賃貸管理システムの導入/開発事例や活用/成功事例について

賃貸管理システムの導入や開発の事例は、問い合わせ受付、家賃管理、オーナー向け報告の場面で、現場の負担を減らし顧客満足につなげています。既製品が業務に合わず立て直した事例でも、業務の流れを整理してから作り直す進め方が共通しています。全体像は賃貸管理システムの完全ガイドもご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・賃貸管理システムの完全ガイド

問い合わせ対応を効率化し入居者満足を高めた事例

24時間Web受付、履歴の共有、自動振り分けを並べた問い合わせ対応の図解
受付から引き継ぎまでを仕組みに移す構成です。

入居者対応は、システム導入で効果が表れやすい領域です。設備故障や騒音、更新・退去の相談で、電話は日中も夜間も鳴り続けます。

表計算ソフトや紙、FAXで業務を回している会社も少なくありません。電話と合わせて、情報が属人化し、ヒューマンエラーの原因にもなります。

こうした状況では、一次対応をWeb受付やチャット、自動応答に移すと、担当者の負担と問い合わせの取りこぼしを減らせます。問い合わせのデジタル化は、業務改善に着手しやすいテーマでもあります。

24時間Web受付で電話の取り逃がしを防いだ事例

Webフォームやチャットボットは、夜間や休日の問い合わせを受け止める窓口になります。賃貸に近い予約・受付領域の調査では、電話の取り逃がしが5本に1本(約20%)発生します(出典:bigdata-analytics.jp、2026年)。

  • 受付時間:Webフォームやチャットボットによる24時間の受け付け
  • 受付情報:相談内容を、物件・部屋・入居者とひもづけて残す
  • 対応履歴:問い合わせを蓄積して、設備故障の傾向をつかめる

24時間受付は、電話の取り逃がしによる機会損失を仕組みとして防ぎます。特に、夜間の水漏れや鍵トラブルの連絡を逃すと、入居者の不満が高まります。

受付情報がひもづいていれば、折り返し時に状況を一から聞かずに済みます。さらに、履歴から同じ設備の故障が続いていると分かれば、予防修繕の判断にも活用できます。受付のデジタル化は、省力化に加えて対応品質の向上にもつながります。

対応履歴の共有で属人化を解消した事例

典型的な成功例は、対応履歴をチームで共有して属人化を解消することです。以前は、経緯が担当者の頭や個人メールに散らばっていました。

  • 履歴の共有:入居者ごとの過去のやり取りを、誰でも確認できる
  • ノウハウの記録:物件ごとの注意点を、対応メモに残しておく
  • 対応の標準化:蓄積したテンプレートを、新人も使えるようにする

担当者が休むと話が止まり、退職すると経緯が分からなくなる事態が起きていました。そこで履歴を残しておけば、誰でも過去のやり取りをたどれます。

履歴の共有が定着すると、一次対応の品質がチーム全体でそろいます。さらに、ベテランが身につけた対応のコツをメモやテンプレートにすれば、新人も一定の水準で対応できます。問い合わせ対応の標準化は、入居者満足と社内の働きやすさを高める一歩です。

問い合わせの自動振り分けで対応スピードを上げた事例

問い合わせの内容や緊急度に応じて担当部署へ自動で振り分けると、受付後の引き継ぎがスムーズになります。事例では、この振り分けルールをシステムに組み込みました。

  • 設備故障:振り分け先は修繕担当
  • 契約の質問:管理担当に届ける
  • 緊急の水漏れ・鍵トラブル:当番へ直ちに知らせる

担当者への引き継ぎが整い、たらい回しによる遅れがなくなって入居者の不満も減りました。問い合わせ量が多い会社ほど、自動振り分けの効果が大きくなります。

緊急案件を見落とすリスクも下がります。受付後の振り分けや通知まで自動化すれば、対応速度と取りこぼし防止を両立できます。次は、管理会社の利益に直結する家賃管理の事例です。

ポイント

問い合わせは電話頼みにせず、Web受付と履歴の共有で一次対応を仕組み化すると、取りこぼしと担当者の負担を減らせます。判断の目安は、夜間の問い合わせと属人化の度合いです。

家賃入金消し込みと滞納督促を効率化した事例

口座振替から振替不能の入居者の抽出、保証会社への請求へ進む流れ図
消し込みの前後もつなぐと回収業務を通して管理できます。

家賃管理は、システム導入の効果を数字で捉えやすい領域です。毎月の家賃を通帳と一件ずつ照合し、未入金の部屋を洗い出して督促する作業は、戸数が増えるほど膨大になります。そのため、自動化した事例では、経理の月次作業時間が短縮され、滞納の早期発見にもつながっています。

入金消し込み自動化で月次作業を圧縮した事例

家賃の入金消し込みでは、口座振替データや入金明細との照合を自動化した事例があります。

  • 自動処理:システムが入金データと請求データを突き合わせる
  • 例外確認:金額の不一致や名義違いを、人が確かめる
  • 効果の算定:戸数と1件あたりの処理時間を、実数で掛け合わせた値

ある管理会社では、数日かけていた手作業の大半が自動化され、月をまたぐたびに発生していた残業も目に見えて減りました。また、100戸を超える物件群では毎月100件以上の入金確認が必要ですが、確認対象は例外の数件になります。

受付・予約領域の試算では、業務時間の削減効果を月約98,200円相当とする例があります(出典:knowledge-hd.co.jp、2026年)。同様に、家賃管理でも削減時間と人件費単価から投資回収を説明できます。

滞納の自動検知と督促テンプレートで回収を早めた事例

消し込みの自動化は、滞納督促の効率化と切り離せません。督促の流れは、次の段階に分けられます。

  • 未入金の把握:システムで対象の部屋を抽出
  • 督促の管理:滞納日数に応じて、連絡の段階を分けて扱う
  • 一次連絡:テンプレートを使って、メールやSMSを自動で送る

督促の抜け漏れを防いだことで、初動が早まり回収率が改善した事例があります。従来は担当者の記憶や付箋に頼っていたため、督促が遅れて滞納が長期化することがありました。

SMSは賃貸に近い領域で1通あたり10〜20円程度とされ、電話より低コストで連絡できます。そのうえで、自動リマインドはノーショーを減らすのと同じ理屈で、滞納の初期段階を防ぎます。

その結果、担当者は督促を強める案件に集中できます。家賃管理の効果は、「削減時間」と「回収率」という二つの数字で語れます。

口座振替と保証会社連携で回収を一気通貫にした事例

口座振替と家賃保証会社との連携を組み合わせると、家賃回収を最初から最後まで一つの流れで管理できます。実際にこの流れを組んだ事例があります。

  • 引き落とし:口座振替による家賃の回収
  • 対象の抽出:振替不能の入居者を、システムで洗い出す
  • 保証会社への請求:代位弁済までの処理を連携させる

保証会社を利用する賃貸では、連携の有無で経理の負担が大きく変わります。消し込みだけを自動化し、前後の工程が手作業のままでは、全体の効率は上がりません。

振替、督促、保証会社への請求を一連の流れとして設計し、自動化する範囲を決めることが投資効果につながります。

ポイント

家賃管理は、効果を数字で捉えやすい領域です。消し込みだけでなく、督促や保証会社への請求まで一連の流れとして自動化する範囲を決めることが、投資効果につながります。

オーナー向けWeb報告で透明性を高めた事例

賃貸管理会社にとって、入居者と並ぶ顧客がオーナーです。収支報告や空室状況、修繕提案を正確に、かつタイムリーに届けることは、管理委託契約の継続に関わります。

Webポータルで報告した事例では、オーナーの満足度が高まり、管理戸数の維持・拡大につながりました。

オーナーポータルで収支をリアルタイム公開した事例

月末に紙やPDFを郵送・メールしていた収支報告を、いつでも確認できるWebポータルに置き換えた事例があります。オーナーは自分の物件の状況を、ログインして見られます。

  • 入金状況:物件ごとに、家賃の入金を確認できる
  • 空室・修繕:空き状況と修繕履歴を見られる
  • 複数物件:報告を一つの画面に集め、収支を俯瞰する

オーナーは入金を待たずに情報を見られるため、問い合わせの電話が減りました。いつでも確かめられる透明性は、オーナーの信頼と安心感につながります。

報告業務を自動化すると、管理会社の工数削減とオーナー満足を両立できます。

修繕履歴の蓄積で計画的な提案を実現した事例

修繕履歴を蓄積すると、場当たり的な報告から、計画的な資産維持の提案へ移れます。管理会社の立ち位置も、それに伴って変わります。

  • 記録:いつ、どの設備を、いくらで修繕したかを残す
  • 先回りの提案:設備の交換時期を見据えた案内
  • 収支との確認:修繕投資を入居率や家賃水準と結びつけて見る

たとえば給湯器の交換時期を見越して、早めに案内できます。収支データと履歴をつなげれば、修繕後に入居率や家賃水準がどう保たれたかも説明できます。

費用を資産価値の維持として伝えられれば、オーナーの納得が得られ、必要な修繕にも理解を示してもらえます。さらに、システムは入居者以外への価値提供にも役立ちます。

報告品質の高さで新規オーナー獲得につながった事例

オーナーポータルでの透明な報告は、既存オーナーの維持だけでなく、新規の獲得にも役立った事例があります。乗り換えを検討するオーナーには、以前の会社の報告に対する不満もあります。

  • 報告の透明性:収支をいつでも確かめられる環境を見せる
  • 営業上の差別化:報告の仕組みを提案に生かす
  • 管理受託:ポータルの提案が決め手になって契約を得た例もある

報告品質を示せば、価格競争を避けて管理戸数を増やせます。また、システムは社内の効率化だけでなく、営業の材料にもなり、受託の拡大にも貢献します。

ポイント

オーナーへの報告は、収支や空室、修繕を正確に届けて管理契約を続けてもらうための接点です。Web報告は透明性を高め、既存オーナーの維持と新規の獲得の両方に役立ちます。

パッケージで合わず自社開発で立て直した事例

現状の整理、あるべき姿の設計、段階的な置き換えを示す自社開発のパネル図
まず業務を見える化し、効果の大きい領域から広げます。

発注側は、既製パッケージが業務に合わず立て直した事例から、多くを学べます。業務フローや管理形態は会社ごとに違うため、立て直しの原因と再構築の過程は、選定の教訓になります。

パッケージの仕様に業務を合わせきれなかった事例

ある管理会社は、費用の安さから汎用の賃貸管理パッケージを導入しました。しかし、標準機能では独自の業務に対応しきれませんでした。

  • 独自の精算:サブリース計算や、特定オーナーとの個別の処理
  • 特殊な管理形態:サ高住などの運用
  • 二重管理:処理できない業務を、表計算ソフトで補う

二重管理によって、作業量が増えてしまいました。価格や知名度だけで選び、必要な要件を洗い出さないまま進めると、安くても費用を抑えられない場合があります。

必要な機能は、会社の得意分野によって異なります。店舗・事業用テナントや社宅代行などの扱いは、とくに差が出る部分です。そのため、標準機能でどこまでカバーできるか、何が不足するかを事前に見極めておく必要があります。

業務起点のスクラッチ開発で定着させた事例

立て直しに成功した事例では、開発の前に、現場の業務フローを見える形にしました。受付や家賃管理などで、担当者と処理の順序を洗い出しています。

  • 現状の整理:業務の流れを洗い出し、AsIs(現状)をつかむ
  • あるべき姿の設計:ToBe(あるべき業務)を決めてから、自社業務に合わせて作る
  • 段階的な置き換え:効果の大きい業務から、機能を広げていく

整理の対象は、受付や家賃管理に加え、契約更新やオーナー報告にも及びます。その結果、表計算ソフトとの二重管理を解消できました。

最初からすべてを作り込まず、家賃管理や問い合わせ対応から置き換えました。現場が効果を実感してから機能を広げ、社内への定着を図っています。

riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発の立場から、業務起点の設計と段階的な定着を重視しています。成果だけでなく、現場で使われた理由に注目することが、失敗を避けることにつながります。

データ移行と並行稼働を丁寧に進めた事例

立て直しで特に慎重さが必要なのは、データ移行です。旧システムや表計算ソフトから新システムへ、賃貸管理のデータを正確に移します。

  • 移行対象:物件・契約・入金履歴・敷金残高・滞納残高
  • 並行稼働:移行後も一定期間は、新旧システムを併用する
  • 切り替え判断:両方の数字が一致しているかを確かめる

データ移行は、賃貸管理のなかでも神経を使う工程です。事例では、本格運用へ移るまで慎重に手順を進めました。

並行稼働には人手と費用がかかりますが、全面切り替えの後に敷金や滞納残高の不整合が見つかる事態は避けられます。データの正確さは、送金や入居者対応に直結します。

移行を急がず検証期間を取る進め方は、立て直しの事例に共通しています。

ポイント

既製品が合わない場合は、立て直しの原因を業務の流れから見直すことが鍵になります。段階的に置き換え、並行稼働で数字を確かめながら定着させる進め方が求められます。

まとめ

賃貸管理システムの事例に共通するのは、現場の業務から逆算し、効果の大きい領域から段階的にデジタル化していることです。

問い合わせ受付は取り逃がしや属人化を減らし、家賃管理の自動化は月次作業を圧縮して滞納回収を早めます。また、オーナー向けポータルは透明性を高め、管理契約の継続を支えます。

一方で、価格や知名度だけで選んだパッケージが業務に合わず、二重管理を招いた事例もあります。こうした事例は、要件を洗い出すことの大切さを示しています。

事例を読むときは、導入した製品よりも、現場で使われた理由に注目してください。自社の戸数と業務フローを踏まえ、効果の大きい家賃管理や問い合わせ対応から着手できます。

riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、業務起点の要件整理と定着するシステムづくりを支援します。全体像の確認には完全ガイドをご活用ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。