重工業/造船業界のシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

重工業・造船業界のシステム開発で会社を比べる観点は、長期プロジェクトの原価をどこまで追えるか、設計データと製造データをどこまでつなげられるかです。

数年単位の建造プロジェクト、数百万点に及ぶ可能性がある部品・図面、多数の協力会社、通信環境が不安定な現場を同時に扱うため、一般的な販売管理システムを入れるだけでは業務はつながりません。

  • 長期プロジェクトの原価管理
  • riplaの支援領域
  • E-BOMとM-BOM連携
  • 協力会社との情報共有
  • 発注前の比較項目

重工業・造船業界のシステム開発でパートナー選びが重要な理由

同じプロジェクト番号を中心に、受注時の見積、発注、入庫、作業実績、追加工事を結んだ図解。
各業務データを同じ番号でたどる構成です。

重工業・造船業界では、システムの停止やデータの不整合が、単なる事務作業の遅れでは済まず、調達停止、工程遅延、原価超過に直結します。そのため、会社の知名度だけでなく、業務データをどの単位でつなぎ、段階的に移行できるかを確かめる必要があります。

超長期プロジェクトで最終原価が見えにくい理由

船舶や大型プラントは、受注から設計、調達、製造、試運転、引き渡しまで、複数年にわたることがあります。

工事進行基準に沿って、プロジェクト、船体区画、工程、部品、協力会社の粒度で予算と実績を記録できなければ、完成間際になって初めて赤字が判明する恐れがあります。

受注時の見積、発注、入庫、作業実績、追加工事を同じプロジェクト番号でたどれる設計が必要です。

設計・製造・調達・現場を一つのデータチェーンでつなぐ必要性

設計変更が起きたとき、図面だけを更新しても、製造用部品表、購買発注、在庫、工程、原価が更新されなければ、現場は古い情報で動きます。

E-BOMからM-BOMへの変換ルール、変更承認の履歴、協力会社への公開範囲は、あらかじめ定めておく必要があります。

大規模製造では、たとえばNECが自社のPDMで約2,400万部品と1,800万件の図面・仕様書を管理した事例もあり、大量のデータを前提にした基盤設計が求められます(出典: NECプレスリリース、2015年)。

ポイント

会社の知名度より、業務データをどの単位でつなぎ、段階的に移行できるかで判断するのが目安です。長期プロジェクトの原価と設計データのつながりを、提案の中で示せるかも見てください。

株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

riplaは、コンサルティングから開発までを一気通貫で支援する企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。

営業、顧客、生産、販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があります。そのうえで、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。

特徴と強み

riplaの強みは、製品を先に決めて業務を合わせるのではなく、現場の業務フローと経営上の目的を整理してからシステムを設計できる点です。

重工業・造船業界では、部門ごとにExcelや個別ツールが残りやすいため、全社ERPを一度に入れ替えると現場の負担が膨らみます。

まず原価、部品、工程のどこを見える状態にするかを決め、既存システムとの連携や小さなPoCを経て広げていく進め方が適しています。

得意領域・実績

営業、顧客、生産、販売管理など、複数の基幹業務をまたぐ開発を相談したい企業に向いています。特定のパッケージでは表現しにくい自社固有の承認、原価配賦、協力会社との情報共有を要件に落とし込み、利用部門が使い続けられる画面や運用ルールまで伴走してほしい場合に候補になります。

問い合わせ時は、BOMの階層、設計変更の頻度、現場で使える端末、既存ERPとの連携範囲を伝えると、提案の精度が上がります。

NEC|BOMを中核に設計から生産までつなぐPLM

BOMやBOPを起点に、ERP、MES、IoTを連携先として並べた4つのパネル図。
ものづくりマスターを軸に連携先を見渡せます。

NECは、製造業向けのPLMソリューション「Obbligato」を提供する大手IT企業です。Obbligatoは、技術情報を集約し、設計から製造、保守までの製品ライフサイクルを管理する考え方に基づいています。

2026年7月には「Obbligato R5」を2026年10月から提供すると発表し、BOMやBOPを「ものづくりマスター」として、ERP、MES、IoTなどと連携する方向性を示しています(出典: NECプレスリリース、2026年)。

特徴と強み

NECの強みは、PDM・PLM、ERP、MES、IoTを組み合わせ、設計情報を生産や現場の実績へつなぐ構想を描ける点です。

大規模なBOMや図面を扱う企業では、ファイルサーバーの置き換えに加えて、品目コード、版数、承認状態、変更理由を管理する仕組みが必要です。

Obbligatoは導入範囲を段階的に広げられます。そのため、全社刷新の前に、設計部品表や技術文書の管理から始める選択肢も検討できます。

得意領域・実績

複数事業部や海外拠点を持ち、設計変更の承認やBOMの標準化を全社で進めたい企業に向いています。

NECは、自社グループで約1,700人が約2,400万部品と約1,800万件の図面・仕様書を管理した事例を公表しています。大量のデータを扱う設計情報基盤を検討する際の材料になります。

実際に採用するときは、造船特有の区画・船番・工番をどのマスタで持つか、既存CADやERPとの連携方式を確認してください。

ポイント

BOMを中心に設計から生産までつなぐ構想を重視する企業には、NECが比較の候補になります。大量の部品や図面を全社で管理したい場合は、特に比べる価値があります。

富士通|造船現場と統合部品表を支援する製造業ソリューション

富士通は、製造業向けのPLM、生産管理、現場支援を幅広く手がけるシステム会社です。公式発表では、海上技術安全研究所と造船配管取付け作業の技能伝承・工程管理を支援するシステムを開発しています。

統合化部品表を中心に、設計、試作、購買、生産、保守をつなぐECObjectsの考え方も示しています(出典: 富士通・海上技術安全研究所、2015年)。

特徴と強み

富士通の特徴は、基幹データの統合と、実際に作業する現場の使いやすさを両方考えられる点です。たとえば、造船の配管取付け支援では、作業情報をまとめて管理し、ガントチャートで進捗を見える形にする機能が使われています。

特に、広い工場やドックでは、スマートフォンやタブレットで入力し、図面を参照し、申し送りを記録する作業を短い操作で終えられるかが、定着の分かれ目になります。

得意領域・実績

現場の工程管理、技能伝承、図面参照、製造実績の収集を優先したい企業に向いています。また、富士通の公開事例には、造船だけでなく、三菱重工業の生産状況を複数のシステムから統合して把握する取り組みもあります。

大規模ERPを先に刷新するより、現場の実績データを整えてから原価や経営分析へ広げたい場合は、導入範囲と既存システムの役割分担を相談するとよいです。

ポイント

現場の工程管理や技能伝承を優先するなら、富士通の現場寄りの構成が候補になります。原価や経営分析へ広げる順序は、既存システムとの役割分担と合わせて相談するとよいです。

NTT DATA|製造バリューチェーンとIT・OTを統合

NTT DATAは、製造業の設計・開発から製造、物流、販売までを対象に、構想策定、コンサルティング、開発、運用を支援しています。製造実行システム「EXC-MES」は、SAP ERPなどとの統合や、装置の状態とデータのリアルタイム監視を想定したサービスです。

重工業・造船業界で、ERPでは捉えにくい工場設備や作業実績を経営データにつなげたい場合に候補になります(出典: NTT DATA「製造」、2026年確認)。

特徴と強み

NTT DATAの強みは、個別システムの開発だけでなく、業務改革とデータ活用を含めた大きな構想を描ける点です。

製造業向けページでは、世界中の製造業ビジネスに従事する従業員が4,700人超、30以上のグローバルデリバリー拠点を掲げています。

海外調達や複数工場をまたぐサプライチェーン、ITとOTのデータ統合を進める企業にとっては、運用体制まで含めて比較しやすい会社です。

得意領域・実績

グループ会社や協力会社が多く、工場・設計・調達・物流のデータを横断的に扱いたい企業に向いています。

導入時は、最初から全社を一括で更改するより、1工場または1工程でデータ連携を検証し、効果を測ってから横展開するほうが安全です。

特に、現場の作業実績を原価に反映するタイミング、通信が途切れたときの蓄積と再送、設備データのセキュリティ境界を確認してください。

IFS|造船・海事業務に特化したERPとプロジェクト管理

IFSは、造船・海事業務向けのソフトウェアソリューションを提供するグローバル企業です。公式サイトでは、IFS Cloudによって設計、生産、保守、サポートを接続し、プロジェクト管理と財務、サプライチェーン、資産管理を一体で扱う方向性を示しています。

造船会社向けの業務テンプレートや製品を探している企業にとって、業界適合性を比較しやすい選択肢です。

特徴と強み

IFSの強みは、個別受注生産に必要なプロジェクト、資産、調達、製造、保守を一つの業務モデルで捉えられる点です。

たとえば、数年かかる船舶建造では、予算、実際原価、進捗、変更注文、保守部品を、同じプロジェクトの履歴として持つ必要があります。

標準機能でカバーできる範囲をはっきりさせ、造船所固有の工番管理や会計処理だけを追加開発する考え方にすれば、フルスクラッチの範囲を抑えやすくなります。

得意領域・実績

造船・海事業務の標準化を進めながら、プロジェクト別原価とサプライチェーンを一つのクラウドERPで管理したい企業に向いています。公式情報では、造船向けIFS Cloud、企業資産管理、プロジェクト管理と財務、サプライチェーン管理、導入コンサルティングを挙げています。

日本の会計、既存CAD・PLM、協力会社ポータルとの連携は個別に設計することになります。そのため、デモでは実際の船番・工番・変更注文のシナリオを動かして確認してください。

ダッソー・システムズ|CATIA・ENOVIA・DELMIAで3D PLMを構築

ダッソー・システムズは、3D設計・製造・シミュレーション・コラボレーションの基盤を提供する企業です。造船分野では、CATIAを設計、ENOVIAをコラボレーションと管理、DELMIAを製造に用いる3D PLMの構成が紹介されています。

日本の造船・重工業でも、設計データを製造や協力会社との情報共有へつなげるPLMを検討するときの有力な候補になります。

特徴と強み

ダッソー・システムズの強みは、巨大な3Dモデルや設計変更を中心に、設計者、製造技術者、現場、取引先が同じ製品情報を参照する環境を構築できる点です。

船舶やプラントのように、形状・属性・工程・製造方法が密接に関係する製品では、図面ファイルを共有しても、変更の影響範囲を管理しにくくなります。3Dモデル、部品構成、承認、製造工程を関連付ければ、設計変更の手戻りを減らせます。

得意領域・実績

3D CADを中核に、設計から製造までのデジタルスレッドを本格的に整備したい企業に向いています。公式発表では、IHIがCATIA V5の柔軟性とデータ互換性を評価し、造船業界向け3D PLMの方法論や特有要件を検証した取り組みが紹介されています。

導入時は、PLMだけを入れて終えるのではなく、ERP、MES、調達、原価管理まで含めて、どのシステムを正とするかを決めておきます。

重工業・造船業界のシステムパートナー選びで確認すべきポイント

システムパートナーの提案を比べる際の、実績、データ連携の境界、責任分担の3項目を並べたチェックリスト。
3つの観点を同じ業務シナリオで照らし合わせます。

6社は、それぞれ得意領域が異なります。そのため、基幹業務を横断して伴走してほしいのか、PLM・BOMを先に整備したいのか、造船向けERPを短期間で導入したいのかを整理してから、同じ業務シナリオで提案を比較してください。

同業種・類似規模の実績

「製造業の実績がある」と聞くだけでは判断しにくいため、個別受注生産、長期工事、BOMの版管理、設計変更、協力会社連携のうち、自社と近い条件の事例を確認してください。

事例では、導入前の課題、対象業務、既存システム、移行期間、利用部門、導入後の指標まで聞くと、単なるロゴ一覧より実力を判断できます。

クラウド・オンプレミスとデータ連携の境界

大容量の3D図面や膨大なBOMを扱う場合、すべてをクラウドへ移せばよいとは限りません。

たとえば、ドックや工場で通信が不安定なときは、端末に必要データを一時保持し、復旧後に同期する仕組みや、現場近くのエッジ処理を検討します。

一方で、協力会社との共有や複数拠点の標準化には、クラウドが適する場合もあります。データ分類、通信断、バックアップ、復旧目標、アクセス権を提案書に明記してもらう必要があります。

マスタ整備と段階移行の責任分担

システム導入の成否は、開発会社だけでなく発注者側のマスタ整備にも左右されます。そのため、部品コード、単位、工程、仕入先、原価科目、図面の版数について、誰が決め、誰が承認し、いつ凍結するのかを契約前に取り決めてください。

移行期間中も旧システムを使うなら、二重入力をいつ終えるか、障害時にどの業務を紙で続けるか、切り戻しの条件は何かまで合意しておく必要があります。こうした合意は、サプライチェーン停止のリスクを下げるうえで役立ちます。

ポイント

6社は得意領域が異なるため、同じ業務シナリオで提案を比べるのが目安になります。実績、クラウドとオンプレミスの境界、マスタ整備の責任分担は、提案書で確かめてください。

よくある質問

重工業・造船業界のシステム開発で、よく寄せられる質問を3つ取り上げます。

費用や期間は、会社の規模、対象範囲、既存システム、データ品質によって大きく変わります。

下の回答を自社の条件に置き換えて読んでください。

重工業・造船業界のシステムはクラウドとオンプレミスのどちらがよいですか?

データの機密性、図面の容量、通信環境、協力会社との共有範囲によって、クラウドかオンプレミスかを選ぶのが適切です。

たとえば、設計・原価・購買の基幹データは強固に管理し、現場入力や社外ポータルはクラウド、またはハイブリッド構成にする方法があります。そのうえで、通信断からの復旧とバックアップを実機で検証してください。

システム開発費用はどのように見積もればよいですか?

最初に全社の総額を求めるより、構想・現状調査、要件定義、PoCの段階ごとに分けて見積もるのが現実的です。PoCで方向性を確かめたあとは、本格的な導入から運用までの費用が段階ごとに重なっていきます。

  • 初期導入
  • 拠点展開
  • 保守

個別受注生産向けの業務をフルスクラッチで広く作るほど、開発費だけでなくテスト・教育・保守費も増えます。

標準機能を使う範囲、追加開発、データ移行、連携、現場端末、運用支援を分けて比べると、提案価格の差を社内で説明しやすくなります。

設計変更をシステムで管理するには何が必要ですか?

まず、変更前後の部品構成、図面の版、承認者、適用開始日を登録し、影響を受ける工程・発注・在庫・原価と関連付けます。

変更を登録しただけでは全データが自動で変わらないため、変更管理者が影響範囲を確認し、必要な発注取消や代替品の判断を行う運用も必要です。

PLM、ERP、MESのどこを正とするかを決め、連携エラーを監視できる仕組みを用意してください。

ポイント

費用、クラウドかオンプレミスか、設計変更の管理は、会社の規模や対象範囲で答えが変わります。自社の条件に置き換え、標準機能と追加開発を分けて比べてください。

まとめ

重工業・造船業界のシステム開発では、ERPやCADを入れるだけでは足りません。

長期プロジェクトの原価、E-BOMとM-BOM、設計変更、協力会社、現場の実績を、一つの流れとして設計する必要があります。

株式会社riplaは業務整理から開発・定着まで相談できます。

NECはPLMとBOM、富士通は製造と造船現場、NTT DATAは製造バリューチェーン、IFSは造船向けERP、ダッソー・システムズは3D PLMに強みがあります。

発注前に、同じ業務シナリオを6社に示してもらってください。たとえば、設計変更が発生した船番のBOMを更新し、必要な購買・工程・原価・協力会社への通知まで追跡するシナリオです。デモでこの流れを確認できれば、機能一覧だけでは分からないデータ連携、現場操作、移行計画、運用支援の違いを比べられます。

重工業・造船業界のシステム開発を検討している方は、まず現状のマスタと業務フローを整理し、自社に必要な範囲から相談することをおすすめします。

本記事で参照した公式情報

NEC「製品・サービス: PLMソリューション」は、https://jpn.nec.com/plm/product/index.htmlを参照しました。「NEC、PLMソフトウェア『Obbligato』を刷新」(2026年7月28日)は、https://jpn.nec.com/press/202607/20260728_01.htmlを参照しました。

富士通・海上技術安全研究所「造船業において、生産性の向上と技能者育成にAR技術を活用」(2015年11月18日)の発表です。https://pr.fujitsu.com/jp/news/2015/11/18-4.htmlを参照しました。

NTT DATA「製造」: https://www.nttdata.com/jp/ja/industries/manufacturing/、IFS「造船・海事向けソフトウェアソリューション」: https://www.ifs.com/ja/industries/construction-and-engineering/shipbuilding-and-maritimeを参照しました。ダッソー・システムズ「Dassault SystemesとIBMのパートナーシップによる造船向け3D PLM」: https://www.3ds.com/ja/newsroom/press-releases/dassault-systemes-and-ibm-establish-partnership-ihi-foster-3d-plm-shipbuildingを参照しました。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。