Android Studioのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

Android Studioのシステム開発費用は、アプリの機能、API、管理画面の範囲で変わります。連携や運用の範囲によっては50万〜3,000万円以上になるため、見積もりを取る前に対象範囲を決めておく必要があります。

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Android Studioのシステム開発の定義

Android Studioのシステム開発とは、Android端末のアプリを入口に、業務データを安全に処理・共有する仕組みを作ることです。そのため、見積もりでは、IDEの利用料だけでなく、アプリ、サーバー、運用体制も対象に含めます。

Android Studioと開発対象のシステムの違い

Android Studioは、コード編集、ビルド、エミュレーター、デバッグ、プロファイリング、Composeの画面確認を扱う開発環境で、アプリ画面の作成に欠かせません。一方、見積もりでは、アプリ画面の外側にあるシステム全体が対象になり、主に次の二つを含みます。

  • システムの裏側:在庫情報を保存するデータベース、基幹連携API、管理画面、通知、監視は、開発会社がアプリとは別に設計します。
  • 業務フロー:訪問営業の記録では、ログイン、顧客検索、位置情報が必要です。写真やオフライン保存、上司の承認、管理画面での集計も含まれます。

発注するときは、アプリ化する業務を言葉にして伝えると、見積もりの前提がそろいます。画面数だけで見積もると、APIや権限管理が後から加わり、費用と期間が膨らみます。

業務システムで対象になる現場データと運用

業務アプリでは、販売、在庫、点検、配送、訪問記録、営業支援などのデータを登録し、会社が判断に使える状態に整えます。表記揺れや例外処理、通信断時の入力方法を整理しないと、データがそろいません。

費用には、マスタ管理者、連携先、端末紛失時の対応も含まれます。さらに、業務の標準化やデータ移行には、発注側の協力が欠かせません。

ポイント

見積もりは、アプリ画面だけでなくサーバー、連携、運用まで含めて考えます。アプリ化する業務を言葉にして前提をそろえると、各社の金額を同じ条件で比べられます。

Android Studioで作るシステムの構成

Androidシステムの見積もり対象を、クライアント、APIや管理画面、配布と運用の3層で示した図。
アプリの画面以外にも、裏側の仕組みと運用が積み重なります。

スタンドアロン型と業務システム型では、費用の構造が異なります。見積もりに登場しやすい構成は、次の三つに分けて考えます。対象範囲を決めておくと、各社の見積もりを同じ条件で比べられます。

Androidクライアント側の費用

クライアント側には、ログインや検索、一覧・詳細の表示が含まれます。入力や写真・バーコードの読み取りも、この側に入ります。さらに、プッシュ通知や位置情報、オフライン保存も、この側の費用になります。

  • Android中心:KotlinとJetpack Composeで作るネイティブ開発は、Android機能を細かく使う場合に適しています。
  • 複数OS:AndroidとiOSを同時に作る場合は、FlutterやReact Nativeで共通部分を増やすと、初期費用を抑えられる可能性があります。

一方、Bluetoothや特殊なカメラ制御、端末管理は、OSごとの実装が必要です。Wear OS連携も、実装を別に組む項目になります。

発注側は、必要な機能と3年の保守体制で判断し、共通化の範囲が小さい場合の費用も確認しておきます。

API・データベース・管理画面の費用

業務システムでは、アプリの裏側が予算を大きく左右します。認証、権限、APIには、それぞれ別の工数がかかります。データベースやファイル保管、通知、ログ、バックアップ、管理画面も、工数の対象です。

基幹、在庫、販売管理、会計、SaaSと連携する場合は、接続仕様の確認に加えて、エラー時の再送処理も必要になります。写真付きの点検報告では、写真の圧縮と再送、権限を設計します。さらに、承認履歴、検索・集計、保存期間も設計の対象になります。

アプリの裏側の機能を簡単な入力画面と見なして見積もると、リリース後の改修費が初期見積もりを上回ることがあります。

配布・セキュリティ・運用の費用

配布方法によって必要な対応は変わります。公開と社内限定では、主な項目が次のように分かれます。

  • 公開アプリ:Google Play Consoleの設定や審査に加えて、ストア素材、プライバシーポリシー、Data safety申告が必要です。
  • 社内限定:Managed Google PlayやMDM・EMMで配布し、仕事用プロファイルと遠隔ロック・ワイプを設定します。

Android Enterpriseでは、EMMコンソール、Android Device Policy、Managed Google Playを組み合わせて使います。組織が承認したアプリを配布できます(出典:Google for Developers「Android Enterprise」、2025年更新)。

運用では、クラウド利用料や監視、脆弱性対応、OSやSDKの更新に加えて、クラッシュ調査や問い合わせ対応も発生します。これらは毎月または毎年の費用として、あらかじめ見込んでおきます。

初期費用だけで判断すると、保守範囲の狭さや追加費用を見落とすことがあります。そのため、開発と運用を分けず、少なくとも3年間の総保有コストで確認します。

Android Studioのシステム開発費用の相場

情報閲覧中心、会員機能、業務入力型のAndroidアプリについて、初期費用の目安を横棒で比較した図。
業務データや管理画面を含む構成ほど、予算帯も上がります。

Android単体で見ると、初期開発費は50万〜3,000万円以上まで幅があります(出典:株式会社ripla・株式会社LASSICのAndroidアプリ費用解説、2026年参照)。業務システムの場合は、API、管理画面、既存データ連携、端末検証の有無で費用が変わります。

ここで示す価格帯は、予算を取るための仮の目安です。最終的な金額は、要件定義後の見積もりで確定します。

情報閲覧・問い合わせ中心なら50万〜100万円程度

会社情報、お知らせ、ニュース、問い合わせフォーム、簡単な検索に絞ったアプリは、50万〜100万円程度が目安です。既存のWebサイトやCMSを使い、情報表示と通知に限定すると、開発対象をさらに絞れます。

期間は1〜2か月程度ですが、ストア申請やデザイン素材、APIの有無によって前後します。ログインや権限、写真登録、オフライン、管理画面、既存システム連携を加えると、この相場から外れます。

初期費用を抑えたい場合は、公開情報と問い合わせだけのMVP(Minimum Viable Product)に絞り、業務処理は第2段階に分けます。

会員登録・検索・通知なら100万〜300万円程度

会員登録、ログイン、プロフィール、検索、プッシュ通知、お気に入りを備えるアプリは、100万〜300万円程度が目安です。このほか、認証方式やパスワード再設定、権限、退会・削除、ログ管理も、開発会社が設計します。

期間は2〜4か月程度が目安ですが、管理画面や本人確認が加わると上振れします。また、メール不達や重複登録、アカウント停止、通知を受け取れない端末も確認の対象になります。

利用規約への同意履歴も含め、通常の操作だけでなく失敗時の処理も見積もりに入れるよう、発注側から開発会社に求めます。

業務入力・API・管理画面なら300万〜800万円程度

業務入力や写真・バーコードを含む場合は、300万〜800万円程度を初期費用の目安にします。位置情報やAPIを加えた場合も、この目安を基準に見積もります。管理画面と権限管理まで含めても、期間の目安は3〜6か月程度です。

この整理では、アプリ機能の公開相場に、業務データ、サーバー処理、テスト、端末マトリクスを加味しています。ただし、既存の基幹・在庫・販売管理と複数連携する場合は、800万円を超えることもあります。

オフライン同期や複数拠点の権限、承認ワークフロー、監査ログ、過去データ移行は、費用が増えやすい項目です。そのため、見積もりは「アプリ開発一式」でまとめず、サーバー、管理画面、テスト、移行の範囲に分けて出してもらいます。

決済・地図・チャット・AI連携なら500万〜3,000万円以上

決済、地図、予約、チャット、動画、IoTといった機能を含むと、費用の幅が大きく広がります。AIや複雑な権限、複数システム連携が加わる場合は、費用が500万〜1,500万円程度、または1,500万〜3,000万円以上になることがあります。

  • 高機能な構成:大規模なバックエンドやリアルタイム処理、AI、複数連携を組み合わせた構成です。
  • 運用・性能要件:同時接続数や監査要件、24時間運用の条件が、設計と見積もりを左右します。

一般的なアプリの相場だけで決めず、利用者数、ピーク時のアクセス、データ保持期間、復旧目標、外部サービスの従量課金を前提に見積もります。

国内の公開費用資料では、小規模アプリは50万〜300万円、大規模・高機能なシステムは1,500万円以上の例があります(出典:システム開発費用に関する国内公開資料、2025〜2026年)。ただし、個別の価格をそのまま自社に当てはめないよう注意が必要です。

ポイント

初期費用は、業務入力、API、管理画面、連携先の有無で大きく変わります。画面数だけで判断せず、どこまでを対象に含めるかを先に決めてから相場を見ます。

費用の内訳と価格が変わる要因

費用の総額に関わる端末検証、セキュリティ、データ移行、API更新後の運用を示した図。
見積もり条件に含める範囲が、初期費用と運用費を左右します。

総額だけでなく工程別の金額を見ると、価格差の理由が分かります。業務アプリでは、要件定義・PM、UI/UX、Androidアプリに分けて見ます。さらに、API・バックエンドや管理画面、QA・端末テスト、リリース準備も、工程ごとに分けます。

以下の比率は、案件を整理するための目安です。実際の配分は、機能や体制によって変わります。

役割別の人件費と工数

国内の費用解説では、エンジニアの人月単価は40万〜160万円程度とされることがあります(出典:国内のアプリ・システム開発費用解説、2026年参照)。

  • 役割別工数:PM、UI/UX、Android、バックエンド、QA、インフラの単価と稼働月数を、役割ごとに示してもらいます。
  • UI/UX・アプリ:費用配分の仮置きは15〜25%、30〜40%と見込みます。
  • API・バックエンド:費用配分の仮置きは25〜35%です。
  • QA・PM:QA・端末テストは10〜20%、PM・文書は5〜10%を目安にします。

画面が少なくても、API連携が複雑であればバックエンドの比率は上がります。各社に同じ内訳を求めると、必要な工数を比べやすくなります。

固定価格・準委任・月額保守の違い

料金体系は、契約内容によって次の三つに分かれます。

  • 固定価格型:総額をあらかじめ決める方式で、仕様が固まった小規模開発を比べやすい方式です。
  • 準委任型:稼働時間や人月を基準に進め、要件調整を伴うMVPに合う場合があります。
  • 保守型:リリース後の対応範囲を、月額で契約する形です。

固定価格でも、要件変更や端末追加、外部仕様の変更は追加費用になる場合があります。一方、準委任型では、稼働時間や役割、成果物、進捗報告、未消化時間を確認します。

保守型では、問い合わせや障害対応、OS更新の回数と時間を明記します。また、クラウド利用料と機能追加費も、別に管理します。

端末・OS・通信環境の指定による費用差

Androidは、メーカー、画面サイズ、OS、メモリ、省電力制御に差があります。そのため、対象とする端末の数が検証工数に影響します。

  • 検証対象:最低対応OSや機種、タブレット、画面回転、バックグラウンド制限を確かめます。
  • 端末機能:カメラやバーコードの種類を、発注時に指定します。
  • 通信断への対応:一時保存や再送、同期競合、二重登録、エラー表示まで、設計の範囲に入ります。

全端末を保証する代わりに、利用実績の多い機種を代表端末として定める方法もあります。

倉庫や訪問先では電波が不安定になることがあるため、通信が途切れる前提で作る必要があります。

さらに、再送ログの残し方も決めておく必要があります。「オフライン対応」の一言で見積もると、必要な作業が抜けやすくなります。

認証・セキュリティ・データ移行の上振れ要因

認証やセキュリティ要件と、データ移行の作業は分けて見積もります。

  • 認証・保護:SSOや多要素認証、生体認証、細かな権限、監査ログが該当します。端末紛失時の遠隔ログアウト、暗号化、脆弱性診断も含まれます。
  • データ管理:保存期間や削除方法、アクセス記録、委託先、バックアップを取り決めておきます。
  • データ移行:形式変換や重複除去、表記揺れへの対応、リハーサル、移行後の照合が必要です。

個人情報や位置情報、写真を扱うなら、データの扱いを文書に残しておく必要があります。

移行するデータを発注側が準備しきれないまま開発を始めると、改修や納期の変更につながります。そのため、移行件数と品質確認の担当者を、見積もりの条件に含めておきます。

Google PlayとAPI更新の運用費

Google Playでは、2026年8月31日から、新規・更新アプリにAndroid 16(APIレベル36)以上のターゲットが求められます。

既存アプリも、新しいAndroid端末の利用者へ提供するには、Android 15(APIレベル35)以上が必要な要件があります(出典:Google Android Developers「Meet Google Play’s target API level requirement」、2026年)。

OSやAPIの要件に追随する作業は、初期開発の後も発生する保守作業です。そのため、費用の目安と範囲を整理しておく必要があります。

  • 公開解説の例:保守費が月10万〜30万円程度とされる例があります。
  • 業務アプリ:API更新などを含む場合は、月20万〜60万円以上を仮置きします。
  • 年間保守:初期開発費の15〜20%を年間の保守費として考える方法もあります。

保守の契約では、対応時間や作業上限を確認します。24時間監視や大規模なデータ基盤、頻繁な機能追加は、別に見積もることになります。

ポイント

総額だけで比べると、価格差の理由が見えにくくなります。工程別の内訳と、端末・認証・データ移行の条件が各社でそろっているかを確かめてから、金額を比べます。

開発期間と見積もりの進め方

費用だけを先に聞くと、各社が異なる前提で回答するため、比べにくくなります。そこで、業務とデータを洗い出し、MVP、端末、連携先、セキュリティ、運用条件を決めてから、同じRFPで複数社へ依頼します。

期間は、小規模なら1〜2か月、会員型なら2〜4か月、業務入力型なら3〜6か月、複雑なシステムなら5〜9か月以上を仮置きします。

要件定義で決める業務・データ・非機能要件

要件定義では、業務フローや利用者・データ、現場での検証、MVPの範囲を整理します。

  • 業務フロー:誰が、いつ、どこで入力し、誰が確認するかを決めておきます。
  • 利用者とデータ:役割やマスタ、必須項目に加えて、エラー時の扱いや承認、削除、出力の方法を整理します。
  • MVP:効果を確かめられる最小の業務フローに絞る形です。

実機のモックで片手操作や屋外での見え方、写真の枚数、通信断などを確かめると、机上では見えにくい課題が見つかります。たとえば訪問記録であれば、顧客検索、結果、写真、送信、管理者確認に絞ります。

高度な分析や複雑な通知は、後回しにします。MVPの目的は、初期費用を抑えながら、現場で使われるかを早く検証することです。

Kotlin・Flutter・クラウドの選択理由

技術とクラウドは、必要な機能や運用条件に合わせて選びます。

  • Kotlinネイティブ:Android固有の性能や端末機能を重視する場合に選びます。
  • Flutter・React Native:AndroidとiOSの共通化を進めたい場合の選択肢です。
  • Kotlin Multiplatform:ロジックを共有しながら、各OSのUIも保ちたい場合に合います。
  • クラウド:初期導入は進めやすい一方、アクセス数や容量に応じて課金されます。

選んだ理由を説明できないと、将来の保守担当者を確保しにくくなるおそれがあります。

そのうえで、FirebaseやAWS、Google Cloudなどを、認証や通知、ログ、DBの観点で比べます。さらに、バックアップ、リージョン、復旧も確認し、利用者数と通信量をもとに試算します。

実機テストと段階リリースの品質確認

実機テストと段階リリースでは、端末上の不具合と現場での使われ方を、別々の方法で確かめます。

  • 実機テスト:通信断や低バッテリー、権限拒否などを実機で確かめます。回転や復帰、大容量写真、同時更新も含みます。
  • パイロット運用:1拠点や少人数で試し、入力完了率や処理時間、差し戻し件数、紙作業の削減量、クラッシュ率を測ります。

代表機種に絞っても、実機での確認が必要な機能は残ります。テストケース、対応・未対応の端末、既知の不具合を納品物に含めるかどうかも決めておきます。

改善を重ねたうえで、対象を広げていきます。段階展開で期間が必ず短くなるわけではありません。ただし、大規模な手戻りを防ぎ、運用費も管理しやすくします。

ポイント

費用や期間を比べる前に、業務、MVP、端末、連携先の前提を各社でそろえます。前提が違う見積もりは、金額や期間の差がどこから来るのかを読み取れません。

Androidシステム開発のコストを最適化するポイント

コストを抑えるには、使われない機能や曖昧な要件に費用をかけないことが基本です。業務の価値を保ちながら、開発、端末、連携、運用の範囲を整理します。

セキュリティやデータ品質は、削ってはいけないため先に確保しておきます。

機能のMVP化と段階開発

初回リリースの範囲と優先順位を決めたうえで、費用と現場の負担を比べます。

  • 段階開発:分析や細かな通知、複雑な権限、外部連携は、第2段階に回します。
  • 優先順位:導入効果、法令やセキュリティ上の必須度、現場の利用頻度をもとに決めます。
  • 代替手段:高度なチャットの代わりに、既存の窓口と通知を使います。
  • 対象端末:会社貸与の代表機種に絞って始めます。

機能を削るだけでなく、別の実現方法も検討します。そのうえで、後から拡張できる設計にしておきます。

既存サービス・クラウド・共通部品の活用

既存サービスや共通部品を使えば、ゼロから作る工数を減らせます。活用候補と確認事項は、分けて整理します。

  • 再利用候補:認証や通知、ファイル保管、監視、分析、既存API連携などが対象になります。
  • 契約・運用確認:SDKの費用、保存先、障害時の責任、サービス終了時の移行を確かめます。

Google Playでは、第三者SDKが収集するデータも、アプリ開発者の収集データとして扱う責任があります(出典:Google Play Console Help「Using SDKs safely and securely」、2026年参照)。

安価な部品を増やすと、Data safety申告や脆弱性対応、ライセンス管理の手間が重なります。そのため、安全性と保守性を含めて再利用を判断します。

保守契約の範囲の調整

保守の内容は、必要な対応時間に合わせて契約を分けられます。

  • 緊急対応:障害が起きたときの対応は、月額契約にできます。
  • 機能追加:新しい機能は、都度の見積もりで扱えます。
  • OS・API更新:OSやAPIの更新は、年次の作業として分けられます。
  • 運用担当:脆弱性や重大障害、ストア要件、端末更新、バックアップの範囲を決めます。

対応・受付時間、一次回答、復旧目標、月の作業上限は、明記しておきます。保守を極端に削ると、OS更新やGoogle Play要件に対応できず、利用の継続に影響します。

初期費用だけでなく、3〜5年の運用費と社内の負担を合算して比べます。

見積もりを取る際に確認すべきポイント

見積もりの精度は、発注側が渡す情報の具体性で変わります。完成イメージだけでなく、業務フロー、対象ユーザー、端末、データを資料にまとめます。さらに、連携先や非機能要件、公開方法、納品物、保守範囲も書き添えます。

複数社に同じ資料を渡し、質問への回答も記録しておきます。

RFPに書く端末・連携・納品物

RFPに記載する内容は、次の三つに分けて整理します。

  • 対象条件:Androidのみか、iOSも含むか、最低対応OS、対象機種、利用者数、同時利用数、オンライン・オフラインを書きます。
  • システム範囲:ログイン、既存連携、管理画面、通知を含む機能の範囲を示します。移行やバックアップ、配布方法も、対象かどうかを明記します。
  • 納品物:ソースコードや設計書、API仕様書、テスト結果は納品してもらいます。端末検証表やインフラ設定、申請資料、マニュアル、ライセンス一覧も対象か決めます。

カメラ・位置情報・Bluetoothの要否も、あわせて書いておきます。公開か社内限定か、Managed Google PlayやMDMを使うかも指定します。早めに伝えておくと、見積もりの前提がそろいます。

ソースコードの所有権に加えて、有料サービスや外部SDKを自社で継続して使えるかも確認します。

複数社の総額・体制・3年TCOの比較

見積もりは、最低でも2〜3社から取ります。項目がそろっていないと、金額の差の理由が見えにくくなります。

  • 費用項目:初期費と追加費、クラウド、ストア、保守、改修単価の各欄を、各社で埋めてもらいます。
  • 見積もり範囲:金額の理由や要件定義の有無、端末テストの機種数、API、管理画面の扱いが分かるようにします。
  • 体制・実績:契約後に担当する人や、自社に近い業務・利用者・機密性・通信環境の実績を確認します。
  • 3〜5年のTCO:OS更新、サーバー、監視、問い合わせの費用を、運用期間の全体で見積もります。端末、教育、移行の費用も含めます。

開発実績の件数だけでなく、データの機密性に近い事例も確認します。初期費用の差が、将来の費用で逆転しないかを判断します。

追加費用・遅延・セキュリティの責任分界

契約条件とセキュリティ確認は、分けて整理します。

  • 契約条件:変更や遅延、受入・検収の扱いを決めます。障害の優先度、漏えい連絡、再委託、停止、コード引渡しの条件も定めます。
  • 端末保証:保証する機種と、対象外の機種を決めます。
  • セキュリティ:認証情報や個人情報をログに出さないこと、暗号化、最小権限、脆弱性の修正、SDKの洗い出し、バックアップからの復元を求めます。

「対応端末はAndroid全般」のような表現では、不具合が出た端末の扱いが定まりません。

Google PlayのData safetyは、テストトラックも扱うため、申告の担当者と確認の時期を決めておきます(出典:Google Play Console Help「Provide information for Google Play’s Data safety section」、2026年参照)。

ポイント

見積もりの精度は、発注側が渡す資料の具体性で決まります。業務フロー、端末、データに加えて、保証端末や保守範囲を明記すると、追加費用の扱いで後からもめにくくなります。

よくある質問(FAQ)

発注前には、費用だけでなく、見積もりの範囲や運用の担当についても質問が出ます。

Android Studioで業務システムを作る費用は最低いくらですか?

情報閲覧や問い合わせに絞る場合は、50万〜100万円程度が目安です。業務システムとしてログイン、API、管理画面、端末検証を含めるなら、300万〜800万円程度から検討します。

データ移行やオフライン、権限、既存システム連携によっても費用は変わります。そのため、最低価格だけで発注先を選ばないことが大切です。

KotlinとFlutterではどちらが安くなりますか?

AndroidとiOSを同時に開発し、共通化できる機能が多い場合は、Flutterなどで初期の工数を抑えられる可能性があります。

Android固有の機能や性能、Wear OS、Bluetooth、細かなバックグラウンド制御を重視するなら、Kotlinネイティブが適する場合があります。判断にあたっては、対象機能と将来の保守担当者も含めて考えます。

保守費用は毎月どのくらいかかりますか?

公開費用の解説には、月10万〜30万円程度の例があります。一方、業務アプリで更新やクラッシュ対応、端末追加、監視、軽微な改修まで含めるなら、月20万〜60万円以上を仮置きします。

実際の契約額は、対応範囲と時間で決まります。24時間監視や大きな機能追加、クラウドの従量課金は、別費用になる場合があります。

社内限定のAndroidアプリでもGoogle Play申請は必要ですか?

一般公開せず、Managed Google PlayやMDM・EMMを使って社内に配布する方法があります。Google for Developersによると、Managed Google Playは組織が承認したアプリを管理端末へ提供する仕組みです。

公開アプリとは、配布や運用の要件が異なります。そのため、社員数や端末管理の方針、ID連携、遠隔ロックやワイプの要否を確認し、配布の設計を見積もりに含めます。

まとめ

情報閲覧は50万〜100万円、会員機能は100万〜300万円が目安です。業務入力、API、管理画面は300万〜800万円、複雑な連携やAI・IoTは500万〜3,000万円以上が目安になります。

これらは、公開費用の解説やリサーチ情報をもとにした予算の幅です。特定の案件にそのまま当てはまる固定価格ではありません。

初期費用と3〜5年の運用費による予算判断

予算は、アプリやAPI、データベース、管理画面、端末検証の項目ごとに分けて確認します。データ移行やセキュリティ、Play申請、クラウド、保守の費用も、切り分けて見ます。

Android 16・API 36などのGoogle Play要件や、端末差分、SDKのデータ収集、社内限定配布も、将来の費用に関わります。

発注側は、OS更新や障害対応を含む3〜5年のTCOで、維持できる計画を作ります。

見積もり前の業務フローと対象端末の確定

誰がどの現場で何を入力し、どのデータを業務につなげるかを整理します。MVPや端末、連携先の条件を、同じRFPにまとめます。セキュリティ、配布方法、納品物、保守範囲も、そこに含めます。

そのうえで、2〜3社以上へ相談します。Android Studioを使うこと自体より、現場で使われ続けるシステムの範囲を定めることが、予算超過を防ぐ第一歩になります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。