AWS導入・構築の導入/開発事例や活用/成功事例について

AWSの導入・構築を検討するとき、多くの担当者がまず知りたいのは「自社と似た規模・業態の企業が、実際にどのような構成でAWSを導入し、どれだけコストを削減し、どんな成果を出したのか」という具体的な事例ではないでしょうか。料金表やサービス一覧を眺めても、自社にとっての投資対効果はなかなか見えてきません。オンプレミスからの移行でインフラ費用が本当に下がるのか、サーバーレス化で運用負荷はどれだけ軽くなるのか、内製化はどこまで進められるのか。こうした疑問は、机上の比較ではなく、実際の導入事例を読み解くことでこそ解像度が上がります。

本記事は、AWS導入・構築の開発事例・活用事例・成功事例を、発注企業の視点から掘り下げる「事例特化」の解説です。オンプレミスからAWSへ移行してインフラ費用を約3分の1まで圧縮した事例、サーバーレス構成でアイドルコストをゼロに近づけた事例、外部委託から内製化へ舵を切りCCoE(Cloud Center of Excellence)を立ち上げた事例、API連携で複数システムをつなぎ業務を自動化した事例まで、一次データの費用相場とあわせて具体的に解説します。なお、AWS導入・構築の全体像をまだ把握していない方は、まずAWS導入・構築の完全ガイドから読むことをおすすめします。読み終えるころには、自社が「どこから着手し、どんな効果を狙うべきか」のイメージが描けるはずです。

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オンプレミスからAWS移行でインフラ費用を圧縮した事例

オンプレミスからAWS移行でインフラ費用を圧縮した事例のイメージ

AWS導入のもっとも分かりやすい成果が、オンプレミスからの移行によるインフラ費用の圧縮です。自社でサーバーを保有・運用していると、ハードウェアの購入費、データセンターの場所代、電気代、保守要員の人件費、そして数年ごとのリプレース費用が固定的にのしかかります。AWSのマネージドサービスを活用してこれらを置き換えると、固定費が変動費に変わり、結果としてインフラ全体のコストが大きく下がる事例が多く見られます。

マネージドサービス活用でインフラ費用を約3分の1にした事例

移行事例でしばしば語られるのが、マネージドサービスの活用によってインフラ費用を約3分の1まで削減したというものです。これは、自前でデータベースサーバーを構築・運用していたものをAmazon RDSやAurora Serverlessといったマネージドサービスに置き換え、サーバーの冗長化・バックアップ・パッチ適用といった運用作業をAWS側に任せることで実現します。運用要員の工数が減り、過剰に確保していたスペックを実需要に合わせて最適化できるため、ハードウェアと人件費の両面でコストが下がるわけです。

具体的な費用感を一次データで押さえておきましょう。従業員50〜100名規模のオンプレミスからクラウドへの移行は、設計・構築で100万〜400万円、データ移行で20万〜80万円、トータルで150万〜500万円前後が相場とされています。この初期投資に対し、移行後のインフラ月額は中規模構成で3万〜10万円程度に収まるケースが多く、自社運用時のハードウェア償却・保守要員コストと比較すると、数年単位で見れば十分にペイする計算になります。事例を読むときは、この「初期構築費」と「移行後の月額」を自社の現状コストと並べて比較することが重要です。

小規模シングル構成から段階的に拡張した事例

すべての企業が最初から大規模な高可用性構成を組む必要はありません。事例の中には、まずEC2を1台、RDSを1台、Route53を組み合わせたシングル構成のWebアプリケーションからスモールスタートし、利用が伸びてから拡張していったケースが多くあります。この小規模シングル構成は、一次データでは構築費用20万〜30万円が目安とされ、まずAWSの運用感をつかむための入り口として現実的な投資額です。

事業が成長してアクセスが増えてきた段階で、EC2とRDSを各2台にし、WAFとELB(ロードバランサー)を加えた高可用性構成へ移行します。この中規模構成は50万〜60万円が相場です。さらに負荷が高まれば、EFSやElastiCacheを追加した大規模構成(70万円以上)へと拡張していきます。AWSの強みは、こうした段階的なスケールアップを、サーバーを買い替えることなくサービスの追加・変更で実現できる点にあります。最初から過剰な構成に投資せず、実需要に合わせて育てていく進め方は、後述する失敗事例の対極にある堅実なアプローチです。

サーバーレス化でアイドルコストをゼロに近づけた事例

サーバーレス化でアイドルコストをゼロに近づけたAWS事例のイメージ

AWSならではの成果として注目されるのが、サーバーレス構成によるアイドルコストの削減です。従来のEC2のような常時起動のサーバーは、アクセスがあってもなくても起動している限り課金されます。これに対し、AWS LambdaやAPI Gateway、DynamoDBを組み合わせたサーバーレス構成は、リクエストが発生したときだけ課金されるため、アクセスがない時間帯のコストをほぼゼロにできます。アクセス量に波がある業務システムやAPIで、特に効果を発揮します。

無料枠内で運用コストを抑えたAPI構成の事例

サーバーレスの経済性を端的に示すのが、AWSの無料枠の存在です。一次データによれば、API呼び出しはAWSの場合、月100万回までが無料で、超過分も100万回あたり$0.2程度にとどまります。コンピューティングについても、100万GB秒あたり$16.7という料金体系で、アクセスが少〜中程度のサーバーレスAPI構成(Lambda+API Gateway+DynamoDB)であれば、月数百円から、場合によっては無料枠の範囲内で運用できる事例も少なくありません。

この料金構造のおかげで、社内向けの問い合わせフォーム、軽量な業務API、バッチ処理といった「常時稼働させる必要はないが、必要なときには確実に動いてほしい」用途で、サーバーレスは圧倒的なコストメリットを生みます。常時起動のEC2を1台立てて月数千円〜数万円を払い続けるより、Lambdaで必要時だけ動かす方が、トータルコストを大幅に下げられる。これがサーバーレス化の事例で繰り返し語られる成功パターンです。

自動スケーリングで繁忙期の負荷を吸収した事例

サーバーレスのもう一つの価値は、アクセスの急増に自動で追従できる点です。キャンペーンや季節要因でアクセスが一時的に何倍にも跳ね上がる業務では、オンプレミスだとピークに合わせてサーバーを常時確保しておく必要があり、閑散期には無駄なコストになります。Lambdaは同時実行数を自動で拡張するため、繁忙期の負荷を吸収しつつ、平常時は最小限のコストで済みます。

事例では、こうした自動スケーリングによって、過去にアクセス集中でサイトがダウンしていた事業者が、サーバーレス化後はピーク時も安定稼働を維持できるようになったケースが報告されています。一方で、サーバーレスは長時間の重い処理や、極端に低レイテンシが求められる領域には不向きという注意点もあります。事例から学ぶべきは、サーバーレスを万能と捉えるのではなく、「アクセスに波があり、処理が比較的短いワークロード」に的を絞って適用すると、コストとスケーラビリティの両面で最大の効果が得られるという見極めです。

外部委託から内製化・CCoE立ち上げに進んだ事例

外部委託から内製化・CCoE立ち上げに進んだAWS事例のイメージ

AWS導入の事例で、競合の解説があまり踏み込まないのが「組織としてどうクラウドを自走できる体制を作るか」という視点です。最初は外部のパートナーに構築・運用をすべて任せていた企業が、徐々に社内人材を育成し、内製化に踏み出す。その過程でCCoE(Cloud Center of Excellence)という横断組織を立ち上げる。こうした組織適応の事例こそ、長期的に見て最大の成果を生みます。

スキルトランスファーで運用を内製化した事例

外部委託のメリットは本業に集中できることですが、デメリットとして社内にノウハウが蓄積されないという問題が常に付きまといます。これを乗り越えた事例に共通するのは、構築を委託する段階から「スキルトランスファー」を契約に織り込んでいる点です。具体的には、パートナーが構築する際に社内エンジニアを並走させ、設計の意図やインフラ構成(IaC=Infrastructure as Code)の中身を引き継ぎ、運用フェーズで徐々に主担当を社内に移していく進め方です。

この内製化が進むと、軽微な設定変更やトラブル対応のたびに外部へ依頼する必要がなくなり、対応スピードが上がるとともに、月々の運用代行費を抑えられます。一次データでは、AWS運用代行(監視・障害一次対応)の費用は初期・月額とも数万円程度が相場とされていますが、内製化によってこの一部を自社で吸収できれば、長期的なコスト構造が改善します。事例が示すのは、内製化は「コスト削減」だけでなく「自社の変化対応力の向上」という戦略的な価値を持つということです。

CCoEを立ち上げ全社のクラウド活用を標準化した事例

内製化が一定まで進んだ企業が次に取り組むのが、CCoE(Cloud Center of Excellence)という専門組織の設立です。部門ごとにバラバラにAWSを使い始めると、セキュリティ設定の不統一、コストの無駄、ベストプラクティスの分散といった問題が生じます。CCoEは、クラウド活用のガイドライン策定、セキュリティ基準の統一、コスト管理、各部門への技術支援を一手に担う横断組織として機能します。

事例では、CCoEを立ち上げたことで、新しいシステムを各部門が立ち上げる際の構築リードタイムが短縮され、全社的なAWS利用料の可視化と最適化が進んだケースが報告されています。CCoEには、クラウド人材の採用・育成・評価制度の設計という人事面の役割も含まれます。riplaはフルスクラッチ受託とクラウド構築・運用の伴走という立場から、こうした「構築して終わり」ではなく「社内に定着させ自走できる体制を作る」支援を重視しています。事例を読むときは、技術的な成功だけでなく、その裏にある組織の作り変えにこそ注目してください。

API連携で複数システムをつなぎ業務を自動化した事例

API連携で複数システムをつなぎ業務を自動化したAWS事例のイメージ

AWS導入の効果を最大化するもう一つの方向性が、API連携による業務自動化です。AWS上に構築したシステムを、既存の基幹システムやSaaS、外部サービスとAPIでつなぐことで、これまで人手で行っていたデータの転記や処理を自動化できます。AWSはAPI Gatewayをはじめ、システム間連携のための部品が豊富に揃っているため、こうした自動化基盤を構築しやすいのが特徴です。

システム間のデータ連携を自動化した事例

多くの企業では、受注システム、在庫システム、会計システムといった複数のシステムが個別に存在し、それぞれの間でデータを人手でコピーしているのが実態です。AWS上にAPI連携の基盤を構築した事例では、これらのシステムをAPIでつなぎ、受注が入ると自動で在庫が引き当てられ、会計データが生成される、という一連の流れを自動化しています。二重入力やデータ不整合がなくなり、間接部門の工数が大きく削減されます。

注目すべきは、この連携基盤がサーバーレスで安価に構築できる点です。前述のとおり、Lambda+API Gateway+DynamoDBの構成は、アクセスが少〜中程度なら月数百円から運用できます。つまり、システム間連携という付加価値の高い仕組みを、ランニングコストをほとんどかけずに実現できるわけです。事例から学べるのは、AWS導入は「サーバーをクラウドに移す」だけでなく、「システム同士をつないで業務全体を自動化する」という、より大きな効果を狙えるという視点です。

AIサービスを組み込んで付加価値を高めた事例

AWS導入の事例で近年増えているのが、AIサービスを組み込んで業務に付加価値を加えるパターンです。AWSは画像認識をはじめとするAI APIを提供しており、たとえば画像認識APIは月5,000枚まで無料、超過分も1,000枚あたり$1.3程度という料金で利用できます。この手軽さを活かし、書類の自動仕分けや画像の自動分類、品質検査の自動化といった用途で、AIを業務システムに組み込む事例が出てきています。

ポイントは、AIモデルを自前で開発・運用するのではなく、AWSのマネージドなAI APIを呼び出すだけで高度な機能を実現できる点です。これにより、AI活用のハードルが大きく下がり、無料枠を使えば検証段階のコストもほぼかかりません。事例が示すのは、AWS導入を単なるインフラ移行で終わらせず、API連携やAI活用まで視野に入れることで、コスト削減を超えた「業務の高度化」という成果まで引き出せるということです。自社のどの業務にこうした自動化・高度化の余地があるかを、事例を参考に棚卸ししてみてください。

高可用性・災害対策で事業継続性を高めた事例

高可用性・災害対策で事業継続性を高めたAWS事例のイメージ

コスト削減や業務自動化と並んで、AWS導入の重要な成果として語られるのが、可用性と災害対策の向上です。自社でデータセンターを冗長化するのは多大なコストがかかりますが、AWSなら標準機能の組み合わせで、止まりにくく、災害にも強いシステムを構築できます。事業の根幹を担うシステムほど、この事例が投資判断の決め手になります。

マルチAZ構成でシステム停止を防いだ事例

事業の継続性を高めた事例で共通するのが、マルチAZ(複数のアベイラビリティゾーン)構成の採用です。物理的に離れた複数のデータセンター群にシステムを分散配置することで、片方で障害が起きてももう片方で稼働を続けられます。オンプレミス時代に単一のサーバー障害でシステムが止まり、業務が長時間ストップしていた企業が、マルチAZ構成への移行後は、障害が起きても利用者にほとんど影響を出さずに済むようになった、という事例が報告されています。

この高可用性は、一次データの構成例で言えば、EC2・RDS各2台+WAF+ELBの中規模高可用性構成(50万〜60万円)や、EFS・ElastiCacheを加えた大規模構成(70万円以上)として実現されます。重要なのは、こうした冗長化を自社で物理的に用意するのではなく、AWSの標準機能の設定として実現できる点です。事例から学べるのは、可用性は「止まらないこと自体」が目的ではなく、「止まることによる事業の損失」を防ぐための投資だという視点です。自社の業務が止まったときの損失額を見積もれば、可用性向上への投資の妥当性が判断できます。

バックアップ・災害復旧を自動化した事例

災害対策の事例では、バックアップと復旧の自動化も大きな成果として挙げられます。オンプレミスでは、バックアップを手作業のテープ運用で行い、いざというときの復旧に多大な時間がかかっていた企業が、AWSへの移行後は、データの自動バックアップと、別リージョンへの複製による災害復旧(DR)の仕組みを構築できた、というケースがあります。これにより、地震や大規模障害といった事態にも、データを失わず迅速に復旧できる体制が整います。

こうしたバックアップ・DRの仕組みは、S3の高い耐久性や、マネージドデータベースの自動バックアップ機能を活用することで、比較的低コストで実現できます。事例が示すのは、AWS導入が単なるコスト削減にとどまらず、「これまで予算や技術の制約で諦めていた事業継続性の確保」を、現実的なコストで実現できるという価値です。可用性と災害対策は、平常時には効果が見えにくいものの、万が一の事態で事業を守る保険として、投資判断に組み込むべき重要な観点です。riplaはフルスクラッチ受託とクラウド構築・運用の伴走の立場から、こうした可用性設計やDR構築の事例を踏まえた支援を行っています。

まとめ

AWS導入・構築事例のまとめイメージ

AWS導入・構築の事例を振り返ると、成果の本質は「マネージドサービスとサーバーレスを使ってコスト構造を変動費化し、API連携やAI活用で業務全体を自動化・高度化し、最終的に内製化とCCoEで自走できる組織を作る」という流れに集約されます。オンプレミスからの移行ではマネージドサービス活用でインフラ費用が約3分の1まで下がった事例があり、サーバーレス化はアクセスのない時間帯のアイドルコストをほぼゼロにし、月数百円や無料枠内で運用できるケースもあります。移行費用はオンプレからの移行で150万〜500万円前後、小規模シングル構成なら20万〜30万円から始められるのが相場です。

事例を読むときに大切なのは、「どのサービスを使ったか」という技術論だけでなく、「自社の業務とコスト構造がどう変わったか」という視点です。まずは小規模なシングル構成やサーバーレスで効果を検証し、段階的に拡張しながら内製化を進める。この堅実な進め方こそが、過剰投資の失敗を避ける近道です。riplaはフルスクラッチ受託とクラウド構築・運用の伴走を組み合わせ、コスト最適化から内製化・組織定着までを一貫して支援します。全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。