経費精算システムの導入事例からは、紙やExcelの精算をどこまで減らせたか、SaaSと自社開発のどちらで費用を抑えたか、現場にどう定着させたかが分かります。
経理担当者やバックオフィス責任者が、自社の導入を考えるときの材料になります。
▼全体ガイドの記事
・経費精算システムの完全ガイド
・業務システム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「業務システム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
・スクラッチシステム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「スクラッチシステム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
紙・Excel脱却で精算工数を削減した事例
紙の精算書やExcel集計からの脱却は、導入の成果が見えやすい領域です。
申請者は紙やExcelに経費を書き、領収書を貼って上長の承認を得ます。その後、経理はそれを目視で確認し、会計ソフトへ転記します。こうした手作業は、人的コストや差し戻しの要因になります。
申請・転記の手作業をなくし工数を圧縮した事例
申請から会計仕訳までの工数をどれだけ減らせたかは、紙・Excel脱却の効果を具体的に示す数字です。たとえば、スマホで領収書を撮影し、OCRで日付・金額・店名を読み取れば、手入力を減らせます。
- 入力作業の試算:時給3,000円換算で、1人あたり月約30分の入力作業
- 費用対効果の基準:100名規模で月5万円、おおむね1人分を基準とする
- 削減額の算定:申請件数、確認と差し戻しの時間、人件費単価から算定する
削減効果は、漠然とした効率化で終わらせず、自社の数字に当てはめて示すことが大切です。1件あたりの精算コストは見えにくいものの、利用者が多い組織ほど効果は大きくなります。
差し戻しが半減し、経理の月次締めが数日短縮された事例では、浮いた時間を決算の早期化や分析業務に振り向けています。
電帳法・インボイス対応で証憑管理を楽にした事例
電子帳簿保存法(電帳法)とインボイス制度への対応も、紙・Excel脱却で得られる効果の一つです。紙の保管には物理的な管理コストがかかり、登録番号や税率の確認も人手に頼ります。
- 電子保存:要件に沿ったタイムスタンプや検索機能で管理する
- インボイス確認:適格請求書、登録番号、税率区分の判定を補助する
- 保管負担の軽減:紙の保管スペースやファイリングの手間を減らす
そのため、経理の確認にかかる手間が減り、見落としや税務上のリスクも抑えられます。
クラウド型には法改正に自動で追随するものもあり、保存要件を自社で追い続ける負担を軽くできます。導入の際は、申請のデジタル化と証憑の電子保存を一緒に進めます。
紙・Excelからの移行は、省力化だけでなく法令対応の確実性にも投資価値があります。証憑管理の負担が減れば、省力化と法令対応の両方が進みます。
SaaSから自社開発に乗り換えTCOを抑えた事例

経費精算システムでは、クラウドSaaSが多く、1ユーザーあたり月額300〜500円がボリュームゾーンです。少人数なら手軽に始められますが、利用者が増えるほど月額は積み上がります。
規模によっては、自社で持つほうが安くなる場合もあります。損益分岐点を見極めて乗り換えた事例は、費用を抑える方法を考えるうえで参考になります。
ノーコード受託で5年TCOを圧縮した事例
SaaSの従量課金は利用人数が増えるほど月額が積み上がりますが、ノーコード受託の事例では、ユーザー数に左右されない費用構造に切り替えています。下の一覧では、SaaSを利用人数の区分ごとに、ノーコード受託を初期費用と月額サーバー費に分けて示します。
- 5〜49名のSaaS:月1,450〜14,210円
- 50〜99名のSaaS:月14,500〜28,710円
- 100〜199名のSaaS:月29,000〜57,710円
- ノーコード受託:初期100万〜300万円、月額サーバー費1万〜3万円
試算では、ユーザー無制限の固定費なら、50名を超える規模で5年TCOがおおむね160万〜500万円となり、SaaS従量課金より有利になります。
乗り換えを検討するときは、現在の人数だけでなく、今後3〜5年の増員計画や承認ルート、費目のカスタマイズ範囲も判断材料になります。
月額の安さだけで選ぶと、利用者が増えたときに費用が逆転する場合があります。そのうえで、標準機能で足りる小規模な組織にはSaaSが、独自の要件が多く利用者も多い組織には自社開発が合理的です。自社開発には、ノーコードとフルスクラッチがあります。
隠れコストを織り込んで再評価した事例
乗り換えを考える企業の多くは、月額表示だけでは見えない隠れコストにも気づいています。
- 機器・移行:ICカードリーダーなど5万〜50万円、データ移行5万〜30万円
- 追加開発・連携:カスタマイズ20万〜100万円超、給与・会計連携10万〜50万円
- 運用工数:年20万〜100万円換算
再評価した事例では、毎年かかる費用が積み重なり、SaaSの想定総額が高くなっていました。さらに、会計連携費やカスタマイズ費も総額に影響します。
乗り換えは月額と人数だけで決めず、隠れコストまで含めた5年TCOで比べます。自社の利用実態に即した総保有コストで判断します。
複数法人・拠点の経費精算を一元化した事例

グループ企業や複数拠点では、法人ごとに規程や承認ルート、会計システムが異なります。そのため、グループ全体の経費を横断して見ることが難しいという課題があります。
標準的なSaaSは「1社1テナント」を前提とする場合が多く、複数法人をまとめて管理できるかは要確認になりがちです。こうした仕組みを作り込んだ事例は、規模の大きい企業の参考になります。
法人ごとに異なる規程を一つの基盤に集約した事例
複数法人を一つの基盤で扱うには、各社で異なる費目や出張旅費規程、承認権限を扱える設計が必要です。そのうえで、共通化できるルールと法人固有のルールを分けて考えます。
- 共通ルール:費目や承認の型を標準として定義する
- 法人固有ルール:パラメータで切り替えられる設計にする
- グループ管理:本社経理が横断で支出状況を把握する
この設計があれば、申請者は自社の規則に沿って申請でき、月次・四半期の経費分析も進めやすくなります。
法人別のExcelを集めて合算する代わりに、部門別・費目別・法人別の支出をシステムで一覧できます。経費精算を立替の処理にとどめず、グループ経営の支出を管理する基盤として捉えられます。
会計・給与システム連携で振込まで自動化した事例
会計・給与システムとつなぐと、二重入力や計算ミスを防げます。
- 会計連携:承認済み経費データを会計ソフトへ仕訳として送る
- 給与連携:立替分を給与と合わせて振り込む
- 処理の一気通貫化:申請、承認、仕訳、振込までをつなぐ
研究データでは、連携の不具合が給与の支給遅れや金額の差異といった重大なトラブルにつながりやすいと指摘されています。そのため、連携の設計が品質に直結します。
連携後は、経理の作業が減って確認やガバナンスに力を注げます。特に、法人をまとめて管理することと連携の自動化は、規模の大きい組織ほど投資対効果が出やすいテーマです。
現場定着までの並行運用で立て直した事例

事例から学べるのは、成功談そのものより、導入直後のつまずきをどう立て直したかです。経費精算システムは全社員が使うため、現場に定着しなければ効果が出ません。そこには、発注側が学べる実践知があります。
旧運用と並行稼働させて移行リスクを抑えた事例
データ移行や初期設定の難航は、導入失敗の要因になります。一次データでは、移行と設定の難航によってスケジュールが1か月遅れ、安定稼働まで2か月かかった声があります。
- 旧来のExcel運用と新システムを一定期間並行稼働する
- 過去データを移行し、新しいフローを検証する
- 一部部署や費目で試し、現場の声をもとに調整する
- 承認ルートや入力項目を見直してから全社展開する
並行運用には、二重作業の負担がかかります。一方で、新システムに不備があった場合は、旧運用に戻れる安全網にもなります。
段階的な導入は、移行トラブルによる業務の停止を防ぎます。また、一度に全面切り替えをしない慎重さが、定着までの近道になる場合もあります。
申請者の負担を減らして利用率を上げた事例
定着のためには、申請者である一般社員の入力負担を減らす設計が重要です。入力が簡単になれば、「面倒だから後回し」を防げ、月末に申請が集中する事態も避けやすくなります。
- 領収書入力:スマホ撮影とOCR読み取りを使う
- 交通費入力:交通系ICカードの履歴を連携する
- 定期区間:運賃から自動控除する
riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発の立場から、現場業務を起点に、申請者・承認者・経理の三者が使いやすい設計を大切にしています。
事例を読むときは、華やかな導入実績よりも、社員が継続して使えた理由に注目すると役立ちます。その視点は、自社で定着に失敗するのを避ける近道になります。導入の入り口は、申請件数や拠点数、既存システムを踏まえて選びます。
補助金活用とROI試算で投資を正当化した事例
社内で導入を通すには、投資の妥当性を数字で示す必要があります。補助金で初期投資を抑え、ROI(投資対効果)を試算して経営層の承認を得た事例もあります。
費用を正当化できた事例は、これから稟議を控える担当者にとっても実践的な参考になります。
IT導入補助金で初期投資を圧縮した事例
経費精算システムは、IT導入補助金の対象になり得るカテゴリです。一次データでは、通常枠の補助率は1/2で、最大150万円未満等とされています。
- 早期確認:対象経費と申請スケジュールを確認する
- 計画への反映:公募スケジュールから導入計画を立てる
- 機能の見極め:必要な範囲を定めて補助金を活用する
要件を満たせば、初期費用を下げられます。実際に補助金を利用した事例では、自己負担を抑えながら本格的なシステム化を進めています。
申請の時期や要件は年度ごとに変わるため、導入を決めてから調べると間に合わない場合があります。補助金ありきで、不要な機能まで盛り込まないことも大切です。
削減工数を金額換算してROIを示した事例
投資を正当化した事例では、削減できる工数を金額に換算して、ROIを示しています。紙の入力を時給3,000円換算で試算し、1人あたり月約30分とする考え方です。
- 基準額:100名規模で月5万円、おおむね1人分
- 削減見込み:申請件数や差し戻し件数の変化を織り込む
- 比較:年間削減額とシステム費用を比べて、回収期間を見極める
月次締めの短縮による決算の早期化や、不正・誤りを防ぐことによるリスクの低減も併記できます。金額にしにくい効果も添えると、経営層に説明しやすくなります。自社の数字で具体的な効果を示せるかどうかが、投資判断の起点になります。
まとめ
事例から見えるのは、申請者・承認者・経理の手作業を減らすこと、自社に合う費用構造を選ぶこと、段階的に定着させることです。紙・Excelからの脱却では、工数の削減と法令対応の両方を進められます。
利用者が増える場合は、SaaSの1ユーザー月額300〜500円と、ノーコード受託の5年TCO160万〜500万円を比べ、損益分岐点を見極めます。
複数法人をまとめて管理することや会計・給与の連携は、大規模な組織ほど効果が見込まれます。移行リスクは、並行運用と段階導入で抑えます。
ツールの人気よりも、自社の現場で使われる理由に目を向けることが大切です。申請件数や承認ルート、既存の会計・給与システムを踏まえて、申請のデジタル化と証憑の電子保存から着手します。
riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、要件を整理するところから、現場に定着するシステムをつくるまで支援しています。全体像は、経費精算システムの完全ガイドでご確認いただけます。
▼全体ガイドの記事
・経費精算システムの完全ガイド
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
・スクラッチシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
