部品管理システム(BOM)の必要機能や標準機能の一覧について

部品管理システム(BOM)に必要な機能は、構成管理・所要量計算・設計変更を中心とする4領域で整理できます。

設計・調達・生産の業務から必須機能を見極め、標準機能と追加対応を分けて選ぶことが大切です。全体像は、部品管理システム(BOM)の完全ガイドで確認できます。

  • 多階層BOM:部品構成と版の管理
  • MRP・発注:所要量計算と購買の支援
  • 設計変更管理:設変と版数の履歴の追跡
  • 外部連携・支給品:既存システムや外注先との連携

▼全体ガイドの記事
・部品管理システム(BOM)の完全ガイド

多階層BOMの構成管理機能の標準と必須

完成品から組立ユニット、サブアセンブリ、購入部品や加工部品へ続く多階層BOMの図解。
下の階層へたどると、製品に必要な部品構成を確認できます。

部品管理システム(BOM)の中核は、製品の部品構成をツリー構造で管理する構成管理機能です。完成品の下に組立ユニットがあり、その下にサブアセンブリ、さらに個々の購入部品や加工部品がぶら下がります。

BOMシステムでは、この多階層の親子関係を正確に保ち、製品を1台作るのに必要な部品と数量を、階層をたどって積み上げられることが大前提です。一般的な在庫管理パッケージとの大きな違いは、ここにあります。

多階層ツリーの展開・逆展開・員数計算機能

BOM構成管理でもっとも重要なのは、ツリーの展開・逆展開と員数計算です。展開(部品展開)は、完成品を頂点に「この製品にはどの部品が、どの階層で、何個必要か」を下方向にたどります。逆展開(親検索)は、ある部品から「どの製品・どのユニットに使われているか」を上方向にたどり、設計変更や代替部品の検討に使います。

員数計算は、各階層の員数を掛け合わせて完成品1台あたりの総所要数を自動で求め、後段のMRPの精度を支えます。とくに逆展開は、廃番や品質不具合で対象を特定するとき、使われている全製品を瞬時に洗い出せなければ、影響範囲の調査に膨大な工数がかかり、ないと困る必須機能です。Excel運用では逆展開がほぼ不可能で、担当者が記憶と勘で探すしかありません。

展開・逆展開・員数計算の三点セットが、多階層BOMをシステムで扱う意味そのものです。展開機能は、階層をたどるだけでなく、サマリー展開(一覧)、部分展開(特定階層)、集約展開(購入部品の抽出)など、用途に応じた表示や出力の柔軟さも見ておきたい点です。設計・調達・生産管理など多くの部門が参照するため、同じ構成データを部門ごとに使いやすく見せられる展開機能が、利用価値を大きく押し上げます。

部品マスタ・代替部品・調達情報の管理機能

構成管理を支える部品マスタでは、品番・品名・規格といった属性を一意に管理し、同じ部品が別の品番で重複登録されないようにすることが求められます。さらに、メーカーや調達リードタイムも同じマスタで管理します。最小発注ロットと単価も、あわせて持たせます。部品マスタが乱れると、同一部品の在庫が分散して、片方で欠品、片方で過剰在庫という事態を招きます。一意な部品マスタは、BOM全体の正確さを決める出発点です。

代替部品(互換部品)を管理しておけば、主部品が欠品・廃番になったとき、設計上問題なく使える代替部品にすぐ手配を切り替えられます。さらに、メーカー品番と自社品番の対応づけや、購入先の複数登録(マルチソース)などの調達情報を持たせると、購買業務との接続がスムーズになります。新規部品の採番ルールや一括登録・一括更新も、運用面で評価したい点です。

新しい部品を登録するたびに品番が重複したり、命名規則がバラバラになったりすると、マスタはすぐ乱れます。そこで、採番を半自動化し、CSVでの一括取り込み・更新を備えていれば、日常のマスタ更新の負荷が下がり、現場が無理なく運用を続けられます。構築時の機能だけでなく、公開後に自社でマスタを保ち続けられるかを、機能評価に必ず含めてください。

ポイント

製品が多階層の場合は、展開・逆展開・員数計算と部品マスタの作り込みを優先して比べると、機能の差を判断しやすくなります。

所要量計算(MRP)と発注支援機能

生産計画とBOMから総所要量を求め、現在庫と発注残を差し引いて正味の発注必要量を算出する流れ。
在庫と発注済みの数量を反映して、追加手配分を絞り込みます。

構成管理が「製品の作り方」を表すのに対して、所要量計算(MRP)は「いつ・何を・いくつ発注するか」を導く機能です。

生産計画とBOMを掛け合わせて必要な部品の総所要量を求め、現在庫と発注残を差し引いて、正味の発注必要量を自動で算出します。

この計算をExcelの手作業から解放できれば、BOM導入の投資回収を直接押し上げます。発注支援機能は、部品管理システム(BOM)の効果がもっとも数字で見える領域です。

正味所要量計算とリードタイム逆算の機能

MRPの核は、正味所要量の計算とリードタイムの逆算です。たとえば「来月この製品を100台作る」という生産計画をBOMで部品展開し、各部品の総所要数を求めます。次に、現在庫と既に発注済みの発注残を差し引くと、追加で発注すべき正味の数量が出ます。

さらに、各部品の調達リードタイムを逆算し「いつ発注をかければよいか」まで示すのが、実務で効くMRPです。一方、この計算を人手で行うと、計算ミスによる欠品や念のための過剰発注が避けられません。とくに多品種少量生産で部品の共通化が進む現場では、共通部品をまとめて発注すればロット単価を下げられますが、手計算では集計が追いつかず機会を逃しがちです。

そこで、MRPで共通部品の所要量を束ねて計算すれば、ロット単価の低減と欠品防止を同時に実現できます。正味所要量とリードタイム逆算は、発注業務の質を一段引き上げる必須機能です。

発注残・在庫引当・原価積み上げの機能

発注残(発注済みでまだ入荷していない数量)を正しく把握できないと二重発注や欠品が起きるため、発注したら発注残に計上し、入荷したら在庫に振り替える動作を確実に回すことが前提です。あわせて、在庫引当で引当済みと引当可能(フリー在庫)を区別すれば、見かけの在庫数に惑わされず、正確な発注判断ができます。発注残と在庫引当、原価積み上げが揃って初めて、MRPは現場が信頼して発注を任せられる水準に達します。

もう一つ、BOMならではの原価の積み上げでは、各部品の単価をツリーに沿って積み、組立ユニットや完成品の原価を自動算出できます。設計段階で構成を変えた場合の原価をシミュレーションできれば、コスト企画の精度が上がります。リサーチでも、基幹システム連携の費用は100〜500万円が目安とされますが、これらの機能を在庫・購買システムとつなぐことが、その投資の前提になります。

発注支援では、自社の発注頻度と部品点数に照らして、どこまで自動化するかを見極めます。計算結果をそのまま購買に渡すか、担当者が承認してから発注するかで、必要な機能が変わります。完全自動発注は効率的でも、BOMや在庫データが不正確だと誤発注を量産するため、人手のチェックを残し、データの精度が上がるにつれて自動化を進める段階的な設計が現実的です。

ポイント

計算結果を購買へそのまま渡すか、担当者が承認してから発注するかで必要な機能が変わるため、発注頻度と部品点数から自動化の度合いを先に決めておくと比べやすくなります。

設計変更(設変)と版数管理の機能

設計変更通知、有効日、リビジョン、旧部品の発注残を並べた設計変更管理の図解。
変更の承認から切り替え後の在庫計画まで、管理対象が広がります。

部品管理システム(BOM)が汎用パッケージと一線を画すのが、設計変更(設変)を扱う機能です。製品は、改良やコストダウン、部品の廃番対応などを経て、構成が絶えず変わっていきます。

この変更を、いつから・どのロットから適用するかを履歴として残しながら管理できることが、品質保証とトレーサビリティの観点でも欠かせません。

設変管理機能の有無が、BOMが現場に定着するかどうかを大きく左右します。

設変通知(ECN)と有効日・リビジョン管理機能

設変管理の中心は、設計変更通知(ECN)と有効日(適用開始日)、リビジョン(版数)の管理です。設計変更が承認されたら、その内容をECNとして登録し、いつから新構成を適用するかを有効日で指定します。BOMは有効日を境に、この日まで(このロットまで)は旧構成、この日から(このロットから)は新構成と切り替わり、過去の構成をリビジョンとして遡れる状態を保ちます。

これにより、品質不具合の調査で「当時の構成」を正確に再現できます。とくに重要なのが、旧部品の在庫や発注残をどう処理するかを支援する機能です。なぜなら、設変が決まっても旧部品の在庫や発注残が残っていれば、使い切ってから切り替えるのか、即切り替えて廃棄するのかを判断しなければならないためです。

そこで、旧部品の発注残を一覧で把握し、新部品の手配と並行して計画できると、設変に伴う欠品も死蔵在庫も最小化できます。ECN・有効日・リビジョン管理は、設変が頻繁な製造業ほど効果が大きい中核機能です。

設計BOM(E-BOM)と製造BOM(M-BOM)の変換機能

設変を正しく回すうえで欠かせないのが、設計BOM(E-BOM)と製造BOM(M-BOM)を橋渡しする機能です。設計部門は機能や図面の観点で部品を構成し、製造現場は組立工程や調達単位の観点で部品をまとめたいため、両者のズレは必ず生じます。E-BOMとM-BOMを別々に管理し、片方の変更が他方に伝わらないと、設計と製造の不整合が起きます。

そこで、両者をシステム上で対応づけ、設計変更がE-BOMに入ると対応するM-BOMにも反映される仕組みにすれば、二重管理を防げます。変換機能では、E-BOMの構成をM-BOM向けに組み替えるルールを、どこまでシステム化するかが論点です。工程順への並べ替え・調達単位へのまとめ・製造用の付帯部品(接着剤・ネジ等の副資材)の追加といった変換は、人手の補正を残しつつ半自動化できると現実的です。

設計と製造が同じBOMを源流として共有できるかが要で、曖昧にすると設変のたびに不整合が再燃します。設変は起案・検討・承認と複数の関係者を経るため、誰がいつ承認したかの履歴が、内部統制とトレーサビリティに効きます。承認前の変更が製造現場に流れないよう、承認ワークフロー機能で承認ステータスをBOM上で管理し、承認済みの構成だけを製造に反映させるのが有効です。

ポイント

設変が頻繁な場合は、ECN・有効日・リビジョンで旧構成と新構成を切り替えられるか、旧部品の在庫と発注残を計画できるかを優先して見ると判断しやすくなります。

外部連携・支給品管理と機能の優先度づけ

部品管理システム(BOM)の投資効果を最大化するのが、外部システムとの連携機能と、外注先への支給品を扱う機能です。

BOMを購買・在庫・会計・ERPとつなぎ、外注加工の支給品まで管理できると、部品にまつわる情報が一本につながります。

ERP連携・支給品管理・トレーサビリティの機能

連携・支給品・トレーサビリティは、BOMの効果を業務全体へ広げる機能群です。連携では、所要量・発注情報を購買システムへ、入出庫を在庫システムへ、原価を会計システムへ流すことで、同じデータを何度も手入力する二重入力をなくします。外注加工の支給品管理も製造業では重要で、無償支給(自社が原価を持ったまま委託先に預ける)と有償支給(一度売って加工品を買い戻す)を区別して管理する必要があります。

そのうえで、委託先別の支給残を管理できれば、「他社にあるが自社資産」という棚卸資産の状態も正確に追えます。BOMから製品1台あたりの支給部品数が分かるため、生産計画に応じた支給の計画も立てられます。さらに、ロット・シリアル単位のトレーサビリティ機能を備えると、品質保証の水準が上がります。

どの製品に、どのロットの部品が、どの設変リビジョンで組み込まれたかを記録できれば、不具合発生時に対象製品を最小範囲で特定できます。リサーチでも、連携は「つなげば全体最適」と考えるより、どのシステムが部品マスタの正(マスター)を持つか、どの方向にデータを流すかを設計する地道な工程だと指摘されています。

必須機能と「あれば便利」を切り分ける考え方

機能を網羅的に把握したうえで、最後に大切なのが「必須機能」と「あれば便利な機能」を切り分ける作業です。BOMシステムは機能を盛り込むほど費用が膨らむため、すべてを最初から作ろうとすると予算が破綻します。多階層の構成管理(展開と逆展開を含む)・部品マスタ・MRP・設変と版数管理は、これがないと業務が回らない必須機能です。

一方、高度な原価シミュレーションや凝った分析ダッシュボードは、効果を見て後から追加できる「あれば便利」に分類できます。この切り分けでは、自社の製品構造・設変頻度・外注比率・支給品の有無に照らして、「これがないと現場がExcelに戻る」機能を見極めます。だからこそ、機能の検討は要件定義のプロセスと一体で進めるべきです。

riplaはフルスクラッチ受託と国内開発の立場から、機能の網羅的な洗い出しと、必須・優先・将来追加の三段階での取捨選択を支援しています。なお、機能要件を、RFPや要件定義書にどう落とし込むかは、関連記事で詳しく解説しています。

ポイント

ERPなどとの連携や支給品、トレーサビリティを含め、部品マスタの正をどのシステムが持つかを先に決めておくと、機能の比較と必須かどうかの判断が進めやすくなります。

まとめ

部品管理システム(BOM)に必要な機能は、構成管理・所要量計算(MRP)・設計変更を中心とする4領域で整理すると、漏れを防げます。

とくに、展開と逆展開・員数計算を備えた構成管理と、正味所要量とリードタイム逆算を行うMRPが、一般的な在庫管理パッケージとの大きな違いです。さらに、ECN・有効日・リビジョンによる設変管理と、E-BOMとM-BOMの変換が、現場に使われるBOMになるかどうかを決めます。

ERP連携・支給品管理・トレーサビリティを備えれば、部品の情報が業務全体で一本につながります。機能の検討は、一覧を眺めるだけでは終わらず、自社の製品構造・設変頻度・外注比率に照らして「業務が回らなくなる機能はどれか」を見極め、要件定義へと落とし込むことが不可欠です。

riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、機能の網羅的な洗い出しと、自社の製造実態に合わせた機能設計を一貫して支援します。全体像を確認するには、あらためて完全ガイドをご活用ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。