配車/物流管理システムの必要機能や標準機能の一覧について

配車/物流管理システムの機能は、配車計画、動態管理、労務・法令対応、外部連携の4つに、ドライバー向けアプリを加えた5つに分けて押さえると、要件定義や製品選定に役立ちます。

標準機能と必須機能を取り違えると、必要な機能が足りず、現場がExcelに戻るおそれがあります。全体像は配車/物流管理システムの完全ガイドもご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・配車/物流管理システムの完全ガイド

配車計画・ルート最適化の中核機能

AI配車に与える積載量や重量制限、配送先の時間指定や走行距離、ドライバーの稼働時間を3つのチェック項目で示した図。
車両・配送・稼働の条件がそろうと、配車案を組み立てやすくなります。

車両ごとに荷物と積載順、巡回ルートを組む作業は、配車業務のなかでも特に判断が求められ、長年ベテランの経験や勘に頼ってきました。そのため、この組み立てをシステムがどこまで支援・自動化できるかで、導入の価値は大きく変わります。配車計画機能は、担当者による属人化を解き、業務効率化を担う中核にあたります。

AI自動配車・ルート最適化機能

配車計画のなかでも近年注目されているのが、AIや最適化アルゴリズムで配車案を自動で組む機能です。複雑な組み合わせを高速に解き、人では見つけにくい案を示します。ただし、AIに任せればボタン一つで完璧な配車表が出来上がるとは限らず、次の条件を正しく与える必要があります。

  • 車両条件:積載量や重量制限
  • 配送条件:配送先の時間指定や走行距離
  • 稼働条件:ドライバーの稼働時間

たとえば、車両10台・配送先数十カ所でも組み合わせは膨大になり、手作業では最適解に届きにくい場合があります。

AI動的ルート最適化で平均配送時間を15%削減した事例があります。また、AI配車では積載率が平均10%向上し、配送コストが15〜30%削減された事例もあります。

配車計画システムのODINでは、最大で年間530万円の削減や、走行距離30%減、配送時間22%減が報告されています(出典:オンラインコンサルタント等)。

AI配車の実用精度は、出禁先・相性・特殊車両など、自社固有の制約をどこまで設定できるかで変わります。選定の際は、自社の制約をどこまで条件として与えられるかを、製品ごとに見ておく必要があります。

配車表作成・手動調整・ドライバー割当機能

AI自動配車には目が向きがちです。一方で、実務では配車表をシステム上で作成・編集する機能も同じくらい大切です。現場に合わせて調整できる画面かどうかで、使い勝手は大きく変わります。

  • 配車表の編集:AI案を叩き台にした手動調整
  • 割当制御:保有資格ごとのドライバーの割り当て
  • 稼働状況の表示:車両やドライバーの状況の一覧

完全自動よりも、AI案を人が最終判断する半自動の運用が、現場では現実的です。車両・ドライバーのマスタ管理も含め、けん引や危険物などの資格をどう扱うかを確かめておきます。

配車ボードで担当者の情報をチームで共有できれば、担当者が休んでも業務を続けられます。ただし、Excelやホワイトボードに慣れた現場では、操作が複雑だと使われなくなることがあります。

配車計画機能は、AIで配車を最適に組めるかと、人が調整しやすいかの両面で評価します。

ポイント

配車計画の機能は、AIの案がどこまで自社の制約を条件に組み込めるかと、人が配車表を手直ししやすいかの両面で見ます。どちらか一方に偏ると、現場で使い続けにくくなります。

リアルタイム動態管理・進捗共有機能

動態管理から現在地の確認、ETAの共有、遅延の検知へつながる3つの確認項目を示した図。
位置・到着予定・遅れを関係者がそれぞれ確認できます。

動態管理機能は、計画どおりに運行が進んでいるかを把握するための機能です。GPSやスマートフォンアプリを使い、車両の現在地や進捗、到着予定時刻をリアルタイムで見えるようにします。

配車計画が事前の計画を担うのに対し、動態管理は運行中の動きを扱う機能です。両者を組み合わせることで、システム全体の価値が生まれます。「やってよかった」という声が多い機能群の一つで、問い合わせ対応を大きく減らせます。

GPS現在地表示・到着予定(ETA)共有機能

動態管理の基本になるのは、配送の進み具合を関係者が自分で見通せる仕組みです。

  • 現在地の確認:地図上で見る車両の位置
  • ETAの共有:関係者へ伝える到着予定時刻
  • 遅延の検知:配送先への先回りの連絡

配車担当者や荷主が地図で確かめられれば、ドライバーに電話で位置を聞く手間が省け、双方の問い合わせ対応も減らせます。

遅延を早く検知して配送先へ連絡できれば、クレームの予防にもつながります。

位置情報は、専用の車載機(デジタコ)から取る方式のほか、ドライバーのスマートフォンアプリから取る方式も普及しています。スマホ方式は導入コストを抑えやすい一方、既存のデジタコと併用すると二重管理になりやすい点に注意が必要です。

荷主指定のアプリも併用すると、ドライバーが同じ情報を二重に入力する負担が生じます。

選定の際は、既存のデジタコや車載機と連携できるか、そしてドライバーの入力負担を増やさない設計になっているかを確かめます。

配送実績記録・電子サイン・荷待ち記録機能

運行中の動態だけでなく、配送完了の実績を残す機能も欠かせません。計画との差の分析に使えるほか、受領者の電子サインや写真は、誤配や未着に備える証跡として役立ちます。

  • 配送実績の電子化:紙の日報や受領印の管理負担の軽減と、配車精度の改善への活用
  • 荷待ち時間の記録:客観的な数字での把握と、企業間の責任範囲を線引きする根拠

2024年問題の流れのなかで、荷待ち時間の記録は重みを増しています。特に、2026年4月に本格施行された改正物流効率化法では、一定規模以上の荷主に荷待ち削減が義務化されています。

ただし、ドライバーの自己申告だけだと、荷主が証拠として認めにくいことがあります。そこで、バース予約システムや荷主のWMSと連携し、自己申告に頼らない客観的な記録を残す方法があります。

ポイント

動態管理の機能は、位置や到着予定が関係者に伝わるかと、配送実績や荷待ち時間が客観的に残るかで見ます。ドライバーの入力を二重に増やしていないかも、判断の材料になります。

労務・法令対応(2024年問題)の機能

計画時の確認、運行実績の集計、配車の調整の順に進む拘束時間管理の流れを示した図。
計画段階の警告と実績の把握が、違反前の配車見直しにつながります。

法令対応の基盤としてシステムを捉えると、必要な機能が変わってきます。2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働は年960時間、拘束時間は原則として年3,300時間までという上限規制が適用されています。

そのため、拘束時間をシステムで管理し、違反を未然に防ぐ機能が求められます。労務・法令対応は、配車システムを選ぶ際の大事な観点です。

拘束時間・労働時間の上限管理・アラート機能

2024年問題への対応の核になるのが、拘束時間・労働時間を集計し、上限に近づくと知らせる機能です。

  • 計画時の確認:拘束時間の上限超過の警告
  • 運行実績の集計:動態データから作る勤怠データ
  • 配車の調整:上限に近いドライバーの早期把握

年単位の上限を守るには、月単位・年単位の拘束時間を把握する必要があります。動態データを集計すれば、その数字を配車計画に反映できます。配車計画の段階で上限超過を見つけておけば、違反になる前に配車を組み直して、法令違反を防げます。

なお、動態データを勤怠・給与システムへ連携する労務連携は、製品によって差がつく機能です。配車・運行の管理にとどまり、労務管理システムとの接続がない製品も多くあります。

実拘束時間を勤怠システムに連携して拘束時間の上限をシステム上で担保できれば、法令対応の確実性が高まります。選定の際は、この労務連携の有無を差別化のポイントとして見ておくとよいでしょう。

運行日報・実績レポート・KPI分析機能

運行日報の自動作成や実績レポートは、法令対応と業務改善の両方に役立ちます。動態管理の走行データから日報を作れるため、手書きの負担が減り、記録の正確さも高まります。

  • 日報の自動作成:走行データからの運行日報の作成
  • 記録の保管:点呼記録や運行記録のデジタル化
  • KPI分析:指標ごとの数字の比較

帳票をまとめて扱えるようにすると、紙やExcelでの管理が減り、事務工数の削減にもつながります。KPIには、車両ごとの稼働率、ドライバーごとの拘束時間、ルート別の効率、燃費などがあります。

実績データを見れば、改善できる余地が分かります。また、物流効率化法が求める中長期計画の策定にも活用できます。

配車・運行・労務のデータを一貫して持っていれば、記録だけで終わらず、改善を続けられます。

ポイント

労務・法令対応は、拘束時間の上限を計画段階で管理できるかと、動態データを勤怠に連携できるかで見ます。製品によって差があるため、勤怠・給与システムとの連携は早めに確かめておくとよいでしょう。

WMS・基幹システムとの外部連携機能

配車・物流管理システムの投資効果は、外部連携のしかたで大きく変わります。倉庫管理システム(WMS)や基幹システムとつなぐと、受注から出荷、配車、配送、請求までを一続きで連携できます。

連携の設計は、システムの費用と効果の両方に影響します。全体最適を目指すなら、早めに検討すべき論点です。

WMS・基幹・バース予約とのデータ連携機能

連携の中心は、WMSや基幹システムとのAPI連携です。出荷指示が配車システムへ流れ、配車結果が戻ってくるため、二重入力やデータの不整合を防げます。

  • WMS・基幹:出荷指示、在庫、受注のデータ
  • バース予約:到着時刻とバースの空き状況の同期
  • 障害対応:連携エラーの検知と復旧の方法

バース予約システム(MOVO Berth等)と連携すれば、荷待ち時間そのものを構造的に減らせます。また、SCM全体を統合したことで物流効率が9%向上したという報告もあります。

ただし、企業間の連携では、片方の処理が終わった後に他方への送信が失敗するなど、トランザクションの不整合が起こり得ます。検知と復旧の仕組みがないと、データ事故が現場を混乱させます。

そのため、連携機能は、正常時の動きだけでなく、障害の検知と復旧の方法まで確かめておきます。

必須機能と「あれば便利」を切り分ける考え方

機能を把握したあとは、必須の機能と「あれば便利」な機能を分けておきます。機能を増やすほど費用が膨らむため、すべてを初期に導入すると予算が破綻するおそれがあります。

  • 必須:配車表のデジタル化、動態管理、拘束時間管理
  • 後から追加:高度なAI需要予測、詳細な分析ダッシュボード

業務や法令対応が回らなくなる機能は、必須として扱います。そのうえで、MVP(Minimum Viable Product)から始め、効果を見ながら機能を広げていくのが現実的です。

車両台数・配送形態・運行実態に照らして、その機能がないと現場がホワイトボードに戻ってしまうかを見極めます。この判断は、要件定義と一緒に進めます。

riplaは、フルスクラッチ受託とAI駆動開発の立場から、機能を洗い出し、必須・優先・将来追加の三段階で選ぶことを支援しています。

機能要件をRFPや要件定義書へ落とし込む方法は、要件定義の解説記事もあわせてご覧ください。

ポイント

外部連携は、WMSや基幹システムとのデータ受け渡しと障害時の復旧まで見ます。そのうえで、必須と「あれば便利」の機能を分け、初期導入の範囲を決めておくと迷いにくくなります。

ドライバー向けアプリと現場運用を支える機能

配車計画や動態管理に加え、ドライバーが日々使うアプリ機能も欠かせません。使いにくいアプリでは入力が滞り、必要なデータが集まらないためです。

ドライバー向け機能の使い勝手は、システムの成否を左右します。現場で使い続けられるかを、重要な評価軸にします。

運行指示の受信・ナビ連携・完了報告機能

基本となる機能は、配送先や荷物、指定時刻などの運行指示をスマホで受け取り、配送順や地図ルートを確かめられることです。変更後の指示も、リアルタイムに届けられます。

  • 運行指示:届け先と指定時刻
  • ナビ・特記事項:ルートや搬入口、受取担当者
  • 完了報告:配達後の完了記録と、必要に応じた写真

紙の配車表では、変更のたびに刷り直しや電話連絡が必要になります。アプリなら、変更された指示もすぐ手元に届きます。さらに、カーナビアプリとの連携や配達先の特記事項の表示は、ドライバーの迷いを減らします。

完了報告に長い入力が必要だと、運転の合間の負担が大きくなり、アプリが使われなくなることがあります。そのため、ボタン一つで記録できるシンプルさが、継続利用の条件になります。

完了報告が動態管理や実績データに反映されれば、二重入力を避けつつ、ドライバーの操作を会社全体の業務データとして役立てられます。

点呼・連絡・荷主との進捗共有を支える機能

運送業では、運行前後の点呼が法令で義務づけられています。アプリで点呼やアルコールチェックの結果を残せば、証跡をデジタルで保管でき、管理者の事務負担も軽くなります。

  • 点呼記録:運行前後の証跡
  • 連絡:メッセージや通知による指示の伝達
  • 荷主との共有:WebやアプリによるETAや配送状況の確認

配車担当者との連絡を電話以外でも行えるようにすると、運転中の安全にもつながります。現場業務を支える機能が積み重なるほど、システム全体の定着度も高まります。

荷主が自分で状況を見られるようになれば、「いつ着くか」という問い合わせが減り、双方の負担を軽くできます。さらに、進捗を共有できることは、サービス品質の差別化や取引関係の強化にも役立ちます。

ドライバーや荷主を含む関係者をどう支えるかという視点で見ると、長く使われるシステムを選びやすくなります。

ポイント

ドライバー向けのアプリは、運行指示や完了報告が短い操作で済むか、点呼記録や荷主との共有まで支えられるかで見ます。使い続けられるかが、システム全体の成否を左右します。

まとめ

配車/物流管理システムの機能は、配車計画・ルート最適化、動態管理、労務・法令対応、外部連携の4つの層に、ドライバー向けアプリを加えた5つの層で整理できます。なかでも、AIと手動調整の両立、荷待ち記録、拘束時間管理は押さえておきたい部分です。

AI配車による積載率10%の向上や配送コスト15〜30%の削減も、機能が自社の運行実態に合ってこそ実現します。そのため、車両台数・配送形態・運行実態を踏まえて、要件定義へ進むことが大切です。

riplaは、フルスクラッチ受託とAI駆動開発を組み合わせ、機能の洗い出しから、自社の運行実態に合わせた機能設計まで一貫して支援しています。全体像の確認には、完全ガイドをご活用ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。