紙/パルプ業界のシステム開発では、プロセス製造に対応した生産・品質・在庫管理と、24時間稼働する工場を止めない移行計画を持つ会社を選ぶことが重要です。
紙・パルプメーカーや紙加工会社では、原料の配合、歩留まり、ロールや端尺の管理、設備保全、森林認証やCO2排出量の記録まで、一般的な販売管理だけでは扱いにくい情報を一つの業務基盤でつなぐ必要があります。本記事では、株式会社riplaを最初に、紙・印刷・製造業のシステム開発やERP、MESの公開実績を確認できる5社を加えた計6社を紹介します。あわせて、会社選びで確認したい要件、失敗を避ける進め方、見積もり前の準備も解説します。
紙/パルプ業界のシステム開発でパートナー選びが重要な理由

紙/パルプ業界のシステム開発は、単に既存の帳票をWeb画面へ置き換えるだけでは成果が出にくい領域です。原料の状態や設備の稼働状況が日々変動し、製品も規格や納入先に応じて複雑に分岐するため、業務の流れとデータの粒度を理解した設計が求められます。
プロセス製造の要件を外すと現場で使われないためです
紙・パルプの製造は、部品を組み立てる離散製造とは異なり、木材チップ、古紙、薬品、水、エネルギーなどを工程に投入して連続的に製品をつくるプロセス製造です。そのため、部品表だけでなく、配合比率を表すレシピ、原料ロット、温度や水分、製造条件、実績歩留まりを関連付けて管理する必要があります。原料の投入量と完成品の重量が一致しない場合にも、蒸発、水分、端材、規格外品などの理由を追跡できなければ、原価計算や品質改善につながりません。
プラント停止とデータ移行のリスクが大きいためです
抄紙機やボイラーなどの設備は、停止による生産機会の損失が大きく、システム切り替えを休日の一括作業だけに頼るのは危険です。現行システムと新システムを並行稼働させる期間、受注・生産・出荷のどのデータを正とするか、障害時に紙帳票へ戻す手順、マスタを誰が承認するかまで先に決める必要があります。設備マスタ、原料ロット、製品規格、顧客別の包装条件を発注者側と開発会社が共同で整理することが、無停止移行の前提です。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。
業務整理から定着化まで伴走できる点が強みです
紙/パルプ業界では、現場の担当者が紙の日報やExcelに入力している情報を、いきなり大規模なERPへ移すと反発や二重管理が起こりやすくなります。riplaは、現場ヒアリングで業務を分解し、どの情報を標準化し、どの情報を現場に残し、どこから小さくデジタル化するかを整理する支援に向いています。例えば、原料受入時の異物確認、散水や安全点検、設備異常の一次記録などをスマートフォンやタブレットで登録し、後工程の品質・在庫データと結び付ける設計が考えられます。
独自要件を含む基幹システムの段階導入に適しています
レシピ管理、歩留まり、裁断ロス、顧客別規格、Scope1・2・3の集計などは、会社ごとに業務定義が異なります。既製品に合わせて業務を変える部分と、競争力に直結するため個別開発する部分を切り分けることが重要です。riplaは、業務要件の優先順位付け、画面やデータ設計、開発、導入後の改善を一つのチームで進めたい企業に適しています。特に、全社刷新の前に原料・生産実績・在庫の一部から始めたい場合は、段階的なロードマップを相談しやすい候補です。
富士通株式会社|製紙工場のMES・操業管理に実績

富士通は、製造業向けのERP、MES、IoT基盤などを幅広く提供する大手ITベンダーです。公開されている資料には、富士通が製紙工場へ操業管理システムを導入した事例があり、紙業界の生産計画や工程管理を考える際の具体的な参考になります。大規模工場の全体最適を視野に入れたい企業に向く候補です。
製紙業向けMESの考え方を持つ点が強みです
富士通の公開論文「洋紙工場への操業管理システム導入事例」では、紙工場の製造実行管理システムをSCM型で構築する考え方が示されています。紙パルプ企業が相談する際は、受注から生産計画、原料引当、製造実績、在庫、出荷までをどの単位で連携するのかを確認するとよいです。抄紙機の稼働データや品質検査データを蓄積し、異常兆候や歩留まりの変化を分析する構想にもつなげられます。
端数・ロスの可視化と全社基盤を重視する企業に向きます
富士通の製造MES関連事例では、材料、半製品、製造工程で発生する端数をバーコードで管理し、端数の再利用や使用優先順位を支援した例も公開されています。紙・板紙の裁断で発生する端尺や規格外品を、廃棄、再加工、別注文への転用に分類する仕組みを検討する際に参考になります。さらに、SAPを含む製造業向けソリューションやデータ基盤と組み合わせ、複数拠点・グループ会社のマスタと環境データを統合したい場合にも候補になります。
株式会社日立システムズ|トレーサビリティを含む製造管理に強み

日立システムズは、製造業向けの生産管理、ERP、現場データ活用を支援するシステムインテグレーターです。公開事例では、北四国グラビア印刷と共同で軟包装印刷業向けの生産管理システムを開発しています。紙加工や印刷に近い業務の実績を重視し、受注・生産・出荷を一つの流れで管理したい企業に向きます。
原料ロットから出荷先まで追える設計を参考にできます
日立システムズの公開事例では、製品ロールごとに使用した材料の仕入先と出荷先を記録し、受注と製造を1対1ではなく1対Nで管理しています。紙パルプ業界でも、1回の抄造や加工から複数規格のロールが生まれたり、1つの受注を複数回に分けて生産したりします。この関係を正しく持てるかは、原価、品質調査、回収対応、顧客への説明に直結します。
パッケージを土台に独自要件を加えたい企業に適しています
同事例では、実績あるパッケージを開発基盤に採用し、複雑な注文仕様やトレーサビリティなど、顧客固有の要件を追加するセミオーダー型の開発が行われています。紙パルプ企業でも、会計や販売管理は標準機能を使い、レシピ、裁断計画、連産品、検査、環境証明だけを追加開発する方法があります。全てをフルスクラッチにせず、将来の保守費用と拡張性を抑えたい場合に相談しやすい候補です。
株式会社大塚商会|紙加工現場の販売・在庫・日誌をデジタル化

大塚商会は、業務パッケージ、クラウド、ネットワーク、運用支援を組み合わせて中堅・中小企業の業務改善を支援するITベンダーです。紙のスリット加工を行う松田紙業の公開事例では、販売管理、在庫、製造日誌のデジタル化を進めています。大規模な全社ERP刷新よりも、紙やExcelの二重入力を減らし、現場の記録から段階的に整備したい企業に適しています。
紙ロールを重量と数量の両面で管理した事例があります
松田紙業の事例では、原料の紙ロールをグラム単位、スリット加工後の半製品をメートル単位で扱う紙加工特有の商慣習が課題になっていました。大塚商会は、販売管理パッケージと開発ツールを組み合わせ、預かり在庫の入庫から加工後ロールの出荷、請求までを一元化しています。紙パルプメーカーでも、重量、面積、長さ、ロール本数を用途別に保持する必要があるため、単一の数量項目だけで管理しない設計が参考になります。
小さく始めて二重入力をなくしたい企業に向きます
同事例では、製造日誌を現場のオペレーターが直接入力できるようにし、担当者が紙帳票をExcelへ転記する二度手間をなくしています。公開情報によると、作業報告に関わる時間が8時間から0時間になったと紹介されています(出典: 大塚商会「松田紙業有限会社 導入事例」、2022年11月取材)。工場全体の制御システムを一度に刷新する前に、日報、在庫、検査記録を電子化し、効果を測定したい企業に合います。
株式会社NTTデータ|ERPと業界テンプレートを組み合わせた基幹刷新

NTTデータは、SAPやBiz∫などのERPをはじめ、業界別テンプレート、クラウド、データ活用を組み合わせて大規模な基幹システムを支援する会社です。公開情報では、化学製造業向けのWeb型統合基幹業務システムも紹介されており、プロセス製造に近い業務の標準化を検討する際に候補になります。複数拠点やグループ会社をまたいで会計・購買・販売・生産を統合したい企業に向きます。
プロセス製造の標準化と個別要件の境界を整理できます
紙/パルプ業界では、原料や製品のロット、配合、品質規格、歩留まりを管理しつつ、会計や購買は標準的なERPプロセスへ寄せる判断が重要です。NTTデータへ相談する際は、レシピや連産品を標準機能で扱える範囲、MESや設備データとの連携方法、拠点追加時のテンプレート化を確認します。個別開発の範囲を初期段階で絞り、将来の制度変更や事業再編に耐えられる設計にすることが大切です。
ERPデータをGXや経営管理へ広げたい企業に適しています
紙パルプ業界は、電力、蒸気、燃料、薬品、物流などのデータを経営判断と環境報告につなげる必要があります。Scope1・2・3の算定を別システムで行う場合でも、購買、製造、輸送、販売の元データがERPと結び付いていなければ、集計のたびに手作業が発生します。NTTデータのような大規模SIerには、ERP、データ基盤、サステナビリティ情報を連携させる全社構想と、拠点ごとの段階導入を一緒に検討できる点を確認するとよいです。
日本電気株式会社(NEC)|生産・販売・原価を統合する製造業ERP

NECは、製造業向けの生産管理、販売、原価、会計を扱う基幹業務パッケージと、個別の導入支援を提供する大手ITベンダーです。NECの公開事例では、製造・プロセス業務向けに生産管理、販売、原価、売掛、買掛を支援するEXPLANNER/Jxが紹介されています。紙加工や素材関連会社の業務を、販売・生産・原価の一体管理へ整理したい場合に候補になります。
生産計画と原価を経営数値へつなげたい企業に向きます
紙パルプ工場では、原料価格、エネルギー単価、薬品使用量、設備稼働率、歩留まりの変動が製品原価に影響します。生産実績を入力するだけでなく、予定原価と実績原価を比較し、どの工程で差が出たかを確認できる構造が必要です。NECへ相談する際は、製品別・注文別・工場別の原価粒度、連産品の配賦、端尺や規格外品の扱いを具体例で提示すると、標準機能と追加開発の境界を判断しやすくなります。
既存業務を活かしながら段階的に刷新したい場合に有効です
既存の販売管理や会計を残し、生産管理だけを先に刷新する場合は、マスタとインターフェースの設計が成否を分けます。品目コード、単位、ロール番号、ロット、設備、得意先を統一し、どのシステムが正のデータを持つかを決める必要があります。NECのように基幹パッケージと周辺システムを組み合わせられるベンダーへ相談する際は、現在のCOBOLやExcelを全て捨てる前提にせず、移行期間の運用と将来の縮退計画まで確認します。
紙/パルプ業界のシステム開発会社を選ぶポイント

会社名や製品名だけで比較するのではなく、自社の工程とリスクを評価できる質問を用意することが大切です。特に、紙/パルプ業界のシステムでは、機能一覧よりもデータのつながり、現場への定着、移行時の業務継続を確認します。
同業種・近接業種の実績を工程単位で確認します
「製造業の実績があります」という説明だけでは不十分です。原料受入、配合、抄造、塗工、乾燥、巻取り、裁断、検査、倉庫、出荷のどこまで担当したのか、ロットと重量・長さの単位をどう扱ったのかを聞きます。FSCなどの森林認証や古紙配合率を証明する場合は、証明に必要な原料の出所、加工履歴、出荷製品の関係を監査用に出力できるかも確認します。
24時間稼働を止めない移行・障害対応を確認します
提案依頼書には、切り替え日だけでなく、並行稼働、データ移行リハーサル、現場教育、障害時の切り戻し、休日夜間のサポート体制を含めます。新旧システムの在庫差異を何日間で解消するか、受注が止まった場合にどう受付するか、抄紙機や倉庫のハンディ端末が使えないときの代替手順は何かを明文化します。サプライチェーンへの影響が大きい企業ほど、機能の多さより継続運用の設計を重視します。
効率化だけでなく歩留まり・CO2・安全のROIを試算します
システム導入の稟議では、入力時間の削減だけでなく、原料ロス、再加工、在庫、設備停止、品質クレーム、エネルギー使用量を金額へ換算します。例えば、裁断ロスの削減量に原料単価を掛け、停止時間の短縮分に限界利益を掛け、CO2削減量に社内で採用する炭素価格を掛けると、投資効果を複数の指標で比較できます。提案会社には、効果の算定式、測定前のベースライン、導入後のKPIをセットで提示してもらいます。
よくある質問

紙/パルプ業界のシステム開発では、会社の規模、既存システム、工場の稼働形態によって最適な進め方が変わります。ここでは、比較検討時に多い質問へ直接回答します。
紙パルプ業界では汎用ERPと専用システムのどちらがよいですか?
会計・購買・販売などは汎用ERPを使い、配合、歩留まり、連産品、裁断ロス、設備データはMESや個別機能で補う組み合わせが現実的です。全てを専用開発するか、全てを標準機能へ合わせるかの二択ではなく、競争力に直結する工程だけを個別化する考え方が重要です。
システム開発会社へ見積もりを依頼する前に何を準備すべきですか?
工場ごとの工程図、現行帳票、品目・原料・設備・顧客のマスタ例、月間の受注件数、ロールの単位、在庫差異、停止できる時間帯を準備します。すべてを完璧に整理する必要はありませんが、困っている業務と、導入後に測りたい指標を伝えると、会社ごとの提案を比較しやすくなります。
24時間稼働の工場でもシステムを入れ替えられますか?
可能ですが、段階導入と複数回の移行リハーサルが必要です。受注・生産・出荷を一度に切り替えるのではなく、対象工場や機能を絞り、並行稼働期間と切り戻し条件を設定します。設備停止が必要な連携は、定期保全のタイミングと合わせるなど、工場運営側が主導権を持って計画することが大切です。
まとめ

要件に合う会社を絞り込むことが重要です
紙/パルプ業界のシステム開発会社を選ぶときは、知名度や機能数だけでなく、プロセス製造への理解、レシピ・歩留まり・連産品・裁断ロスの扱い、設備保全、森林認証や環境データの追跡、24時間稼働を止めない移行体制を確認します。大規模なERP統合は富士通、NTTデータ、NECのような全社基盤に強い会社、紙加工やトレーサビリティは日立システムズや大塚商会の公開事例、業務整理から柔軟に始めたい場合はriplaが比較候補になります。
小さな検証から全社の改善へ広げます
最初から完成形を決めるのではなく、原料・生産実績・在庫・品質のどこから始めれば効果が出るかを整理し、現場の定着と投資対効果を測れる計画にします。複数社へ同じ業務データを渡し、標準機能、追加開発、移行、保守、障害対応まで含めて比較することで、自社に合うパートナーを選びやすくなります。
参考にした公開情報

本文の会社情報と事例は、各社が公開している情報を2026年8月時点で確認して整理しています。富士通「洋紙工場への操業管理システム導入事例」: 日本紙パルプ技術協会掲載資料。日立システムズ「軟包装印刷業向け生産管理システム導入事例」: 公式導入事例。大塚商会「松田紙業有限会社 導入事例」: 公式導入事例。NTTデータ「ERP(SAP/Biz∫)」: 公式サービスページ。NEC「生産管理システムEXPLANNER/Jx導入事例」: 公式導入事例。
導入前に自社の条件へ置き換えて確認します
公開事例は各社の得意領域を把握するための参考情報です。実際の採用可否は、対象工場の工程、既存設備、データ量、拠点数、保守体制、予算、移行可能な時間帯を提示したうえで、提案内容と契約条件を確認して判断します。
公開情報と自社要件を分けて評価します
公開情報は各社の得意領域や導入実績を確認するために使い、自社で必要なレシピ管理、設備連携、認証トレーサビリティ、移行条件は提案依頼時に具体的に確認します。
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
