総務システムの導入/開発事例や活用/成功事例について

総務システムの導入事例は、申請や契約の電子化で処理時間やコストを減らした例と、文書や問い合わせを整理した例に分かれます。

共通する進め方は、現場業務を把握し、効果の大きい業務から段階的に定着させることです。全体像は総務システムの完全ガイドもご覧ください。

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・総務システムの完全ガイド

紙の申請・稟議を電子化して処理時間を削減した事例

総務が扱う申請には、購買稟議、捺印申請、備品購入があります。出張・経費や証明書の発行依頼も、総務に集まる申請です。

紙の回覧やExcelの申請書をメールで回すと、承認者の机に書類が滞留し、進捗も見えにくくなります。特に、紙の申請・稟議の電子化は、総務システム導入のなかでも成果が分かりやすい領域です。

会計転記の自動化で申請処理を約4割削減した事例

申請・稟議の電子化の効果は、KEC関西電子工業振興センターの事例が一次データとして示しています。

  • 会計転記の自動化:手作業とダブルチェックを減らし、申請処理業務を約4割削減
  • 遠隔申請:1件あたり5分以上を短縮し、年間で推計150万円分の人件費を削減

総務では、申請書を別のシステムへ転記してから二重に確認する工程が、いつの間にか当たり前になりがちです。ここを減らすと、効果を実感しやすくなります。

KEC関西電子工業振興センターでは、総務・経理の申請業務で会計システムへの転記やダブルチェックを減らしました。なお、岡山県環境保全事業団では、遠隔申請による短縮時間から年間の人件費削減額を推計しています。

自社で効果を見積もるには、まず月間の申請件数と、1件あたりの承認・転記・確認の時間を洗い出します。そのうえで、事例の数字を自社の件数と時間に置き換えて読みます。

スマホ承認で稟議のリードタイムを短縮した事例

申請・稟議を電子化すると、承認までのリードタイムが短くなります。決裁者の不在で止まる時間や、進捗を確かめる手間も減らせます。

  • スマートフォン承認:申請を手元で確認し、その場で承認や差し戻しができる
  • 進捗の可視化:今どこで止まっているかが分かり、申請者も状況を確かめられる
  • 承認履歴の記録:督促や差し戻しの理由が残り、内部統制の証跡になる

たとえば、紙の回覧では、決裁者が出張や在宅で不在だと、書類が数日から1週間止まることもあります。承認待ちで業務が止まるという総務特有のボトルネックも、こうした仕組みで和らげられます。

稟議の電子化は、省力化に加えてガバナンスの強化と社員の使い勝手の向上にもつながります。

ポイント

申請・稟議の電子化は、滞留や転記の手間を減らす効果を数字で示しやすい取り組みです。自社の月間申請件数と1件あたりの処理時間から効果を見積もれるなら、着手の判断材料になります。

契約・押印の電子化でコストを削減した事例

契約情報を一元管理し、契約日・取引先・金額・更新期限で検索する図解
検索項目をそろえると、契約情報を探しやすくなります。

契約書は、作るところから押印、郵送、保管までの各段階で、印紙税や郵送費、保管スペースなどのコストがかかります。

電子契約や押印ワークフローを組み込むと削減額を数字で示せるので、稟議でも説明しやすくなります。さらに、契約の電子化は、総務のデジタル化のなかでもROIを明確に示せる取り組みです。

月20件の電子化で年間約96万円を削減した試算事例

月20件の契約電子化を想定した試算は、ROIを具体的に把握する参考になります。

  • 印紙税:年48万円から0円
  • 郵送資材費:年12万円から0円
  • 契約事務の人件費:年48万円から12万円

印紙税・郵送費・印刷費・人件費は、毎月発生する固定的なコストです。そのため、削減効果は経営層への説明材料にもなります。

高額契約を扱う場合は、印紙税の削減効果がより大きくなります。たとえば、印紙税は1,000万円の契約で1万円、7,000万円の契約で3万円です。

5,000万円超〜1億円以下の契約では、1件あたり3万円の印紙税が不要になります。高額契約の多い建設業では、電子化だけで年間数十万〜数百万円を削減できることもあります。

調査では、印紙税の不要化が30.6%で最も多く挙がり、小規模事業者では34.9%でした。契約の電子化は、最初に着手する価値が高いテーマです。

契約書を一元管理して更新漏れを防いだ事例

紙ファイルや共有フォルダで契約書を管理していると、保管場所や更新期限が分からなくなることがあります。そこで、電子化後は保管場所をまとめ、契約情報を検索できる状態にします。これが、更新漏れの防止につながります。

  • 一元データベース:契約日や取引先から金額、更新期限まで、項目を指定して探せる
  • 期限アラート:自動更新条項のある契約を、期限を過ぎて見落とさないようにする

契約管理では、いつでも探せて期限を逃さない状態をつくることが大切です。その状態があって初めて、電子化の効果につながります。

電子契約導入後の課題を尋ねた調査では、約8割の企業が課題を感じていました。そのうち39.5%は、情報を一元管理できていないと回答しています。保管場所が分かれ、検索できない状態は典型的な課題です。

ポイント

契約の電子化は、印紙税や郵送費などの毎月のコストを減らすため、稟議で削減額を説明しやすい取り組みです。月間の契約件数で試算し、自社の削減額を確かめてから判断します。

文書・規程の一元管理で問い合わせを減らした事例

文書一元管理を中心に、全文検索・バージョン管理・更新履歴を配置した図解
検索と履歴の機能が、文書の確認を支えます。

総務には、社内規程や申請書のひな形、福利厚生の手引きなど、さまざまな文書が集まります。契約書や議事録も、総務が扱う文書です。

共有フォルダで最新版や保管場所が分からないと、社員からの問い合わせ対応に時間を取られます。そこで、文書・規程を一元管理する仕組みを使うと、こうした問い合わせの負担を減らせます。

全文検索とバージョン管理で最新版を即座に提示した事例

文書を一元管理した事例では、全文検索とバージョン管理が共通して使われています。

  • 全文検索:文書本文を検索対象にし、必要な規程やひな形を探せる
  • バージョン管理:常に最新版を示し、古い規程の利用を防ぐ
  • 更新履歴:誰がいつ何を更新したかを記録し、改訂の経緯を追える

規程は法改正や社内ルールの変更で改訂されるため、履歴が残らないと変更時期や旧ルールでの処理が曖昧になります。

問い合わせの多くは、文書を探せないことや最新版が分からないことから生じます。検索と管理を整えると、総務への問い合わせを減らせます。

また、改訂履歴は監査対応や社内説明の証跡としても使えます。文書管理は、問い合わせの削減と内部統制の両面に効く、費用対効果の高い投資領域です。

社内問い合わせをFAQ化して総務工数を圧縮した事例

文書の一元管理と並んで、社内問い合わせのFAQ化も効果の大きい取り組みです。社員が自分で答えを見つけられる導線を作ると、総務の工数を減らせます。

  • 経費精算:締め日などの定型的な質問
  • 住所変更:届出先などの手続きについての質問
  • 会議室予約:予約方法などの利用案内

まず、問い合わせ内容を記録して集計すると、よく聞かれる項目が分かります。そこからFAQにすれば、優先順位を付けて整備できます。

また、問い合わせログから手続きの分かりにくさが見えれば、申請フォームやマニュアルの改善にもつながります。自己解決が進めば、減った工数を制度設計や改善活動に振り向けられます。

総務システムは、作業を速めるだけでなく、社員が自分で解決できる仕組みとして設計すると効果が高まります。

ポイント

文書・規程の一元管理は、問い合わせの削減と内部統制の両面に効きます。改訂履歴まで残して最新版を一か所で示せるかどうかが、導入後の効果を左右します。

形骸化の失敗から立て直した総務システム事例

総務システムを小さく始め、現場を聞き、段階的に広げる3項目の図解
現場の納得を得ながら、対象業務を広げる流れです。

事例からは、成功談だけでなく、使われなくなった理由や立て直し方も学べます。発注側にとっては、使われなくなった理由や立て直し方が特に参考になります。

総務システムには、導入後に使われず紙やExcelへ戻ってしまう、形骸化の事例も少なくありません。

承認ルートが複雑すぎて使われなかった失敗事例

複雑な承認ルートをそのまま再現すると、申請者にも承認者にも分かりにくいシステムになることがあります。

  • 金額別の承認者:金額に応じて決裁者が変わる
  • 部署ごとの決裁:部署によって決裁ラインが違う
  • 特定申請の合議:法務や経理の確認が必要な場合がある

条件分岐を作り込みすぎると、申請者はルートを選べず、承認者も依頼の理由を把握しにくくなります。その結果、メールや口頭での依頼に戻ってしまう場合があります。

調査では、業務がシステム間で分割されて非効率だと回答した割合が38%でした。導入前の紙データが未処理のまま残るという課題も33.6%でした。

一部だけ電子化すると紙と二重運用になり、現場の手間が増えます。現場の日々の申請方法や困りごとを起点に設計しなかったことも、こうした失敗の背景にあります。

スモールスタートと現場ヒアリングで立て直した事例

全業務を一度に電子化せず、効果の大きい申請から始めることが、定着に向けた立て直しにつながります。

  • 小さく始める:件数が多い経費精算や捺印申請から着手
  • 現場を聞く:今の業務フロー(AsIs)を洗い出し、あるべき姿(ToBe)を描く
  • 段階的に広げる:現場の納得を得てから稟議や契約管理へ進む

承認ルートを実態に合わせてシンプルに組み直すひと手間が、使われるシステムと放置されるシステムを分けます。使いやすさを確かめてから、対象業務を広げます。

定着(チェンジマネジメント)では、権限設定や運用ルールを決め、社内マニュアルと問い合わせ窓口も丁寧に整えます。

riplaは、フルスクラッチ受託と業務伴走の立場から、現場業務をもとにToBeを描き、段階的に定着させる進め方を重視しています。

事例は、成果の大きさだけでなく、現場で使われた理由に注目して読むと、形骸化を避ける判断に役立ちます。

ポイント

承認ルートを作り込みすぎると、使われずに紙やメールへ戻ることがあります。判断の目安は、現場の申請方法を聞いてから範囲を決め、小さく始めて使われた実績を積んでから広げることです。

補助金活用と他社乗り換えで導入した事例

導入事例には、初期費用をどう工面したか、既存システムからどう乗り換えたかという工夫もあります。華やかな成果がなくても、費用や移行の実務を示す泥臭いノウハウは、導入担当者にとって特に参考になります。

IT導入補助金で初期負担を抑えた事例

補助金は初期負担を軽くする手段として使い、先に投資回収の見通しを立てておくことが大切です。

  • 対象費用:枠によってはソフトウェアや申請用タブレットも対象になる
  • 計画の前提:補助金がなくても削減効果が費用を上回るようにする

総務システムや電子契約、ワークフロー製品は、IT導入補助金などの対象になることがあります。クラウド型は初期費用0円で始められるものが多い一方、カスタマイズや連携には数十万〜数百万円かかる場合があります。

月20件の契約電子化で年間約96万円を削減する試算のように、まず効果を見積もります。そのうえで、補助金を検討します。

ただし、申請の手間や採択の不確実性も考慮し、効果検証と組み合わせて補助金を使う姿勢が、事例に共通する成功要因です。

他社システムから乗り換えてデータ移行した事例

使いにくさや費用との不釣り合いから、既存の総務・契約システムを乗り換えるケースがあります。

  • メタデータの保持:契約日や取引先、更新期限などを保つ
  • 並行運用:旧システムの解約と新システムの契約時期を調整する
  • 段階移行:検索頻度の高い重要契約から移す

メタデータを保てないと、過去データを検索できず、一元管理の効果が失われます。

移行の途中でデータが欠けないよう、旧システムと新システムを並べて動かす考え方があります。契約データも一度に移さず、運用しながら過去分を取り込みます。

riplaは、フルスクラッチ受託と業務伴走の立場から、データ移行や乗り換えの実務も含めて導入を支援しています。

ポイント

他社システムからの乗り換えでは、メタデータを保ち、重要契約から段階的に移すことが大切です。補助金は、削減効果が費用を上回るかを先に見てから使うと判断しやすくなります。

まとめ

事例では、申請処理を約4割削減した例や、契約を月20件電子化して年間約96万円を削減した試算が示されています。

文書管理やFAQは問い合わせを減らします。一方で、複雑な承認ルートは形骸化の原因になる場合があります。

現場業務を起点に効果の大きい業務から取り組み、明確なROIをもとに段階的に投資を広げることが、導入の判断基準です。

事例を読むときは、機能の多さより現場で使われた理由に注目します。自社の申請件数や契約件数に照らし、効果の大きい業務から始めましょう。

riplaは、フルスクラッチ受託と業務伴走を組み合わせ、要件整理から現場に定着するシステムづくりまで支援します。全体像は完全ガイドをご覧ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。