ASP.NET Coreのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

ASP.NET Coreのシステム開発費用は、改修範囲、業務の規模、連携や品質要件によって、50万円から1億円以上まで変わります。

金額の目安は規模ごとに分けて見ると比べやすく、費用を動かす要因も押さえておくと、見積もりの中身を読み取りやすくなります。

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ASP.NET Coreのシステム開発費用の決まり方

開発費を中心に、工数と付帯費用を示すハブ図
工数の外側に、導入後も関わる費用が並びます。

開発費は、工数に人月単価を掛けた額に付帯費用を加えて決まります。付帯費用には、クラウド、ライセンス、移行、教育、保守があります。もっとも、フレームワークはオープンソースでも、設計・テスト・運用準備には費用がかかります。

製品価格ではなく開発工数で見る費用の考え方

ASP.NET Coreは、C#と.NETを基盤にWebアプリケーションを作る開発基盤です。

  • Web機能:画面表示、Web API、認証・認可、設定管理、ログ、依存性注入
  • 組み合わせる環境:SQL Server、PostgreSQL、MySQL、Azure、AWS、社内認証基盤、会計システム

見積もりでは、何の業務を何人が、どの端末で、どの頻度で使うかを、機能要件と非機能要件に分けて考えます。

2026年公開の一般的な費用解説も、人月単価、必要工数、ハードウェアやライセンスなどの付帯費用で価格が決まるとしています(出典:イー・ジーシステム「システム開発の費用相場と見積書の読み方(2026年版)」、2026年6月)。

ASP.NET Coreの採用でライセンス費を抑えられる場合でも、業務ルールが複雑だったりテスト範囲が広かったりすれば、総額は大きくなります。

見積もりの単位となる画面・帳票・連携・データ

発注前に機能を画面数だけで数えると、見落としが出やすくなります。そのため、業務や出力の単位に分けて整理します。

  • 業務データ:顧客・商品などのマスタ、受注・請求などの取引
  • 業務処理:検索・集計、申請・承認、定時バッチ
  • 入出力・連携:CSV、PDF帳票、メール通知、外部API、データ移行

たとえば、同じ1画面でも、単純な登録と、在庫引当・承認・履歴・権限・エラー再処理を備える画面では工数が異なります。

非機能要件では、同時利用者数や応答時間、復旧目標を整理します。バックアップや監査ログ、個人情報の保存期間、スマートフォン対応も、非機能要件の対象になります。

非機能要件は後から加えると、設計のやり直しやテスト環境の増設が必要になり、見積もりが高くなりがちです。そのため、費用を正しく比べるには、同じ前提条件を各社に渡します。

ASP.NET Coreのシステム開発費用と期間の相場

ASP.NET Coreだけを対象にした公的な全国統計は確認できません。そこで、ここで示すのは、一般的な業務システムの公開相場、工程別の考え方、ASP.NET Coreを使った公開実績を合わせた企画用のレンジです。

実額は、利用者数や画面・帳票数、既存資産、連携先で変わります。さらに、データ移行量、可用性、セキュリティ、保守範囲も影響します。

既存システムの調査・小改修の費用目安

脆弱性対応やライブラリ更新、画面追加のような案件は、50万〜200万円、1〜3か月程度が目安です。帳票修正や軽微なAPI連携も、この範囲に入ります。

この想定は、コードやDB、開発環境、テストデータを確認でき、現行仕様を大きく変えない場合に当てはまります。一方、古いWeb Formsや設計書がない場合は、現状調査だけで期間と費用が増えることがあります。

  • 改修:画面や帳票の修正、軽微なAPI連携
  • 移行を伴う調査:既存資産の確認、動作検証、代替部品の検証

古い.NET Frameworkからの移行は、小改修とは限りません。画面イベントや認証、帳票部品の置き換えに加えて、Windows専用連携や独自データアクセスが必要なら、再設計を含む案件として見積もります。

依頼時には、改修箇所とは別に、現行資産の調査、動作確認、移行できない部品の代替検証を項目として分けてもらうと、各社の見積もりを同じ条件で比べられます。

小規模の300万〜800万円と中規模の800万〜2,000万円の目安

対象は社内業務システムで、ログインや権限、マスタを中心とします。登録・検索、CSV、簡易帳票も含みます。

このレンジは、入力から管理者の承認、検索・集計、受入テスト、利用者向けの説明まで含む場合を想定しています。差が出るのは、クラウドを新設するかどうかと、認証やデータベースを流用できるかです。

社内向けの機能が中心か、拠点や外部連携を含むかによっても、費用と開発期間の目安は異なります。

  • 小規模:300万〜800万円、3〜6か月程度
  • 中規模:800万〜2,000万円、6〜12か月程度

中規模の案件には、複数拠点や複雑な承認、外部API、在庫・請求との連動、過去データの移行が含まれることがあります。

2026年の一般相場では、複数業務を横断する中規模システムは300万〜800万円、基幹連携を含む大規模システムは800万円〜数千万円と紹介されています(出典:イー・ジーシステム「システム開発の費用相場と見積書の読み方(2026年版)」、2026年6月)。

一般相場は、ASP.NET Core案件より範囲の狭い前提で示されています。そのため、移行や帳票、認証、クラウドが加わるほど、中規模の上限側の金額を前提に考えます。

基幹連携や高可用性を含む場合の2,000万〜1億円以上の目安

ERP・会計・勤怠との連携や大量データを含む案件、あるいは高可用性や監査ログ、24時間運用が必要な案件は、大規模になります。

  • 費用の目安:2,000万〜1億円以上
  • 期間の目安:12〜24か月以上になることがあります

段階移行や複数拠点のネットワークを含む場合もあります。

この規模の費用には、業務を止めない冗長化や障害時の切り戻し、移行リハーサル、負荷テスト、運用監視の設計が反映されます。ASP.NET Core自体の利用料が高いことが理由ではありません。

公開事例では、クラウド型の人材・労務管理システムが掲載されています。申請、勤怠、経費、通知、カレンダー連携を含み、開発費900万円、制作期間9か月と紹介されています(出典:株式会社ロックシステム「人材管理システム」公式公開事例、2026年8月確認)。

これはASP.NET Core案件全体の相場を示すものではありません。ただし、業務機能とクラウド運用を含む事例として、見積もりの粒度を考える材料にはなります。

ポイント

規模別の金額は、既存資産の再利用、連携先の数、データ移行の量で上下します。企画段階では、この3点を見て上限と下限のどちらに寄るかを判断します。

ASP.NET Coreのシステム開発費用の内訳

見積書では、総額だけでなく工程ごとの人月を確認します。要件定義から保守まで工程を分けてもらうと、各社の提案を同じ基準で比べられます。

工程の比率は案件によって変わります。ただ、企画時には、要件定義10〜15%、設計15〜20%、開発30〜40%、テスト15〜20%、移行5〜10%程度を、確認の目安にできます。

後工程の手戻りを抑える要件定義・設計費

要件定義では、業務フローや利用者・権限、例外・入力規則を決めます。帳票、連携、保存期間、性能、障害時の復旧も、ここで定めておきます。設計では、画面やAPI、DBの構成を組み、認証やログ、バックアップ、監視の仕組みも決めます。

ここを省くと、承認者や締め後の修正、過去データの取り込み形式が開発の途中で問題になり、追加工数が発生します。

  • 発注者側で整理:業務フローと優先順位をまとめる
  • 合同で確認:業務担当者、情報システム担当者、開発会社で現状・理想・制約を確認する

現場の例外処理や表記の揃っていないマスタは、自社だけでは洗い出しきれないことがあります。だからこそ、合同で確認したほうが、後の修正を減らせます。

業務ルールと品質基準で変わる実装・テスト費

実装費は、画面やAPIの数だけでは決まりません。業務ルールの分岐や権限、外部連携、帳票、非同期処理、エラー時の再処理によって増減します。

  • テスト範囲:単体、画面とAPIの結合、業務シナリオの総合、利用者の受入
  • 品質確認:負荷、脆弱性、バックアップからの復元

見積もりが安くても、テスト工程が薄い、仕様確認が少ない、受入支援がないといった状態では、稼働後に不具合修正や追加委託が生じます。

請求や給与、在庫、契約のように、誤りが損失につながる業務では、テストを削らず、リスクの高いシナリオから優先して進めます。加えて、テスト仕様書と不具合対応の範囲も、見積もりに含めてもらいます。

別枠で確認する移行・インフラ・保守費

移行では、データの抽出から、重複や表記揺れの整理、変換、取込、件数照合、リハーサル、切戻しまでを見積もります。

複数のExcelや古いデータベースがあり、マスタのコード体系もそろっていない場合は、移行そのものより、データクレンジングに工数がかかることがあります。

発注者が準備するデータと、開発会社が支援する範囲は、文書にして明確にしておきます。

  • クラウド:Azure App Service、Azure SQL、ストレージ、ネットワーク、監視、バックアップ、ログ保管、ドメイン、証明書
  • オンプレミス:サーバー、OS、冗長化、保守契約、更新作業

年間保守費は、初期開発費の15〜20%程度で仮置きする考え方があります。ただし、問い合わせ時間や障害対応、法改正、セキュリティ更新、クラウド料金は契約ごとに異なるため、初期費用とは分けて確認します。

ASP.NET Coreの費用が変動する主な要因

費用変動に関わる業務機能、既存資産、利用環境、データ、品質・安全性の5項目
要件と移行対象、運用条件がそれぞれ費用に関わります。

社内の簡易申請システムと顧客向けの24時間サービスでは、必要な費用が異なります。価格差を説明するには、業務機能、既存資産、利用環境、データ、品質・安全性といった観点から整理すると分かりやすくなります。

費用を押し上げる複雑な承認・帳票・外部連携

部門や役職、拠点ごとの権限や、条件分岐の多い承認、締め処理、複雑な料金計算は、工数を増やす要因になります。

Excelと違う帳票レイアウトや、会計・ERP・勤怠・決済との連携も、費用に影響します。

  • API連携:仕様、認証、通信失敗時の再送、重複登録防止、連携ログ、障害時の手動処理
  • 帳票:種類、出力条件、月間件数、保存形式、再発行の扱い

連携先が増えると、接続作業に加えてテストケースも増えます。また、帳票は単純な一覧PDFと、複数明細や改ページ、会社別様式、電子保存、再発行履歴を伴うものとで、難易度が違います。

標準機能で済む部分と個別開発が要る部分を分けておくと、削ってよい機能と残す機能の判断がしやすくなります。

既存ASP.NET資産の移行範囲による費用の変化

Web FormsやASP.NET MVC 5からの移行は、単純なバージョンアップとは限りません。

  • 確認対象:画面イベント、認証、セッション、ファイル処理、帳票
  • 移行対象:Windows認証、独自SQL、外部機器連携

Core向けに設計し直すことも少なくありません。また、ソースコードがあっても、仕様書やテストデータがなければ、現行動作を調べる調査費が必要になります。

移行の方法は全面刷新だけではありません。頻繁に使う画面から段階的に移す方法や、既存データベースを維持してAPIを追加する方法、周辺業務を新規開発して連携する方法もあります。

段階移行は初期費用を分散しやすい一方で、旧システムと新システムの二重運用と、データ整合性の管理が必要になります。加えて、業務停止のリスクや移行後の保守費も、合わせて判断します。

価格を左右するセキュリティ・可用性の要求

個人情報や給与、契約を扱う場合は、役割ごとの認可や操作・変更履歴、通信暗号化の設計が必要になります。医療や取引データを扱う場合も、同じ設計が必要になります。加えて、秘密情報の保管や脆弱性への対応も必要です。バックアップと復旧テストも欠かせません。

ASP.NET Coreには、認証や認可、HTTPSの機能があります。データ保護やCSRF・XSS対策についても、機能や指針が用意されています。ただし、設定するだけで安全性が完成するわけではありません(出典:Microsoft Learn「ASP.NET Core Security の概要」、2026年8月確認)。

  • 高負荷・短時間停止:冗長化、負荷分散、監視、アラート
  • 災害時の復旧:ログ保管、バックアップ世代管理、復旧目標の検証

クラウドは初期構築を標準化しやすい一方で、月額費用は利用量や構成によって変わります。セキュリティ診断や監査対応についても、要件定義の段階で、費用と、どこまでを誰が受け持つかを確認しておきます。

ポイント

承認・帳票・連携の複雑さ、既存資産の移行範囲、セキュリティと可用性の要求が、費用を動かす主な要因です。どれが大きいかを先に見極めると、見積もりの差を説明しやすくなります。

ASP.NET Coreのシステム開発費用を抑えるポイント

費用を抑えるとは、単に安い会社へ頼むことではありません。不要な機能を初期開発に詰め込まず、重要業務の品質を守りながら、初期費用と運用費を抑えることです。

効果が出やすい方法としては、要件の優先順位づけ、標準機能の活用、段階リリースが挙げられます。

Must・Should・Couldによる機能の優先順位付け

機能は、稼働日に必須のMust、早期に効果が高いShould、将来検討するCouldの3つに分けます。

  • Must:ログイン、権限、顧客マスタ、主要な申請と検索
  • Should:細かなダッシュボード、高度な分析
  • Could:AIによる予測、複雑な自動化

優先順位を付けると、主要業務のMVPを300万〜800万円程度の小規模レンジに収められる可能性があります。ただし、実際の費用は機能数と品質要件で変わります。

認証や権限、監査ログ、バックアップ、障害通知を後回しにすると、データ構造や画面の作り直しが起こり得ます。そのため、安全性と手戻りの両面から、初期範囲に含めておきます。

削る対象は、業務停止や情報漏えいに直結しない付加機能から選びます。

標準機能・既存資産・PaaSの再利用

認証やログ、設定管理、メール、ファイル保管、監視は、独自に実装する前に、標準機能や実績のあるライブラリ、マネージドサービスを検討します。

Azure App ServiceやAzure SQLなどのPaaSは、サーバー構築やパッチ対応を減らしやすい点が特徴です。一方で、月額料金や性能の上限、データの所在、バックアップからの復元は、事前に確認が必要です。

  • 再利用候補:顧客マスタ、認証基盤、SQL Server
  • 比較時の注意:古いデータ構造や複雑な権限は保守性を下げることがある

既存の顧客マスタや認証基盤、SQL Serverを再利用できれば、移行費や教育費を抑えられる場合があります。そのうえで、再利用と整理移行、新規作成を一覧にし、3〜5年の運用コストで比べます。

手戻りを減らす段階開発とデータ移行リハーサル

全社を一度に切り替えず、まず1部門や主要業務でMVPを稼働させる方法があります。利用状況を見て、第2期に進みます。

第1期で業務フローや権限、データ品質、操作性を検証できると、大規模な手戻りを避けやすくなります。

  • 並行稼働の設計:旧システムとの二重入力期間、データ連携、問い合わせ窓口
  • 移行の試行:本番直前だけでなく、早期に少量データで実施

並行稼働の設計がなければ、段階開発の運用負荷が増えてしまいます。試行では、件数や金額、日付、コード、権限、帳票の結果を照合します。

移行後に現場が確認する受入基準を作り、発注者側でデータ準備と受入テストの担当者を決めておくと、工数と追加費用を抑えられます。

ポイント

機能の優先順位、標準機能や既存資産の再利用、段階リリースのどれを先に使うかは、稼働日に必須の範囲を基準に決めると判断しやすくなります。

ASP.NET Coreの見積もりを比較する際のポイント

見積もり比較で確認する条件、工程別金額、テストと移行、担当体制と保守条件の4項目
条件と作業範囲をそろえると、価格差の理由を追いやすくなります。

相見積もりは、同じ業務をどの範囲・品質・期間で実現するかを比べるために行います。最安の会社を選ぶことが目的ではありません。

3社程度に同じ資料を渡します。そのうえで、工程や前提条件、除外事項、保守範囲、成果物、追加変更の扱いをそろえて確認します。

RFPに入れる利用者・機能・データ・運用条件

RFPには、利用者数やピーク時の同時接続数、拠点、端末、画面数、帳票数を記載します。主要業務や承認経路、連携先、データ件数も、書き込んでおきます。

また、既存のソースコードと希望納期も伝えます。Azureかオンプレミスか、社内認証、保存期間も書き添えます。監査ログとバックアップも加えます。さらに、RPO・RTOと問い合わせ時間も伝えます。

未確定の項目は、未確定と明記したうえで提案を求めます。そうすれば、各社が置いた前提の違いも比べられます。

  • 通常業務:業務担当者から標準的な処理を集める
  • 例外業務:月末・年度末、担当者不在、返品・取消、締め後修正、通信失敗、データ重複

ASP.NET Coreの技術選定では、MVCやRazor Pages、Blazor、Web APIといった名称だけで判断するのは避けます。費用や保守、操作性に合う構成を選んだ理由も、求めておきます。

「開発一式」ではなく工程別の金額

見積書は工程ごとに分けてもらい、作業範囲と付帯費用を比べます。

  • 上流・開発:現状調査、要件定義、基本・詳細設計、実装
  • 検証・移行:各種テスト、受入支援、データ移行、教育
  • 稼働後:インフラ構築、リリース、保守

各項目の人月や人日、担当の役割、成果物、前提条件、対象外の作業を確かめます。金額に加えて、テスト件数や移行リハーサルの回数も比べます。

2026年の費用解説も、「開発一式」では比較しにくいとして、工程別の工数と付帯費用を確認することの重要性を挙げています(出典:イー・ジーシステム「システム開発の費用相場と見積書の読み方(2026年版)」、2026年6月)。

極端に安い見積もりは、要件の解釈が狭い、テストや保守が含まれない、クラウドやライセンスが別途かかるといった理由が考えられます。まず、安さの理由を確かめます。

開発会社の技術力と保守体制

ASP.NET Coreのバージョンや、C#、データベース、帳票、クラウド、認証、監視での経験を確認します。

既存システムの改修なら、Web FormsやASP.NET MVCからの移行、ソース解析、データ移行、段階切り替えの実績を聞いておきます。

「C#対応」と書かれているかだけでなく、要件定義から運用までの担当者と、実装・テストの担当者の体制も確認します。

  • 納品物:要件定義書、画面・API設計書、DB定義、テスト仕様書、ソースコード
  • 運用情報:インフラ構成、運用手順、復元手順、アカウント・証明書の管理情報

保守契約では、受付時間や障害時の初動、脆弱性や.NETの更新、法改正への対応、追加開発の単価、契約終了時のデータ返却を取り決めます。

保守会社を変えられる状態にしておくことも、長期のコストを抑える対策になります。

ポイント

各社に同じ条件と工程別の金額を求め、前提や対象外の作業がそろってから、金額の高低と開発会社の体制を判断します。

ASP.NET Coreのシステム開発を費用内で進める流れ

費用と品質を両立するには、まず業務と制約を整理し、失敗しやすい部分を先に検証してから開発に入ります。

決定した事項と未決定の事項を分けて記録しながら進めると、追加費用の原因を早く見つけられます。

現状調査とPoCで先に確かめる高リスク部分

まずは、業務フローと、Excel・紙での作業、既存システムを洗い出します。マスタや権限、外部連携も確かめます。データ量やピーク時の処理も、あわせて押さえます。

新規開発なら、現場が短縮したい作業や、なくしたいミスを明らかにします。既存システムの移行なら、Web Forms、ASP.NET MVC、古い.NET、SQL Server、帳票部品、Windows認証の状況を確認します。

  • 検証対象:大量CSV、複雑な帳票、外部API、認証、スマートフォン画面
  • 既存・性能:既存DB、負荷の高い検索

失敗すると手戻りが大きくなる部分は、PoCで先に検証しておきます。PoCは本番の完成品を作るものではなく、技術的な不確実性を小さな費用で確かめる作業です。

結果をもとに、採用する方式や必要な工数、見積もりの前提を更新します。

MVP開発と受入基準のセット

主要業務のMVPを決めたうえで、画面やAPI、データベース、権限、ログ、エラー処理を実装します。

受注から請求まで、申請から承認まで、入荷から出庫まで、といった業務の流れごとにテストケースを作ります。

  • 受入計画:担当者、確認期限、合格条件、修正の扱いを契約や計画書に含める
  • リリース前:本番データを使わない移行リハーサル、復元、権限、負荷、障害連絡、切り戻しを確認する

リリース後は、問い合わせの内容と利用状況を見て、第2期の機能を判断します。利用者の反応と業務効果を確かめてから追加すれば、投資の無駄を減らせることがあります。

初期見積もりに入れるバージョンと保守期間

2026年時点で、.NET 10は2025年11月11日にリリースされたLTS版で、サポート期間は2028年11月14日までです。一方、.NET 8のサポート終了予定は2026年11月10日です。

ASP.NET CoreとEntity Framework Coreも.NETと同じライフサイクルに従います(出典:Microsoft Learn「Microsoft .NET and .NET Core – Lifecycle」、2026年8月確認)。

新規開発と既存システムでは、バージョンや更新範囲で確認すべき点が異なります。

  • 新規開発:.NET 10を候補にし、ライブラリ、IIS・コンテナ、DB、帳票、監視製品の対応を確認
  • 既存システム:資産調査、セキュリティ更新、段階移行、API化、運用チームのスキルを合わせて判断
  • 更新費用:保守契約に含めるか、数年後に別見積もりとするか決め、将来予算に備える

サポート期間の終わりだけを理由に、既存システムを急いで全面刷新する必要はありません。

ポイント

費用内で進めるには、高リスクな部分をPoCで先に確かめ、決定事項と未決定事項を分けて記録しながら進めることが判断の目安になります。

ASP.NET Coreのシステム開発費用に関するよくある質問

ASP.NET Coreのシステム開発を検討する担当者から寄せられやすい質問をまとめます。相場は企画段階の目安として捉え、業務範囲と品質条件をそろえた見積もりで判断してください。

ASP.NET Core自体は無料ですか?

ASP.NET Coreはオープンソースのため、製品としての利用料はかかりません。ただし、無料で使えるのは開発基盤の一部で、業務システム全体が無料になるわけではありません。

要件定義や設計、実装、テストには費用がかかります。さらに、クラウドやDB、帳票、移行、監視、保守も費用の対象です。

古いASP.NETからASP.NET Coreへ移行するといくらかかりますか?

小規模な調査や画面修正なら50万〜200万円程度が目安ですが、全面移行の価格は一律に決められません。

価格は、Web Formsの画面や認証、帳票、Windows専用部品、データベース、外部連携を、どこまで作り直すかで変わります。

発注する側は、まず現行資産を調査し、部分移行やAPI連携、全面刷新を比べます。

Azureの利用料は開発費に含まれますか?

見積もりに含まれる場合と、稼働後の月額費用として別計上される場合があります。

App ServiceやAzure SQL、ストレージ、監視、バックアップ、ネットワーク、ログ保管など、使うサービスによって変わります。

そのため、初期構築費と月額利用料は分けて確認します。検証環境を常時稼働させる場合や、バックアップの保管世代によっても、月額が変わります。

保守費用は初期開発費の何パーセントですか?

年間保守費を初期開発費の15〜20%程度で仮置きする考え方があります。

保守の範囲が問い合わせ対応だけか、障害対応や脆弱性・ライブラリ更新、法改正、クラウド監視、軽微な改修まで含むかによって、金額は変わります。

割合だけで判断せず、対応時間や対象外の作業、追加開発の単価、バージョンアップの扱いを契約書で確認します。

まとめ

ASP.NET Coreの開発費の企画段階の目安は、小改修が50万〜200万円、小規模が300万〜800万円、中規模が800万〜2,000万円です。また、基幹連携や高可用性を含む場合は、2,000万〜1億円以上が目安です。

これはASP.NET Core固有の定価ではありません。公開相場と業務システムの事例から整理したレンジです。

内訳・変動要因・3〜5年のTCOで見る費用

工程は、要件定義と設計、実装を中心に分けて見積もってもらいます。テスト以降の工程も別に分けてもらい、数量とあわせて比べます。

  • 工程:テスト、移行、教育、インフラ、リリース、保守をそれぞれ別の工程として分ける
  • 数量:画面・帳票・連携・データの数をそろえて比べる

複雑な承認や外部連携、既存のASP.NET資産、データ品質、セキュリティ、可用性によって、価格は変わります。

初期費用だけでなく、クラウドやライセンス、保守、バージョンアップを含めた3〜5年のTCOで比べます。

現状・目的・優先順位の整理と見積もり依頼

発注先を決める前に、次の順で準備を進めます。

  1. 業務フロー、例外処理、既存データ、希望する効果、必須機能、将来機能をまとめます。
  2. ASP.NET Coreのバージョン、クラウド、DB、移行方針、受入テスト、保守体制を同じ条件で複数社に確認します。
  3. 要件が固まっていなければ、現状調査やPoCから依頼し、根拠のある見積もりへ具体化します。

フレームワークの選択だけで、費用対効果が決まるわけではありません。業務の優先順位やデータ、非機能要件を整えたうえで、必要な範囲から作ると、予算と使いやすさを両立しやすくなります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。