開発リソース不足開発/導入のメリット/デメリット/効果と判断基準について

開発リソース不足の解消手段は、内製育成、外部活用、オフショアの3つです。どれを選ぶかで、コスト、スピード、品質、社内に残るものが変わります。

各手段は、時間軸、トータルコスト、社内に内製力が残るかどうかで比べると、自社に合う手段を選びやすくなります。全体像は開発リソース不足の完全ガイドで確認できます。

内製育成のメリットとデメリット

内製育成のメリットとデメリットのイメージ

開発リソース不足の解消手段として、まず候補に挙がるのが社内人材の採用と育成、すなわち内製育成です。ただし、最も王道に見える選択でも、メリットとデメリットの時間軸はずれています。そのため、いま逼迫している現場では慎重な判断が必要で、長期と短期のそれぞれの視点で評価することが欠かせません。

知見が社内に残る長期的なメリット

内製育成の最大のメリットは、開発の知見とノウハウが社内に蓄積され、自社の事業に最適化されたエンジニアが育つことです。

また、多重下請け構造のなかでユーザー企業にノウハウが蓄積されてこなかった日本の課題(出典:経済産業省)を、根本から解決する手段でもあります。国もマナビDXなどのリスキリング支援を整備しており、社内人材の学び直しを後押しする環境は整いつつあります。

もう一つのメリットは、機密性の高い情報を外部に出さずに開発を進められる点です。競争優位の源泉となるシステムを内製できれば、ノウハウの流出リスクも抑えられます。事業の中核に関わる部分ほど内製で抱える価値が高まり、長期的な視点で見れば、内製育成は最も理想的な解消手段だと言えます。

内製育成の効果は、社内の体制と開発の進め方の両面に表れます。

  • 改修・保守の内製化:外部への依頼が減り、長期的なコストの抑制につながります。
  • 機密情報の社内管理:事業の中核に関わる開発を外部に出さず、流出リスクを抑えられます。

時間がかかり一時的逼迫に間に合わないデメリット

内製育成の最大のデメリットは、効果が出るまでの時間です。エンジニアの採用は、求人から面接、内定を経て入社に至るまでの過程を踏む必要があります。入社後に戦力になるまでには、さらに時間がかかります。

経済産業省が2030年に最大約79万人のIT人材不足を推計するなか(出典:経済産業省)、採用市場での確保競争は激化しています。そもそも採れないことがあります。また、採れても定着しないというリスクも高まっています。

特定プロジェクトの締め切りが迫る一時的な逼迫に対しては、内製育成は時間軸が合いません。さらに、育成には「育てた人材が辞めてしまう」リスクも伴います。リスキリングで戦力化した人材が市場価値を高めて転職すれば、投資は徒労に終わります。

育成と並行して処遇や働きがいといったリテンション(定着)施策を打たなければ、せっかく育てた人材を失いかねません。長期的には理想的でも、いま手が足りない現場の即効薬にはなりません。これが、内製育成の本質的な制約です。

内製育成で時間がかかる理由は、採用と戦力化の流れにあります。

  • 採用の期間:求人から入社まで、半年から一年が一般的です。
  • 定着の難しさ:育てた人材の転職で、投資が無駄になることがあります。

ポイント

時間がかかっても社内にノウハウを残したいなら、内製育成が向きます。いま逼迫している工数を埋める必要がある場合は、外部活用と併用して考えます。

外部活用のメリットとデメリット

外部活用のメリットとデメリットのイメージ

国内のベンダーやフリーランスを使う外部活用は、特定プロジェクトの工数逼迫という、開発リソース不足の典型的な悩みに最もフィットする手段です。スポット外注、ラボ型開発、派遣(準委任の常駐を含む)といった形態を、逼迫の性質に応じて使い分けられます。使い分けるには、メリットとデメリットの両面を正しく押さえることが前提になります。

即応性と伸縮性という最大のメリット

外部活用の最大のメリットは、即応性です。採用に半年から一年かかるのと比べると、目の前の締め切りに間に合わせる観点では、これに勝る手段はありません。

さらに、ピークに合わせて増員し、繁忙が過ぎたら縮小できる伸縮性も大きな利点です。正社員のように固定費として残らないため、一時的な工数の山に対して、固定費を増やさずに応えられます。

加えて、社内にいない特定技術の専門家を、必要な期間だけ確保できる点も外部活用の強みです。社内エンジニアを保守から解放してコア業務に集中させ、周辺の実装を外部が担うといった再配分も可能です。

特定プロジェクトの局所的なリソース逼迫には、この即応性と伸縮性の組み合わせが最適解になります。スピード、伸縮性、専門性がそろうことで、外部活用は一時的逼迫の第一選択になります。

外部活用の強みは、動きの速さと必要な量への合わせやすさにあります。

  • 即応性:契約から数週間で実働に入れ、目の前の締め切りに対応できます。
  • 伸縮性:繁忙期に増やし、過ぎたら減らせるため、固定費が残りません。

単価と内製力流出というデメリット

外部活用のデメリットは、まず単価です。社内人件費の単価より高くなるのが一般的で、短期で見ると割高に感じることもあります。

ただし、採用にかかる時間や、繁忙が過ぎても固定費が残る正社員のコストまで含めて比較すると、一時的な逼迫には外部活用のほうが結果的に安く済むケースも多くあります。単価の数字だけでなく、トータルのコストで判断することが大切です。

もう一つのデメリットは、外注に頼りすぎると社内に内製力が残らないことです。外部リソースが去った後に何のノウハウも残らなければ、次のプロジェクトでまた同じ不足に陥ります。

これを防ぐには、ナレッジ移管を最初から契約に組み込むことが欠かせません。外部活用のメリットを生かしつつデメリットを抑えるには、「即応性を取りつつ、内製力も残す」設計が要ります。

外注先選びを誤ったときのリスクについては『開発リソース不足解消の失敗・課題・注意点・リスクについて』もあわせてご覧ください。

外部活用でつまずきやすいのは、費用と、社内に残るものの少なさです。

  • 単価:ベンダーの利益やマネジメントコストが乗るため、社内より高くなりがちです。
  • 内製力の流出:外部リソースが去ると、ノウハウが社内に残らないことがあります。

ポイント

一時的な工数の逼迫には、即応性と伸縮性を持つ外部活用が合います。単価は割高に見えやすいため、トータルのコストとナレッジ移管の有無で判断します。

オフショアのメリットとデメリットと判断基準

オフショアのメリットとデメリットと判断基準のイメージ

海外の開発チームを使うオフショアは、単価の安さという強い魅力を持つ一方、意思疎通と品質のリスクが大きい手段です。コスト最優先で不足を解消したい場合の候補になりますが、安さだけで選ぶと失敗しやすいため、メリットとデメリットを冷静に比べる必要があります。

コストと大量人員確保というメリット

オフショアの最大のメリットは、単価の低さと、大量の人員を確保しやすい点です。

仕様が明確で、ある程度まとまった規模の開発をコストを抑えて進めたい場合には、有力な選択肢になります。大規模な開発で多くの手が必要なときも、国内では確保しきれない人数を揃えられる点が利点です。

ただし、このメリットが活きるのは「仕様が明確で、コミュニケーションコストを管理できる体制がある」場合に限られます。逆に、仕様が固まっていない探索的な開発や、仕様変更が頻繁に起きるプロジェクトでは、コストメリットは打ち消されやすくなります。そのため、安さは条件が整って初めて得られるものだと理解しておくことが大切です。

オフショアで得られるものは、費用と人数の両面です。

  • 単価の低さ:人件費の低い国の開発チームを使い、国内より低い費用で工数を確保できます。
  • 大量の人員:大規模な開発で、国内では確保しきれない人数を揃えられます。

3手段を選ぶ判断チェックリスト

オフショアのデメリットは、言語、時差、商習慣の違いによる意思疎通コストと品質リスクです。要件の伝達が不十分だと、出来上がりが期待と食い違い、手戻りでかえって高くつきます。ブリッジ役を欠いたまま安さだけで選ぶと、失敗につながりやすくなります。

判断は、逼迫の性質と、コストや品質を管理できる体制の有無で考えます。

  • 逼迫が一時的な工数の山なら、外部活用が最適です。
  • 恒常的な不足で長期の内製力を育てたいなら、内製育成を選び、即応は外部と併用します。

仕様が明確で、コストを最優先しつつ品質管理体制を組めるなら、オフショアを検討します。一方、事業のコアや機密性の高い開発では、内製育成か、国内の信頼できる外部活用を選びます。このチェックリストに自社を当てはめると、感覚ではなく根拠で手段を選べます。

現実には、単一の手段に絞る必要はありません。いま逼迫している工数は外部活用で即座に埋め、中長期では内製育成で自前の戦力を育てる併用が、最も堅実です。

多くの企業にとって、まず外部活用で時間を稼ぎ、その間にナレッジ移管と育成で内製力を底上げする組み合わせが、現実的な最適解になります。手段は時間軸に応じて組み合わせて捉えてください。

ポイント

コストを最優先し、仕様が明確で品質管理体制を組める場合にオフショアを検討します。意思疎通のリスクが大きい場合は、ブリッジ役を置けるかどうかで判断します。

まとめ

開発リソース不足の解消手段のメリデメのまとめイメージ

開発リソース不足の解消手段は、内製育成・外部活用・オフショアの3つに大別され、それぞれメリットとデメリットの時間軸が異なります。

内製育成は、知見が社内に残る長期的な強みがある一方、採用と戦力化に時間がかかり、一時的な逼迫には間に合いません。外部活用は、数週間で即戦力を投入でき、伸縮もできる反面、単価が高めで内製力が残りにくい特徴があります。

オフショアは単価が安い反面、意思疎通と品質のリスクがあり、ブリッジ役を欠くと手戻りで高くつきます。逼迫の時間軸、トータルコスト、内製力が残るかどうかで選ぶことが、後悔しない判断につながります。

判断では、手段を時間軸に応じて組み合わせることが大切です。いま逼迫している工数は外部活用で即座に埋めつつ、その期間にナレッジ移管と内製育成を進める併用型が、最もリスクの小さい現実解です。

自社の逼迫が一時的な山か恒常的かを見極め、時間軸に応じて手段を選んでください。riplaはフルスクラッチ受託と国内伴走を組み合わせ、即応性のある外部活用と内製力づくりの両立を支援します。

全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。