運用保守の事例では、保守費の見直しや障害件数の削減、属人化の解消など、運用フェーズで何が変わったかが語られます。
自社と似た状況の企業がどんな体制で成果を出したかを知ると、投資判断や委託先選定の精度を高められます。事例に絞って、発注企業の視点から導入・開発・活用・成功の各事例を掘り下げています。自社がどこから着手し、どんな効果を狙うかを考える手がかりにもなります。全体像をまだ把握していない方は、まず運用保守の完全ガイドから読むのがおすすめです。
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ベンダー乗り換えで保守費と障害を改善した事例
運用保守の事例でもっとも相談が多いのが、「既存ベンダーの保守費が高止まりしている」「障害が多いのに改善されない」という不満からの乗り換えです。
運用保守費の相場は、一般に開発費の年15〜20%が目安とされ、一部では10〜15%や約5%という水準もあります(出典:ripla)。この相場感を知らないまま長年同じ契約を続けていると、稼働の実態に見合わない金額を払い続けているケースが少なくありません。
保守費の内訳を可視化してコストを最適化した事例
乗り換え事例で最初に効くのが、保守費の内訳を見える化することです。内訳の目安は、定期保守が20〜30%、監視が15〜25%、障害対応が25〜35%です。
問い合わせ対応は10〜20%、軽微改修は10〜15%です。また、管理報告は5〜10%とされています(出典:ripla)。
この内訳を委託先に開示してもらうと、「ほとんど稼働していない月にも定額が請求されている」「監視と障害対応の比率が実態と合っていない」といった無駄が見えてきます。
ある中規模システムの事例では、月額保守費の内訳を精査した結果、実際の稼働は監視と軽微改修が中心で、高額な障害対応枠が名ばかりになっていることが分かりました。
契約を稼働実態に合わせて組み直し、規模別の月額目安(中規模で15〜50万円)の範囲に収めた結果、年間の保守費を二割以上圧縮しています(出典:ripla)。
大切なのは、値下げを感情で進めるのではなく、内訳という客観的な数字を土台に「何にいくら払っているか」を双方で合意することです。この可視化の過程は、ベンダーとの健全な関係づくりにもつながります。
- 定額請求の確認:稼働の少ない月にも定額の請求が続いていないかを見る
- 比率の照合:監視や障害対応の比率が、実際の作業量と合っているかを比べる
障害件数Before/Afterで効果を定量化した事例
乗り換えの成否を測るうえで欠かせないのが、障害件数のBefore/Afterです。前ベンダー時代は「障害が起きてから対応する」受け身の保守で、月に数件の重大障害が常態化していた、という事例は珍しくありません。
乗り換え後は、監視を強化し、ログやリソースの傾向から予兆を捉えて先回りで対処する体制に切り替えました。その結果、重大障害の発生件数を減らせたという改善が報告されています。
この効果を稟議で示すには、障害の件数だけでなく、業務停止による損失も数字で示すことが有効です(出典:ripla)。
障害が減り、起きても早く直るようになれば、現場の残業や顧客からのクレーム対応も連動して減ります。事例を読むときは、こうしたBefore/Afterの定量化が、運用保守という見えにくい投資の価値を社内に説明する最良の材料になることを意識してください。
- 障害件数:重大障害の発生件数を、Before期間とAfter期間で並べて比べる
- 復旧までの時間:重大4時間・通常8時間の目安と、平均復旧時間の変化を見る
ひとり情シスが運用を委託して本来業務に戻った事例

中小企業や成長企業でよく見られるのが、情報システム担当が一人しかいない「ひとり情シス」が、運用保守の日常業務に忙殺されているケースです。
監視や問い合わせ対応を一人で抱え込むと、本来取り組むべきDX推進やシステム企画に手が回りません。バックアップ確認や軽微な改修まで重なれば、なおさらです。
この状態を運用委託で解消した事例は、運用保守の価値を分かりやすく示してくれます。
定型運用業務を切り出して委託した事例
ひとり情シスの委託事例で効果が大きいのは、まず定型的な運用業務を切り出すことです。
リソース使用率のチェックや月次の稼働レポート作成も、手順が決まっているため外部に任せやすい領域です。
運用委託のサービス費用は、月20〜50万円程度が一つの目安とされ(出典:ripla)、人を一人雇うより柔軟かつ専門的な体制を確保できます。
定型業務を委託したことで、担当者は「何かあったら自分が止める」というプレッシャーから解放されました。また、夜間や休日の障害対応も、外部のオンコール体制に任せられるようになりました。
担当者は日中、本来のシステム企画やベンダー折衝に集中できるようになった、という事例が多く見られます。
ただし、すべてを丸投げするわけではありません。判断を伴う改修や経営に関わる意思決定は社内に残し、手順化できる運用だけを切り出すことが大切です。この線引きが、委託の費用対効果を最大化します。
- 切り出す業務:死活監視やバックアップ確認など、手順が決まっている定型業務
- 社内に残す業務:判断を伴う改修や、経営に関わる意思決定
属人化を解消しドキュメントを整備した事例
ひとり情シス体制のもう一つの問題が、運用ノウハウの属人化です。担当者の頭の中にしか手順がないと、その人が退職や休職をした瞬間に、システムがブラックボックス化してしまいます。
委託事例で見過ごされやすい価値の一つが、この属人化の解消です。外部に運用を引き継ぐ過程では、ドキュメントを整備せざるを得なくなります。その結果、組織の運用知が文書として残ります。
ある事例では、委託開始時に三か月かけて既存の運用実態をヒアリングし、暗黙知だった手順を運用ドキュメントに書き起こしました。
これにより、その後に担当者が異動しても運用が滞らない体制が整い、社内に運用の標準が残りました。委託は、これまで一人の頭の中にあったものを組織の資産に変える機会でもあります。
riplaはフルスクラッチ受託と国内運用保守の立場から、作った後の運用フェーズでもドキュメントを整えながら継続して伴走することを重視しています。
- 引き継ぎ時のドキュメント:運用手順書、障害対応フロー、システム構成図
- 暗黙知の書き起こし:三か月かけた実態のヒアリングをもとに、手順を文書にする
SLAを定量管理に切り替えて運用が安定した事例

「障害対応が遅い」「いつ直るのか分からない」という不満の多くは、SLA(サービス品質保証)が曖昧なまま運用を続けていることが原因です。
SLAを定性的な約束から定量的な指標へ切り替えたことで運用が劇的に安定した事例は、保守の質を客観的に語るうえで参考になります。
稼働率と応答・復旧時間を数値で約束した事例
SLA定量化の事例で核になるのが、稼働率と応答・復旧時間を数値で約束することです。さらに、エスカレーションは30分と定めます。
恒久対応は5営業日といった具体的な数値で取り決めます(出典:ripla)。数値で決めておけば、「迅速に対応します」といった曖昧な約束に頼らず、現場も委託先も同じ基準で動けます。
数値で約束した事例では、障害発生時に「いつまでに第一報が来て、いつまでに復旧するのか」が事前に分かるため、社内の関係部署や顧客への説明がスムーズになりました。
経営層も、「稼働率99.9%を達成できているか」という一つの指標で運用品質を把握できます。SLAは委託先を縛るための取り決めにとどまらず、双方が品質を共通言語で語るための土台です。
この共通言語があることで、障害のたびに起きていた水掛け論が解消された、という声は多く聞かれます。
- 稼働率:99.9%を保証し、月間の停止許容は約43分と示す
- 応答と復旧の時間:初報は重大15分・通常2時間、復旧目安は重大4時間・通常8時間
定期レポートでSLA達成状況を見える化した事例
SLAを設定するだけでなく、その達成状況を定期レポートで見える化したことが、運用安定につながった事例もあります。レポートは月次で作成し、SLAを満たしたかどうかを報告書にまとめて、定例会で振り返っています。
管理報告の工数は保守費内訳の5〜10%程度とされています(出典:ripla)。それでも、ここを省くと運用は「やりっぱなし」になり、改善が回りません。
レポートを継続した事例では、たとえば、「特定の時間帯にリソースが逼迫している」「同じ種類の問い合わせが繰り返されている」といった傾向が見えてきました。その結果、根本対策につながりました。
問い合わせの多い操作はマニュアルを整え、リソースの逼迫は定期メンテナンスで先回りして対処しました。こうして、レポートが次の改善の材料になることで、運用は守りから攻めへと進化します。
事例から学べるのは、SLAは数値を決めて終わりにせず、レポートで継続的に振り返ってこそ価値を生む、という運用の基本姿勢です。
- 月次レポートの中身:稼働率の実績、障害の件数と内訳、応答・復旧時間のSLA達成状況
- レポートの使いどころ:特定の時間帯の逼迫や問い合わせの繰り返しを、マニュアルや定期メンテナンスの改善につなげる
塩漬けシステムを段階的に立て直した事例

発注側がもっとも学べるのは、順調な運用の話よりも、長年改修されず「塩漬け」になったシステムをどう立て直したかという、難易度の高い経験です。
古い技術で作られ、ドキュメントもなく、作った担当者もいないシステムは、放置すればセキュリティリスクの塊になります。この立て直し事例は、運用保守が単なる現状維持ではなく、システムの寿命を延ばす攻めの活動であることを示します。
現状把握とリスク棚卸しから始めた事例
塩漬けシステムの立て直しは、いきなり作り変えるのではなく、現状を把握してリスクを洗い出すことから始めるのが定石です。
立て直しに成功した事例では、まず稼働中のシステムの状態を確認しました。そのうえで、サポート切れの有無も一通り洗い出しています。
古いOSやミドルウェアがサポート終了を迎えている場合は、そこが最優先の対処箇所になります。
この洗い出しによって、「どこが今すぐ危険で、どこは当面様子を見られるか」という優先順位が見えてきます。限られた保守予算を、リスクの高い箇所から順に投入します。そうすることで、丸ごと作り直す大規模投資を避けながら、危険度を段階的に下げられます。
事例が教えるのは、塩漬けシステムであっても、むやみに全面刷新へ走る前に現状を見える化し、リスクをもとに判断することが大切だという点です。これが、費用対効果の高い立て直しの第一歩になります。
- 現状の洗い出し:稼働中の構成、依存ライブラリのバージョン、セキュリティ上の弱点
- 最優先の対処:サポート終了を迎えた古いOSやミドルウェア
軽微改修を積み重ねて継続改善した事例
立て直しの後半で効いてくるのが、軽微改修の積み重ねです。一度に大改修するのではなく、月々の保守の中で、小さな改善を継続的に行います。
軽微改修は保守費内訳の10〜15%程度を占める領域ですが(出典:ripla)、ここを計画的に使うことで、システムは少しずつ健全さを取り戻していきます。
継続改善に成功した事例では、四半期ごとに「次に手を入れる箇所」を委託先と合意し、優先度の高いものから着実に進めていきました。
こうして、塩漬けだったシステムは「手入れの行き届いたシステム」へと変わっていきます。ここでも、現場の業務への影響を起点に改善の順番を決めます。
riplaはフルスクラッチ受託と国内運用保守の立場から、塩漬けを避け、作った後も軽微改修を積み重ねながらシステムの寿命を延ばす伴走を一貫して重視しています。
- 月々の保守での改修:危険なライブラリの更新、使われていない機能の整理、ログ出力の改善
- 四半期ごとの合意:次に手を入れる箇所を委託先と決め、優先度の高いものから進める
まとめ
システム運用保守の事例を振り返ると、成果を出した企業に共通するのは、保守費の内訳や障害件数、SLA達成状況といった数字を見える化し、現場の業務から逆算して段階的に改善したという点です。
ベンダー乗り換えでは内訳の精査が保守費の最適化と障害削減を生み、ひとり情シスの委託では定型業務の切り出しと属人化解消が本来業務への回帰を実現しました。
SLAの定量化は稼働率99.9%や復旧目安といった共通言語で運用を安定させ、塩漬けシステムの立て直しは現状把握と軽微改修の積み重ねで寿命を延ばしました。
事例を読むときに大切なのは、「派手な刷新をしたか」ではなく「どんな数字をどう改善したか」という視点です。
保守費は開発費の年15〜20%という相場を基準に、自社の内訳とSLAを照らし合わせ、まずは効果の見えやすい監視や障害対応の改善から一歩を踏み出してください。
riplaはフルスクラッチ受託と国内運用保守を組み合わせ、作った後も数字で語れる運用と、現場に定着する継続的な改善を一貫して支援します。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
