農業向けシステムは、圃場・作物・作業・環境・農機・出荷データをつなぎ、記録や判断のばらつきを減らして生産現場の成果につなげる仕組みです。おすすめの開発会社・ベンダーは、知名度だけでなく、標準SaaSで始めるのか、個別開発や農機・IoT連携まで行うのかで選ぶ必要があります。
農業のデジタル化を検討していても、「紙の日報をなくしたい」「ハウスの環境を見える化したい」「収穫量や出荷を予測したい」など、目的は企業ごとに異なります。本記事では、コンサルティングから開発まで支援する株式会社riplaを最初に紹介し、農機連携、営農記録、農業IoT、販売管理、地域データ基盤に強みを持つ実在の5社を整理します。費用の見方や発注前の質問も解説しますので、自社に合う相談先を絞るためにご活用ください。
▼全体ガイドの記事
・農業向けシステム開発の完全ガイド
農業向けシステムのパートナー選びが重要な理由

農業向けシステムでは、画面が使いやすいだけでは十分ではありません。圃場ごとの位置情報、作付や作業の記録、農機・センサーからのデータ、収穫・出荷・販売の履歴を一貫して扱う必要があります。導入先が農業法人なのか、JAや自治体なのかによっても、必要な権限やデータ共有の範囲が変わります。
対象工程と利用者が違えば、適したシステムも変わります
農業向けシステムと一口にいっても、圃場・作付管理、作業日誌、生育・環境モニタリング、潅水や換気の自動化、農機管理、収穫・出荷、原価・経営管理まで範囲があります。たとえば、紙の日報とExcelの集計を減らしたい農業法人は、スマートフォン入力と権限管理を優先すると効果を出しやすくなります。一方、複数地域の生産者から情報を集めるJAや自治体には、データを標準化して集約する基盤やGIS連携が必要です。
発注前に現場・データ・費用の条件をそろえることが大切です
相談前に、何人が使うのか、何圃場・何品目を管理するのか、どの作業を減らしたいのかを整理します。紙やExcelのデータ移行、圃場の通信環境、既存農機・センサー・会計システムとの連携、オフライン入力の要否も確認が必要です。費用は画面数だけで決まらず、標準機能の設定、個別開発、現地設置、通信費、教育、保守を含めて見積もる必要があります。
株式会社ripla|コンサルティングから開発まで一気通貫で支援

riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。
特徴と強み
現場の課題をヒアリングして終わりにせず、業務整理、要件定義、設計、開発、導入後の定着までを同じ視点で進めやすい点が特徴です。農業向けシステムでは、作業者が圃場で入力し、管理者が進捗や原価を確認し、経営者が収益性を判断するという複数の利用場面があります。riplaは業務全体を見ながら、既存の基幹システムや販売管理とのつながりを含めた設計を相談できます。
得意領域・おすすめな企業像
既製SaaSだけでは自社の業務に合わず、かといって最初から大規模なスクラッチ開発をするのは不安という企業に向いています。たとえば、農場ごとに異なる作業フローを整理したい、農業部門と販売部門のデータをつなぎたい、まず1工程で小さく検証してから拡張したいという場合です。農業に特化した完成済み製品の機能や農機連携を前提にする案件では、他社製品との比較を行いながら、必要な部分を個別開発する相談先として検討するとよいでしょう。
株式会社クボタ|農機連携と営農記録を一体化しやすいKSAS

株式会社クボタは、農業機械と営農支援を組み合わせた事業を展開する企業です。農業向けシステムでは、営農支援システムKSASを提供しています。圃場の位置・面積・住所、作業日誌、作業進捗、作付計画をパソコンやスマートフォンで管理でき、対応する農機から食味・収量や稼働情報を活用できます。
特徴と強み
KSASは、農機の稼働情報や作業記録を別々に管理する手間を減らし、圃場単位で作業状況を把握しやすいサービスです。株式会社クボタの公式サイトでは、2026年7月22日時点で、登録圃場100枚までの無料プランと、登録圃場数に制限のない有料プラン月額2,200円(税込)が案内されています。クボタ農機を所有していない場合でもシステムを利用できる一方、対応農機がある場合はさらに連携機能を活用できます(出典:株式会社クボタ「クボタ営農支援システムKSAS」、2026年7月確認)。
得意領域・おすすめな企業像
水田作や畑作で、圃場・作業・農機の情報をまとめたい農業法人に向いています。食味・収量センサー付きコンバイン、センシング用ドローン、可変追肥などを使い、翌年の作付や施肥にデータを生かしたい企業にも候補になります。見積もりや導入前には、他社農機から取得できるデータの範囲、Excel出力やAPIの可否、衛星データやMarketplace機能の追加料金、圃場数が増えた場合の費用を確認してください。
アグリノート株式会社|圃場・作業・収穫記録を始めやすい営農支援アプリ

アグリノート株式会社は、営農支援アプリ「アグリノート」や、団体で生産者データを集約する「アグリノートマネージャー」を開発・運営する企業です。旧社名はウォーターセル株式会社で、2026年4月1日にアグリノート株式会社へ社名変更しました。圃場、作付、作業、生育、収穫、出荷、農薬履歴などを記録し、農業の現場で蓄積した情報を共有しやすくするサービスです。
特徴と強み
現場の記録をスマートフォンやパソコンで入力し、圃場を地図で確認しながら作業履歴を残せる点が強みです。アグリノート公式の料金ページでは、無料プランは1組織・1年間で100圃場、20記録まで、Sプランは年額11,000円、Mプランは年額22,000円、Lプランは年額33,000円と案内されています。いずれも税込価格で、ID数に上限がない点も複数人での利用を検討しやすい特徴です(出典:アグリノート株式会社「料金プラン」、2026年8月確認)。
得意領域・おすすめな企業像
まず紙やExcelの日報をやめたい、圃場数や作業者が増えて情報共有が難しくなった、農薬や肥料の使用履歴を整理したいという企業に向いています。JA、行政、食品メーカーなどが生産者の情報を集める場合は、アグリノートマネージャーを含めて比較できます。ただし、ハウスの自動制御や特殊な農機データの取り込みまで必要な場合は、標準機能で対応できる範囲と外部連携の方法を事前に確認し、個別開発会社との役割分担を決めてください。
グリーン株式会社|センサー・植物データ・AIを組み合わせるe-kakashi

グリーン株式会社は、農業IoTサービス「e-kakashi」を提供する企業です。センサーで取得した温度、湿度、日射、土壌水分などの環境データと、気象情報や生育情報を組み合わせ、栽培ナビゲーションやBI、AIによる予測を支援します。農業現場のデータを単に蓄積するのではなく、植物の生理や栽培ノウハウを判断に生かすことを重視しています。
特徴と強み
施設園芸、果樹、露地栽培などで、環境と生育の関係を見える化したい場合に強みを発揮します。センサー、通信ゲートウェイ、クラウド、分析画面を組み合わせるため、温度や土壌水分の変化を記録し、熟練者の判断を次の担当者へ共有しやすくなります。グリーン公式サイトでは、2026年3月に愛媛県のかんきつ栽培で収量1.3倍を達成した実証成果と、農業用LLM・土壌水分AI予測機能の提供開始が紹介されています。個別事例の成果は品目や条件によって変わるため、自社で再現できるKPIを設定してください(出典:グリーン株式会社「e-kakashi」ニュース、2026年3月)。
得意領域・おすすめな企業像
ハウスの潅水・換気判断を改善したい、環境データと収量を結び付けたい、地域や品目ごとの栽培ノウハウを蓄積したい企業に向いています。IoT導入では、センサーを置けば自動的に成果が出るわけではありません。圃場の電波状況、電源、泥や雨への耐久性、欠測時の扱い、センサー交換の保守費、AIの提案を誰が承認するかまで確認してください。設備を自動制御する場合は、通信断や異常値でも安全側に停止できる仕組みが欠かせません。
ライブリッツ株式会社|出荷・受注・請求を効率化するAgrion

ライブリッツ株式会社は、AI・IoTなどを活用し、スポーツや地域産業のデジタルイノベーションを支援する企業です。農業向けには、農業経営を支援するアプリ「Agrion」や、注文・納品・売上・請求を扱う「Agrion販売管理」を提供しています。生産現場の記録だけでなく、出荷後の事務作業まで一つの流れで整理したい農業生産法人に適した候補です。
特徴と強み
Agrion販売管理は、FAX・電話・メールなどで受けた注文を一元管理し、納品書、受領書、請求書、訂正伝票を作成できます。取引先・商品台帳のCSV取り込みや、納品日から出荷予定日を計算する機能もあります。公式料金では、ベーシックプランが月額9,800円、パーソナルプランが月額1,980円で、どちらも1か月無料の案内があります(出典:ライブリッツ株式会社「Agrion販売管理」、2026年8月確認)。このように公開料金があるため、個別開発に進む前の費用比較をしやすい点も特徴です。
得意領域・おすすめな企業像
受注情報が複数の経路に分散している、納品書や請求書を手作業で作成している、品目・取引先別の売上を集計したいという企業に向いています。農業生産法人の販売事務を標準化したい場合は、まずAgrionで足りる範囲を確認できます。圃場ごとの原価や生育データ、在庫・会計との連携まで一体化したい場合は、CSVやAPIの接続範囲、導入支援の内容、データを解約後に返却できるかを確認しておくと安心です。
株式会社NTTデータ|JA・自治体・流通までつなぐ食農データ基盤

株式会社NTTデータは、食農分野で営農支援プラットフォーム「あい作」、AI・画像解析、ドローン、出荷予測などを組み合わせ、生産から流通・販売までの情報連携を支援する企業です。単一の農場アプリを導入するだけでなく、JA、自治体、農業団体、流通事業者など複数の関係者がデータを扱うプロジェクトで、企画から開発・運用までの体制を組みやすい点が特徴です。
特徴と強み
農業現場の作業記録だけでなく、生産者への情報提供、資材受注、出荷予測、自治体の農地情報などを広い範囲で連携できることが強みです。公式の食農・農業ページでは、「あい作」に加えてAI・画像解析、ドローン、GIS・GPSなどの技術領域が紹介されています。また、2025年には農地台帳やGISなどを使う長野市との農業情報連携の実証も公表されています。大規模な連携案件では、データの標準化と権限分離を初期から設計することが重要です(出典:株式会社NTTデータ「食農・農業」、2026年8月確認)。
得意領域・おすすめな企業像
JAや自治体が地域の生産者情報を集約したい、複数の農業法人や販売先をまたいでトレーサビリティを整えたい、既存の基幹・GIS・会計・販売システムを統合したい場合に向いています。反対に、1農場の作業日誌だけを低コストで始めたい場合は、公開料金のあるSaaSから検討したほうが早い可能性があります。相談時には、対象組織、利用者の役割、データ所有者、外部API、運用主体、障害時の責任分界を明確にしてください。
農業向けシステムのパートナー選びのポイント

6社はそれぞれ得意領域が異なり、優劣を一律に決められません。標準SaaSで現場記録から始めるのか、センサーや農機を連携するのか、JA・自治体を含むデータ基盤を作るのかを先に決めると、候補企業との会話が具体的になります。
実績は会社名ではなく、条件が近い事例を確認します
導入事例を見るときは、「農業での実績がある」という一文だけで判断しません。品目、圃場面積、利用者数、拠点数、実証期間、導入前後のKPI、現場入力の方法、既存設備との連携範囲を確認します。農林水産省のスマート農業実証では、水田作の総労働時間が平均9%削減、単収が平均9%増加したと整理されていますが、これは実証地区の平均値であり、自社の成果を保証する数字ではありません(出典:農林水産省「特集3 スマート農業技術の活用と今後の展望」、2024年度)。
技術力は連携・通信断・データ所有まで確認します
センサー、農機、ドローン、衛星、気象情報、会計、販売管理、GISをつなぐ場合は、対応するデータ形式とAPIを確認します。圃場では電波が弱い場所や通信断が起こるため、端末側の一時保存と再送、入力の重複防止、異常値の通知が必要です。AIを使う場合は、学習データの利用目的、モデルの更新履歴、回答の根拠、監査ログ、重要な判断を人が承認する流れを確認します。栽培ノウハウ、農薬使用履歴、取引先情報、出荷計画は企業の機密情報でもあるため、契約終了時のデータ返却と削除方法も質問してください。
導入後の運用体制と費用を含めて比較します
初期費用だけでなく、月額利用料、センサーやゲートウェイの機器代、通信回線、現地設置、データ移行、教育、問い合わせ対応、保守改修を分けて比較します。企画段階の目安として、記録SaaSは無料から月額数千円、初期設定や移行を含む連携は10万円から100万円程度、IoTやAIのPoCは50万円から300万円程度、個別開発は300万円から2,000万円程度になる場合があります。これらは仕様による変動が大きい推定レンジであり、正式見積ではありません。最初から全拠点を対象にせず、1品目・1圃場・1工程で効果を測り、入力時間、作業時間、収量、規格品率、廃棄率などのKPIを確認してから広げる方法が安全です。
よくある質問

農業向けシステムを比較するときに、特に相談の多い質問をまとめます。費用や機能だけではなく、導入範囲と現場定着の条件を合わせて考えることがポイントです。
農業向けシステムの費用相場はいくらですか?
記録中心のSaaSは無料から月額数千円程度で始められるサービスがあり、販売管理SaaSでは月額1,980円や9,800円の公開例があります。個別開発、IoT、AI、現地設置、データ移行を含めると、数十万円のPoCから数百万円以上の開発まで幅があります。見積もりでは、機能だけでなく圃場数、利用者数、機器、通信、教育、保守を分けて確認してください。
パッケージと個別開発はどちらを選べばよいですか?
紙の日報、圃場管理、作業記録、収穫記録など標準的な業務が中心なら、SaaSやパッケージを試す方法が適しています。既存農機・センサーとの複雑な連携、独自の栽培工程、複数法人・JA・自治体をまたぐデータ共有、設備制御が必要なら、クラウド個別開発やSI会社との組み合わせを検討します。最初から結論を決めず、標準機能で足りない部分を一覧化してから比較してください。
農業向けシステムに補助金や支援制度はありますか?
スマート農業技術活用促進法は2024年10月1日に施行され、生産方式革新実施計画と開発供給実施計画の認定制度が設けられています。認定を受けた農業者や事業者には金融などの支援措置がありますが、認定されればシステム費が必ず補助されるという意味ではありません。公募時期や対象経費、申請者の要件は制度ごとに変わるため、農林水産省や自治体の公募情報、金融機関、専門家に確認してください(出典:農林水産省「スマート農業技術活用促進法について」、2024年施行・2026年5月Q&A版)。
まとめ

農業向けシステムは、機能数が多い会社を選べば成功するものではありません。対象工程、利用者、圃場環境、既存機器、データの共有範囲、導入後の運用体制を整理し、自社の課題を最も解決できるパートナーを選ぶことが重要です。
今回紹介した6社の使い分け
株式会社riplaは業務整理から個別開発まで一気通貫で相談したい企業、株式会社クボタはKSASによる圃場・作業・農機連携を重視する企業、アグリノート株式会社は営農記録を早く始めたい企業に向いています。グリーン株式会社は環境データやAIを使う施設園芸・果樹など、ライブリッツ株式会社は受注・納品・請求などの販売事務、株式会社NTTデータはJA・自治体・流通まで含むデータ連携を検討する企業に適しています。
まずは1工程のPoCとKPIから始めます
候補を2〜3社に絞ったら、圃場数、品目、利用者数、対象工程、既存データ、通信環境、連携したい機器、削減したい時間を伝え、同じ条件で提案と見積もりを比較します。最初から全社最適を目指すのではなく、作業日誌、潅水判断、出荷管理など効果を測りやすい1工程から始め、入力時間や作業時間、収量、規格品率などのKPIを確認してから対象を広げると、現場に定着しやすくなります。
農業向けシステムの導入は、デジタル化そのものが目的ではありません。現場の負担を減らし、蓄積したデータを次の作付・出荷・経営判断に生かすことが目的です。自社の工程と将来の拡張方針を整理したうえで、長く使い続けられるパートナーを選んでください。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
