経理におけるAI活用は、請求書の読み取りや自動仕訳だけでなく、照合・承認・異常検知・経営レポート作成までを人の確認と組み合わせて効率化する取り組みです。
AIを導入すれば経理業務がすべて無人化するわけではありません。重要なのは、自社の業務量と既存システムに合う会社を選び、データ整備、セキュリティ、現場定着まで含めて導入を設計することです。本記事では、経理AI活用を支援するおすすめの開発会社・ベンダーを6社紹介し、導入前の費用対効果、失敗しやすいポイント、中小企業向けの進め方まで解説します。
経理におけるAI活用でパートナー選びが重要な理由

経理AI活用の成否は、ツールの機能数よりも、業務をどこまで理解して設計できるかで決まります。請求書を読み取れても、勘定科目マスタが統一されていなければ誤仕訳が増え、古い会計システムと連携できなければ転記作業が残ります。
適切なパートナー選定が成否を分ける理由
AIは、入力データの傾向から仕訳候補やチェック結果を提示できますが、税務・会計上の最終判断や例外処理を自動で任せられるわけではありません。現場の担当者が確認しやすい画面、判断理由を残す監査証跡、権限ごとの承認フローを一体で作る必要があります。そのため、AIモデルだけを納品する会社より、業務整理、システム連携、運用改善まで伴走できる会社が適しています。
発注前に確認すべきポイント
発注前には、対象業務、月間処理件数、例外の割合、利用中の会計ソフト、紙証憑の有無、必要な承認者を洗い出します。提案書では「AIで効率化できます」という説明だけでなく、入力から承認、仕訳登録、月次締めまでのどの工程が何分短くなるのかを確認してください。特に、PoC後の本番移行費用、API利用料、データクレンジング費用、運用保守費用まで含むTCOを比較することが大切です。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。
特徴と強み
経理AI活用では、AI-OCRや生成AIを単体で導入するのではなく、既存の会計・販売・購買データをつなぎ、現場が使える業務フローに落とし込むことが重要です。riplaは、現状業務の可視化、要件整理、データ基盤の整備、開発、運用改善までを一つの計画として設計できます。特に、属人化したExcel台帳やAPIを持たないレガシーシステムが残る企業では、現実的な段階移行を提案しやすい点が強みです。
得意領域・実績
営業・顧客・生産・販売管理などの基幹業務を含めたシステム構築に対応しているため、経理だけでなく、受発注や請求の上流データまで含めて改善できます。経理部門の業務を短縮するだけでなく、経営会議で使える予実管理やレポートの精度を高めたい企業、PoCで終わらず社内定着まで支援してほしい企業に向いています。
freee株式会社|クラウド会計を中心にAIで経理を自動化

freee株式会社は、クラウド会計・人事労務などを提供する企業です。公式サイトでは、AIが証憑と取引を紐づけ、記帳や経費精算、経営分析まで支援する構想を示しています。銀行口座やカード明細を取り込み、仕訳ルールやAIの推測に基づいて自動記帳できるため、日々の入力作業を減らしたい企業に適しています。
特徴と強み
freeeの特徴は、会計を中心に請求書、経費、給与などのデータを同じクラウド上で扱いやすい点です。公式のAI関連情報では、AIファイル自動記帳、申請チェックAI、レポートAI、予算管理AIなどが紹介されています。単に文字を読み取るだけでなく、規程照合や予算と実績の比較まで自動化したい企業に候補となります。ただし、AIの提案を無条件に確定せず、会社ごとの勘定科目や承認ルールを設定してから運用する必要があります。
得意領域・実績
クラウド会計を新たに標準化したい中小企業から、複数のバックオフィス業務を統合したい企業まで幅広く検討できます。AIがどの権限で操作したかのログを残す考え方も示されており、監査や内部統制を重視する場合は、権限設定と証跡の確認を提案時に行うと安心です。小規模企業では、まず自動記帳や証憑のデータ化から始め、月次レポートへ段階的に広げる進め方が現実的です。
株式会社マネーフォワード|会計・経費・請求データをつなぐクラウド

株式会社マネーフォワードは、マネーフォワード クラウド会計をはじめ、経費、請求書、債務支払などのサービスを展開しています。公式の機能説明では、銀行口座やクレジットカードの明細を自動取得し、登録したルールや過去の処理を使って仕訳入力を効率化できます。複数の業務サービスを組み合わせ、経理データを一つの流れで管理したい企業に向いています。
特徴と強み
会計単体の自動仕訳だけでなく、請求データから仕訳を作成する連携や、経費精算から会計へのデータ連携を組み合わせやすい点が特徴です。既存の金融機関やサービスとの連携状況を確認しながら、手入力が残る工程を減らせます。自社の業務に合わせてルールを細かく設定できる一方、ルールが増えすぎると保守が属人化するため、月次でルールを棚卸しする体制も必要です。
得意領域・実績
クラウド会計への移行、経費精算のペーパーレス化、請求・支払業務の一連の効率化を検討する企業に適しています。月間の取引件数が少ない企業でも始めやすい一方、グループ会社管理や複雑な承認、既存ERPとの連携が必要な場合は、標準機能で足りる範囲と追加開発の範囲を切り分けて見積もることが重要です。
株式会社LayerX|バクラクで請求書受領から仕訳まで自動化

株式会社LayerXは、バックオフィス業務を効率化する「バクラク」シリーズを提供する企業です。バクラク請求書受取では、紙・メール・Webから請求書を回収し、AI-OCRでデータ化し、支払申請や仕訳作成、会計システム連携までをつなげられます。請求書処理に対象を絞って短期間で効果を出したい企業にとって、比較しやすいベンダーです。
特徴と強み
公式サイトでは、請求書を最大100枚同時に数秒でデータ化し、複数請求書を含むPDFの自動分割や、取引先ごとに最適化されるパーソナライズドAI-OCRを案内しています。また、AIが過去データに基づいて仕訳を作り、確認が必要な仕訳を理由付きで通知する仕組みも紹介されています。読み取り精度だけでなく、人が確認すべき例外を絞り込む設計が特徴です。
得意領域・実績
請求書の受領漏れ、入力、支払申請、仕訳、振込準備をまとめて改善したい企業に向いています。公式事例では、国内外の請求書処理やAI-OCR、仕訳学習の精度を導入判断の材料にした企業が紹介されています。海外請求書、外貨、複雑な稟議を扱う場合は、実際の帳票を使ったトライアルで読み取り項目と例外処理を確認すると失敗を抑えられます。
株式会社オービック|基幹業務と会計情報を統合して管理

株式会社オービックは、企業向けの統合業務ソフトウェア「OBIC7」などを提供する企業です。OBIC7会計情報ソリューションは、仕訳処理から財務諸表、決算報告までの会計業務を支援し、複数会社管理や本支店会計にも対応しています。AI単体の導入というより、基幹システムを含む会計・経営管理基盤を刷新したい企業が検討しやすい会社です。
特徴と強み
会計データを経営管理に活用するための集計階層、多段階自動配賦、予算配賦、非会計情報の活用などを公式に案内しています。部門別・拠点別・グループ会社別に数字を見たい場合、経理処理と経営レポートを別々のExcelで作る状態から脱却しやすい点が強みです。導入時には、現行帳票と新システムの勘定科目・部門・取引先マスタの対応表を早期に作る必要があります。
得意領域・実績
複数法人、複数拠点、製造・卸売などの業務を持ち、会計と販売・購買・在庫を一体管理したい企業に適しています。月間処理件数が多く、締め処理や連結、部門別採算の精度を高めたい場合は候補になります。一方、月100件程度の請求書だけを安価に自動化したい企業では、導入範囲が過大になりやすいため、対象業務を限定した提案を求めてください。
株式会社NTTデータ|大規模な業務改革とAIガバナンスを支援

株式会社NTTデータは、AI・データ活用のコンサルティングから基盤構築、実行支援、ガバナンスまで幅広く提供するITサービス企業です。経理・財務領域では、SAP Concurの導入支援やAIを活用した自動監査・承認ソリューション、会計システムとの連携開発を案内しています。大規模な組織で、複数システムをまたぐ経理DXを進めたい場合に検討しやすい会社です。
特徴と強み
NTTデータは、AIの精度だけでなく、データ基盤、システム連携、業務プロセス、ガバナンスをまとめて設計できる点が強みです。公式サイトでは、AI活用に伴う誤り、情報漏洩、著作権などのリスクを踏まえ、AIガバナンスの整備が不可欠だと説明しています。財務データや個人情報を扱う企業では、利用権限、ログ、モデルの評価、人の承認を要件に含めて相談できます。
得意領域・実績
大企業やグループ企業の経理業務、SAP・ERP・経費精算・BPOを組み合わせた改革、AI-OCRや自動監査の導入に適しています。NTT DATAのBPSは、経営課題の特定からBPR、テクノロジー適用、BPO、リスキリングまでを対象にしています。単一の請求書ツールでは解決しない、組織横断の業務標準化や監査対応を重視する企業向けです。
経理AI活用のパートナー選びのポイント

6社は得意領域が異なります。クラウド会計の標準機能を使いたいのか、請求書処理に集中したいのか、既存ERPを含めた大規模改革をしたいのかで、適切な相談先は変わります。次の3点を軸に比較すると、機能の多さに流されず、自社に合う提案を見極めやすくなります。
実績と経験の確認方法
導入社数の多さだけでなく、自社と似た業種、従業員規模、請求書の件数、利用中の会計ソフトを持つ企業の事例を確認します。事例で見るべき数字は、処理時間、差し戻し率、月次締め日数、例外確認の件数です。例えばリサーチノートでは、3点照合が目視の1件3〜5分からAIエージェント利用後の5〜15秒へ短縮されたケースを整理していますが、自社で同じ効果が出るかは帳票の品質と例外率で変わります。
技術力と専門性の評価
AI-OCRの読み取り精度だけでなく、誤りを検知して人に戻す仕組み、仕訳の根拠、会計ソフトへの連携、マスタ更新の方法を確認します。生成AIを使う場合は、入力データが学習に利用されるか、保存場所はどこか、アクセス権限をどう管理するかを質問してください。AIの回答を承認なしに登録できる設計は便利ですが、経理ではHITL、つまり人が最終確認する工程を残すことが原則です。
プロジェクト管理体制の確認
導入が頓挫する原因は、AIの性能不足だけではありません。データクレンジングや業務ルール整理に時間がかかり、現場との合意形成が遅れるケースもあります。リサーチノートでは、過去仕訳の表記揺れ修正に2か月、請求書フォーマットと紙証憑運用の整備に3か月、技術導入後の社内合意形成に半年以上を要した実例が整理されています。担当者、経理責任者、情報システム、監査・法務の役割を決め、週次で課題を管理できる体制を提案してもらいましょう。
よくある質問

経理AI活用では、費用、セキュリティ、導入効果についての質問が多く寄せられます。自社の処理件数やデータの状態によって最適解が変わるため、一般論だけで判断せず、実データを使った検証を行うことが重要です。
経理AIの導入費用はどのくらいですか?
費用は、クラウドサービスの月額料金だけでなく、初期設定、連携開発、データ整備、運用保守を含めて考えます。海外製品の相場として、リサーチノートでは年額2万5,000ドル以上の製品や、月額500ドル以上の製品が整理されていますが、国内サービスも処理件数やユーザー数で変動します。月間請求書が100件未満の企業は標準機能から始め、月500件以上なら削減できる作業時間と残業費を使って投資回収を試算すると判断しやすいです。
経理データをAIに入力して情報漏洩しませんか?
サービスごとに、入力データの保存場所、学習利用の有無、暗号化、アクセス権限、操作ログ、データ削除の条件を確認してください。生成AIの利用では、機密情報を個人向けサービスへ貼り付けないルールを設け、法人向け環境と承認済みのプロンプトを使います。AIの出力は誤りを含む可能性があるため、監査証跡と人の確認を組み合わせることが必要です。
中小企業でも経理AIを導入する価値はありますか?
ありますが、最初から大規模な開発を行う必要はありません。月間処理件数が少ない企業は、会計ソフトの自動仕訳、領収書のAI-OCR、経費規程チェックなど標準機能から始め、月次締めの時間や入力件数を測定します。効果が確認できたら、請求書照合、予実レポート、販売管理との連携へ広げる段階的なロードマップが適しています。
まとめ

経理におけるAI活用は、入力作業を減らすだけの施策ではありません。請求書処理、自動仕訳、3点照合、経費規程チェック、月次レポート作成をつなぎ、経理担当者が例外判断や財務分析、予実管理に時間を使える状態を作る取り組みです。株式会社ripla、freee株式会社、株式会社マネーフォワード、株式会社LayerX、株式会社オービック、株式会社NTTデータは、それぞれ支援範囲と得意領域が異なります。
選定では、AIの機能名ではなく、現状業務のどこを何分削減できるか、誤読や誤仕訳を誰がどう確認するか、既存システムとどのように連携するかを確認してください。マスタ整備や社内合意形成には数か月かかる場合があります。まずは処理件数が多く、効果測定しやすい業務を一つ選び、TCOとROIを測定してから対象範囲を広げる進め方が、経理AI活用を定着させる近道です。
本記事で参照した公式情報
freee「AI」: https://www.freee.co.jp/ai/ freee「記帳の自動化」: https://www.freee.co.jp/accounting/small-business/features/bookkeeping/ マネーフォワード「自動仕訳で経理業務をラクに」: https://biz.moneyforward.com/accounting/smb/function/automations/ バクラク「AI-OCR自動読み取り」: https://bakuraku.jp/invoice/function/ai-ocr/ バクラク「請求書受取」: https://bakuraku.jp/invoice/ オービック「OBIC7会計情報ソリューション」: https://www.obic.jp/erp_solution/accounting_info/ NTT DATA「SAP Concurソリューション」: https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/sap-concur/ NTT DATA「データ&インテリジェンス」: https://www.nttdata.com/jp/ja/services/data-and-intelligence/ (いずれも2026年8月確認)
導入相談の進め方
まずは、月間の請求書・領収書件数、現在の処理時間、利用中の会計ソフト、困っている例外処理を整理してください。その情報があれば、標準機能で足りるのか、連携開発が必要なのか、どの会社へ相談すべきかを具体的に比較できます。
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
