。
通知・スマホ承認・検索といった運用支援機能
通知機能は、メールやチャットで承認待ちを知らせ、滞留に早く気づけるようにします。スマートフォンやタブレットから承認できれば、出張中や在宅勤務中でも、承認を前に進められます。たとえば、岡山県環境保全事業団の事例では、遠隔申請への対応によって1件5分以上を短縮し、年間推計150万円分の人件費削減につながったと報告されています。
検索機能では、日付や金額、申請者で過去の稟議を探せます。勘定科目などでも探せます。類似案件の判断や過去の承認内容の確認に加え、情報をまとめて管理するうえでも役立ちます。
通知、モバイル承認、検索については、デモで実際の操作を確かめます。
必須機能と「あれば便利」機能の切り分け
必須機能とは、欠けると業務や統制に支障が出る機能のことです。承認ルートの条件分岐や代理承認などが、その例にあたります。まずは自社の規程や運用に照らして要件を定め、その要件を標準機能で満たせるかを確かめます。
AIや高度な分析、多言語対応などは、規模や業務によって優先度が変わります。ワークフローSaaSの費用は、小規模向けで月額300〜800円/ユーザー、多機能な製品で月額1,000円程度/ユーザーが目安とされています。付加機能を加えると、費用が上がる場合もあります。
必須機能から始め、運用しながら必要性を見極めて段階的に足していけば、過剰な投資を抑えられます。riplaは機能要件の整理を支援しています。
電帳法・電子署名法に対応する保存機能
稟議に契約書や証憑を添付する場合は、電子帳簿保存法に関わる保存要件も確かめます。改ざん防止やタイムスタンプが標準機能かどうか、日付・金額・取引先で検索できるかを見ます。
電子契約を扱うなら、電子署名法第3条を踏まえて、立会人型と当事者型への対応を確かめる必要があります。締結日時の証明方法も、あわせて押さえておきます。
こうした法令対応は、監査や税務調査の際に必要になる機能です。2025年調査では、電子契約の導入率が78.3%と報告されています。ただし、製品に「電帳法対応」と書かれていても、満たす保存要件や必要な設定、追加費用を具体的に確認します。
標準機能とカスタマイズの境界
機能一覧に載っていても、実際には追加の設定や有料オプション、個別開発が必要になることがあります。そのため、標準機能だけで承認業務をどこまで再現できるか、足りない部分にどのくらい費用がかかるかを、導入前に整理します。
デモやトライアルでは、自社の代表的な承認ルートを実際に設定して、標準機能の範囲を確かめます。連携の個別開発には数十万〜数百万円かかる場合もあるため、標準の連携と追加開発の境界を見積もりに反映しておきます。
比較では、機能の多さよりも、自社業務を標準で再現できる範囲と総費用に注目します。
まとめ
稟議システムの機能は、承認制御、権限とフォーム、承認証跡、他システム連携の四つから整理できます。まずは、これらの必須要件を標準で満たせるかを確かめ、AI-OCRやAIレビューなどは、利用量と費用対効果を見て判断します。
選定では、機能の多さより自社の承認業務を過不足なく再現できることが大切です。必須要件を満たす構成から始め、運用しながら付加機能を追加すれば、無駄な費用を抑えられます。
riplaは決裁規程と業務フローに沿った機能要件の整理を支援しています。全体像は完全ガイドをご覧ください。
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
・スクラッチシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
