Alibaba Cloudのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

Alibaba Cloudのシステム開発は、要件整理から定着まで6段階で進めるのが基本です。段階ごとに出口条件を承認してから次へ移ると、手戻りや費用の膨らみを抑えやすくなります。

全体の構成は、次に示す完全ガイドの記事でも確認できます。

▼全体ガイドの記事
・Alibaba Cloudのシステム開発の完全ガイド

Alibaba Cloudのシステム開発の全体像

Alibaba Cloudの業務システムを入口・処理・データ・運用の4層で示した図解
各層の役割を分けて構成を捉えられます。

Alibaba Cloudは業務パッケージそのものではなく、複数のクラウドサービスの集まりです。そのため、業務システムは必要なサービスを組み合わせて作ります。

基本構成は「入口・処理・データ・運用」の4層

業務システムは、ECSやRDS、VPCなどを役割ごとに組み合わせて作ります。その役割は、次の4つに分けて捉えると整理しやすくなります。

  • 入口:CDNやWAFで配信と攻撃対策を行い、Server Load Balancerで処理先へ振り分けます。
  • 処理:ECSのWebアプリ、ACKのコンテナ、またはFunction Computeを配置します。
  • データ:RDS、OSS、バックアップ用ストレージを組み合わせます。
  • 運用:RAMで最小権限を設定し、Cloud Monitorなどで稼働率やエラーを監視します。

監視対象には、レスポンスタイム、CPU、メモリ、ディスクも含めます。小規模な社内ポータルなら、ECS、RDS、OSS、バックアップから始められます。

開発の成否を決めるのは、サービスの数よりも、業務要件と非機能要件に合う構成を選べるかです。公開サービスでは、WAFや負荷分散、冗長化、監視、障害通知までそろえて本番構成になります。

ECSでは、計算資源のほか、OSイメージやブロックストレージも課金の対象になります。パブリック帯域やスナップショットも同様に課金されます(出典: Alibaba Cloud「ECS billing overview」、2026年)。

向いている企業と比較すべき企業の分け方

導入先と社内の運用環境を照らし合わせると、比較すべき条件が見えてきます。

  • 優先候補:中国・アジアで利用者を増やす企業や、海外拠点を接続する企業
  • 優先候補:大規模アクセスやAlibabaグループとの連携を重視する企業
  • 他クラウドも比較:国内だけの小規模システム、または他クラウドの運用標準がある企業

利用者に近い場所へ処理を置くため、東京や中国本土、香港、シンガポールを組み合わせる設計も検討できます。

AWS、Microsoft Azure、Google Cloudも、同じ条件で比べます。価格を見るだけでなく、中国向けの通信品質やサービス提供地域も確かめておきます。さらに、日本語サポート、請求通貨、契約終了時のデータ返却も比べる対象に含めます。

ポイント

迷ったときは、利用者の地域と業務要件、非機能要件を満たすかで構成を選びます。中国本土にデータを置く可能性があるなら、データ分類と法務確認を技術選定より先に行います。

Alibaba Cloudのシステム開発の進め方

顧客側の保護対象と、OSパッチ・最小権限・セキュリティグループ・データ暗号化を示す図解
基盤の外側にある設定やデータの管理も対象です。

いきなりECSを契約すると、後からリージョンやDB、ネットワーク、法務要件を変えることになりやすいです。そのため、先に要件と責任分界を整理し、6段階を順に進めます。各段階の出口条件を承認してから、次の段階へ移ります。

特に、中国本土にデータを置く可能性があるときは、技術選定より先にデータ分類と法務・契約確認を行います。

Phase 1:要件整理で目的とデータを数値化

業務成果と期限を定め、どこまでをクラウド化するかを見極めます。

  • KPI:売上、処理時間、問い合わせ削減率、海外拠点の利用開始日を定めます。
  • 業務フロー:標準処理と例外処理を洗い出し、受注、在庫、承認、帳票の流れを図にします。マスタや外部APIも図に含めます。
  • データ:個人・決済情報、機密設計データ、公開データの分類
  • 性能:同時接続数、ピークリクエスト数、許容時間、RTO、RPOを数値にします。

データごとに、保存期間、暗号化の方法、アクセス担当、バックアップ先を決めておきます。成果物は、要件定義書、データ分類表、非機能要件一覧の3点です。

業務フローと課題・前提・未決事項の一覧も、成果物に含めます。そのうえで、これらの承認を得てからインスタンスタイプを確定します。

Phase 2:リージョンとサービスの選定

リージョンを選ぶ際は、利用者の場所、データの保管場所、社内との接続を基準に評価します。提供サービスや価格、障害時の代替手段も、あわせて見ておきます。

リージョンは、リソースを作成する時点で選ぶ必要があり、作成後は変更できません。同じリージョン内のゾーンは障害が分離されているため、高可用性が必要なら、異なるゾーンへの分散を検討します(出典: Alibaba Cloud「Regions and zones」、2026年)。

  • 東京:基本候補とするかを検討します。
  • 中国本土:個人データの扱い、越境移転、ICP登録、現地規制、サポートを確認します。
  • 接続構成:東京と中国本土をつなぐかどうかは、データ分類と利用者から決めます。

候補ごとに、データの場所、通信経路、障害時の切り替え、必要な申請を比較表にまとめます。対応できないサービスも表に書き入れ、経営、法務、現場の合意を得ておきます。

構成図には、ECS、RDS、OSS、VPCなどの基本サービスを入れます。SLBやWAF、Cloud Firewallといった入口の要素と、Cloud Monitor、ログ、バックアップも同じ図にまとめます。

コンテナやサーバーレスが必要な場合は、ACKやFunction Computeも候補になります。運用担当者がそれらを扱えるか、障害の切り分け手順を作れるかも確かめます。

Phase 3:設計・開発での責任分界の実装

基本設計では、ネットワークやサブネット、セキュリティグループ、IAMを決めます。DBやバックアップ、監視、ログの設計も、この段階で行います。

詳細設計では、APIや画面、テーブル、バッチの仕様を具体的に決めます。さらに、エラー処理、権限、暗号鍵、アラート条件も仕様にまとめます。

納品物には、構成図、設定値一覧、IaCまたは構築手順、テスト観点、運用手順を明記します。

Alibaba Cloudが基盤を保護しても、OS、アプリ、データ、権限設定は自動では守られません。そのため、顧客側がOSパッチや最小権限も担います。セキュリティグループ、アプリ、データ暗号化も顧客側の責任です(出典: Alibaba Cloud「ECS shared responsibility model」、2026年)。

責任はRACI表にまとめ、設定者、承認者、障害時の連絡先を決めておきます。

  • SaaS・パッケージ活用:既存製品を使い、開発は連携とデータ基盤に絞ります。
  • 個別開発:Alibaba Cloud上に業務アプリを構築する方式
  • スクラッチ開発:独自要件を優先して作る方式

方式を比べるときは、独自性が低い領域で標準機能を優先します。一方で、受発注や会員など競争力に直結する領域には費用を配分します。そうすると、納期と保守性を両立しやすくなります。

Phase 4:テストでの性能・復旧・移行の検証

画面の動きに加えて、性能や障害対応、復旧、移行を受入前に検証します。

  • 機能:単体、結合、総合、受入の各テストを行います。
  • 基盤:負荷、障害、復旧、権限、脆弱性の確認
  • 接続:ログ、通信断、リージョン障害の検証

同時接続数、RTO、RPOをテスト条件に反映し、合格基準を先に決めておきます。そうすると、「十分に速い」といった感覚だけの議論を避けられます。

移行時は、件数と文字コード、タイムゾーンを確かめます。さらに、重複や欠損、マスタ対応表も見ておきます。

  1. リハーサルでバックアップ取得、差分連携、切り替えを行います。
  2. 旧環境の参照とロールバックまで、通しで実行します。

停止時間が業務の許容時間を超えるようなら、段階移行か並行稼働を選びます。また、移行、データ検証、業務承認の担当者は分けておきます。

Phase 5:稼働での切り替えと初期安定化の管理

稼働の切り替えと初期安定化では、判定、作業手順、監視、アカウント管理を確認します。

  • リリース判定:未完了テスト、残存リスク、監視、バックアップ、緊急連絡網、ロールバック条件を見て判断します。
  • 切り替え手順:作業時間、実施者、確認者、判断者を時系列にまとめた手順書を使います。
  • 初期監視:エラー率、応答時間、CPU、DB接続数、帯域、費用アラートを見ます。初週と初月に、設定を調整します。
  • アカウント所有:契約主体、ルートアカウント、RAMユーザー、アクセスキー、ドメイン、証明書は自社で持ちます。
  • 権限と記録:リポジトリとログも自社で管理し、開発会社には必要な権限だけを与えます。特権操作は申請・承認・記録制にします。

Phase 6:定着での運用と改善の組み込み

稼働の後は、現場が使い続けられる状態を作る段階に入ります。

  • 現場運用:操作手順、問い合わせ窓口、障害連絡、権限申請、データ修正のルールを整えます。
  • 利用状況:各部門に業務リーダーを置き、利用率、入力漏れ、処理時間、問い合わせ件数を月次で確認して、使われない状態を防ぎます。
  • 運用契約:24時間監視、一次切り分け、Alibaba Cloudへの問い合わせ、OSパッチを分けて記載します。
  • 対応範囲:脆弱性対応、バックアップ確認、月次報告、軽微改修を明記し、障害時の判断者と復旧目標を残します。
  • 定期改善:四半期ごとに利用状況、障害、セキュリティ、料金を見直し、不要な資源を止めて必要な分に余裕を持たせます。

ポイント

次の段階へ進むかは、前段階の出口条件が承認済みかで判断します。移行や稼働の判断では、データ検証と業務承認の担当者を分けておく点も押さえます。

Alibaba Cloudのシステム開発にかかる費用相場

小規模・中小規模・越境業務のクラウド月額利用料レンジを比較した図解
規模が大きくなるほど月額レンジも上がります。

費用は、月額利用料と開発・移行・保守費に分けて考えます。利用料は、リージョンやインスタンスタイプ、稼働時間で変わります。さらに、通信量やDB容量、バックアップ、冗長化も影響します。

開発費は、画面数や外部連携、データ移行、テスト、運用設計の内容で変わります。なお、下記の金額は、2025〜2026年の公式料金情報と業務システム開発の一般的な工数相場をもとにした企画目安で、個別見積もりを保証するものではありません。

構成別に見るクラウド利用料の月額レンジ

月額利用料の幅は、構成規模と冗長化の有無で変わります。

  • 小規模:ECS1〜2台、少容量RDS、OSS、最低限のバックアップの構成で、月1万〜10万円程度
  • 中小規模:冗長化、RDS、WAF、監視、検証環境、外部通信を含めて、月10万〜50万円程度
  • 越境業務:日中ECや受発注で、通信量、複数リージョン、バックアップ、運用監視を含む場合は、月50万〜300万円程度を見込むケースがあります

公式料金資料には、2 vCPU・8GBのg8iが月72.32米ドルから、g8aが月61.28米ドルからという例があります。1ドル150円で換算すると約9,000〜11,000円になりますが、これは計算資源1台の例です(出典: Alibaba Cloud「ECS Gen8」、2026年)。

料金は、リージョンや購入期間、課金方式、OSによって変わります。さらに、ディスクや帯域、割引でも変わります。そのため、公開価格の下限は本番の月額とはみなせません。

本番環境では、複数の処理サーバーに加えて、DB、ディスク、パブリック帯域、SLB、WAFも費用に加わります。ログやスナップショット、監視も見積もりに入れます。

開発・検証・本番の3環境ごとに、月額を分けて示します。また、ピーク時の増加分や停止可能時間、予算アラートも記載します。従量課金は、上限を決めて管理し、放置しないことが欠かせません。

規模と方式で変わる開発・移行費

開発範囲と連携要件ごとに、初期費用と期間の目安を確かめます。

  • 小規模:構築・設定・監視設計のみなら50万〜300万円程度。期間の目安は1〜2か月です。
  • 中小規模:業務Webシステムで300万〜1,500万円程度、期間は3〜6か月程度
  • 越境・大規模:越境EC等で1,500万〜8,000万円程度、大規模基盤で8,000万円〜数億円となる場合があります

中小規模の場合、認証や管理画面、帳票、外部APIを含むことがあります。さらに、RDSやWAF、監視、受入テストが入る場合もあります。

機能数や品質要件によって費用は変わります。そのため、レンジの中央をそのまま予算にせず、前提条件を添えて扱います。

越境EC等では、多言語と多通貨を含むかを確かめます。決済や在庫・基幹連携も、対象に入るかを見ます。負荷試験と移行の要否も確かめます。大規模な基幹・分析・AI基盤では、期間が12か月以上になる場合もあります。

費用は、基盤設定、アプリ開発、データ移行、現地対応ごとに分けて比べます。

初期費用と別に確保する保守費と予備費

保守費と予備費は、対象範囲や不確実な作業の根拠ごとに分けて管理します。

  • 保守費の目安:初期開発費の年10〜20%を企画目安とする場合があります。
  • 保守範囲:監視、障害対応、パッチ、脆弱性対応のどこまでを含むか
  • 月額条件:作業時間、対応時間帯、一次・二次対応の境界、追加改修の単価を確認します。
  • 費用の分離:クラウド利用料と保守費を分けて、リソース削減の効果を把握します。
  • 予備枠:要件追加、移行データの不備、申請遅延、通信費の増加、性能増強に備えます。根拠のない一律設定は避けます。

未確定の要件、移行件数、性能リスク、法務確認待ちごとに、金額または工数を示します。用途を明らかにしておくと、追加請求をめぐるトラブルを減らせます。

ポイント

費用は、クラウドの月額利用料、開発・移行費、保守費を分けて、前提条件とともに見比べるのが判断の目安です。企画目安の金額は個別見積もりを保証しないため、前提が揃った見積もりで最終判断します。

Alibaba Cloudの見積もりを取る際のポイント

見積もりは、合計額だけでなく、前提、除外項目、成果物、責任分界を並べて比べます。同じ2 vCPU・8GBでも、地域や契約条件によって金額が変わります。

OSやディスク、帯域、稼働時間も料金に影響します。作業費は要件の確定度で変わるため、各社に同じRFPを渡します。見積書は、クラウド料金と人件費を分けて依頼します。

RFPの要件・前提・除外項目

RFPに必要な条件と成果物を明記しておくと、各社の見積もりを同じ土台で比べられます。

  • 利用条件:人数、ピーク接続数、データ量、保持期間、RTO・RPO
  • 環境条件:稼働時間、利用地域、言語・通貨、外部連携、既存環境
  • 移行・運用:移行件数、個人情報の保管地域、社内運用担当の有無を記します。

東京だけを使うのか、中国本土も使うのかも明記します。前提が不足した見積もりは、後から条件が変わる可能性があります。

成果物には、要件定義書、構成図、詳細設計書を含めます。ソースコード、IaC、テスト仕様・結果も成果物に入れます。移行計画や操作・障害対応手順も明記し、権限一覧、バックアップ設定、引き継ぎ資料も書き残します。

除外項目には、ICP申請支援、法務評価、現地ネットワーク工事、翻訳、24時間監視を書きます。加えて、クラウド利用料と他社ライセンスも、除外の対象かどうかを明確にします。

認定資格と実績の深さで見る開発会社の選び方

資格に加えて、自社の案件に近い地域や運用の経験も確かめます。

  • 体制:認定資格者数、現行の公式資格、日本語と中国語の窓口を尋ねます。
  • 経験:東京、中国本土、香港での設計実績や、対象DBの移行実績
  • 運用:24時間監視、障害時の対応、現在提供中のサービスかどうか

公式掲載や導入事例は、自社案件の成功までは保証しません。そのため、対象地域、担当範囲、提供中のサービスを確かめます。

海外業務の変革にはグローバルSIer、国内基幹連携には国内SIerが合う場合があります。また、高負荷のサービスでは、クラウド運用に強いパートナーを候補にできます。障害時の連絡や移行リハーサル、引き継ぎも比べます。

ソースコードとクラウドアカウントの帰属を確かめます。自社で運用したい場合は、構築後の受け渡し内容を契約に含めておきます。

契約前に確認するリージョン・法務・運用のリスク

個人データを外国の第三者に提供する場合は、原則として本人の同意などの要件を確認する必要があります(出典: 個人情報保護委員会「外国にある第三者への提供編」、令和7年12月一部改正)。

整理の仕方は、クラウド事業者のデータ取扱い、海外サポート担当のアクセス、再委託先によって変わります。そのため、「クラウドだから対応済み」と決めつけず、法務などに確認します。

  • データ管理:保管地域、管理者アクセス、暗号化、鍵の管理者
  • 運用条件:ログ保存、バックアップ場所、脆弱性対応期限、障害通知を確かめます。
  • 契約条件:SLA、監査協力、データの返却・消去、設定の引き渡し

中国本土リージョンでは、現地規制やICP登録、越境通信、提供サービスの範囲を、別に確認します。また、月額の上限を超えたときの通知や検証環境の自動停止、不要なECSやディスクの洗い出しも確かめます。

Savings Planやサブスクリプションを選ぶ条件も確かめます。変動の大きい検証や開発は、従量課金を検討します。

一方で、安定して稼働する本番は割引契約を検討し、利用パターンと契約期間を合わせます。

ポイント

見積もりは、合計額より前提や除外項目、責任分界を揃えて比べるのが基本です。同じRFPを各社に渡し、クラウド料金と人件費は分けて依頼します。

Alibaba Cloudのシステム開発でよくある質問

料金、他クラウドとの違い、データの保管場所、移行について、よくある質問に答えます。

Alibaba Cloudのシステム開発費用はいくらですか?

小規模の検証や社内ポータルは初期構築で50万〜300万円程度、中小規模の業務Webシステムは300万〜1,500万円程度が企画目安です。

日中ECや基幹連携は1,500万〜8,000万円程度、大規模基盤は8,000万円〜数億円の場合があります。

利用料、移行費、保守費は、別々に分けて考えます。見積もりを依頼する際は、機能数や利用地域、データ量、品質要件を添えます。

日本企業はAlibaba Cloudを利用できますか?

利用はできますが、利用するサイトや契約主体、リージョン、サポート言語、請求方法、必要なサービスを、事前に確認します。

国内の利用者だけであれば、東京を中心に考えます。一方で、中国本土の利用者や拠点がある場合は、中国本土や香港、シンガポールとの構成も検討します。

日本語の窓口や障害時の連絡体制は、クラウドの提供条件と開発会社の運用契約を分けて確かめます。

AWSやAzureではなくAlibaba Cloudを選ぶ基準は何ですか?

中国・アジアの利用者に近い地域や現地通信、Alibabaグループとの親和性が、成果につながるかで判断します。

国内だけの小規模システムであれば、社内のスキルや提供地域、サポート、移行のしやすさも比べます。また、AWSやAzure、Google Cloud、国内クラウドを含めて、開発・運用・法務対応を合わせた総額で選びます。

オンプレミスや他クラウドから移行できますか?

移行はできますが、調査から本番への切り替えまで、順に検証します。

  1. DBの種類と版、文字コード、データ量、停止可能時間、外部連携を調べます。
  2. IP制限や証明書、運用監視も調べたうえで、少量のデータで移行を試します。
  3. 検証環境で、差分同期や性能、バックアップからの復旧を確かめます。
  4. 切り替え前にリハーサルとロールバック条件を承認し、業務側が件数と重要データを確かめてから本番稼働します。

まとめ

開発は6段階で進みます。要件整理と選定の次に設計・開発とテストを行い、そのあと稼働と定着へ進みます。各段階の判断は、一体で管理するのが基本です。

要件では、KPIやデータ分類、RTO・RPOを決めます。選定では、リージョンやサービス、通信、規制を比べます。設計では共有責任をRACI表にまとめ、テストでは負荷、移行、復旧、権限を確かめます。

クラウド利用料・開発費・保守費を分けた費用の管理

企画段階の費用目安を、規模や案件ごとに整理します。

  • クラウド利用料:小規模は月額1万〜10万円程度、中小規模は月額10万〜50万円程度
  • 越境業務の利用料:中国と日本をまたぐECや受発注では、月50万〜300万円程度を見込むケースがあります。
  • 開発費:小規模は50万〜300万円程度、中小規模は300万〜1,500万円程度の目安
  • 複数リージョン・基幹連携:案件によって1,500万〜8,000万円程度が目安になります。

これらは、リージョンや通信量、機能、品質、移行、運用の条件によって変わります。

最初の一歩は5項目を埋めたRFPの作成

まず、次の5項目をRFPに記載します。

  • 利用者の地域:対象とする地域
  • データの種類:扱うデータを記します。
  • 性能・復旧条件:ピーク同時接続数とRTO・RPOの目標値
  • 移行対象:移行するデータやシステム
  • 運用時間:必要とされる運用時間を記します。

東京、中国本土、ハイブリッドの構成を比べながら、複数社から見積もりを取ります。クラウド料金と開発・保守費を分け、データの所在やアカウント所有者も明確にします。障害時の責任と契約終了時のデータ返却も、曖昧にしないことが大切です。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。