経営管理システムの導入/開発事例や活用/成功事例について

経営管理システムの導入を検討するとき、多くの経営企画・経理・情報システムの担当者がまず知りたいのは「同じように予実管理や月次決算、グループ各社のデータ集約に苦労していた企業が、実際にどうやってExcelの限界を突破し、どんな成果を出したのか」という具体的な事例ではないでしょうか。経営管理は、長年Excelと手作業の集計で回してきた現場が多く、一般的な会計ソフトをそのまま入れても経営の意思決定に必要な情報がリアルタイムに見えない、というケースが後を絶ちません。だからこそ、自社の規模や業態に近い導入事例・活用事例こそが、投資判断の精度を高めてくれます。

本記事は、経営管理システムの導入事例・開発事例・活用事例・成功事例を、発注企業の視点から掘り下げる「事例特化」の解説です。月次決算を3週間から1週間へ短縮した事例、Excel属人化からの脱却、データ移行に4ヶ月を要した反面教師、債権消込の自動化による経理工数削減まで、リサーチで得た一次データとあわせて具体的に紹介します。読み終えるころには、自社が「どこから着手し、どんな効果を狙うべきか」のイメージが描けるはずです。なお、経営管理システムの全体像をまだ把握していない方は、まず経営管理システムの完全ガイドから読むことをおすすめします。

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月次決算を3週間から1週間に短縮した事例

月次決算を短縮した経営管理システム事例のイメージ

経営管理システムの導入で、もっとも分かりやすい成果が出るのが「月次決算の早期化」です。経営管理の現場は、各部門や子会社から送られてくるExcelの数字を経営企画部が手作業で集約し、整合性を確認し、レポートに整形する、という一連の手作業で成り立っているケースが少なくありません。この集計作業こそが、月次決算が遅れる最大のボトルネックになっています。

製造業100名規模で月次決算が3週間から1週間になった事例

従業員100名規模のある製造業では、月次決算の確定までに毎月およそ3週間を要していました。各工場・各部門の数字が出そろうのを待ち、経営企画部がExcelで集計し直し、経営会議に間に合うようレポートを仕上げる、という流れが常態化していたためです。経営管理システムを導入し、各部門のデータを同一の基盤に集約してリアルタイムに連携したところ、月次決算の確定までが1週間にまで短縮されました。3週間が1週間になるということは、経営が「2週間早く、より新しい数字をもとに意思決定できる」ようになることを意味します。

この事例で重要なのは、短縮された2週間が単なる作業時間の削減ではなく、「経営判断のリードタイム短縮」という価値に転換されている点です。市況の変化や受注の増減に対して、より早く手を打てるようになれば、それ自体が競争力になります。事例を読むときは、月次決算の短縮日数を「何日減ったか」だけでなく、「その分どれだけ早く意思決定できるようになったか」という経営インパクトに置き換えて評価してください。

リアルタイムの予実可視化でダッシュボードを内製した事例

月次決算の早期化と並んで効果が大きいのが、予算と実績の差異をリアルタイムに可視化する取り組みです。従来は月末に集計が終わってからでないと予実差異が見えなかった企業が、経営管理システム上に予実ダッシュボードを構築したことで、月の途中でも「予算に対してどれだけ進捗しているか」を経営層がいつでも確認できるようになりました。これにより、月末になって初めて未達に気づくのではなく、月の前半で軌道修正の手を打てるようになります。

この活用事例から学べるのは、経営管理システムの価値が「過去の数字を正確に締める」だけでなく「未来に向けた打ち手を早める」点にあるということです。予実の差異がリアルタイムに見えれば、営業部門は月内の追い込みを、生産部門は計画の前倒しや調整を、それぞれ早期に判断できます。経営会議の場が「終わった月の反省会」から「これからの月の作戦会議」へと変わる。これこそが、経営管理システムが生み出す最も本質的な変化だと言えます。

部門からの数字集めを廃止し締めを前倒しした事例

月次決算が遅れる原因の多くは、各部門から数字が出そろうのを待つ時間にあります。ある企業では、経営企画が毎月、各部門にExcelのテンプレートを配り、回収し、催促し、集約する、という「数字集め」だけで一週間近くを費やしていました。経営管理システムを導入し、各部門が自分の数字を直接システムに入力する運用に切り替えたところ、この数字集めの工程そのものが不要になりました。入力された数字はリアルタイムで集約されるため、締め日を待たずに進捗が見える状態になったのです。

この事例で重要なのは、システム導入と同時に「集める人」から「入力する人」へと役割を移したことです。従来は経営企画が一手に集約を担っていましたが、各部門が当事者として自部門の数字を入力する体制にしたことで、入力の責任が分散され、締めが前倒しになりました。事例から学べるのは、システムは単なる集計の自動化ではなく、「誰がどの数字に責任を持つか」という業務分担の見直しとセットで効果を発揮する、という点です。締めの早期化は、ツールの導入だけでなく、業務の流れそのものを変えることで実現します。

Excel属人化から脱却した事例

Excel属人化から脱却した経営管理システム事例のイメージ

経営管理の現場でもっとも根深い課題が、Excelによる属人化です。複雑な数式と参照が積み重なった「秘伝のタレ」のような管理ファイルを、特定の担当者だけが扱える状態になっている企業は珍しくありません。バージョン管理は混乱し、手入力ミスや二重入力が常態化し、その担当者が異動・退職すると業務が回らなくなる、という属人化リスクが経営の足かせになっています。

バージョン管理地獄から単一基盤へ移行した事例

あるサービス業の企業では、経営管理用のExcelファイルが「最新版」「最新版_修正」「最新版_確定」といった形で複数存在し、どれが正しいのか誰も即答できない状態に陥っていました。各部門が自分の手元でコピーを編集し、それを経営企画がメールで集めて統合するため、同じ数字が複数のファイルに食い違って存在するという事態が頻発していたのです。経営管理システムを導入し、数字の入力先を単一の基盤に統一したことで、このバージョン管理地獄から解放されました。

単一基盤化の効果は、単に混乱がなくなることにとどまりません。誰がいつどの数字を入力・修正したかが記録に残るため、数字の根拠を後から追跡できるようになります。経営管理においては、レポートに出てくる数字が「どこから来たのか」を説明できることが、内部統制や監査対応の観点からも重要です。Excelの手集計では失われがちだったこの追跡可能性を、システム化によって取り戻せた点が、この事例の大きな成果でした。

経理工数を月20時間削減し年72万円相当を生んだ事例

属人化からの脱却は、明確なコスト削減としても表れます。リサーチで得た一次データでは、経理担当者の作業が月20時間削減できた場合、時給3,000円換算なら年間およそ72万円の人件費削減に相当します。Excelの集計・転記・チェックに費やしていた時間が、システムによる自動集計に置き換わることで、こうした定量的な効果が生まれます。月20時間という数字は、決算期に集中していた残業を平準化する効果としても無視できません。

この削減効果を自社で見積もるには、まず「月にExcelの集計・転記・チェックに何時間使っているか」を棚卸しすることが出発点になります。その時間に自社の人件費単価を掛ければ、年間で削減できる金額が概算できます。さらに、削減された時間を単なるコスト削減で終わらせず、分析・予測といった付加価値の高い業務に振り向けられれば、経理・経営企画部門そのものの役割を「集計係」から「経営の参謀」へと引き上げることができます。事例を読むときは、この「時間の使い道の転換」まで含めて評価してください。

データ移行に4ヶ月を要した反面教師の事例

データ移行に苦労した経営管理システム事例のイメージ

事例の価値は、成功談だけにあるのではありません。むしろ発注側がもっとも学べるのは「どこでつまずいたか」というリアルな経験です。経営管理システムの導入で意外な落とし穴になりやすいのが、データ移行です。長年の数字を統合しようとして、想定をはるかに超える時間と費用がかかった、という事例から得られる教訓は、これから投資する企業にとって何よりの保険になります。

20年分のデータが3システムに分散していた商社の事例

従業員200名規模のある商社では、経営管理システムを刷新しようとした際に、過去20年分のデータが3つの異なるシステムに分散していることが判明しました。会計、販売、在庫がそれぞれ別の時代に導入された別々のシステムで管理されており、勘定科目の定義も統一されていませんでした。この分散したデータを新システムに統合するだけで4ヶ月を要し、移行費用も数百万円規模に膨らみました。本来の目的である経営の可視化に着手する前に、データの整理だけで多大なコストを払うことになったのです。

この反面教師から学べるのは、経営管理システムの導入見積もりにおいて、システムそのものの費用だけでなく「データ移行・クレンジングの工数」を最初から織り込んでおくべきだ、という教訓です。分散したデータの統合、勘定科目の統廃合、重複データの名寄せといった作業は、表に出にくいぶん見積もりから漏れがちです。検討段階で「自社のデータは今いくつのシステムにまたがっているか」「過去何年分を移行するのか」を棚卸しすることが、想定外コストを防ぐ第一歩になります。

移行データのクレンジングで品質を担保した事例

データ移行で失敗しなかった企業に共通するのは、移行前にデータのクレンジング(品質改善)を丁寧に行っていることです。古いシステムのデータには、表記ゆれ、重複、すでに使われていない勘定科目、入力ミスがそのまま残っていることが少なくありません。これを無検証のまま新システムに流し込むと、「ゴミを入れればゴミが出る」状態になり、せっかくの経営管理システムが信頼できない数字を出力してしまいます。

成功事例では、移行対象のデータを精査し、何を移行し、何を捨て、何を補正するかを明確に切り分けています。とくに注意すべきは、安易に「不要そうだから」と受入データを削除してしまうことです。後から「過去の数字が追えない」という事態を招き、監査や経営分析で困ることになりかねません。riplaはフルスクラッチ受託と業務伴走の立場から、このデータ移行・クレンジングの工程を軽視せず、移行要件を初期段階で固める進め方を重視しています。事例から学ぶべきは、「システムを作る前に、まずデータを整える」という順序の大切さです。

債権消込を自動化し経理工数を削減した事例

債権消込を自動化した経営管理システム事例のイメージ

経営管理システムの効果は、経営レポートの可視化だけにとどまりません。日々の経理業務に直結する「債権消込の自動化」も、現場の負担を大きく軽減します。入金された金額と請求の対応づけ(消込)は、件数が多くなるほど経理担当者の時間を圧迫する地味で重い作業です。これを自動化できれば、月末・月初の繁忙を平準化できます。

名義相違・手数料差引を自動マッチングした事例

債権消込が難しいのは、入金額と請求額がきれいに一致しないケースが多いためです。振込名義が請求先と微妙に異なる、振込手数料が差し引かれて入金額が少ない、複数の請求がまとめて入金される、といったイレギュラーが日常的に発生します。これを人手で照合していると、一件ずつ「これはあの請求の入金だ」と判断する作業に膨大な時間がかかります。経営管理システムを導入し、名義の表記ゆれや手数料差引を考慮した自動マッチングを組み込んだことで、こうしたイレギュラーの大半が自動で処理されるようになった事例があります。

この事例で評価すべきは、自動マッチングの「精度」です。単純な金額一致だけでなく、名義相違や手数料差引といった現場特有のパターンをどこまでルール化できるかが、自動化の効果を左右します。マッチングできなかった例外だけを人が確認する運用にすれば、経理担当者は大量の照合作業から解放され、判断が必要な例外対応に集中できます。導入を検討する際は、自社の入金パターンにどんなイレギュラーがあるかを洗い出し、それをシステムでどこまで吸収できるかを確認することが重要です。

従業員80名で総額800万円を2年で回収した事例

経営管理システムの投資回収を具体的に示す事例として、従業員80名規模の卸売業が、クラウド型の経営管理基盤を月15万円・総額800万円規模で導入し、2年で回収を見込んだケースがあります。この企業では、月次決算の早期化、Excel集計の自動化、債権消込の効率化といった複数の効果が積み上がり、間接部門の人件費圧縮と意思決定の高速化が投資を正当化しました。一つの効果だけでなく、複数の業務改善が同時に効くことが、回収を早めるポイントです。

この回収事例から学べるのは、経営管理システムのROIを「単一の効果」で語らないことの大切さです。月次決算が短くなった、Excelが減った、消込が自動化された、という個々の効果はそれぞれ数十万円〜数百万円規模かもしれませんが、それらを合算すれば総額を数年で回収できる水準に届きます。投資判断の際は、自社で見込める効果を一つずつ金額換算し、合計で何年での回収を目指すのかを描くことが、稟議を通すうえでも有効です。riplaは、こうした効果の積み上げを発注側と一緒に試算し、現場に定着する形で実装することを重視しています。

削減した時間を分析業務に振り向けた事例

債権消込や集計の自動化で生まれた時間を、単なるコスト削減で終わらせなかった事例も示唆に富みます。ある企業では、自動化によって経理担当者が照合作業から解放された後、その時間を予算と実績の差異分析や、部門別の収益性レポートの作成に振り向けました。これにより、経理部門が「数字を締めるだけの部署」から「経営に示唆を返す部署」へと役割を広げ、経営会議でより踏み込んだ分析が共有されるようになったのです。

この事例が教えるのは、経営管理システムの効果を最大化するには、「浮いた時間の使い道」まで設計する必要がある、ということです。自動化で時間が空いても、その時間が他の雑務に吸収されてしまえば、付加価値は生まれません。削減した時間を、より価値の高い分析・予測・改善提案に意図的に振り向けることで、システム投資は単なる省力化を超えた経営インパクトを生みます。事例を読むときは、「何時間減ったか」だけでなく「減った時間で何を始めたか」まで見ることが、自社の活用イメージを豊かにします。

まとめ

経営管理システム事例のまとめイメージ

経営管理システムの導入事例・活用事例を振り返ると、成果は「月次決算の早期化」「Excel属人化からの脱却」「データ移行の品質担保」「債権消込の自動化」という複数の改善の積み上げで生まれていることが分かります。製造業100名規模では月次決算が3週間から1週間へ短縮し、経理工数は月20時間削減で年72万円相当の効果を生み、従業員80名の卸売業は総額800万円を2年で回収しました。一方で、200名規模の商社で20年分のデータが3システムに分散し移行に4ヶ月を要した事例は、データ移行・クレンジングを軽視するリスクを教えています。

事例を読むときに大切なのは、「どのツールが多機能か」ではなく「自社のどの業務に、いくらの効果が生まれるか」という視点です。月次決算の日数、Excel集計の時間、消込の件数を自社の数字に当てはめ、効果を一つずつ金額換算したうえで、まずは効果の大きい業務から着手してください。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、データ移行から現場定着までを伴走し、経営の意思決定を速める経営管理システムづくりを支援します。全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。