請求書システムの必要機能や標準機能の一覧について

請求書システムの機能は、請求の工程に沿って見ていくと、必要な機能と標準機能の全体像をつかみやすくなります。この記事は、業務工程の流れに沿って体系的に整理した、機能特化の解説です。

  • 請求書の発行:請求内容の整理と、テンプレートによる発行
  • 送付と入金:電子送付や郵送、入金消込までの流れ
  • 法対応と連携:インボイス・電子帳簿保存法の要件と、会計ソフトとのやり取り

それぞれの機能が自社の何を楽にするのかは、名前だけでは判断しづらいものです。請求書システム全体の位置づけがまだ分からない方は、先に請求書システムの完全ガイドを読むことをおすすめします。

▼全体ガイドの記事
・請求書システムの完全ガイド

請求書の発行・テンプレート管理機能

定例請求の自動生成、一括発行、見積・納品データからの転記を並べた図解
発行の自動化と前工程との連携を並べて確認できます。

請求書システムの中核は、請求書を作成して発行する機能です。ここが弱いと結局Excelに戻ってしまうため、自社の請求パターンをどこまで扱えるかを最初に確かめておく必要があります。

標準機能には、取引先マスタや単価マスタを参照して請求書を自動で作る機能、自社のロゴや書式を取り入れたテンプレート、複数の請求書をまとめて作る一括発行などがあります。

定例請求の自動生成と一括発行機能

毎月決まった取引先へ決まった金額を請求する定例請求は、請求書システムが最も得意とする領域です。たとえば、サブスクリプションや保守契約のように継続課金が多い事業では、契約内容を一度登録しておけば、毎月の締め日に請求書が自動で作られます。数百件の請求を一件ずつ作っていた現場も、ボタン一つの一括発行で済むようになるため、工数削減の効果がもっとも分かりやすく出ます。

一括発行を選ぶ際は、例外への柔軟性も確かめておきたいところです。今月だけ金額が変わる、一部の取引先だけ締め日が違うといったイレギュラーを、一括処理の中でどう扱えるかは製品によって差があります。標準機能で個別に調整できないと、結局その分だけ手作業が残ります。

自社の請求が完全に同じ繰り返しなのか、都度の変動が多いのかを洗い出したうえで、必要な柔軟性を満たす製品を選ぶことが、定例請求機能を選定する際の勘所です。

見積・納品データから請求書へ転記する機能

請求書は、見積・受注・納品という前工程とつながっています。見積書や納品書のデータをそのまま請求書に引き継げる機能があれば、二重入力をなくせます。さらに、見積から納品、請求までを一つの取引として管理できると、「見積金額と請求金額が食い違う」「納品したのに請求し忘れる」といったミスも防げます。

この前工程との連携の有無は、請求書システムを単体ツールとして使うか、業務システムの一部として使うかの分かれ目になります。たとえば、請求だけを切り出した専用ツールはクラウド型で月1万〜5万円程度と手軽ですが、見積や受発注まで一気通貫で扱うなら、ERPや販売管理を含む統合型や、業務に合わせたフルスクラッチが選択肢になります。

自社の請求をどこまでシステム化したいかという範囲設定が、製品カテゴリを選ぶ起点になります。

ポイント

請求が毎回同じ形か都度変わるかを洗い出し、一括発行で例外をどこまで扱えるかを見ます。見積や納品からの転記で二重入力を減らせるかも、判断の目安になります。

電子送付・郵送代行の送付機能

請求書を作ったら、次は取引先へ届ける工程です。送付機能は、メールやWebでの電子送付と、紙での郵送代行の二つに分かれます。

取引先には、電子で受け取れる先と、どうしても紙が必要な先が混在しているのが実態です。そのため、両方に対応できる送付機能を持つことが、現実の請求業務では求められます。

メール・Web発行による電子送付機能

電子送付機能は、請求書をPDFとしてメール添付で送るか、取引先専用のWebページからダウンロードしてもらう形で提供されます。印刷・封入・郵送という作業が丸ごと不要になるため、送付コストと工数を大きく減らせます。

送付状況を一覧で管理し、「送付済み」「開封済み」といったステータスを追える機能があれば、送り忘れや到達確認の手間も減ります。ただし、電子送付では取引先側の受け取りやすさも確かめたいところです。専用ポータルへのログインを強いる方式は、取引先によっては負担に感じられ、定着しないこともあります。

メール添付で完結する方式と、過去の請求書をいつでも参照できるポータル方式には、それぞれ一長一短があります。そこで、取引先のITリテラシーや要望を踏まえ、相手が無理なく受け取れる送付手段を選べるかどうかが、電子化を進めるうえでの実務的なポイントです。

紙の取引先に対応する郵送代行機能

電子化を進めても、取引先の都合で紙の請求書を求められるケースは残ります。こうした先には、システムで発行ボタンを押すと、印刷・封入・投函まで代行業者が行う郵送代行機能で対応できます。自社で紙を扱う作業が残らず、電子と紙を同じ操作で送れるため、混在する環境でも業務の流れを一つにまとめられる点が利点です。

郵送代行を使う場合は、1通あたりの代行料金と、発行から投函までのリードタイムを確認しておく必要があります。月末に請求が集中する事業では、締めから発送までのスピードが資金繰りにも影響します。また、押印が必要な取引先への対応や、請求書以外の同封物への対応可否も製品によって異なります。

電子送付と郵送代行を組み合わせて、すべての取引先を一つのシステム上で完結できるかどうかが、送付機能を総合的に評価する基準になります。

ポイント

電子送付と郵送代行を、取引先ごとに使い分けられるかが判断の目安です。郵送代行なら1通あたりの料金とリードタイム、電子送付なら取引先のログインの負担も確かめておくとよいでしょう。

入金消込・債権管理機能

入金データの取り込みから自動マッチング、未回収の一覧、督促管理へ進む流れ図
入金消込の結果が未回収の把握と督促につながります。

請求書を送った後に経理を悩ませるのが、入金の確認と消込、未回収の管理です。発行機能が入口だとすれば、消込・債権管理機能は出口にあたり、ここをどこまで自動化できるかが経理の工数を左右します。

ネットバンキングの入金データを取り込み、請求と自動で突き合わせ、未回収を一覧にする一連の機能が、請求書システムの実用価値を決めます。

ネットバンキング連携と自動マッチング機能

消込の自動化を支えるのは、ネットバンキングとの連携と自動マッチング機能です。銀行の入金明細をAPIやCSVで取り込み、請求金額、振込名義、入金日などを手がかりに、どの入金がどの請求に対応するかを自動で突き合わせます。ここで大切なのは、名義相違や振込手数料の差引といったイレギュラーを、許容範囲として吸収できるかどうかです。

請求先と振込名義が違う、手数料分だけ入金額が少ないといった現実を、ルールで処理できる機能が実務での自動化率を高めます。ただし、自動マッチングは、設定すれば完璧に動くわけではなく、自社の入金パターンに合わせてルールを育てていくものです。複数請求のまとめ入金や、前払い・分割入金といったパターンへの対応力は、製品によって差が大きい部分です。

導入時には、過去の入金データでどこまでマッチングできるかを検証し、残る例外を人がどう処理するかまで決めておくことが、消込機能を選ぶ際の現実的な判断材料になります。

売掛金の可視化と督促管理機能

消込の次の段階にあるのが、債権管理機能です。発行済み、入金済み、未回収という売掛金の状態を一覧にし、取引先別・期日別に残高を把握できる機能は、資金繰りの見通しを立てるうえで欠かせません。さらに、入金期日を過ぎた請求を自動でアラート表示する仕組みがあれば、督促のタイミングを逃さず、回収漏れによる貸し倒れのリスクを減らせます。

督促管理では、督促メールの自動送信やドラフト生成、督促履歴の記録といった機能が業務を支えます。督促は相手との関係に配慮しながら進める必要があり、後回しにされがちな業務です。そのため、システムが期日管理と督促の起点を用意してくれれば、担当者の心理的負担に左右されず、ルールに沿って淡々と回収を進められます。

発行から消込、債権管理、督促までを一つの流れで扱えるかどうかが、請求書システムを業務基盤として評価する要点になります。

ポイント

入金データを自動で突き合わせ、残る例外を人がどう処理するかまで決められるかが判断の目安です。未回収を期日別に把握できるかも、資金繰りを見るうえで確かめておきたい点です。

インボイス・電子帳簿保存法への対応機能

登録番号、税率ごとの区分記載、税率別の消費税額、訂正・削除の履歴を示すチェックリスト図
記載内容と保存履歴の両面から要件を捉えられます。

請求書システムを選ぶうえで、今や必須となっているのが法対応機能です。インボイス制度(適格請求書等保存方式)と電子帳簿保存法は、請求書の記載事項や保存方法に具体的な要件を定めており、これに沿わない運用はリスクになります。

そのため、システムがこれらの要件を標準で満たしているかどうかは、選定の前提として最初に確認すべき点です。

適格請求書の記載要件を満たす発行機能

インボイス制度に対応した発行機能では、登録番号の表示、適用税率ごとの区分記載、税率別の消費税額の記載といった、適格請求書として必要な要素を自動で満たした請求書を作れます。一方で、手作業のExcelでは、税率の混在した取引で消費税額の端数処理を誤りやすく、要件漏れも起きがちです。

システムが記載要件を標準で満たせば、担当者が要件を一つずつ確認する負担がなくなります。特に、複数税率や軽減税率を含む取引にも対応できるかを確かめておきたいところです。標準税率と軽減税率が混在する請求書を正しく区分記載できるか、端数処理のルールが要件に沿っているかは、業種によって重要度が変わります。

免税事業者との取引における経過措置の扱いなど、制度の細部まで対応できているかも、業種に応じて確かめておくと安心です。法対応は、「対応済み」と書いてあるかより、自社の取引パターンを正しく処理できるかで判断するのが大切です。

電子帳簿保存法に沿った保存・検索機能

電子帳簿保存法への対応では、発行した請求書の控えや受領した請求書を、法の要件に沿って電子保存する機能が求められます。具体的には、取引年月日・取引金額・取引先で検索できる要件や、訂正・削除の履歴を残すといった真実性確保の要件を、システムが自動で満たしてくれることが大切です。これにより、保存方法を担当者が個別に判断する必要がなくなります。

法対応で見落とせないのが、将来の制度改正への追従です。クラウド型やサブスク型の製品では、法改正への対応が定額の保守費用の範囲内で無償提供されるケースが多く、制度が変わるたびに自社で対応を考える必要がありません。一方で、オンプレミス型では、改正のたびに高額な追加開発が発生することがあります。

法対応はリリース時点だけでなく、これから先も継続的に維持されるかという観点で、製品の提供形態まで含めて評価することが賢明です。

ポイント

インボイスと電子帳簿保存法の要件を標準で満たしているかが、選定の前提になります。複数税率の取引や制度改正への対応を、自社の取引パターンに照らして確かめておくとよいでしょう。

会計ソフト・販売管理との連携機能

請求書システムの効果を大きく左右するのが、外部システムとの連携機能です。請求は会計・販売管理・受発注と密接につながっており、データが分断されると、二重入力やデータの不整合が生まれます。

会計ソフトや販売管理システムと連携できるかは、請求書システムを単独で使うか、業務の流れに組み込んで使うかを分ける重要な機能です。

会計ソフトへの売上仕訳連携機能

請求書を発行したら、その内容は会計上の売上として記帳する必要があります。会計ソフトとの連携機能があれば、請求の確定と同時に売上仕訳が自動で作られ、会計ソフトへ取り込まれます。

これにより、請求書の内容を会計ソフトへ手で打ち直す二重入力がなくなり、転記ミスも減ります。入金消込の結果も会計に連携されれば、売掛金の残高が請求書システムと会計ソフトで自動的に一致します。

会計連携で確かめたいのは、自社の会計ソフトに対応しているか、仕訳ルールを科目体系に合わせて設定できるかです。たとえば、取引先や商品ごとに計上科目が異なる場合、連携時にそれを正しく振り分けられないと、結局は手修正が残ります。標準連携で足りるか、科目体系に合わせた作り込みが要るかを見極めることが、連携機能の評価では欠かせません。

API連携とフルスクラッチによる業務適合機能

標準のパッケージ連携で足りない場合に視野に入るのが、APIによる連携や、業務に合わせたフルスクラッチ開発です。自社独自の販売管理システムや基幹システムとデータをやり取りしたい、特殊な請求ロジックを組み込みたいといった要件は、汎用パッケージの標準機能だけでは満たせないことがあります。

APIが公開されていれば、外部システムと柔軟にデータ連携でき、自社の業務フローに合わせた自動化を実現できます。一方で、自社の請求業務が、商習慣や得意先要求の点で標準パッケージから大きく外れる場合は、フルスクラッチで業務に完全適合させる選択肢もあります。

riplaは、フルスクラッチ受託と業務伴走の立場から、標準機能で足りる部分はパッケージを活かし、自社固有の要件は作り込むという形で、機能の取捨選択を業務起点で支援しています。特に、連携機能の評価では、自社の業務システム全体の中で請求書システムをどう位置づけるかが、最終的な判断を左右します。

ポイント

会計ソフトと連携できるか、仕訳を自社の科目体系に合わせて設定できるかが判断の目安です。標準連携で足りない部分は、APIやフルスクラッチで補う選択肢もあります。

まとめ

請求書システムの機能は、大きく五つに整理できます。中心になるのは、請求書の発行と入金消込の二つです。残りは、電子送付と郵送代行、法対応、外部システムとの連携です。

発行機能では、定例請求の一括発行と前工程との連携が工数を減らす要になります。送付機能では、電子と紙を一つの仕組みで送れるかが問われます。消込・債権管理機能では、ネットバンキングとの連携と例外処理の精度が実用価値を決めます。

法対応機能は、インボイスと電子帳簿保存法の要件を満たしていることが前提です。連携機能は、会計や販売管理とどこまでデータをそろえられるかで、投資効果が変わります。

機能を比較するときに大切なのは、一覧の項目数の多さよりも、自社の請求業務のどの工程を、どこまで自動化したいかという範囲設定です。そのうえで、必須機能と「あれば便利」を分け、標準パッケージで足りる部分と作り込みが必要な部分を見極めてください。

riplaは、フルスクラッチ受託と業務伴走を組み合わせ、機能の取捨選択を業務起点で整理し、自社に合った請求基盤づくりを支援します。機能の全体像を俯瞰する際には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。