飲料業界のシステム開発会社は、調合・充填から品質・ロット管理、回収物流までの工程を理解し、安定稼働を支えられるかで比べるのが基本です。回収物流では、ペットボトルや缶だけでなく、ビール樽、空き瓶、専用パレットなどを回収する静脈物流も発生します。
飲料・食品の製造、物流、基幹業務のシステム開発や導入支援を手がける6社を、飲料工場の業務に照らして5つの点から比べます。
- 調合・充填工程
- riplaの支援領域
- 品質・ロット管理
- 回収物流と在庫
- 選定時の確認事項
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飲料業界のシステム開発でパートナー選びが重要な理由

飲料業界のシステム開発は、製造現場、品質保証、倉庫、配送、営業、取引先をつなぎ、欠品や誤出荷を防ぎながら供給を続ける仕組みをつくるプロジェクトです。会計や受発注の電子化だけで済む開発とは、対象の広さが大きく異なります。
システム障害が店頭の欠品に直結すること
飲料は夏場や大型連休、キャンペーン期間に需要が大きく変動するため、基幹システムの移行や障害で受注、在庫引当、出荷指示が止まると、工場が稼働していても商品を出荷できません。
たとえば、江崎グリコの基幹システム移行では、2024年に出荷への影響が大きく報じられました。この事例から分かるのは、システム開発の評価を「機能があるか」だけで終えず、繁忙期の業務継続、切り戻し、手作業の代替手順まで確かめる必要があるということです。
飲料特有の工程と例外処理の理解が必要な理由
飲料工場では、タンク容量や配管ルート、調合レシピ、充填機の切り替えに加え、設備洗浄であるCIP(Cleaning in Place)の順番が生産計画に影響します。
同じ原液から複数サイズの商品をつくる場合は、連産品の在庫と原価も管理しなければなりません。物流では、販売先ごとの納品単位、賞味期限の許容範囲、ケース・バラ・パレットの扱いが異なります。
飲料工場の例外処理を現場ヒアリングなしで標準機能に当てはめようとすると、過剰なカスタマイズになるか、現場が使わないシステムになりがちです。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援
riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。
営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。
特徴と強み
riplaの強みは、システムを納品して終わりにせず、業務の整理、要件定義、開発、導入後の定着までを同じ目線で支援できる点です。特に飲料業界では、現場が使う言葉と経営側が求める指標を翻訳する役割が欠かせません。
たとえば、倉庫担当者が「急な販促で出荷順が変わる」と話した場合、riplaは受注の優先順位、在庫引当、ハンディ端末の操作、配送計画のどこを変えるかまで分解します。
最初から大規模ERPですべてを置き換えず、電話・FAX・Excelに残る業務を一覧にして、効果の大きい部分から段階的にデジタル化する進め方にも合っています。
得意領域・実績
営業・顧客・生産・販売管理など、複数部門をまたぐ基幹システムの構築・導入を検討する企業に向いています。
飲料業界で相談するときは、タンクやCIPを含む製造計画、賞味期限・ロット、容器回収、気温に応じた需要変動を業務要件として持ち込みます。そのうえで、標準機能と個別開発の境界を発注側と開発会社が一緒に整理します。
特定のパッケージを前提にせず、会社の規模や現場の習熟度に合わせてロードマップを組みたい企業に適しています。
NEC|プロセス製造と食品・飲料の情報を統合しやすい基盤
NECは、食品・化学・素材製造業向けのERPソリューション「FlexProcess」や、食品・飲料・消費財向けのPLMソリューションを提供しています。公式情報では、FlexProcessについて生産管理、在庫管理、原価管理に加え、副産物・連産品・リサイクルなどプロセス産業特有の生産工程を管理できると説明されています。
NECは、飲料会社が製造だけでなくレシピ、原料、資材、品質情報をつないで管理したい場合に検討しやすい会社です。
特徴と強み
プロセス製造では、材料を一つずつ組み立てる製造業とは異なり、レシピや歩留まりのほか、連産品や副産物、ロットが複雑に関係します。
NECのFlexProcessは、この領域を前提に生産・在庫・原価を見える化する選択肢です。
また、食品・飲料向けPLMでは、原料・資材・レシピ情報に基づくトレーサビリティや、設計と生産の連携が示されています。商品開発から工場、品質保証までを一つのデータ体系で整えたい企業にメリットがあります。
得意領域・実績
NECの公式ページでは、食品・飲料・消費財向けPLMの導入例としてキリンビールの名前が掲載され、商品情報をまとめて管理し、食の安全・安心と迅速な情報開示を目指すシステム構築が紹介されています。
飲料メーカーで、レシピや表示、原料規格、委託先との情報共有を重視する場合は、候補になります。
提案を依頼するときは、タンク・配管・CIPや容器回収を含め、FlexProcessや周辺WMSでどこまで標準対応できるかを確認してください。
富士電機|ISA-S88を基盤にプロセス製造の現場を支えるMES
富士電機は、プラント系製造業向けのMESソリューション「MainGATE-Process」を提供しています。公式情報では、食品業界の多品種少ロット生産への対応や、ISA-S88をベースにしたプラント系MES、マルチベンダーに対応するオープン指向の設計が説明されています。
製造設備から実績を集め、製造指示や品質記録を現場と上位システムにつなぐ構想を描く場合に候補となる会社です。
特徴と強み
飲料工場では、調合や殺菌に加えて、充填、包装、洗浄まで設備単位で管理する必要があります。
富士電機のようにプロセス製造や制御層との接続を意識した会社を選ぶと、工場の稼働状況、製造実績、品質記録を上位の生産管理と連携する設計を検討できます。
既存設備をすべて入れ替えず、異なるメーカーのPLCや制御機器からデータを集めたい場合にも、マルチベンダー対応の考え方が役立ちます。
得意領域・実績
設備データを活用した製造実行、品質の記録、製造指示の標準化を重視する企業に適しています。
特に、工場ごとに設備構成が異なる、複数品種を切り替えるたびに洗浄や段取りが変わる、製造現場の記録が紙に残っているといった課題に向きます。
導入前には、CIPの開始条件、洗浄後の判定、タンクの使用可能時間、異常時の再開手順をデモで確認し、飲料工場の実際の運用に落とし込めるかを見極めることが大切です。
株式会社日立製作所|ERP・MES・WMSの連携による製造管理

日立は、統合製造実行管理システム「FactRiSM」を展開しています。公式の導入事例では、ERPとMESを連携して製造計画と実績情報を共有し、製造進捗に応じた入出庫管理や製造記録収集を自動化する考え方が紹介されています。
製造と倉庫を別々に扱わず、計画から実績、入出庫までを一続きのデータで把握したい企業には、有力な候補になります。
特徴と強み
飲料業界では、製造実績が倉庫の入庫予定、ロット引当、賞味期限順の出荷、販売先への納品計画に影響します。そのため、MESとWMSが連携していないと、現場が別の表へ再入力する二重管理が起きます。
日立のようにERP・MES・WMSの連携を前提にしたシステムを検討すると、製造指示と実績をつなぎ、どのロットがどこへ出荷されたかを追いやすくなります。
得意領域・実績
複数工場や複数倉庫を持ち、製造・在庫・物流のデータを経営判断に使いたい企業に適しています。
日立の公式事例には、食品・医薬分野のERP導入後にMESやWMS、SAP連携を予定するケースも掲載されています。
飲料会社が候補に入れる際は、工場内の製造実績だけでなく、リターナブル容器の回収数、滞留日数、洗浄済み・未洗浄の状態を、WMSや資産管理でどう表すかを要件として提示します。そうすると、各社の提案を具体的に比べられます。
セイノー情報サービス|食品メーカーの倉庫を止めずにWMSを展開
セイノー情報サービスは、物流システムや倉庫管理システムを提供する会社です。公式の導入事例では、株式会社明治がWMS「SLIMS」を全国の拠点へ水平展開し、システム統合による業務標準化とコスト削減を進めた事例が紹介されています。
選定理由として示されているのは、大規模な食品メーカーの倉庫で導入現場を見学できたこと、数十拠点の順次展開の実績、現場業務を止めずに移行できる点です。
特徴と強み
飲料物流では、ケース単位の大量出荷、賞味期限順の引当、店舗や卸ごとの納品ルール、販促商品の急な出荷が同時に起きます。WMSの使い勝手が悪ければ、ハンディ端末の入力ミスや確認作業の増加に直結します。
セイノー情報サービスのように、物流現場での拠点展開と標準化を重視する会社を選ぶと、倉庫の導線やロケーション、検品、入出庫から移行手順まで踏み込んだ比較ができます。
得意領域・実績
複数の物流拠点を統合したい企業、既存の倉庫を稼働させながら段階的にWMSを導入したい企業に向いています。
リターナブル瓶や樽、パレットを管理する場合は、出荷数だけでなく、回収予定や回収実績、洗浄状態、破損、滞留まで管理できるかを確認してください。
WMSの標準機能だけで足りない場合は、販売管理や配送管理との連携で、どの範囲まで実現するかを先に決めておきます。
インテック|mcframeを軸にした生産・在庫・販売・物流の連携
インテックは、mcframeを主軸としたERPパッケージソリューションを提供しています。公式情報では、生産・製造管理だけでなく、SCM、経営基盤、生産製造管理、在庫・販売・物流管理などの周辺ソリューションを組み合わせ、製造業向けのトータルソリューションを実現すると説明されています。
既存の業務をすべて個別開発するのではなく、パッケージで標準化しつつ、必要な部分に柔軟性を持たせたい企業に向きます。
特徴と強み
インテックの公式ページでは、事業規模に合わせた導入、多彩な基本機能、高い柔軟性、幅広い業種への導入実績が特徴として紹介されています。
飲料会社では、工場ごとに異なる製造方法や、販売先ごとの受注ルールを持つケースが少なくありません。こうした会社では、標準機能をベースに業務を見直し、残すべき独自性だけを追加開発するという進め方を取りやすい点が候補理由になります。
得意領域・実績
生産計画、原価、在庫、販売、物流を横断して管理したい企業に適しています。特に、システム刷新の範囲が広く、会計や販売の既存基盤との連携も必要な場合は、全体の構成を整理しやすいです。
提案を受けるときは、レシピ変更、ロット追跡、賞味期限、連産品、原料の代替、容器回収を標準機能・アドオン・外部連携のどれで実現するかを明確にし、将来の保守費用まで比較してください。
飲料業界のシステム開発会社を選ぶポイント

6社にはそれぞれ、業務全体の伴走、プロセス製造ERP、工場MES、ERP-MES-WMS連携、物流拠点展開などの違いがあります。
知名度や製品名だけで決めず、自社の課題を実際の業務シナリオに置き換えて比較することが大切です。
業務シナリオによる実績の確認
「食品の実績があります」という説明だけでは不十分です。原料受入から回収までの工程のうち、自社と似た業務シナリオをどこまで経験しているかを聞いてください。
調合やCIP、充填、検査、倉庫入庫、出荷は、飲料工場ならではの流れなので、特に丁寧に確かめてください。可能であれば、実際の工場や倉庫を見学して、ハンディ端末を担当者が操作する場面まで確かめます。
現場に足を運ばない設計では、画面の文字が小さい、入力ステップが多い、例外処理が電話に戻るといった問題を見落としやすいです。
特殊要件の標準・追加開発・運用の切り分け
特殊要件は、設備の条件、製品の条件、物流の条件に分けて、一つの要件表に並べます。設備の条件にはタンク容量、配管ルーティング、CIPスケジュールがあり、製品の条件にはレシピ、連産品、賞味期限・ロットがあります。
物流の条件には、容器回収、RFIDやバーコード、気象データ連動が含まれます。そのうえで、標準機能で対応する部分、追加開発する部分、人の判断として運用に残す部分を分けます。特殊要件をすべて個別開発すると、初期費用だけでなく、テストと保守の負担も膨らみます。
過去の類似案件では、当初2,000万円規模だったシステムが要件追加で4,200万円になった例もあります。だからこそ、変更を管理する仕組みが必要です。
繁忙期を避けた移行計画と切り戻しの確認
飲料メーカーの移行日は、夏の最繁忙期や大型キャンペーンの直前を避けるのが基本です。まず受注・在庫照会など影響範囲の小さい機能から始め、次に倉庫、最後に製造や基幹を移行する段階方式が現実的です。
並行稼働をいつまで続けるか、障害時に旧システムへ戻す条件、出荷を紙で続ける場合の記録方法、夜間・休日の連絡体制を契約と計画書に明記してください。現場を止めないことが、飲料システム開発の品質指標になります。
よくある質問(FAQ)
飲料業界のシステム選定では、パッケージかスクラッチ開発か、導入期間や費用、移行リスクについて質問が多く寄せられます。ここでは、発注前に特に確認しておきたい質問に、直接答えます。
飲料会社は汎用ERPと業界特化パッケージのどちらを選ぶべきですか?
製造、原価、在庫、物流の共通基盤を重視するなら汎用ERPも候補になりますが、レシピや連産品、ロット、賞味期限、CIPなどの差分が大きい場合は、プロセス製造向けパッケージやMESとの組み合わせが適しています。
どちらが正解かを探すより、標準機能に業務を合わせられる範囲と、合わせられない差分を先に洗い出し、そのうえで判断します。
飲料業界のシステム開発費用はどのくらいかかりますか?
費用は対象範囲や拠点数、既存設備との連携、データ移行、追加開発によって大きく変わるため、一律の相場だけで判断できません。
販売管理だけの小規模な改善と、製造・MES・WMS・容器回収までを統合する刷新では工数が大きく異なります。
見積書では、初期開発費だけでなく、ライセンスやクラウド、端末、教育、保守の費用を分けて確認してください。繁忙期の立ち会いや追加要件の単価も、別々に見ておきます。
システム移行で飲料の出荷を止めないためにはどうすればよいですか?
繁忙期を避け、業務を分割して段階的に移行します。あわせて、旧システムや紙運用へ切り戻す条件を事前に決めておきます。
テストでは通常処理だけでなく、急な販促や欠品、賞味期限切れ、ロット回収などの例外まで再現してください。設備停止や返品、容器未回収も対象に含めます。
現場担当者が実際の端末で操作し、出荷締め時間までに処理できるかを確かめます。
まとめ
6社比較から分かる選定の要点
飲料業界のシステム開発会社を選ぶときは、会社の規模や製品の知名度だけでなく、液体製造と物流の現場を理解しているかを確認してください。
タンク容量や配管、CIPなどの製造条件は、飲料業界ならではの重要要件です。レシピや連産品、賞味期限・ロットに加えて、リターナブル容器の回収や気象による需要変動も、押さえておくべき要件です。
発注前に比較すべき次のステップ
ここまで6社を見てきました。株式会社riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援します。NECはプロセス製造ERPと食品・飲料PLM、富士電機はプロセス製造向けMES、日立はERP・MES・WMSの連携を扱っています。セイノー情報サービスは食品物流のWMS展開、インテックはmcframeを軸にした製造・販売・物流の支援を扱っています。
候補を3社程度に絞ったら、実際の現場を使ったデモ、繁忙期を避けた移行計画、障害時の切り戻しまで比べてください。
なお、本文中の企業情報・製品情報は各社の公式公開情報を2026年8月時点で確認したものです。主な参照先は、NEC FlexProcess公式ページ、NEC 食品・飲料・消費財向けPLM公式ページ、富士電機 MainGATE-Process公式ページ、日立 FactRiSM導入事例、セイノー情報サービスの明治導入事例、インテック生産・製造管理公式ページ、江崎グリコの基幹システム障害に関する報告です。
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
・スクラッチシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
