宴会管理システム開発の完全ガイド

宴会管理システムは、問い合わせから予約、見積、発注、請求までを一つの情報でつなぎ、変更漏れや二重入力を減らす業務基盤です。

このガイドでは、主な機能、導入タイプ、開発・導入の進め方、費用、選定時の確認事項を、発注する側の視点で順にまとめています。

▼関連記事一覧
・宴会管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・宴会管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・宴会管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・宴会管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

宴会管理システムの全体像

宴会案件を中央に置き、予約管理、顧客管理、見積・受注、請求・入金管理を周囲に配置した図解。
同じ案件情報を複数の業務で引き継げます。

宴会管理システムは、案件の発生から売上計上まで、同じ情報をもとに管理します。営業担当が登録した内容は、予約やサービス、調理の担当が必要な範囲で参照できます。購買や経理の担当も、同じ情報を使えます。

情報は、部署ごとに台帳を分けず、ひとつの宴会案件を中心に集めることが重要です。

宴会管理システムの定義と対象施設

宴会管理システムは、ホテル、式場、レストラン、コンベンションホール、貸会議室などで使われる、予約・営業・施行・請求の統合システムです。問い合わせを案件として登録すると、仮予約から本予約、打ち合わせ、人数変更、商品追加、発注、開催、請求までの流れを一件ごとに追えます。

システムが、会場の利用時間だけでなく、設営や撤去の時間、控室、音響照明、装花、外部業者の手配まで扱えると、実際の現場の流れに合いやすくなります。

主な機能と業務データ

主な機能の中心は、問い合わせ・顧客管理と、会場と日程の予約管理です。プラン・見積・受注は、同じ案件に紐づけて扱います。そのうえで、打ち合わせ履歴や当日のタイムスケジュール、席次・レイアウトも扱います。さらに、発注・原価管理や請求・入金管理、売上分析にも対応します。

見積の料理数を変更したとき、発注数や請求額にも反映される設計であれば、転記の手間と反映漏れを抑えられます。施設によっては、PMSやPOS、会計システムとのAPIまたはCSV連携も重要になります。ほかにも、決済やWeb予約との連携が考えられ、CRMやBIとつなぐ場合もあります。

入力時間の削減にとどまらない導入効果

情報を一元化すると、予約率や成約率、会場稼働率を同じ条件で確認できます。客単価や粗利、売上見込みも、同じ見方でそろえられます。さらに、営業の持つ見込み情報と現場の確定内容との差も、見つけられるようになります。

担当者が休んでも履歴と期限を引き継げるため、属人化の解消にもつながります。

導入では、最初からすべてを自動化する必要はなく、二重予約や変更反映漏れなど事業への影響が大きい問題から解くほうが、効果を出す近道になります。

宴会管理システムの導入タイプ

適したタイプは、施設数や既存システムとの連携によって変わります。宴会と婚礼の比率や、独自の原価・請求ルールも判断材料になります。

小規模施設で早く始めたいなら、クラウドサービスが候補になります。一方で、標準的な宴会業務を短期間で整えたいなら、業界パッケージが候補になります。さらに、複数施設や独自業務を強みにしたい場合は、個別開発も選択肢に入ります。

クラウド・SaaS型

クラウド型は、サーバーを自社で持たず、月額または年額で利用する方式です。初期投資を抑えやすく、バックアップや更新も受けやすいのが利点です。

一方で、契約前に確かめたいのは、通信障害時の業務継続と権限設定です。データ出力や他システムとの連携可否も、確認しておく項目です。スマートフォンやタブレットで情報を更新したい施設や、複数拠点で同じデータを見たい施設に向きます。

業界パッケージ・導入設定型

導入の前には、標準機能で使える範囲と、施設ごとに設定する内容を分けて見ておきます。

  • 標準機能:顧客、会場、見積、手配、請求の業務
  • 初期設定:施設のマスタや帳票

パッケージには業務知識が反映されているため、ゼロから作るより期間を短縮しやすい利点があります。ただし、標準機能に業務を合わせる場面もあるため、現行の例外処理をどこまで残すかを、先に決めておく必要があります。

ローコード・スクラッチ型

ローコードは、台帳、申請、簡単な承認フローを短期間で作る方法として有効です。ただし、複数会場の重複チェックや時間帯をまたぐ設営管理は、製品ごとに対応できる範囲が違います。複雑な原価計算や分割請求も、製品の制約を確認しておきます。

スクラッチ開発は独自業務に合わせやすい反面、要件定義とテストの負担が大きくなります。さらに、保守要員の確保、障害からの復旧、法改正への対応は、長期の費用として見込んでおく必要があります。開発会社との契約が終わったあとの引き継ぎも、費用として考えます。

ポイント

適したタイプは、施設数や既存システムとの連携、独自ルールの有無で変わります。早く始めたいならクラウド、標準業務を整えたいならパッケージが候補です。

宴会管理システム開発・導入の進め方

宴会管理システムの導入を、現状業務の洗い出し、必須要件の定義、デモと見積の比較、テストからリリースまでの順に示す図。
前段でそろえた条件が、候補比較と準備につながります。

宴会管理システムの導入は、画面を作る前の業務整理で成否が決まります。

現場の担当者だけでなく、営業や予約、サービスの代表も巻き込みます。さらに、調理や購買、経理の代表も加えます。そのうえで、情報システムの代表とともに、実際の案件がどう流れているかを確認します。

次の順番で進めると、必要な機能と不要なカスタマイズを切り分けやすくなります。

▶ 詳細はこちら:宴会管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

現状業務と例外処理の洗い出し

まずは、問い合わせから分析までの業務を、一本の流れとして図にします。仮予約、商談、本予約などの前段と、打ち合わせ、発注、施行などの後段を、続けて描きます。

通常ケースだけでなく、人数減や会場変更、キャンセルなどの例外も書き出しておきます。請求先の分割や二次会も、対象に含めます。宿泊連携や外部業者の変更も、あわせて洗い出します。

現行のExcelや紙台帳の項目は、整理してから新しいシステムへ移します。重複している項目や、誰も使っていない項目、入力担当が曖昧な項目を、先に見極めます。

必須要件とMVPの定義

必須要件には、会場の重複予約防止や、仮押さえと本予約の状態管理を含めます。顧客履歴や見積、当日帳票も必須に入れます。加えて、権限とバックアップも、最初から押さえておきます。

次に、あると便利な分析画面や自動通知は、必須とは分けて扱い、最初のリリースを小さくします。

初期段階で、すべての帳票を完全に再現しようとすると、費用と期間が膨らみます。そのため、事業への影響が大きいフローを先に標準化し、周辺機能は運用が安定してから追加するのが現実的です。

同じ業務シナリオによるデモと見積の比較

候補を比べるときは、画面の印象で判断せず、同じ業務シナリオを各社に渡して動きを見ます。たとえば、「仮予約した会場を変更し、料理を増やし、外部業者を追加し、請求先を二つに分け、当日帳票を出す」という流れです。

各社のデモでは、この操作を担当者が無理なく行えるか、変更履歴が残るか、見積・発注・請求に反映されるかを確かめます。

API仕様やCSV出力は、同じ質問票に入れて比べます。障害時の復旧やサポート窓口、追加費用も、同じ質問票で比べます。

テスト、移行、教育、リリース

テストは機能ごとだけでなく、実在に近い宴会案件を使った業務シナリオでも行います。繁忙期の同時ログインや帳票の印刷、通信断を確認します。権限違いや税率の扱い、キャンセルと請求締めまで試します。

過去データは、移行する対象を絞って扱います。名寄せの方法や欠損データの扱い、旧台帳の参照期間を、あらかじめ決めておきます。

リリース前には、職種別の操作研修を行います。また、障害時に紙や一時ファイルへ切り替える手順も準備します。

ポイント

要件を固める前の業務整理が、後の候補比較や準備の成否を左右します。現行の例外処理を洗い出し、必須要件と後回しの機能を分けておくと、比べる基準がそろいます。

宴会管理システムの費用相場とコスト内訳

宴会管理システムの価格は、機能の範囲や施設数によって変わります。データ移行や帳票の作成、外部連携やカスタマイズの有無も、金額に影響します。

公開されている価格は少ないため、ここに示すのは、価格資料を宴会業務の範囲に当てはめた推定相場です。対象資料は、2025〜2026年に公開された予約システム、業務システム、ホテル向けシステムの価格情報です。

税や端末、プリンターが含まれるかは、見積ごとに異なります。連携や現地立ち会いについても、見積の内容を確かめておく必要があります。

導入規模ごとの価格・期間の目安を比べると、次のように整理できます。

  • 小規模クラウド:初期0万〜30万円、月額1,000円〜5万円程度
  • 宴会パッケージ:初期100万〜500万円、月額2万〜15万円または年20万〜100万円程度
  • 複数会場連携:初期300万〜1,000万円、月額5万〜30万円程度
  • スクラッチ開発:初期800万〜2,000万円以上となる場合があります

小規模施設で、クラウドの予約台帳と問い合わせ管理を使う場合は、導入期間が数日〜1.5か月程度が目安です。

会場予約や顧客管理、見積・請求、帳票などを備えた宴会パッケージは、導入に2〜6か月程度を見込むのが目安です。

これらの数字は、公開相場から整理した推定で、宴会専用サービスの価格を一律に示すものではありません(出典: 2025〜2026年の予約システム・業務システム公開相場および公開価格資料、2026年確認)。社内で予算を検討する段階では、個別見積もりで最終確認します。

複数会場で、PMSや会計、POSなどと連携する場合は、導入に4〜9か月程度を見込みます。

独自の原価計算や外部公開予約、詳細な営業分析を個別に作るスクラッチ開発では、期間が6〜15か月以上となる場合があります。複数施設をまたぐ場合も、この範囲で検討します。

公開資料には、ホテル向けシステムで初期導入が数十万円、月額が数万円程度からという価格例もあります。ただし、宴会機能や連携を加えると、価格は上のレンジになりやすい点に注意が必要です。

初期費用ではなく3〜5年のTCOで比較

初期費用だけでなく、次の項目も含めて3〜5年の総保有コスト(TCO)を比較します。

  • 利用・保守:月額利用料、保守、ユーザー追加、契約更新料
  • 改修・連携:帳票改修、API利用、データ移行
  • 運用準備:研修、端末、プリンター、バックアップ、現地支援

初期費用が低くても、連携先ごとに月額オプションが付くと、長期の総額が逆転することがあります。一方で、標準機能で転記や集計の工数を減らせるなら、価格差を業務の削減時間で回収できる可能性もあります。

費用を抑える現実的な方法

費用を抑えるには、標準機能を優先し、重要な業務だけを追加開発する段階導入が有効です。最初は、予約や顧客、見積の管理に、当日帳票と請求の差異防止を加えた範囲に絞ります。分析や外部公開予約は、二段階目に回します。

既存データは、現役顧客と直近の開催履歴に絞って移すと、名寄せと検証の工数を抑えられます。選ぶ際は、価格の安さより先に、削減したい時間や減らしたいミス、必要な売上指標を金額にしておくことが大切です。

ポイント

費用は初期費用だけで比べず、保守や連携、移行、研修を含む3〜5年のTCOで見ます。初期費用が低くても、連携ごとの月額オプションで総額が逆転することがあります。

見積もりを取る際のポイント

見積もりの精度は、発注側が同じ条件を各社に示せるかで決まります。機能一覧だけでは、会社ごとに想定する範囲がずれやすいためです。

業務シナリオや施設数、ユーザー数、データ量を、要件書にまとめます。連携先や帳票、権限も、各社に同じ条件で示します。運用開始時期と保守条件も、要件書に入れておきます。

要件書に入れる項目

要件書には、宴会の予約から請求までの業務と、施設ごとの運用条件を書き込みます。項目は、次のように分けて整理します。

  • 施設・予約:会場、部屋、控室、設営時間、仮予約、本予約
  • 顧客・営業:商談状況、顧客・法人履歴、プラン、商品マスタ、人数変更
  • 業務処理:見積・申込書、発注、原価、タイムスケジュール、請求・入金
  • 帳票・分析:帳票と分析の要件
  • 連携・運用:PMS、POS、会計、決済、Web予約、CRM、CSV入出力、移行、権限、ログ、バックアップ、障害連絡

各項目を、必須、できれば欲しい、将来検討の三段階に分けておくと、追加開発の理由を説明しやすくなります。

候補先へ確認する質問

候補先には、同規模・同業態の導入経験と、クラウドとオンプレミスの選択肢を尋ねます。標準機能と追加開発の境界や、API仕様も確かめます。

障害時の復旧目標とバックアップ世代を尋ねます。セキュリティ認証やデータ返却、契約終了時の削除方法も確認します。

導入後の問い合わせ対応時間と更新費用を確かめます。法改正への対応範囲や、担当者交代時の引き継ぎ方法も、あわせて尋ねておきます。デモでは、仮予約から分割請求までの操作を、実際に再現してもらいます。

見落としやすい追加費用

追加費用として、初期マスタの登録や過去顧客データの名寄せ、帳票の改修を見込む必要があります。API連携や端末・プリンターも、費用に含まれるかを確かめます。研修や現地立ち会いの費用、ユーザー追加、時間外サポートも確認します。

見積書の「一式」は、作業内容と回数、成果物に分けてもらいます。前提条件も併せて示してもらうと、後の認識違いを防ぎやすくなります。開発費の変更管理や、納期遅延時の検収条件も、契約前に決めておきます。

宴会管理システムの開発会社・ベンダーの選び方

「開発会社」という言葉で探しても、実際にはパッケージの提供会社や導入支援会社が含まれます。個別開発を担うSIや、既存のホテル基幹システムと連携する会社も対象になります。

会社の知名度よりも、自社の業態と業務シナリオに対して、設計から導入、運用支援までをどこまで責任を持って担うかで比べます。

施設タイプとの適合性

施設ごとに重視される点は異なります。ホテルでは宿泊や会計との連携が、結婚式場では長期の打ち合わせと席次が、特に大事になります。一般宴会では法人幹事や請求先の管理が、貸会議室では時間枠と備品の組み合わせが重視されます。

複数施設を運営する場合は、共通マスタと施設別マスタを分けられるかも確認したい点です。自社に近い施設の導入経験を確かめます。導入件数の多さだけでなく、同じ業態や同じ規模、同じ連携要件の経験があるかを聞きます。

技術・連携・データ移行の評価

クラウドかオンプレミスかだけでなく、データの所有権や出力形式を確かめます。APIの公開範囲や連携エラーの通知、再送方法も、確認しておきたい点です。バックアップと障害復旧も、あわせて見ます。

会計やPOSとつなぐ場合は、どのデータを正とするかを決めます。連携頻度や取消・返品、税率変更の扱いも決めておきます。

移行では、顧客名の表記ゆれや、法人と個人の重複を整理します。古い商品コードや終了した会場の扱いも、あらかじめ決めておきます。移行後は、現場が検索できる状態まで検証します。

導入後の支援体制

繁忙期や担当者の交代、制度や帳票の変更があっても、現場の運用を続けられる支援体制かを確かめます。

  • 問い合わせ:窓口の営業時間、一次対応と開発対応の分担
  • 障害対応:優先度と復旧目標
  • 定着支援:利用状況レビューと操作研修
  • 改善要望:有償改修と標準アップデートの区分

この区分を事前に説明できる会社であれば、導入後の予算を立てやすくなります。

▶ 詳細はこちら:宴会管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

▶ 詳細はこちら:宴会管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

開発会社は、自社の業態と業務シナリオに照らして、設計から導入、運用支援までをどこまで担えるかで比べます。同じ業態や連携要件の導入経験があるかも、判断材料になります。

セキュリティ・法令・運用で失敗しない方法

顧客情報を中央に置き、閲覧範囲、操作記録、バックアップ・復旧を周囲に配した図解。
閲覧、変更、復旧の備えを組み合わせます。

宴会の顧客名や連絡先、開催内容は、業務上重要な情報です。法人担当者の情報や請求情報も、慎重に扱う必要があります。機能の多さよりも先に、誰が閲覧・変更できるかを要件に入れます。

また、変更の記録も追えるようにしておきます。セキュリティや法令を後回しにすると、運用が始まってからの設定変更やデータ整理に、余計な費用がかかります。

個人情報とアクセス権限の管理

アクセス権限や操作記録、情報管理については、次のような運用を定めておきます。

  • 閲覧範囲:顧客の電話番号や請求情報を全員が見られないよう、営業、予約、サービス、経理、外部パートナーで分ける
  • アカウント:退職者や異動者は利用を停止する
  • 操作記録:管理者操作、見積・請求変更、CSV出力を残す
  • 情報管理:利用目的、保存期間、委託先、削除方法、漏えい時の連絡手順

個人情報保護委員会のガイドラインは、個人情報・個人データなどの用語や安全管理の考え方を整理しており、要件定義の確認資料として使えます(出典: 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、2026年確認)。導入の前に、自社の方針と照らし合わせておきます。

電子取引と請求の保存要件

電子取引と請求の保存要件では、次の点を確かめます。

  • 検索・改ざん対策:検索性、改ざん防止、訂正・削除履歴
  • 保存:保存期間と原本データの返却方法
  • 適格請求書:登録番号、税率、税額、出力・訂正

見積書や請求書、領収書を、メールやWebで授受する場合は、PDFを印刷して終わりにしない運用を設計します。

適格請求書が、会計連携まで正しくつながるかをテストします(出典: 国税庁「電子取引関係」「電子帳簿保存法の概要」、2026年確認)。そのうえで、税務担当者と保存要件を確かめ、仕様を決めます。

クラウドの安全性と事業継続

クラウド型の安全性と復旧条件については、次の対策を確かめます。

  • 通信・認証:データ暗号化、多要素認証(MFA)、シングルサインオン(SSO)
  • アクセス・監査:最小権限、IP・端末制限、監査ログ
  • バックアップ・復旧:世代、復旧目標、障害通知
  • 契約終了:データセンターの所在、消去証明

通信が止まったときにも、予約状況を見て当日の指示書を出せるかどうかは、重要な確認点です。

IPAは2026年3月に中小企業向け情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版を公開し、バックアップやサプライチェーン、人材面の対策を拡充しています(出典: IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版、2026年3月)。自社の事業継続計画とも、照らし合わせておきます。

ポイント

閲覧や変更の権限、操作記録、復旧の手順を、機能の多さより先に要件へ入れます。法令の保存要件は、税務担当者と早めに照らし合わせます。

導入効果は、稼働状況よりも、業務と売上の変化で測るのが適しています。導入前の数値を記録しておくと、費用対効果を社内で説明しやすくなります。同じ定義で毎月追えるKPIを決めておけば、担当者の感覚に頼らず、変化を比べられます。

最初に設定するKPI

候補となる指標は、問い合わせから成約への転換率や会場稼働率、見積作成時間です。変更反映漏れや発注漏れ、請求差異も、候補に入ります。

キャンセル率や客単価、粗利予測と実績の差、顧客のリピート率も、候補として考えられます。

見積作成時間は、「案件登録から初回見積の発行まで」と定義して、導入前後の中央値を比べます。入力件数だけを見ると、現場で使われずに登録だけが増えることもあるため、業務の結果と合わせて評価します。

2026年時点では、フルクラウドやスマートフォン・タブレット対応、API連携が検討されています。さらに、BIによる収益分析や、AIによる需要予測・見積補助も、候補として挙がっています。導入は次の順で進めます。

  1. 予約・顧客・商品・売上データを標準化し、変更履歴と権限を整える
  2. その後に分析やAIを追加する
  3. AIが提案した見積や需要予測は、そのまま確定せず、担当者が確認した記録を残す

会場名や商品コードの定義がそろっていないと、AIの精度は期待できません。顧客や売上の定義についても、統一しておく必要があります。

定着しない原因と対策

定着しない原因は、現場に入力を求めるのに入力後のメリットが見えないこと、旧台帳が併存して正しい情報が分からないこと、例外処理が口頭に戻ることです。

導入初月は、利用率だけでなく、紙台帳を廃止できた業務、入力が二重になっている画面、問い合わせが多い操作を確認します。

月次でマスタと権限を見直し、現場の改善要望を優先順位をつけて管理します。そうした積み重ねで、システムは業務に合わせて育っていきます。

よくある質問

宴会管理システムの検討では、価格や既存システムとの連携、クラウドの安全性、導入期間に関する質問が多くなります。比較の初期に確認しておきたい質問に、順に答えます。

宴会管理システムの導入費用はいくらですか?

小規模なクラウド台帳なら初期0万〜30万円、月額1,000円〜5万円程度です。宴会パッケージなら、初期100万〜500万円程度が推定相場です。

複数施設の連携やスクラッチ開発では、初期300万〜2,000万円以上になる場合があります。正確に比べるには、初期費用だけでなく、保守や連携、移行、研修を含めた3〜5年のTCOを確認します。

クラウドとスクラッチ開発はどちらが良いですか?

早期導入、初期費用の抑制、バックアップや更新の外部化を優先するならクラウドが候補となります。

独自の原価計算、施設横断の特殊な予約ルール、既存基幹との深い連携が競争力に直結するなら、スクラッチも選択肢です。

独自開発では、保守や障害対応、法改正への対応、担当者の引き継ぎを長期で担う必要があります。そのため、要件が本当に標準機能で解けないかを、先に確認します。

既存のPMSや会計システムと連携できますか?

連携方法は製品ごとに異なりますが、APIやCSV、定時バッチ、手動出力が一般的です。「連携できる」と聞いて終わらせず、どの項目を同期するかを具体的に決めます。予約や顧客、商品、売上の情報のほか、取消や税率、請求の扱いも含めます。

どちらのシステムを正とするか、何分または何時間ごとに同期するかも、決めておきます。エラー時の通知や再送、重複登録の防止は、デモとテストで確かめます。

導入にはどのくらいの期間がかかりますか?

小規模なクラウド台帳は数日〜1.5か月程度、宴会パッケージは2〜6か月程度、複数施設と外部連携を含む場合は4〜9か月程度が目安です。スクラッチ開発では6〜15か月以上になる場合があります。

データ移行や帳票、繁忙期、現場研修は、後から足すと期間が延びやすくなります。そのため、要件定義の段階で、テスト期間と教育期間を確保しておきます。

まとめ

宴会管理システムは、予約だけにとどまらず、問い合わせから見積・発注・施行・請求を経て分析までを、一つのデータでつなぐ業務基盤です。

導入時は、施設の業態と例外処理を洗い出します。そのうえで、必須要件を絞り、同じ業務シナリオで複数の候補を比べます。評価は、連携や移行、保守、研修を含む3〜5年のTCOで行います。

選定で優先すること

会場の重複予約を防げるか、人数や商品の変更を見積・発注・請求に反映できるかを確かめます。担当者ごとの権限と変更履歴も、管理できるかを確かめます。

また、既存のPMSやPOS、会計との安全な連携も確かめます。クラウドやAIは、データ標準化、バックアップ、運用ルールを整えてから追加すると、投資効果を判断しやすくなります。

最初の一歩

最初に、直近の宴会案件を一つ選び、問い合わせから請求までに誰が何を入力し、どこで転記や確認が発生しているかを記録します。

その業務シナリオを要件書とデモの基準にすると、機能の多さに流されず、自社にとって効果のある宴会管理システムを選びやすくなります。

▼関連記事一覧
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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。